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応挙の藤花図と近世の屏風 【根津美術館】

先週の日曜日に、表参道の根津美術館に行って、「コレクション展 応挙の藤花図と近世の屏風」を観てきました。

P1030837.jpg

【展覧名】
 コレクション展 応挙の藤花図と近世の屏風

【公式サイト】
 http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

【会場】根津美術館
【最寄】表参道駅


【会期】2012年7月28日(土)~8月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり見ることができました。と言っても、今回は大きな屏風のみで作品点数は少なめなので、比較的短時間で見て回れました。

さて、今回の展示は応挙の名前が入っていますが、応挙展というわけではなく、「近世の屏風」の方が色合いが強い展示でした。簡単にメモを取ってきましたので、気に入った作品をいくつかご紹介しようと思います。


1 [伊年]印 「草花図屏風」 ★こちらで観られます
俵屋宗達が主催した工房で使用された「伊年」の印のある6曲1双の屏風絵で、たんぽぽ、すみれ、竹に絡まる風車、山吹、芥子、蓮などが様々な植物が描かれています。所々剥がれ落ちたような感じですが、華やかな雰囲気がありました。なお、こちらは修復されて今回初披露だそうです。
この隣にも伊年印の屏風が並んでいました。
 参考記事:琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)

3 伝 立林何げい 「木蓮棕櫚芭蕉図屏風」
これは2曲1隻の屏風で、木蓮、シュロ、芭蕉が描かれています。墨の濃淡と滲みを使った「たらしこみ」の技法で緑などが表されていて、単純化された感じと相まって琳派風の作風に見えます。解説によると、この屏風を描いたと伝わる立林何げいは尾形光琳を画風を学んだのだとか。 変わった主題で構図も面白かったです。

6 長沢芦雪 「赤壁図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲1双の横長の水墨屏風で、北宋の詩人 蘇軾が詠じた「赤壁賦」に基づく場面が描かれています。高い岩山や海? そこに浮かぶ船などが描かれ、意匠化された波は凄い勢いを感じさせる所もあります。また、黒々した木々や霞がかるような表現など、自由自在な墨の使い分けに見えました。かなり幅広の作品なので見栄えもします。

5 円山応挙 「藤花図屏風」 ★こちらで観られます
今回の主役作品で、6曲1双の屏風です。金地に白・青・紫を使って描かれた藤の花々が木から吊り下がる様子で、緑の葉っぱが鮮やかで、花からは気品を感じます。解説によると、この花は白を塗り、そこに青や紫を重ねているそうで1つ1つ丁寧に描かれているようです。また、幹や枝は輪郭線を用いず一筆で対象の陰影や立体感を表す「付立て」という技法が使われているようでした。どこか幻想的な静けさを感じ、何故かうねるような木の形も面白かったです。

9 狩野探幽 「両帝図屏風」
これは2人の伝説的な皇帝を題材にした6曲1双です。右隻には中国風の建物の中にいる船や車を発明したとされる黄帝が描かれ、その周りにはお付きの人々が描かれています。庭には人力車と車夫、軒先には舟がいて黄帝の伝説にちなんだものかな? 一方、左隻には建物の中で琴を弾く舜帝が描かれ、この皇帝は五弦琴を弾き歌を詠うと天下がよく治まったとされるそうです。舜帝の周りの人々は皆 舜帝の方を向いていて、琴の音を聴いているように見えました。 全体的に緻密かつ色鮮やかに描かれ、品格を感じさせる作品です。

11 狩野宗信 「桜下麝香猫図屏風」
6曲1双の屏風で、金地(っぽい)を背景に桜の花の下で戯れるジャコウネコたちを描いた作品です。ジャコウネコは長くふさふさした尻尾をしていて、桜を見ていたり、水辺で水を飲むような姿勢をしていたり、耳を掻いていたりとのんびりと過ごしているような感じです。桜をよく観ると花は意匠化され盛り上がっているように見えました。


ということで、なかなか渋いコレクションの展示となっていました。特にタイトルの応挙の作品は面白かったです。この展示の後、1階~2階の常設のコーナーも観たのですが、こちらはいつも通りといった内容でした。


 参照記事:★この記事を参照している記事

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