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奇想の王国 だまし絵展 (感想後編) 【Bunkamuraザ・ミュージアム】

昨日の前編に引き続き、文化村の「奇想の王国 だまし絵展」の感想後編です。
  ※前編をお読みになっていない方は先に前編をお読みいただければ幸いです。 こちらです。

東急にこんなショーウィンドウがありました。不覚にもデジカメが使えず携帯で撮りました。

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おさらい

【展覧名】
 奇想の王国 だまし絵展

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_damashie/index.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2009年6月13日~8月16日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度 + 入場券20分

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
1章から4章については前編にてご紹介しました。今日は5章からご紹介。


<第5章 20世紀の巨匠たち- マグリット・ダリ・エッシャー>
このコーナーを観る為に来たと言っても過言ではないかも(><) 大好きなマグリットが大量に観られて嬉しいです。ダリは少なかったかな。 エッシャーも有名な作品が観られます。奇想天外で高度な騙し絵を堪能できます。

ルネ・マグリット 「夢」
宇都宮美術館の所蔵作品なので、何回か観たことある作品です。(前に観たのは横浜美術館のシュルレアリスム展だったかな?) 裸婦が岩に寄りかかっているんだけど、彼女の影は真っ黒な無地ではなく、体の正面を克明に映しています。そこがトリックなのですが、それ以上に超現実的なその周りの光景に心奪われます…。

ルネ・マグリット 「前兆」
銀嶺を翼を広げた鳥(鷹?)に見立てた作品で、ダブルイメージになっている作品です。そんなに奇妙な感じはしませんが、そういう目で自然を観ているのが面白いです。「アルンハイムの領地」に似ているかな
 ※参考:「アルンハイムの領地」のイメージ検索

ルネ・マグリット 「白紙委任状」  ★イメージ検索
この作品はめっちゃ観たかった作品。これに会えただけで大満足です(><) 乗馬している女性の姿ですが、木々の隙間の遠近の順序がおかしいです。 背景となるべきものが一番前に来ていたりしています。どうしたらこんな発想できるんだろ??という感嘆を上げてみていました。

ルネ・マグリット 「無謀な企て」
これも「夢」と同じタイミングで観ました。画家が空中に裸婦を描いているんだけど、その裸婦が人間となっていく。。。という企てです。画家と裸婦が同じタッチで描かれているので、少しリアルな感じがするかな。すでに裸婦の目線に生気がありました。

ルネ・マグリット 「囚われの美女」  ★こちらで観られます
田園風景の中に、それを描いた風景画が置かれています。絶妙な遠近感で風景画と風景が連続しているように観える作品です。これも現実と絵の境界線があいまいになっていて、マグリットらしい仕掛けです。こういうセンスが大好きです。

ポール・デルヴォー 「窓」
外から部屋の中を覗いている絵と思いきや、その部屋の中は庭でした。 …文で書くと意味不明ですw 中が外なのか外が中なのか考えると頭が混乱します。クラインの壷とかメビウスの輪の絵画版って感じでしょうか。余談ですが、次の文化村の展示はベルギー幻想美術館ということでデルヴォーもだいぶ観られそうです。

サルバドール・ダリ 「アン・ウッドワード夫人の肖像」
この絵は解説なしだと分かりづらいトリックです。夫人の帯の青色がそのまま左に伸びていき、その帯と同じ幅の海岸線が延びていきます。つまり帯と海岸線の青が繋がっているように見えるというものでした。この絵は夫人から買取を拒否されたらしいです。

M.C.エッシャー 「昼と夜」  ★イメージ検索
エッシャーがあるならもっと前面に出してくれてもいいのにw これは初期の作品らしいです。白い鳥と黒い鳥が交互に配され、左は昼、右は夜というようにいつの間にか昼夜に分かれています。鳥も下のほうは鳥なのか畑なのかわからなくなっているし、まさに騙し絵という感じです。デザインと色を巧みに使った傑作です。

M.C.エッシャー 「上昇と下降」  ★イメージ検索
これは非常に有名な作品。これを観るとジョジョの奇妙な冒険のポルナレフの台詞を思い出しますw

おれは階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた。何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

と、仰天のトリックを是非味わってみてくださいw


M.C.エッシャー 「滝」  ★イメージ検索
これもめっちゃ有名ですね。夢の永久機関のように延々とループする滝と水路です。先ほどの「上昇と下降」もそうですが恐らく遠近感にトリックがあるのかと。目でじっとみてもタネを見破るのが難しくて、パズルのようで面白いです。

<第6章 多様なイリュージョニズム -現代美術におけるイメージの策謀>
このコーナーは名前のとおり、現代美術の中の騙し絵(立体もあります)です。流石に現代までくると何でもありなので、非常に手が込んでいたり、発想もしないような騙しをしてきます。ここのコーナーが一番、「何これ??」を連発してたかも。

マルクス・レーツ 「変容Ⅱ」
これは彫刻作品で角度によって見えてくるものが違います。兎にみえたり男にみえたり。そんな変容でした。ぐるっと回るとなるほどーって感じです。

高松次郎 「影A」
この手法はつい最近見たなと思ったら上野で開催中の「日本の美術館名品展」で高松次郎の「影」という似た作品を観たのを思い出しました。まるでそこに物体があって、照明によってキャンバスに影が落ちているように錯覚しますが、よくみると濃淡を上手いこと描き分けた絵です。リアルです。

本城直季 「small planet」シリーズ  ★こちらで観られます
ミニチュアを撮った写真?と思ったら、実物をミニチュア風に撮った写真でした。あおりの技術を逆用して、中央にピントを合わせることで実物がミニチュアのように見える写真を撮っているのだとか。私は写真を撮るのが好きな割りにその辺の技術はよくわかりませんが、真実を写すはずの写真なのに騙されるとは思ってもみませんでした。

パトリック・ヒューズ 「水の都」
すげえ!?何これ??って連呼してましたw 突起状になっている3つ絵に、水の都が描かれています。その側部にも絵が描かれているのですが… どの角度から観ても道がこっち向いてる! (本当に意味が分からなくてすみませんw) ずっと観てると酔ってくるのが難ですが、これは結構な不思議体験でした。割とタネは単純でも面白いです。

福田美蘭 「壁面5°の拡がり」  ★こちらで観られます
これどうやって展示したんだろう? と首をかしげる作品でした。
左が高くて右が壁に沈んでいる絵を表現しているのですが、壁からちょっと飛び出しているところもあって不思議でした。


ということで、散々騙されてきました(><) これだけ愉快な展覧会は中々無いかもしれません。さらにマグリットの傑作に会うこともできたので、大満足でした。ただ、メチャクチャ混んでいるのは避けようが無く、ミレイ展の時ですら空いていた時間帯を狙っても焼け石に水状態です。 混雑は諦めて鑑賞時間を長めに見積もっておいたほうがいいかもしれません。また展示替えしたら再度行きたいです。

  → 再度行ってきました。紹介しきれなかった作品を一挙に紹介しましたので引き続きお願いします。
    奇想の王国 だまし絵展 (2回目 感想前編)


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