薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展 -フランス ジェルブロワの風- 【損保ジャパン東郷青児美術館】
先週の日曜日に、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で終盤となった「薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展 -フランス ジェルブロワの風-」を観てきました。

【展覧名】
薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展 -フランス ジェルブロワの風-
【公式サイト】
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html
【会場】損保ジャパン東郷青児美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2012年4月14日(土)~7月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはそこそこ入っていましたが、混んでいるというわけでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はフランスの近代画家アンリ・ル・シダネルの個展で、昨年末から2月頃まで埼玉県立近代美術館で行われていた展覧会の巡回となります。内容・章構成はほぼ同じで、少し入れ替わっている作品があるようでした。この展示は既に2回ご紹介しましたので、今回は各章の説明などは割愛して、まだご紹介していない作品と入れ替わっていると思われる作品の中で気に入ったものについて書いていこうと思います。(シダネルについての詳細は参考記事を読んで頂けると嬉しいです。)
参考記事:
アンリ・ル・シダネル展 (埼玉県立近代美術館)
アンリ・ル・シダネル展 2回目(埼玉県立近代美術館)
<第1章 自画像>
最初の章は自画像のコーナーですが、ここは1点しかなく埼玉の展示と変わりはありませんでした。
<第2章 エタプル>
続いて初期にエタプルという村で描いた作品のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「横向きの若い女性(エタプル)」
木陰に座っている横向きの女性像です。奥の方に光が当たっていて手前が暗くなっています。女性の服が白っぽい水色に見えるのは影の表現かな? 静かで理知的な雰囲気のある女性でした。
アンリ・ル・シダネル 「河口に立つ少女(エタプル)」
白の服とピンク色のスカートを履いた女性像で、背景には薄い水色の川が画面一杯に描かれています。色の取り合わせが爽やかで印象派のような明るさの作品でした。
<第3章 人物像>
3章は主に家族を描いた肖像画のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「イヴォンヌ・ル・シダネルの肖像」
孫を描いた晩年の作品で、短い金髪に青い目をした少女が描かれています。ちょっと目力があって子供とは思えない賢そうな顔をしています。 また、長い棒状の点描のような技法で描かれていて、ゴッホの晩年の技法を想起するかな。しかし、シダネルの作品は色も淡目で穏やかな雰囲気があります。
アンリ・ル・シダネル 「カミーユ・ル・シダネル[ヴェネツィア]」
手を組んで横向きに座る女性を描いたリトグラフです。茶色の濃淡で描かれ、顔はぼんやりしています。この作品もうねりのような線が集まった表現で、神秘的なゆらめきを感じました。
<第4章 オワーズ県の小さな町々>
4章はオワーズ県のボーヴェに移り住んだ1900年頃の作品のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「道 [ソンジョン]」
手前に枝葉を四角くカットされた木々が並び、その間をシスターのような格好の人々が歩いている様子が描かれた作品です。奥には3階建ての建物が並び、右から夕日が照りつけているような表現が暖かみを感じさせました。
アンリ・ル・シダネル 「運河 [アミアン]」
手前に川、奥に赤い屋根の建物が描かれた風景画で、右から奥にかけて白い柵が伸びています。夕方から夜にかけての時間帯らしく、家の中にはオレンジの灯りがあり、それが水面にも映っています。優しく暖かい光で観ていてホッとするような光景でした。
<第5章 取材旅行>
続いては取材旅行の旅行先で描いた作品などが並んだコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「窓辺 [モントルイユ=ベレー]」
窓辺から池を望む風景が描かれ、手前にも緑の花が飾られています。細かい点を使って描いていますが、池の情感が豊かに表現されていました。また、絵の枠に沿うように、左側と下に窓枠が描かれた構図も面白かったです。
アンリ・ル・シダネル 「サン・マルコ広場 [ヴェネツィア]」
ヴェネツィアのサン・マルコ広場を描いた作品で、ちょっと暗めの青の空と、アーチのあるピンク色の建物(ドゥカーレ宮殿?)、鐘楼、柱なども描かれ、手前には沢山の人々が行き交っています。水平・垂直の直線が多くてかっちりした構図に見えるかな。一方でそれぞれの建物の配置や色の取り合わせが面白く、洒落た感じが旅情を誘う絵となっていました。
<第6章 ブルターニュ地方>
6章は祖先発祥の地であるブルターニュ地方を描いた作品が並ぶコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「橋 [ポン=タヴェン]」
中央に奥に伸びる川、奥には石の小さな橋、左右には川岸の家々が並んでいる様子が描かれた作品です。夕闇の中、一番手前の家と右奥の家からはオレンジの灯りが漏れ、幻想的な雰囲気を出しています。また、右には紅葉した植物もあり、暗い夕暮れなのに色鮮やかにすら感じました。
<第7章 ジェルブロワ>
7章はシダネルが庭園を作り、フランスの最も美しい村の1つと言われるまでになったジェルブロワのコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「花の植木鉢3つ [ジェルブロワ]」
手前に窓に置かれた3つの植木鉢があり、そこにオレンジ~赤の花が咲いています。その背景には庭と赤い壁の建物が観えるのですが、結構抽象的でオレンジが明るく観えます。3つの植木鉢の花のオレンジと背景が、共に画面を華やいだ雰囲気にしていました。画面の下の方は緑が多めなので対比的に感じるせいかな。
アンリ・ル・シダネル 「雪 [ジェルブロワ]」
並んだ3つの椅子と、門に置かれた大きな杯が描かれた作品です。木炭で描いた素描のような感じですが、ところどころに白のパステルで雪のようなものが描かれていました。ちょっと寒そうに見える作品です。
アンリ・ル・シダネル 「教会の家、黄昏 [ジェルブロワ]」
アンリ・ル・シダネル 「教会の家、月明かり [ジェルブロワ]」
同じ場所を描いたと思われる作品が2枚並んでいました。どちらもピンク色の壁の教会と、その下の家を描いているのですが、黄昏のほうは夕方で、2階の窓からオレンジの光が煌々と漏れています。一方で、月明かりの方は、作品名の通り月明かりに照らされているようで、黄昏に比べると全体的に青みがかっているように見えました。月明かりのほうが色自体が控えめかな。こちらにも2階の灯りはあるのですが、これも抑えた表現で静けさがより強調されているように思えました。
アンリ・ル・シダネル 「春の空 [ジェルブロワ]」
大きな画面に雲がもくもくと描かれた作品です。地平線はかなり下の方で、こんもりとした緑の木?やピンク色に染まった木らしきものが並んでいます。雲は雄大で流れるような表現でした。非常に明るく爽やかな1枚です。
<第8章 食卓>
8章はシダネルの真骨頂とも言える「アンティミスト」(身近なもの、特に室内画を情感を込めて描く作風)の特徴がよく出ているコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「3本の薔薇 [ジェルブロワ]」
手前に小さな円卓があり、そこに置かれた赤、ピンク、黄色の3本の薔薇が描かれています。近くにはベンチがあり、奥に緑のアーチ越しに田園風景も見えるので、テラスを木が覆っているような感じかな? 手前は暗めですが所々に木漏れ日が落ちている様子も描かれています。この絵の中には誰も居ませんが、テーブルの薔薇が人の営みを感じさせました。
アンリ・ル・シダネル 「薔薇色のテーブルクロス [ヴェルサイユ]」
室内にあるピンクのテーブルクロスの円卓に、活けられた花、ティーカップ、グラス、水差し、瓶、ティーポットなどが置かれている様子を描いた作品です。こちらも画面には誰もいませんが、お茶でもしようとしているような雰囲気があります。また、巧みな陰影で右から柔らかい日差しを感じるのも見事でした。ピンク色が多く使われているせいか、幸せそうな印象も受けます。
8章の最後にはオランダのラーレンにあるシンガー美術館の案内がありました。ここは画家でコレクターだったウィリアム・シンガーJr.のコレクションを元にした美術館で、今回の展覧会にも多く出品しています。 シンガーとシダネルはどこで知り合ったかはハッキリしないそうですが、恐らくピッツバーグを訪問した際に、たまたま同じ展覧会に出品したのをきっかけに仲良くなったと考えられるそうです。その後家族ぐるみの付き合いもしていたようで、その縁で豊富なシダネルの作品コレクションを有しているようでした。
<第9章 ヴェルサイユ>
最後は晩年を過ごしたヴェルサイユのコーナーです。シダネルはヴェルサイユ宮殿のすぐ近くに住んでいたようです。
アンリ・ル・シダネル 「薔薇の花に覆われた家 [ヴェルサイユ]」 ★こちらで観られます
タイトル通り薔薇が壁を覆うように生えている建物を描いた作品です。斜めから見たような構図で、赤とピンクの薔薇が華やかです。そしてやはり建物の中からはオレンジの光が漏れていて、人の気配を感じさせました。
ということで、流石に3回目なので今回は満足度を4にしましたが、私のお気に入りの展示です。埼玉とまったく同じものかと思っていたら、まだ観ていない作品もあったのは収穫かな。今週末で終わってしまいますので、気になる方はこの土日にどうぞ。
おまけ:
今回の常設はドニのリトグラフとルオーの白黒版画が新たに追加になっているようでした。
ドニの作品はこの美術館で開催されたドニ展の際に尽力したドニの孫のクレール・ドニ氏が、展覧会の記念の日本の人々を元気づけたいという思いで寄贈してくれたそうです。こちらも1つの見所になるかと思います。
参考記事:モーリス・ドニ -いのちの輝き、子どものいる風景- (損保ジャパン東郷青児美術館)


【展覧名】
薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展 -フランス ジェルブロワの風-
【公式サイト】
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html
【会場】損保ジャパン東郷青児美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2012年4月14日(土)~7月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはそこそこ入っていましたが、混んでいるというわけでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はフランスの近代画家アンリ・ル・シダネルの個展で、昨年末から2月頃まで埼玉県立近代美術館で行われていた展覧会の巡回となります。内容・章構成はほぼ同じで、少し入れ替わっている作品があるようでした。この展示は既に2回ご紹介しましたので、今回は各章の説明などは割愛して、まだご紹介していない作品と入れ替わっていると思われる作品の中で気に入ったものについて書いていこうと思います。(シダネルについての詳細は参考記事を読んで頂けると嬉しいです。)
参考記事:
アンリ・ル・シダネル展 (埼玉県立近代美術館)
アンリ・ル・シダネル展 2回目(埼玉県立近代美術館)
<第1章 自画像>
最初の章は自画像のコーナーですが、ここは1点しかなく埼玉の展示と変わりはありませんでした。
<第2章 エタプル>
続いて初期にエタプルという村で描いた作品のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「横向きの若い女性(エタプル)」
木陰に座っている横向きの女性像です。奥の方に光が当たっていて手前が暗くなっています。女性の服が白っぽい水色に見えるのは影の表現かな? 静かで理知的な雰囲気のある女性でした。
アンリ・ル・シダネル 「河口に立つ少女(エタプル)」
白の服とピンク色のスカートを履いた女性像で、背景には薄い水色の川が画面一杯に描かれています。色の取り合わせが爽やかで印象派のような明るさの作品でした。
<第3章 人物像>
3章は主に家族を描いた肖像画のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「イヴォンヌ・ル・シダネルの肖像」
孫を描いた晩年の作品で、短い金髪に青い目をした少女が描かれています。ちょっと目力があって子供とは思えない賢そうな顔をしています。 また、長い棒状の点描のような技法で描かれていて、ゴッホの晩年の技法を想起するかな。しかし、シダネルの作品は色も淡目で穏やかな雰囲気があります。
アンリ・ル・シダネル 「カミーユ・ル・シダネル[ヴェネツィア]」
手を組んで横向きに座る女性を描いたリトグラフです。茶色の濃淡で描かれ、顔はぼんやりしています。この作品もうねりのような線が集まった表現で、神秘的なゆらめきを感じました。
<第4章 オワーズ県の小さな町々>
4章はオワーズ県のボーヴェに移り住んだ1900年頃の作品のコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「道 [ソンジョン]」
手前に枝葉を四角くカットされた木々が並び、その間をシスターのような格好の人々が歩いている様子が描かれた作品です。奥には3階建ての建物が並び、右から夕日が照りつけているような表現が暖かみを感じさせました。
アンリ・ル・シダネル 「運河 [アミアン]」
手前に川、奥に赤い屋根の建物が描かれた風景画で、右から奥にかけて白い柵が伸びています。夕方から夜にかけての時間帯らしく、家の中にはオレンジの灯りがあり、それが水面にも映っています。優しく暖かい光で観ていてホッとするような光景でした。
<第5章 取材旅行>
続いては取材旅行の旅行先で描いた作品などが並んだコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「窓辺 [モントルイユ=ベレー]」
窓辺から池を望む風景が描かれ、手前にも緑の花が飾られています。細かい点を使って描いていますが、池の情感が豊かに表現されていました。また、絵の枠に沿うように、左側と下に窓枠が描かれた構図も面白かったです。
アンリ・ル・シダネル 「サン・マルコ広場 [ヴェネツィア]」
ヴェネツィアのサン・マルコ広場を描いた作品で、ちょっと暗めの青の空と、アーチのあるピンク色の建物(ドゥカーレ宮殿?)、鐘楼、柱なども描かれ、手前には沢山の人々が行き交っています。水平・垂直の直線が多くてかっちりした構図に見えるかな。一方でそれぞれの建物の配置や色の取り合わせが面白く、洒落た感じが旅情を誘う絵となっていました。
<第6章 ブルターニュ地方>
6章は祖先発祥の地であるブルターニュ地方を描いた作品が並ぶコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「橋 [ポン=タヴェン]」
中央に奥に伸びる川、奥には石の小さな橋、左右には川岸の家々が並んでいる様子が描かれた作品です。夕闇の中、一番手前の家と右奥の家からはオレンジの灯りが漏れ、幻想的な雰囲気を出しています。また、右には紅葉した植物もあり、暗い夕暮れなのに色鮮やかにすら感じました。
<第7章 ジェルブロワ>
7章はシダネルが庭園を作り、フランスの最も美しい村の1つと言われるまでになったジェルブロワのコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「花の植木鉢3つ [ジェルブロワ]」
手前に窓に置かれた3つの植木鉢があり、そこにオレンジ~赤の花が咲いています。その背景には庭と赤い壁の建物が観えるのですが、結構抽象的でオレンジが明るく観えます。3つの植木鉢の花のオレンジと背景が、共に画面を華やいだ雰囲気にしていました。画面の下の方は緑が多めなので対比的に感じるせいかな。
アンリ・ル・シダネル 「雪 [ジェルブロワ]」
並んだ3つの椅子と、門に置かれた大きな杯が描かれた作品です。木炭で描いた素描のような感じですが、ところどころに白のパステルで雪のようなものが描かれていました。ちょっと寒そうに見える作品です。
アンリ・ル・シダネル 「教会の家、黄昏 [ジェルブロワ]」
アンリ・ル・シダネル 「教会の家、月明かり [ジェルブロワ]」
同じ場所を描いたと思われる作品が2枚並んでいました。どちらもピンク色の壁の教会と、その下の家を描いているのですが、黄昏のほうは夕方で、2階の窓からオレンジの光が煌々と漏れています。一方で、月明かりの方は、作品名の通り月明かりに照らされているようで、黄昏に比べると全体的に青みがかっているように見えました。月明かりのほうが色自体が控えめかな。こちらにも2階の灯りはあるのですが、これも抑えた表現で静けさがより強調されているように思えました。
アンリ・ル・シダネル 「春の空 [ジェルブロワ]」
大きな画面に雲がもくもくと描かれた作品です。地平線はかなり下の方で、こんもりとした緑の木?やピンク色に染まった木らしきものが並んでいます。雲は雄大で流れるような表現でした。非常に明るく爽やかな1枚です。
<第8章 食卓>
8章はシダネルの真骨頂とも言える「アンティミスト」(身近なもの、特に室内画を情感を込めて描く作風)の特徴がよく出ているコーナーです。
アンリ・ル・シダネル 「3本の薔薇 [ジェルブロワ]」
手前に小さな円卓があり、そこに置かれた赤、ピンク、黄色の3本の薔薇が描かれています。近くにはベンチがあり、奥に緑のアーチ越しに田園風景も見えるので、テラスを木が覆っているような感じかな? 手前は暗めですが所々に木漏れ日が落ちている様子も描かれています。この絵の中には誰も居ませんが、テーブルの薔薇が人の営みを感じさせました。
アンリ・ル・シダネル 「薔薇色のテーブルクロス [ヴェルサイユ]」
室内にあるピンクのテーブルクロスの円卓に、活けられた花、ティーカップ、グラス、水差し、瓶、ティーポットなどが置かれている様子を描いた作品です。こちらも画面には誰もいませんが、お茶でもしようとしているような雰囲気があります。また、巧みな陰影で右から柔らかい日差しを感じるのも見事でした。ピンク色が多く使われているせいか、幸せそうな印象も受けます。
8章の最後にはオランダのラーレンにあるシンガー美術館の案内がありました。ここは画家でコレクターだったウィリアム・シンガーJr.のコレクションを元にした美術館で、今回の展覧会にも多く出品しています。 シンガーとシダネルはどこで知り合ったかはハッキリしないそうですが、恐らくピッツバーグを訪問した際に、たまたま同じ展覧会に出品したのをきっかけに仲良くなったと考えられるそうです。その後家族ぐるみの付き合いもしていたようで、その縁で豊富なシダネルの作品コレクションを有しているようでした。
<第9章 ヴェルサイユ>
最後は晩年を過ごしたヴェルサイユのコーナーです。シダネルはヴェルサイユ宮殿のすぐ近くに住んでいたようです。
アンリ・ル・シダネル 「薔薇の花に覆われた家 [ヴェルサイユ]」 ★こちらで観られます
タイトル通り薔薇が壁を覆うように生えている建物を描いた作品です。斜めから見たような構図で、赤とピンクの薔薇が華やかです。そしてやはり建物の中からはオレンジの光が漏れていて、人の気配を感じさせました。
ということで、流石に3回目なので今回は満足度を4にしましたが、私のお気に入りの展示です。埼玉とまったく同じものかと思っていたら、まだ観ていない作品もあったのは収穫かな。今週末で終わってしまいますので、気になる方はこの土日にどうぞ。
おまけ:
今回の常設はドニのリトグラフとルオーの白黒版画が新たに追加になっているようでした。
ドニの作品はこの美術館で開催されたドニ展の際に尽力したドニの孫のクレール・ドニ氏が、展覧会の記念の日本の人々を元気づけたいという思いで寄贈してくれたそうです。こちらも1つの見所になるかと思います。
参考記事:モーリス・ドニ -いのちの輝き、子どものいる風景- (損保ジャパン東郷青児美術館)
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