関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

ルドゥーテの「バラ図譜」展 【上野の森美術館】

先週の土曜日に上野の森美術館へ行って、ルドゥーテの「バラ図譜」展を観てきました。

P1010599.jpg P1010597.jpg

【展覧名】
 ルドゥーテの「バラ図譜」展

【公式サイト】
 http://www.eventsankei.jp/redoute_rose/

【会場】上野の森美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2012年6月6日(水) ~ 6月25日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて自分のペースで観ることができました。

さて、今回の展覧会はフランス革命前後にマリー・アントワネットとナポレオンの妻ジョセフィーヌに仕えた宮廷画家ルドゥーテの個展となっています。まずルドゥーテ自身についてですが、現在のベルギー領サン・ユベールに生まれ、10代の後半からパリにある兄の工房で装飾画家を務めました。そしてパリの王立植物博物館で絵画技師として働き、マリー・アントワネットに植物画を教え、宮廷の収集室付素描家の称号を得ていたそうです。革命が起きた後は、マルメゾン宮殿でバラなど世界中の珍しい植物を育てていたジョセフィーヌに、その記録係として雇われたそうです。
花のラファエロ、バラのレンブラントと讃えられたルドゥーテは、博物的正確さ踏まえつつ芸術性を備えた作品を残したそうで、特にジョゼフィーヌに捧げた169枚から成る「バラ図鑑」は代表作らしく、中には現存しないバラも描かれているそうです。この展示ではその「バラ図鑑」を一挙公開していましたので、いくつか気に入った作品をご紹介しようと思います。
ちなみにルドゥーテは81歳で死ぬまでに4000枚以上の作品があるそうで、昨年もルドゥーテの展覧会が開催されていました。
 参考記事:花の画家 ルドゥーテ『美花選』展 (Bunkamuraザ・ミュージアム)


<I 古代種>
まずは古代ギリシャ・ローマから栽培されてきた3つの系統のバラを描いた作品のコーナーです。基本はロサ・ガリカという系統で、これはフランス南部(古名ガリア)から西アジアにかけて分布しているそうです。どれも香りが良いそうで、ガリカは赤色、ダマスクはピンク、アルバは白を後世に伝えたそうです。

[ガリカ系]
2 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ガリカ・オフィキナーリス(アポテカリー・ローズ)」
大きな赤~ピンク色をしたバラを描いた作品です。写実的に描かれていて、スコープで観ても分からないくらい細かく精密です。うぶ毛まで描かれてる…w 色合いも写実的でありながら気品がありました。
解説によると濃い紅色の深みを黒のぼかしで捉えているとのことで、スティップル法という点描による銅版で線刻による陰影をつけているようでした。

9 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ガリカ・ウェルシコロル‘ロサ・ムンディ’」
ピンクと白の縞模様のあるバラを描いた作品です。非常に細かい縞は繊細で華やかな印象を受けます。画風はどれも同じように見えますが、花は少しずつ種類が違っているようです。素人目にはほとんど一緒に見えるものもありますが…w ルドゥーテの観察眼と描写力が卓越しているのを感じさせます。

14 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ガリカ・アガタ・プロリフェラ」
ピンクの花の中から葉っぱが飛び出してきているバラを描いた作品です。花の中から2番目の花が咲く種類だそうで、そんなバラがあるのか!と驚きましたw (この後もいくつかそういう種類がありました)

20 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ガリカ・フローレ・マルモレオ」
ピンクの花が広がるバラで、コスモスみたいに開いていて変わった形をしています。花の中心の花柱の辺りには斑点があって、ちょっとキモいw
この先にもこれもバラなの?というものが結構あって、絵だけではなくバラの種類にも驚きっぱなしです。

[ダマスク系]
31 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ダマスケーナ」
1つの枝にピンクと白の花を咲かすバラを描いた作品です。どちらも繊細な色合いで、濃淡の表現が見事です。若干、花のボリュームが多すぎて騒がしい気もしますが華やかな雰囲気がありました。

[アルバ系]
42 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・アルバ・フローレ・プレーノ」
白い花を咲かすバラを描いた作品です。白地に白い花を印刷するのは難しいそうですが、細かい線でつけた陰影や周りのつぼみなどで輪郭を浮かび上がらせているようです。葉っぱの配置なども計算しているらしく、バランスも良かったです。

白い花は細かい線での陰影の付け方が特に分かりやすいと思います。


<II ケンティフォリア系及びモス系>
続いてのコーナーはケンティフォリア系及びモス系という2つの系統で、ケンティフォリアとは100枚の花弁(はなびら)という意味だそうです。その名の通り古代種に比べると花弁の数が多く花も大きめで華やかな系統らしく、16世紀のオランダ辺りで出現したと考えられるようです。さらにそこから派生したモス系はつぼみを覆う蕚(がく、花弁の付け根の周りの緑の部分)の部分に腺毛が密集し、それが苔(モス)のように見えることから名づけられたようです。
 
[ケンティフォリア系]
45 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ケンティフォリア」 ★こちらで観られます
ピンクの花の中に赤っぽい花弁が何枚も重なっているバラを描いた作品です。包み込むような感じで、花は大きめに見えてちょっと重そうな感じです。このバラは画家のバラとも賞賛されていたものだそうで、マリー・アントワネットの肖像の中にもこのバラを持っているものがあるそうです。

この辺は大体似た感じで花弁が幾重にも密集したバラが続くのですが、47「ロサ・ケンティフォリア・シンプレックス」のようにあまり花弁がないものもありました。謎ですw

55 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ケンティフォリア・クレナータ」
沢山の花弁が重なったピンクのバラを描いたものです。花はやや小ぶりで長い茎が伸び、それがS字になっているのが優美さを出しています。解説によるとこれはルネサンス末期のマニエリスムとの関連も考えられているようでした。すらっとした印象を受けるバラで、好みでした。

[モス系]
60 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ムスコーサ・ムルティプレックス」 ★こちらで観られます
ピンク色で無数の花弁があるバラで、その点はケンティフォリア系と同様ですが、つぼみの周りの緑の部分に細かい毛のようなものが描かれた作品です。これは棘らしいですが、よくこんなに細かいものを描けるものだと驚きます(公式サイトの画像でもよく分からないほど細かいですw) こちらも優美で華やかな印象を受けるバラでした。


<III チャイナ系>
続いては18世紀半ば~19世紀初めにかけて導入された中国の四季咲き性のバラのコーナーです。4種を中心に発達した系統で、ルドゥーテの時代にはインディカ系と呼ばれていたそうです(インドを経由して入ってくるため) 四季咲き性は人工交配熱に拍車をかけたらしく、その後のバラのほとんどはチャイナ系の影響が見られるとのことでした。

[インディカ系(チャイナ系)]
65 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・インディカ」
5枚の花弁が並ぶ一重咲きの紅いバラです。先ほどの何重にも花弁があった種類に比べて凄くシンプルな感じで、同じバラとは思えないほど花弁が少なく見えます。こぶりで可愛らしい感じがありつつ、色合いが生き生きとした雰囲気をだしていました。

同じ系統でも4種類あるためか、この系統にも花弁が多いものもありました。見た目はだいぶ違うのに同じ系統というのが素人には難しいところですw

1階の最後あたりには版画の販売コーナーもありました。1枚3万円程度だったかな。


<IV オールドローズの基本種>
2階の最初はルドゥーテの時代に古代種とチャイナ系の交配で生まれた4種類の基本種のコーナーです。各系統の基本種がここに並んでいますが、現在のオールドローズと呼ばれる品種はほとんど描かれていないそうです。ここは点数も少なめでした。

[ポートランド系]
この系統は1点だけでしたがメモを取りませんでした…

[ブルボン系]
84 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・カニーナ・ブルボニアーナ(ブルボン・ローズ)」
これは現在のレユニオン島(当時のブルボン島)で見つかったバラで、この種は花が垂れ下がって下向きに咲く特徴があるらしく深いピンク~紅のバラがうつむくように描かれています。その構図もあってか全体的にすっきりした印象を受けました。また、何故か中央辺りの葉っぱが破れているのが気になりました。

[ノワゼット系]
85 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ノワゼッティアーナ(ノワゼット・ローズ)」
白っぽい花を無数に咲かすバラです。ピンクや黄色など色のとりあわせも綺麗で、桜を思わせるような華やいだ雰囲気がありました。

[ブールソー系]
こちらは3点でしたが特に気に入るものがありませんでした。


<V ワイルドローズとその派生種>
最後はワイルドローズ(野生のバラ)のコーナーです。バラは北半球に(特にアジアに多く)分布していますが、パリに住むルドゥーテはヨーロッパの野生種とその派生種を多く描いているようです。バラ図鑑169枚のうち79枚は野生のバラだそうで、中東、日本、アジア、アメリカなどのバラも描かれているそうです。

[アジア分布種(含む中東)]
90 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ベレベリフォリア(ロサ・ペルシカ)」
まるでスミレのような感じの黄色いバラで、星型に咲いていて中央部分には茶色い花が断面図のように描かれています。また、花弁が1枚だけ下に描かれているなど、博物的・解剖的な要素もありました。

この辺もバラなの??と驚くバラが並んでいました。

100 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・カムチャティカ」
持つところが無いくらい茎に棘がびっしり生えた紅いバラです。葉っぱの緑も濃く、まさにワイルドで野趣ある花に見えます。しかし花は繊細に描かれていて、葉や茎と対照的な様子がよく捉えられているとのことでした。

[アジアからヨーロッパにかけての分布種]
ここはメモを取った作品がありませんでした。下階にあった種類に比べると地味で小ぶりな印象を受けるものが多くて…w

[ヨーロッパ分布種]
147 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・アルピーナ・フローレ・ワリエガート」
アルプスに咲くピンクの花のバラです。5枚だけの一重咲きで棘もなく、葉っぱの形も根元のほうが細いなど、これだけ見てもバラだとは思えない特徴となっていました。

[北アメリカ分布種]
[不明]
ここもメモを取ってません。

最後に特別出品と言うことで肉筆画が3点展示されていました。水彩のとチョークで描いたものがあったのですが、版画以上に色鮮やかで濃淡の表現がますます繊細で美しかったです。

私が見終わる13時頃には2階で、この当時に栄えた楽器であるチェンバロのコンサートもやっていました。これは演奏者が変わったりして毎日1時と3時に行われているもののようです。チェンバロは現代につくられたものですが曲は当時のものらしく、何曲かやっていました。独特の音色で宮殿にいるような感じに思えましたw


ということで、絵もさることながらバラにも詳しくなれそうな展示となっていました。もうすぐ終わってしまいますが、ご興味あるかたはコンサートの時間なども考慮していくと良いかと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事


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