あなたに見せたい絵があります。 【ブリヂストン美術館】
もう10日ほど前になりますが、平日の会社帰りに京橋にあるブリヂストン美術館で「あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60周年記念」を観てきました。京橋付近の展示の記事が続いているので、こちらも合わせてご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60周年記念
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/
【会場】ブリヂストン美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2012年3月31日(土)~6月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日の夜ということもあり、空いていました。(閉館時間が近かったのであまりのんびりはできませんでしたがw)
さて、今回の展示はブリヂストン美術館の60周年記念の展示で、石橋財団コレクションの粋を集めた展示となっています。最初にタイトルを観た時に、大体いつも通りのブリヂストン美術館の常設作品なのではないか?と思ったのですが、今回はもう一つの石橋財団の美術館である石橋美術館(久留米市)の作品がかなり来ていて、全109作品の充実した内容となっています。
展覧会はテーマごとに11の章に分かれていましたので、章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。(ブリヂストン美術館の作品はだいたいいつも展示されているものが中心でしたので、石橋美術館の作品を中心に書いていきます。)
<第1章 自画像>
まずは自画像のコーナーです。
青木繁 「自画像」
青木繁の21歳頃の自画像です。黒っぽい地に暗い茶色で描かれた横向きの顔で、所々に赤い輪郭があります。顔と服の色が同じようで、顔の影の所は背景に溶けこむような感じすらしました。天才肌で気難しそうというか、どこか不穏なオーラがあるような…。
参考記事:没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術 (ブリヂストン美術館)
坂本繁二郎 「自像」
帽子をかぶった横向きの姿で描かれた自画像です。目を細くしていて、ちょっと嫌そうな顔をしているのかと思いましたw 淡く薄い黄土色で描かれ、背景を含めてモノトーンな感じがしました。解説によると、これはパリにいた頃の自画像で、坂本繁二郎はこの作品に8年も筆を入れ続けたそうです。
藤島武二 「自画像」
ちょび髭を生やした男性の顔が、暗闇の中に首から上だけが浮かびあがっているような自画像です。横向きでやや鋭い眼光が印象的です。解説によると、これは藤島武二の30歳半ば頃(芸大の助教授の頃)の姿で、油彩の自画像ではこれが唯一の作品だそうです。
この辺には古賀春江や小出楢重、レンブラント、マネ、セザンヌ、ピカソなどの自画像もありました。
<第2章 肖像画>
続いては肖像画のコーナーです。
宮本三郎 「石橋正二郎氏像」
絵の前で豪華な椅子に座った眼鏡の紳士を描いた作品で、脇に2匹の犬の姿もあります。印象派のようにややぼんやりした画面ですが、意志の強そうな雰囲気があり、石橋正二郎氏の人格が伝わってくるように思えました。
岸田劉生 「麗子像」 ★こちらで観られます
やや縦が詰まって圧縮されて観える娘の肖像で、横向きで赤い着物を着ていておかっぱ頭をしています。岸田劉生はよく娘の麗子を描いていましたが、これは8歳頃の姿のようです。笑っているようで右手を差し出すようなポーズが可愛らしかったです。こんなに可愛い麗子はあまり無いのでは?w
参考記事:没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)
この辺にはルノワールの「少女」や「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」、ドガの「レオポール・ルヴェールの肖像」、ピカソの「女の顔」などもありました、
黒田清輝 「針仕事」 ★こちらで観られます
窓辺で縫い物をしている女性(黒田清輝によく描かれたマリア・ビョー)を描いた作品で、白いカーテン光があたる様子が爽やかです。真剣に手に集中する様子が静かで、安らぐ光景でした。
参考記事:黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景 (東京国立博物館 本館18室)
藤田嗣治 「横たわる女と猫」
ベッドで足を伸ばしてくつろいでいる白い服の女性を描いた作品で、足元にはきょとんとした顔の猫の姿もあります。全体的に乳白色で細い輪郭線のある作風で、これぞ藤田といった感じです。これは以前観た気がしますが、非常に良い作品でこの日観た中でも特に気に入りました。
<第3章 ヌード>
続いてはヌードを描いた作品が並ぶコーナーです。
安井曾太郎 「水浴裸婦」 ★こちらで観られます
遠目で観てセザンヌかと思いましたw 4人の女性が森の中で水浴している様子が描かれていて、背景の色合いがかなりセザンヌ風です。構図やポーズもそれっぽくて、相当に研究していたんじゃないかな? ルーツを感じさせる作品でした。
参考記事:セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想後編(国立新美術館)
和田英作 「チューリップ」
椅子に座った裸婦が、椅子につかまって身を捻りうつむいている様子が描かれています。その後ろにはチューリップの花が置かれ、これがタイトルの由来かな? 女性は写実的に描かれ肉感的に観える一方、背景のチューリップはやや簡略化されているように思いました。
岡田三郎助 「水浴の前」
水辺の草むらで水浴をしようとしている女性の後姿を描いた作品で、手をついてやや膝を曲げる姿勢が優美です。解説によると、逆S字になっているのはパリで学んだ構図だそうです。対角線上に描かれているのも面白い構図でした。
<第4章 モデル>
4章も人物を描いたコーナーです。
坂本繁二郎 「帽子を持てる女」 ★こちらで観られます
コートを着て帽子を持った女性像で、緑や茶色を使った坂本繁二郎らしい色合いとなっています。かなり単純化していますが、モデルの特徴がよく出ているように思えました。
藤島武二 「チョチャラ」
横を向くイタリア女性を描いた作品です。解説によると、これはローマで描いたもので、タイトルは「花売りの娘」のことだそうです。オレンジ・ピンクの服とスカーフをつけていて色の取り合わせが華やかでした。
参考記事:藤島武二・岡田三郎助展 ~女性美の競演~ (そごう美術館)
<第5章 レジャー>
5章はレジャーをテーマにしていましたが、全部ブリヂストン美術館の常設作品だったので割愛。
<第6章 物語>
続いては神話などをモチーフにした作品のコーナーです。
藤島武二 「天平の面影」 ★こちらで観られます
金地を背景に、古代風の服の女性が竪琴を持って樹の下で佇んでいる様子を描いた作品です。金地のせいかちょっと日本画みたいな色の取り合わせかな。しかし女性は静かで儚い雰囲気があるように思いました。
ここには青木繁の「海の幸」 「大穴牟知命」「わだつみのいろこの宮」などもありました。
<新収蔵作品>
今回は新しく収蔵された2つの作品も展示されていました。珍しいカイユボットの作品も加わったようです。
ギュスターヴ・カイユボット 「ピアノを弾く若い男」 ★こちらで観られます
室内でピアノを弾いている男性を描いた作品で、やや高い位置から見下ろすような視線で描かれています。印象派の仲間(庇護者)としては写実的な感じで、ピアノの黒い上面には室内の様子、鍵盤の先には手が反射しているなど細かく描かれていました。男性は真剣に練習しているようで、その様子がよく伝わります。解説によるとこれは第2回印象派展に出品されたものの1つだそうで、かなり貴重な作品だと思います。
岡鹿之助 「セーヌ河畔」 ★こちらで観られます
川岸の街と、釣りや散歩をしている人々を描いた作品です。平坦で単純化された画風で、素朴な感じがしつつ、淡い青やピンクに染まる空が爽やかでした。幾何学的な要素もあって、面白い構図でした。
<第7章 山>
続いては山を描いた作品を集めたコーナーです。
坂本繁二郎 「放牧三馬」 ★こちらで観られます
繁二郎と言えば馬ですw ややぼんやりした感じで3頭の馬が描かれていて、中央の白い馬と左の馬は仲がよさそうに見えます。ぺったりとした水色の空などが明るく思えました。
雪舟 「四季山水図」 ★こちらで観られます
4幅対の掛け軸で、右から春夏秋冬の山が描かれています。中国風の切り立った山が描かれ、水墨の濃淡でゴツゴツした感じや柔らかい表現まで見事に描かれていました。これは正面に立つと特に見応えがある作品だと思います。
<第8章 川>
8章は川をテーマにしていましたが、全部ブリヂストン美術館の常設作品だったので割愛
<第9章 海>
9章は海をテーマにしたコーナーです。
藤島武二 「波(大洗)」
波が打ち寄せる岩場の海岸を描いた作品で、所々に茶色い岩が見えています。波は紫で描かれているなど夕暮れなのかな? どこか郷愁と海の力強さを感じる作品でした。
藤島武二 「屋島よりの遠望」
高い位置から穏やかな海を描いた作品です。これは瀬戸内海の屋島だそうで、美しいグラデーションの夕日と緑の海が爽やかです。手前の海岸に煙をはく煙突がありアクセントとなっているようでした。
<第10章 静物>
続いて入口付近に戻ると静物のコーナーです。
安井曾太郎 「レモンとメロン」
皿に入ったレモン、メロン、洋なしを描いた作品です。単純化されていて黒いふちが力強い雰囲気です。皿は傾いていて果物がよくみえるのですが、これはセザンヌからの影響とのことでした。色が強くて、むしろフォーヴ的な感じを受けました。
古賀春江 「素朴な月夜」 ★こちらで観られます
赤いテーブルの上に乗った果物や花瓶などの静物を描いた作品ですが、その右は街角のようでシュールな光景です。上には空飛ぶふくろう、テーブルの脇には黒い犬などもいて平坦な画風となっていました。直線が多くテーブルの円もあるので幾何学的な感じがします。
<第11章 現代美術>
最後は現代の抽象画のコーナーです。
野見山暁治 「風の便り」
水色の画面に何かが浮かんでいるようにも観える奇妙な抽象画です。筆の流れが風のような感じに思えますが、よく観ると中央は塗残しているのかな?? 色は爽やかですがどこか力強さがあるように思いました。
参考記事:野見山暁治展 (ブリヂストン美術館)
ということで、いつも以上に楽しめる内容となっていました。石橋美術館もかなり良い作品を持っているようです。雪舟など貴重な作品もありますので、出来ればもう一度観に行こうと考えています。お勧めの展覧会です。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60周年記念
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/
【会場】ブリヂストン美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2012年3月31日(土)~6月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日の夜ということもあり、空いていました。(閉館時間が近かったのであまりのんびりはできませんでしたがw)
さて、今回の展示はブリヂストン美術館の60周年記念の展示で、石橋財団コレクションの粋を集めた展示となっています。最初にタイトルを観た時に、大体いつも通りのブリヂストン美術館の常設作品なのではないか?と思ったのですが、今回はもう一つの石橋財団の美術館である石橋美術館(久留米市)の作品がかなり来ていて、全109作品の充実した内容となっています。
展覧会はテーマごとに11の章に分かれていましたので、章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。(ブリヂストン美術館の作品はだいたいいつも展示されているものが中心でしたので、石橋美術館の作品を中心に書いていきます。)
<第1章 自画像>
まずは自画像のコーナーです。
青木繁 「自画像」
青木繁の21歳頃の自画像です。黒っぽい地に暗い茶色で描かれた横向きの顔で、所々に赤い輪郭があります。顔と服の色が同じようで、顔の影の所は背景に溶けこむような感じすらしました。天才肌で気難しそうというか、どこか不穏なオーラがあるような…。
参考記事:没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術 (ブリヂストン美術館)
坂本繁二郎 「自像」
帽子をかぶった横向きの姿で描かれた自画像です。目を細くしていて、ちょっと嫌そうな顔をしているのかと思いましたw 淡く薄い黄土色で描かれ、背景を含めてモノトーンな感じがしました。解説によると、これはパリにいた頃の自画像で、坂本繁二郎はこの作品に8年も筆を入れ続けたそうです。
藤島武二 「自画像」
ちょび髭を生やした男性の顔が、暗闇の中に首から上だけが浮かびあがっているような自画像です。横向きでやや鋭い眼光が印象的です。解説によると、これは藤島武二の30歳半ば頃(芸大の助教授の頃)の姿で、油彩の自画像ではこれが唯一の作品だそうです。
この辺には古賀春江や小出楢重、レンブラント、マネ、セザンヌ、ピカソなどの自画像もありました。
<第2章 肖像画>
続いては肖像画のコーナーです。
宮本三郎 「石橋正二郎氏像」
絵の前で豪華な椅子に座った眼鏡の紳士を描いた作品で、脇に2匹の犬の姿もあります。印象派のようにややぼんやりした画面ですが、意志の強そうな雰囲気があり、石橋正二郎氏の人格が伝わってくるように思えました。
岸田劉生 「麗子像」 ★こちらで観られます
やや縦が詰まって圧縮されて観える娘の肖像で、横向きで赤い着物を着ていておかっぱ頭をしています。岸田劉生はよく娘の麗子を描いていましたが、これは8歳頃の姿のようです。笑っているようで右手を差し出すようなポーズが可愛らしかったです。こんなに可愛い麗子はあまり無いのでは?w
参考記事:没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)
この辺にはルノワールの「少女」や「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」、ドガの「レオポール・ルヴェールの肖像」、ピカソの「女の顔」などもありました、
黒田清輝 「針仕事」 ★こちらで観られます
窓辺で縫い物をしている女性(黒田清輝によく描かれたマリア・ビョー)を描いた作品で、白いカーテン光があたる様子が爽やかです。真剣に手に集中する様子が静かで、安らぐ光景でした。
参考記事:黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景 (東京国立博物館 本館18室)
藤田嗣治 「横たわる女と猫」
ベッドで足を伸ばしてくつろいでいる白い服の女性を描いた作品で、足元にはきょとんとした顔の猫の姿もあります。全体的に乳白色で細い輪郭線のある作風で、これぞ藤田といった感じです。これは以前観た気がしますが、非常に良い作品でこの日観た中でも特に気に入りました。
<第3章 ヌード>
続いてはヌードを描いた作品が並ぶコーナーです。
安井曾太郎 「水浴裸婦」 ★こちらで観られます
遠目で観てセザンヌかと思いましたw 4人の女性が森の中で水浴している様子が描かれていて、背景の色合いがかなりセザンヌ風です。構図やポーズもそれっぽくて、相当に研究していたんじゃないかな? ルーツを感じさせる作品でした。
参考記事:セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想後編(国立新美術館)
和田英作 「チューリップ」
椅子に座った裸婦が、椅子につかまって身を捻りうつむいている様子が描かれています。その後ろにはチューリップの花が置かれ、これがタイトルの由来かな? 女性は写実的に描かれ肉感的に観える一方、背景のチューリップはやや簡略化されているように思いました。
岡田三郎助 「水浴の前」
水辺の草むらで水浴をしようとしている女性の後姿を描いた作品で、手をついてやや膝を曲げる姿勢が優美です。解説によると、逆S字になっているのはパリで学んだ構図だそうです。対角線上に描かれているのも面白い構図でした。
<第4章 モデル>
4章も人物を描いたコーナーです。
坂本繁二郎 「帽子を持てる女」 ★こちらで観られます
コートを着て帽子を持った女性像で、緑や茶色を使った坂本繁二郎らしい色合いとなっています。かなり単純化していますが、モデルの特徴がよく出ているように思えました。
藤島武二 「チョチャラ」
横を向くイタリア女性を描いた作品です。解説によると、これはローマで描いたもので、タイトルは「花売りの娘」のことだそうです。オレンジ・ピンクの服とスカーフをつけていて色の取り合わせが華やかでした。
参考記事:藤島武二・岡田三郎助展 ~女性美の競演~ (そごう美術館)
<第5章 レジャー>
5章はレジャーをテーマにしていましたが、全部ブリヂストン美術館の常設作品だったので割愛。
<第6章 物語>
続いては神話などをモチーフにした作品のコーナーです。
藤島武二 「天平の面影」 ★こちらで観られます
金地を背景に、古代風の服の女性が竪琴を持って樹の下で佇んでいる様子を描いた作品です。金地のせいかちょっと日本画みたいな色の取り合わせかな。しかし女性は静かで儚い雰囲気があるように思いました。
ここには青木繁の「海の幸」 「大穴牟知命」「わだつみのいろこの宮」などもありました。
<新収蔵作品>
今回は新しく収蔵された2つの作品も展示されていました。珍しいカイユボットの作品も加わったようです。
ギュスターヴ・カイユボット 「ピアノを弾く若い男」 ★こちらで観られます
室内でピアノを弾いている男性を描いた作品で、やや高い位置から見下ろすような視線で描かれています。印象派の仲間(庇護者)としては写実的な感じで、ピアノの黒い上面には室内の様子、鍵盤の先には手が反射しているなど細かく描かれていました。男性は真剣に練習しているようで、その様子がよく伝わります。解説によるとこれは第2回印象派展に出品されたものの1つだそうで、かなり貴重な作品だと思います。
岡鹿之助 「セーヌ河畔」 ★こちらで観られます
川岸の街と、釣りや散歩をしている人々を描いた作品です。平坦で単純化された画風で、素朴な感じがしつつ、淡い青やピンクに染まる空が爽やかでした。幾何学的な要素もあって、面白い構図でした。
<第7章 山>
続いては山を描いた作品を集めたコーナーです。
坂本繁二郎 「放牧三馬」 ★こちらで観られます
繁二郎と言えば馬ですw ややぼんやりした感じで3頭の馬が描かれていて、中央の白い馬と左の馬は仲がよさそうに見えます。ぺったりとした水色の空などが明るく思えました。
雪舟 「四季山水図」 ★こちらで観られます
4幅対の掛け軸で、右から春夏秋冬の山が描かれています。中国風の切り立った山が描かれ、水墨の濃淡でゴツゴツした感じや柔らかい表現まで見事に描かれていました。これは正面に立つと特に見応えがある作品だと思います。
<第8章 川>
8章は川をテーマにしていましたが、全部ブリヂストン美術館の常設作品だったので割愛
<第9章 海>
9章は海をテーマにしたコーナーです。
藤島武二 「波(大洗)」
波が打ち寄せる岩場の海岸を描いた作品で、所々に茶色い岩が見えています。波は紫で描かれているなど夕暮れなのかな? どこか郷愁と海の力強さを感じる作品でした。
藤島武二 「屋島よりの遠望」
高い位置から穏やかな海を描いた作品です。これは瀬戸内海の屋島だそうで、美しいグラデーションの夕日と緑の海が爽やかです。手前の海岸に煙をはく煙突がありアクセントとなっているようでした。
<第10章 静物>
続いて入口付近に戻ると静物のコーナーです。
安井曾太郎 「レモンとメロン」
皿に入ったレモン、メロン、洋なしを描いた作品です。単純化されていて黒いふちが力強い雰囲気です。皿は傾いていて果物がよくみえるのですが、これはセザンヌからの影響とのことでした。色が強くて、むしろフォーヴ的な感じを受けました。
古賀春江 「素朴な月夜」 ★こちらで観られます
赤いテーブルの上に乗った果物や花瓶などの静物を描いた作品ですが、その右は街角のようでシュールな光景です。上には空飛ぶふくろう、テーブルの脇には黒い犬などもいて平坦な画風となっていました。直線が多くテーブルの円もあるので幾何学的な感じがします。
<第11章 現代美術>
最後は現代の抽象画のコーナーです。
野見山暁治 「風の便り」
水色の画面に何かが浮かんでいるようにも観える奇妙な抽象画です。筆の流れが風のような感じに思えますが、よく観ると中央は塗残しているのかな?? 色は爽やかですがどこか力強さがあるように思いました。
参考記事:野見山暁治展 (ブリヂストン美術館)
ということで、いつも以上に楽しめる内容となっていました。石橋美術館もかなり良い作品を持っているようです。雪舟など貴重な作品もありますので、出来ればもう一度観に行こうと考えています。お勧めの展覧会です。
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映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
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鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
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【根津美術館】の紅葉 2021年11月 (12/14)
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カフェラヴォワ 【新宿界隈のお店】 (12/12)
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川瀬巴水 旅と郷愁の風景 【SOMPO美術館】 (12/10)
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- 21世紀のxxx者:奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】 (01/03)
- うさぴょん:キヨノサチコ絵本原画の世界 みんな大好き!ノンタン展 【松屋銀座】 (03/21)
- 21世紀のxxx者:川豊 【成田界隈のお店】 (03/04)
- 21世紀のxxx者:劇団四季 「MAMMA MIA!(マンマ・ミーア!)」 (03/04)
- 萌音:川豊 【成田界隈のお店】 (03/03)
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