ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅 【府中市美術館】
10日ほど前の日曜日に、府中市美術館で「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」を観てきました。

【展覧名】
ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅
【公式サイト】
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/delvaux/index.html
【会場】府中市美術館
【最寄】京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など
【会期】
2012年9月12日(水)~11月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
開催して初めての日曜日だったこともあってか、空いていてじっくりと観て周ることができました。
さて、今回の展示はベルギーの幻想の画家ポール・デルヴォーの個展となっています。ポール・デルヴォーは、先日ご紹介したアンソールや有名なシュルレアリスムの画家マグリットと共にベルギーを代表する画家で、裸婦たちが夜の神殿を歩くような不思議な光景を描くことで知られています。今年はベルギーのポール・デルヴォー美術館の開館30周年だそうで、この展示はそこで行われた「ポール・デルヴォー展 - 夢をめぐる旅」という展覧会を元に日本向けに新たに再構成して巡回しているようです。初期から晩年まで5つの章に分けて展示されていましたので、詳しくは各章ごとにご紹介していこうと思います。
…それにしても「夢にデルヴォー」ってキャッチコピーは面白い。 誰もがツッコミたくなるダジャレのようでよく特徴が出てますw
参考記事:
ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜― (損保ジャパン東郷青児美術館)
アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
ベルギー幻想美術館 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
<冒頭>
まず冒頭にデルヴォーの画風がよく分かる作品がハイライト的に展示されていました。
ポール・デルヴォー 「夜明け」 ★こちらで観られます
今回のポスターになっている作品で、手前に建物の中の白い服の女性が描かれ、戸口の外には布をかぶった裸婦や背景の山が描かれています。モチーフ自体は現実にもありそうなものですが、手前の女性がやけに大きく、奥の女性が極端に小さく見えるなど遠近感が奇妙に感じられます。また、建物には強い光が差し込んでいて明暗は強いものの、何故か細部が平坦に感じられ、全体的にガランとした雰囲気です。それが形而上絵画やシュルレアリスムらしさを感じさせ、夢の中のような独特の世界となっていました。
ここにはデルヴォーの言葉がありました。
「私は一貫して、現実をある種の「夢」として描き表そうとしてきました。事物が本物らしい様相を保ちながらも詩的な意味を帯びている。そんな夢として 作品は登場する事物の全てが必然性をもった虚構の世界となるのです。」
展覧会を一通り観てからもう一度この言葉を読むと、デルヴォーの特徴を端的に表している言葉ではないかと思います。
<第1章 写実主義と印象主義の影響>
1章は初期のコーナーです。ポール・デルヴォーは1897年にベルギー南部の母の実家で生まれ、ブリュッセルで育ちました。弁護士をしていた厳格な父、家庭的な母(ちょっと過保護)、後に弁護士になる弟 といったように芸術とは無縁の家庭だったようですが、少年時代のデルヴォーは内気で黙々と絵を描いていたそうです。
高校を卒業するとデルヴォーは画家を望んだようですが両親に反対され、建築を学ぶ学校に進学しました。しかし、数学で落第して道を失いかけた時、家族の休暇ででかけた街で偶然出会った王室公認の有名画家(フランツ・クルテンス)にデルヴォーの水彩画が激賞されたため、ついに美術学校に入学することが許されたそうです。この頃の作風は写実主義や印象主義の影響を受けた穏やかな風景画が多いようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「グラン・マラドの水門(南側の眺望)」
川と川岸を描いた作品で、これはベルギー南部の生家近くの風景のようです。光が差す明るい画面で、厚塗されている画風はまさに印象派風といった感じです。温かみがあり穏やかな雰囲気の作品でした。
この近くには最初期の美術学校時代の油彩や、正確に描かれたスケッチなどもありました。一見すると印象派っぽいですが、デルヴォーはモネ達 印象派と違って曇りがちな空を描いているそうで、それはベルギーの画家の伝統と言えるそうです。
ポール・デルヴォー 「森の小径」 ★こちらで観られます
両脇にブナの木が立ち並ぶ森の中の一本道を描いた作品です。木々や道には木漏れ日が落ちているようで、光と影の表現が心地よく感じられます。緑が茂っていて爽やかな雰囲気でした。
ポール・デルヴォー 「リュクサンブール駅(未完)」
沢山の貨物列車が並ぶ鉄道の駅を描いた作品です。デルヴォーは子供の頃に駅長になるのが夢だったほどの鉄道好きで、モチーフとしてよく出てきます。この絵は未完成のようで、右半分は色が塗られているのですが左半分は下書きのみです。蒸気の表現や人々の労働の様子などが面白く、ちょっと印象派風にも思えました。解説によると、建物の表現などには建築を学んだ甲斐も感じられるようです。また、製作過程を知る上で貴重な品のようでした。
<第2章 表現主義の影響>
続いては表現主義からの影響についてのコーナーです。
一通りの技術を身につけたデルヴォーは30代を迎える頃、さらに自分らしい表現を身につけようと、有名画家の描き方や流行の画風を次々と取り入れたそうです。その中でも最も影響を受けたのが 細部の描写に拘らず感情を直接的に表そうとする「表現主義」の技法だったようで、これによって内面世界へと表現が深化していったようです。また、私生活では1929年に後の妻となるタムと出会い恋に落ちましたが、両親の反対によって2人の仲は引き裂かれてしまったようです。その為かこの頃は暗い色調の重苦しい雰囲気の絵が多く、喪失感がそのまま出ているそうです。ここにはそうした時期の多彩な画風の作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「森の中の裸体群」
暗い枯れ木の森の中、沢山の裸体の男女が様々なポーズをとっている様子を描いた作品です。人々は大きさもまちまちで、顔はモディリアーニの描く人物のような感じです。全体的に暗いこともあってかちょっと不穏な雰囲気で、どこか異様な光景に見えました。
この辺にあった「ボワフォールの風景」は水彩ですが、幾何学的な描き方や色使いがセザンヌを思わせました。
ポール・デルヴォー 「バラ色の婦人」
手前に肘をついて横たわる裸婦が描かれ、その後ろにも3人の胸を出した女性が描かれています。全体的に茶色がかっていて、後ろの方は背景に溶けこむような感じです。これは当時流行していた表現主義に影響を受けたようで、この頃から裸婦を描くようになったそうです。前の時代に比べるとだいぶ写実から離れた感じがしました。
この辺は裸婦を描いた作品がいくつかありました。確かに画風がよく変わります。
<第3章 シュルレアリスムの影響>
デルヴォーが試行錯誤の時代を脱したきっかけの1つがシュルレアリスムとの出会いだったようです。1920年代にパリで始まったこの運動は1934年にはブリュッセルでも「ミノトール展」という展示が開催され、デルヴォーはデ・キリコやマグリット、ダリ、エルンストらの作品を観て大きな衝撃を受けたようです。そしてその影響からデルヴォーの作品は謎めいた雰囲気が強く漂うようになり、シュルレアリストが好んだ手法を用いるようになったようです。しかしシュルレアリスムの思想や運動からは距離をとり、シュルレアリスムに感化されつつもあくまで独自の画風を作り上げようとしたそうです。ここにはそうしたシュルレアリスムに影響を受けた以降の作品が並んでいました。
参考記事:
シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)
ポール・デルヴォー 「訪問Ⅳ」
ドアを開けて家に入ってくる赤いドレスと羽帽子の女性と、それを迎える緑の服の女性が描かれた作品です。そう説明すると普通の場面のようですが、どこか奇妙に感じられるのが面白い所で、現実のようで非現実な雰囲気です。解説ではお互いに目を見ていないと指摘していたのですが、確かに左の人物はその通りで(右は左の女性を見ているような…)それが奇妙に感じる理由かもしれません。また、平坦な感じもその一因ではないかと思いました。
デルヴォーの作品にはこうした 視線を合わさずちょっとボーっとしてるような感じの無表情な女性がよく出てきます。この後の章でもそうした女性たちが沢山でてきました。
この辺には水彩の習作もありました。
<第4章 ポール・デルヴォーの世界>
続いての4章は最大の見所で、裸婦、機関車、神殿などデルヴォーの作品によく出てくるモチーフごとに5つのコーナーと、フレスコのコーナーに分かれていました。
[欲望の象徴としての女性、男性の居場所]
デルヴォーの描く女性は美しく魅力的でありながら人を寄せ付けない冷たさがあるようです。デルヴォーにとって女性は欲望の象徴でありながら強い恐れを抱く存在であったのではないかと推測されるようで、そうした女性観に特に大きな影響を与えたのは母親と元恋人のタムだったようです。
母親はやや過保護で悪い女性から息子を守ろうとしたため、デルヴォーは思春期に女性に対する抑圧された感情を持ったそうです。一方、タムは初恋の相手で18年後に運命的な再開を果たすのですが、別離直後はその不在を埋めるように執拗に彼女の肖像を描いていたそうです。
また、デルヴォーの作品にはたまに男性も描かれるのですが、これはジュール・ベルヌの小説に出てくるリーデンブロック教授らしく、自分の作品の中で生きたいと考えたデルヴォー自身が姿を変えたものとも考えられるようです。
まずここには鉛筆で描かれたタムの肖像が数点ありました。タムへの手紙などもあり、その存在の大きさが伝わります。
ポール・デルヴォー 「行列」 ★こちらで観られます
大きめの作品で、白い布をまとった裸婦10人くらいが手にランプを持って、静かにこちらに行進してくる様子が描かれています。周りには生垣に囲まれた空き地や電車と線路があり、背景にはレンガ造りの家やまっすぐに生えた木々なども描かれています。1つ1つを観れば現実のようでありながら、無表情で目が死んだような裸婦たちがシュールで、強く印象に残りました。一方でどこか懐かしさを感じるかな。不思議な魅力を持った作品です。
この辺にはタムやダニエルという女性モデルの素描(裸婦像)などもありました。素描は写実的です。また、「リーデンブロック教授の習作」という作品もありました。
[生命の象徴としての骸骨]
デルヴォーが初めて骸骨に出会ったのは小学校の頃だったそうで、生物室の骨格模型を見て衝撃を受けたようです。少年時代には骸骨を非常に恐れていたようですが、後に突如として美しさと表現力を持ったものとして目に映るようになったそうです。
骸骨は死を表すモチーフとして古くから描かれてきましたが、デルヴォーはこれを人体の基本構造と捉えて生命の本質と考えたらしく、生き生きと描かれているようです。ここにはそうした骸骨をモチーフにした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「会話」 ★こちらで観られます
部屋の中で頬杖をついて左手を差し出す裸婦と、その隣で寄り添うように同じポーズを取る骸骨が描かれています。骸骨はかなり精密に描かれていて、背景には影も写っています。タイトルの示すように会話をしているようにも見えますが、実際の意味する所はよく分かりません。骸骨が親しげな感じに見えるのが面白く、女性も夢見るような表情で目をつぶっているので、どちらかというと明るい雰囲気に思えました。
この辺には磔刑にされた骸骨や骸骨人間を描いた「《磔刑Ⅱ》(1953年)のための習作」や「《キリストの埋葬》(1951年)のための骸骨の習作」などもありました。
[汽車、トラム、駅]
先述したようにデルヴォーは幼い時から電車が好きで、家の窓から路面電車(トラム)を毎日眺め、駅長になるのが夢でした。デルヴォーは後に、電車や汽車は「子供時代そのもの」だったと語っていたようで、子供時代に直結するモチーフのようです。ここにはそうした作品が並んでいました。
まずこのコーナーの最初には汽車と客車が描かれたビールのコースターや、路面電車(トラム)を描いたスケッチ、電車が出てくる作品の習作などがありました。
ポール・デルヴォー 「トンネル」
これはかなり大きめの作品で、手前に沢山の女性たちがレースの服や帽子で着飾って集まっています。(たまに裸婦も混じっている) その左側には唐突に鏡が置かれ、鏡の前には誰も居ないのに、鏡の中に少女がぽつんと立っています。また、背景の中央にはトンネルへと向かう列車の後部が描かれ、背景の左右にはプラットフォームのようなものや長い階段なども見えます。女性たちが集まっているのにお互いに無関心な感じがする点や遠近感が奇妙で、さらに鏡の少女は何かを訴えるような表情をしているのが強く印象に残りました。
この近くにはこの作品の習作が2点あったのですが、鏡の前に少女が立っていたのが、その次の習作では鏡の中だけになっているのが分かりました。女性たちの配置などもだいぶ変わっているようで、試行錯誤が伺えました。
[建築的要素]
続いてはデルヴォーの作品の背景によく出てくる古代神殿についてのコーナーです。デルヴォーは高校の授業で出会った「オデュッセイア」など古代文学の世界に魅了され、空想の世界に思いを馳せていたそうで、画家となってからはギリシアやイタリアで実物をスケッチすることもあったそうです。しかし作品にする際には街頭や列車と組み合わせ、現実にはない風景としていったようです。ここにはそうした題材の大型作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「夜の使者」 ★こちらで観られます
大きめの正方形の作品で、手前に5人の女性と1人のメガネの紳士が集まり、その足元にはランプが置かれています。背景には下り坂とそこを横切る路面電車、遠くにはギリシア風の神殿のような建物群が描かれています。手前の物思いにふけるような顔の女性や、光を見つめている女性、ボーっとしている女性など 何を考えているのかちょっと意味深で幻想的にすら見える感じが面白いです。背景の世界はデルヴォーの心象風景なのかな? シュールでありながら、どこか現実感があるように思えました。
この辺は水彩の習作が多めでした。
ポール・デルヴォー 「エペソスの集いⅡ」 ★こちらで観られます
手前に赤いソファで寝ている女性、左に裸婦と胸だけ出した女性、右には手鏡を見ている女性と、鏡の枠のようなものが唐突に直立しています。その背景には路面電車と街頭、奥には古代の神殿のような建物群と海があり、これがエペソス(ギリシアの都市)のタイトルの由来のようです。暗い中で女性たちの肌が白く明るく描かれ、少し妖しい雰囲気があるかな。右の女性の手鏡には何も映らず、枠だけの鏡には若干の反射があるなど謎だらけですが、夢のなかにいるような懐かしいような気分になりました。これはかなり良かったのですが、ベルギーでは切手にもなったほどの有名作のようです。
[ルーツとしての過去のオブジェ]
続いてはデルヴォーの家をモチーフにした作品のコーナーです。デルヴォーはベルギーのアンテイにある生家を繰り返し描いていたようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「アンテイの台所」
これはデルヴォーの家の台所を描いた作品で、細かいところまで家の様子が再現されています。しかしこれは記憶を辿って描いているそうで、画風としては特にシュールなところはないように見えるのかな。すっきりした印象を受けます。 解説によると、画中のランプなどは子供の頃から身近だったものらしく、その後重要なモチーフとなったようです。
ここには他に生家を正面から描いた作品が2点ありました。赤い屋根に白い壁で中々立派な家です。 また、白黒のグリーティングカードも6枚あり、中には「TAM ET PAUL」と書かれたものもありました。
[フレスコ壁画]
デルヴォーは50代の頃、画家としての地位を築き壁画の依頼も受けるようになったそうです。ここにはリエージュ大学の動物学研究所のフレスコ壁画のための習作が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「リエージュ大学動物学研究所のフレスコ《創世記》(1960年)のための下絵」
凸型の板に描かれた作品で、中央に泉があってその周りに白い衣をまとう女性が描かれ、背景には野が広がり水牛やサイ、鹿などがのんびりしています。これは創世記をモチーフにしているようで、タッチ自体はデルヴォーっぽいですがシュルレアリスム的な印象は薄いように見えるかな。(影や泉への反射などにデルヴォーらしさがあるようです) 動物が多く出てくるので動物学の研究所に相応しい画題のようでした。
この近くにはフレスコのために描いた動物や人物の素描もありました。
<第5章 旅の終わり>
最後は晩年のコーナーです。デルヴォーは晩年、徐々に視力を失っていったそうで、汽車や骸骨などのモチーフは見られなくなり、裸婦を大きく描くことが多くなったそうです。晩年の作にはシュルレアリスム的な空間や滑らかな絵肌もないようですが、デルヴォーが一貫した幻想世界そのものといった感じのようで、それまでのある種の緊張感は無くなり平穏で瞑想的な雰囲気が増しているそうです。その後デルヴォーは視力のほとんどを失っても水彩画の制作を続けていたのですが、最愛の妻タムの死を境に筆を置いたようです。ここにはそうした作風の作品が数点並んでいました。
ポール・デルヴォー 「カリュプソー」
カリュプソーは古代ギリシアのオデュッセイアの海の女神で、手前の右に大きく裸婦が描かれています。遠くを見るような表情をしていて、背景には海?と山らしきものがぼんやりと描かれています。たしかにざらついた画面で、淡い色合いが幻想的な雰囲気に見えました。ここまで観てきたどの作品ともだいぶ違う印象を受けます。解説によると、この作品が油彩の最後となったようです。
ここには他に水彩も2点並んでいました。
<出口>
出口にはデルヴォーゆかりの品が並んでいました。オイルランプ、汽車の模型、大きなパレットと沢山の筆、手鏡などで、これは作品の中に出てきたモチーフかも? 資料として中々興味深いです。
ということで、デルヴォーの画風の変遷や主な画題について知ることもでき、非常に満足できる展覧会でした。大型作品が予想以上に良かったので、それだけでも感激できました。今回は図録も購入したので、しばらくデルヴォーに浸っていようと思いますw 今季お勧めの展覧会です。
おまけ:
図録には埼玉県立近代美術館の「森」も載っているので、埼玉への巡回の際には一緒に展示されるかも?
参考記事:MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅
【公式サイト】
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/delvaux/index.html
【会場】府中市美術館
【最寄】京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など
【会期】
2012年9月12日(水)~11月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
開催して初めての日曜日だったこともあってか、空いていてじっくりと観て周ることができました。
さて、今回の展示はベルギーの幻想の画家ポール・デルヴォーの個展となっています。ポール・デルヴォーは、先日ご紹介したアンソールや有名なシュルレアリスムの画家マグリットと共にベルギーを代表する画家で、裸婦たちが夜の神殿を歩くような不思議な光景を描くことで知られています。今年はベルギーのポール・デルヴォー美術館の開館30周年だそうで、この展示はそこで行われた「ポール・デルヴォー展 - 夢をめぐる旅」という展覧会を元に日本向けに新たに再構成して巡回しているようです。初期から晩年まで5つの章に分けて展示されていましたので、詳しくは各章ごとにご紹介していこうと思います。
…それにしても「夢にデルヴォー」ってキャッチコピーは面白い。 誰もがツッコミたくなるダジャレのようでよく特徴が出てますw
参考記事:
ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜― (損保ジャパン東郷青児美術館)
アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
ベルギー幻想美術館 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
<冒頭>
まず冒頭にデルヴォーの画風がよく分かる作品がハイライト的に展示されていました。
ポール・デルヴォー 「夜明け」 ★こちらで観られます
今回のポスターになっている作品で、手前に建物の中の白い服の女性が描かれ、戸口の外には布をかぶった裸婦や背景の山が描かれています。モチーフ自体は現実にもありそうなものですが、手前の女性がやけに大きく、奥の女性が極端に小さく見えるなど遠近感が奇妙に感じられます。また、建物には強い光が差し込んでいて明暗は強いものの、何故か細部が平坦に感じられ、全体的にガランとした雰囲気です。それが形而上絵画やシュルレアリスムらしさを感じさせ、夢の中のような独特の世界となっていました。
ここにはデルヴォーの言葉がありました。
「私は一貫して、現実をある種の「夢」として描き表そうとしてきました。事物が本物らしい様相を保ちながらも詩的な意味を帯びている。そんな夢として 作品は登場する事物の全てが必然性をもった虚構の世界となるのです。」
展覧会を一通り観てからもう一度この言葉を読むと、デルヴォーの特徴を端的に表している言葉ではないかと思います。
<第1章 写実主義と印象主義の影響>
1章は初期のコーナーです。ポール・デルヴォーは1897年にベルギー南部の母の実家で生まれ、ブリュッセルで育ちました。弁護士をしていた厳格な父、家庭的な母(ちょっと過保護)、後に弁護士になる弟 といったように芸術とは無縁の家庭だったようですが、少年時代のデルヴォーは内気で黙々と絵を描いていたそうです。
高校を卒業するとデルヴォーは画家を望んだようですが両親に反対され、建築を学ぶ学校に進学しました。しかし、数学で落第して道を失いかけた時、家族の休暇ででかけた街で偶然出会った王室公認の有名画家(フランツ・クルテンス)にデルヴォーの水彩画が激賞されたため、ついに美術学校に入学することが許されたそうです。この頃の作風は写実主義や印象主義の影響を受けた穏やかな風景画が多いようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「グラン・マラドの水門(南側の眺望)」
川と川岸を描いた作品で、これはベルギー南部の生家近くの風景のようです。光が差す明るい画面で、厚塗されている画風はまさに印象派風といった感じです。温かみがあり穏やかな雰囲気の作品でした。
この近くには最初期の美術学校時代の油彩や、正確に描かれたスケッチなどもありました。一見すると印象派っぽいですが、デルヴォーはモネ達 印象派と違って曇りがちな空を描いているそうで、それはベルギーの画家の伝統と言えるそうです。
ポール・デルヴォー 「森の小径」 ★こちらで観られます
両脇にブナの木が立ち並ぶ森の中の一本道を描いた作品です。木々や道には木漏れ日が落ちているようで、光と影の表現が心地よく感じられます。緑が茂っていて爽やかな雰囲気でした。
ポール・デルヴォー 「リュクサンブール駅(未完)」
沢山の貨物列車が並ぶ鉄道の駅を描いた作品です。デルヴォーは子供の頃に駅長になるのが夢だったほどの鉄道好きで、モチーフとしてよく出てきます。この絵は未完成のようで、右半分は色が塗られているのですが左半分は下書きのみです。蒸気の表現や人々の労働の様子などが面白く、ちょっと印象派風にも思えました。解説によると、建物の表現などには建築を学んだ甲斐も感じられるようです。また、製作過程を知る上で貴重な品のようでした。
<第2章 表現主義の影響>
続いては表現主義からの影響についてのコーナーです。
一通りの技術を身につけたデルヴォーは30代を迎える頃、さらに自分らしい表現を身につけようと、有名画家の描き方や流行の画風を次々と取り入れたそうです。その中でも最も影響を受けたのが 細部の描写に拘らず感情を直接的に表そうとする「表現主義」の技法だったようで、これによって内面世界へと表現が深化していったようです。また、私生活では1929年に後の妻となるタムと出会い恋に落ちましたが、両親の反対によって2人の仲は引き裂かれてしまったようです。その為かこの頃は暗い色調の重苦しい雰囲気の絵が多く、喪失感がそのまま出ているそうです。ここにはそうした時期の多彩な画風の作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「森の中の裸体群」
暗い枯れ木の森の中、沢山の裸体の男女が様々なポーズをとっている様子を描いた作品です。人々は大きさもまちまちで、顔はモディリアーニの描く人物のような感じです。全体的に暗いこともあってかちょっと不穏な雰囲気で、どこか異様な光景に見えました。
この辺にあった「ボワフォールの風景」は水彩ですが、幾何学的な描き方や色使いがセザンヌを思わせました。
ポール・デルヴォー 「バラ色の婦人」
手前に肘をついて横たわる裸婦が描かれ、その後ろにも3人の胸を出した女性が描かれています。全体的に茶色がかっていて、後ろの方は背景に溶けこむような感じです。これは当時流行していた表現主義に影響を受けたようで、この頃から裸婦を描くようになったそうです。前の時代に比べるとだいぶ写実から離れた感じがしました。
この辺は裸婦を描いた作品がいくつかありました。確かに画風がよく変わります。
<第3章 シュルレアリスムの影響>
デルヴォーが試行錯誤の時代を脱したきっかけの1つがシュルレアリスムとの出会いだったようです。1920年代にパリで始まったこの運動は1934年にはブリュッセルでも「ミノトール展」という展示が開催され、デルヴォーはデ・キリコやマグリット、ダリ、エルンストらの作品を観て大きな衝撃を受けたようです。そしてその影響からデルヴォーの作品は謎めいた雰囲気が強く漂うようになり、シュルレアリストが好んだ手法を用いるようになったようです。しかしシュルレアリスムの思想や運動からは距離をとり、シュルレアリスムに感化されつつもあくまで独自の画風を作り上げようとしたそうです。ここにはそうしたシュルレアリスムに影響を受けた以降の作品が並んでいました。
参考記事:
シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)
ポール・デルヴォー 「訪問Ⅳ」
ドアを開けて家に入ってくる赤いドレスと羽帽子の女性と、それを迎える緑の服の女性が描かれた作品です。そう説明すると普通の場面のようですが、どこか奇妙に感じられるのが面白い所で、現実のようで非現実な雰囲気です。解説ではお互いに目を見ていないと指摘していたのですが、確かに左の人物はその通りで(右は左の女性を見ているような…)それが奇妙に感じる理由かもしれません。また、平坦な感じもその一因ではないかと思いました。
デルヴォーの作品にはこうした 視線を合わさずちょっとボーっとしてるような感じの無表情な女性がよく出てきます。この後の章でもそうした女性たちが沢山でてきました。
この辺には水彩の習作もありました。
<第4章 ポール・デルヴォーの世界>
続いての4章は最大の見所で、裸婦、機関車、神殿などデルヴォーの作品によく出てくるモチーフごとに5つのコーナーと、フレスコのコーナーに分かれていました。
[欲望の象徴としての女性、男性の居場所]
デルヴォーの描く女性は美しく魅力的でありながら人を寄せ付けない冷たさがあるようです。デルヴォーにとって女性は欲望の象徴でありながら強い恐れを抱く存在であったのではないかと推測されるようで、そうした女性観に特に大きな影響を与えたのは母親と元恋人のタムだったようです。
母親はやや過保護で悪い女性から息子を守ろうとしたため、デルヴォーは思春期に女性に対する抑圧された感情を持ったそうです。一方、タムは初恋の相手で18年後に運命的な再開を果たすのですが、別離直後はその不在を埋めるように執拗に彼女の肖像を描いていたそうです。
また、デルヴォーの作品にはたまに男性も描かれるのですが、これはジュール・ベルヌの小説に出てくるリーデンブロック教授らしく、自分の作品の中で生きたいと考えたデルヴォー自身が姿を変えたものとも考えられるようです。
まずここには鉛筆で描かれたタムの肖像が数点ありました。タムへの手紙などもあり、その存在の大きさが伝わります。
ポール・デルヴォー 「行列」 ★こちらで観られます
大きめの作品で、白い布をまとった裸婦10人くらいが手にランプを持って、静かにこちらに行進してくる様子が描かれています。周りには生垣に囲まれた空き地や電車と線路があり、背景にはレンガ造りの家やまっすぐに生えた木々なども描かれています。1つ1つを観れば現実のようでありながら、無表情で目が死んだような裸婦たちがシュールで、強く印象に残りました。一方でどこか懐かしさを感じるかな。不思議な魅力を持った作品です。
この辺にはタムやダニエルという女性モデルの素描(裸婦像)などもありました。素描は写実的です。また、「リーデンブロック教授の習作」という作品もありました。
[生命の象徴としての骸骨]
デルヴォーが初めて骸骨に出会ったのは小学校の頃だったそうで、生物室の骨格模型を見て衝撃を受けたようです。少年時代には骸骨を非常に恐れていたようですが、後に突如として美しさと表現力を持ったものとして目に映るようになったそうです。
骸骨は死を表すモチーフとして古くから描かれてきましたが、デルヴォーはこれを人体の基本構造と捉えて生命の本質と考えたらしく、生き生きと描かれているようです。ここにはそうした骸骨をモチーフにした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「会話」 ★こちらで観られます
部屋の中で頬杖をついて左手を差し出す裸婦と、その隣で寄り添うように同じポーズを取る骸骨が描かれています。骸骨はかなり精密に描かれていて、背景には影も写っています。タイトルの示すように会話をしているようにも見えますが、実際の意味する所はよく分かりません。骸骨が親しげな感じに見えるのが面白く、女性も夢見るような表情で目をつぶっているので、どちらかというと明るい雰囲気に思えました。
この辺には磔刑にされた骸骨や骸骨人間を描いた「《磔刑Ⅱ》(1953年)のための習作」や「《キリストの埋葬》(1951年)のための骸骨の習作」などもありました。
[汽車、トラム、駅]
先述したようにデルヴォーは幼い時から電車が好きで、家の窓から路面電車(トラム)を毎日眺め、駅長になるのが夢でした。デルヴォーは後に、電車や汽車は「子供時代そのもの」だったと語っていたようで、子供時代に直結するモチーフのようです。ここにはそうした作品が並んでいました。
まずこのコーナーの最初には汽車と客車が描かれたビールのコースターや、路面電車(トラム)を描いたスケッチ、電車が出てくる作品の習作などがありました。
ポール・デルヴォー 「トンネル」
これはかなり大きめの作品で、手前に沢山の女性たちがレースの服や帽子で着飾って集まっています。(たまに裸婦も混じっている) その左側には唐突に鏡が置かれ、鏡の前には誰も居ないのに、鏡の中に少女がぽつんと立っています。また、背景の中央にはトンネルへと向かう列車の後部が描かれ、背景の左右にはプラットフォームのようなものや長い階段なども見えます。女性たちが集まっているのにお互いに無関心な感じがする点や遠近感が奇妙で、さらに鏡の少女は何かを訴えるような表情をしているのが強く印象に残りました。
この近くにはこの作品の習作が2点あったのですが、鏡の前に少女が立っていたのが、その次の習作では鏡の中だけになっているのが分かりました。女性たちの配置などもだいぶ変わっているようで、試行錯誤が伺えました。
[建築的要素]
続いてはデルヴォーの作品の背景によく出てくる古代神殿についてのコーナーです。デルヴォーは高校の授業で出会った「オデュッセイア」など古代文学の世界に魅了され、空想の世界に思いを馳せていたそうで、画家となってからはギリシアやイタリアで実物をスケッチすることもあったそうです。しかし作品にする際には街頭や列車と組み合わせ、現実にはない風景としていったようです。ここにはそうした題材の大型作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「夜の使者」 ★こちらで観られます
大きめの正方形の作品で、手前に5人の女性と1人のメガネの紳士が集まり、その足元にはランプが置かれています。背景には下り坂とそこを横切る路面電車、遠くにはギリシア風の神殿のような建物群が描かれています。手前の物思いにふけるような顔の女性や、光を見つめている女性、ボーっとしている女性など 何を考えているのかちょっと意味深で幻想的にすら見える感じが面白いです。背景の世界はデルヴォーの心象風景なのかな? シュールでありながら、どこか現実感があるように思えました。
この辺は水彩の習作が多めでした。
ポール・デルヴォー 「エペソスの集いⅡ」 ★こちらで観られます
手前に赤いソファで寝ている女性、左に裸婦と胸だけ出した女性、右には手鏡を見ている女性と、鏡の枠のようなものが唐突に直立しています。その背景には路面電車と街頭、奥には古代の神殿のような建物群と海があり、これがエペソス(ギリシアの都市)のタイトルの由来のようです。暗い中で女性たちの肌が白く明るく描かれ、少し妖しい雰囲気があるかな。右の女性の手鏡には何も映らず、枠だけの鏡には若干の反射があるなど謎だらけですが、夢のなかにいるような懐かしいような気分になりました。これはかなり良かったのですが、ベルギーでは切手にもなったほどの有名作のようです。
[ルーツとしての過去のオブジェ]
続いてはデルヴォーの家をモチーフにした作品のコーナーです。デルヴォーはベルギーのアンテイにある生家を繰り返し描いていたようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「アンテイの台所」
これはデルヴォーの家の台所を描いた作品で、細かいところまで家の様子が再現されています。しかしこれは記憶を辿って描いているそうで、画風としては特にシュールなところはないように見えるのかな。すっきりした印象を受けます。 解説によると、画中のランプなどは子供の頃から身近だったものらしく、その後重要なモチーフとなったようです。
ここには他に生家を正面から描いた作品が2点ありました。赤い屋根に白い壁で中々立派な家です。 また、白黒のグリーティングカードも6枚あり、中には「TAM ET PAUL」と書かれたものもありました。
[フレスコ壁画]
デルヴォーは50代の頃、画家としての地位を築き壁画の依頼も受けるようになったそうです。ここにはリエージュ大学の動物学研究所のフレスコ壁画のための習作が並んでいました。
ポール・デルヴォー 「リエージュ大学動物学研究所のフレスコ《創世記》(1960年)のための下絵」
凸型の板に描かれた作品で、中央に泉があってその周りに白い衣をまとう女性が描かれ、背景には野が広がり水牛やサイ、鹿などがのんびりしています。これは創世記をモチーフにしているようで、タッチ自体はデルヴォーっぽいですがシュルレアリスム的な印象は薄いように見えるかな。(影や泉への反射などにデルヴォーらしさがあるようです) 動物が多く出てくるので動物学の研究所に相応しい画題のようでした。
この近くにはフレスコのために描いた動物や人物の素描もありました。
<第5章 旅の終わり>
最後は晩年のコーナーです。デルヴォーは晩年、徐々に視力を失っていったそうで、汽車や骸骨などのモチーフは見られなくなり、裸婦を大きく描くことが多くなったそうです。晩年の作にはシュルレアリスム的な空間や滑らかな絵肌もないようですが、デルヴォーが一貫した幻想世界そのものといった感じのようで、それまでのある種の緊張感は無くなり平穏で瞑想的な雰囲気が増しているそうです。その後デルヴォーは視力のほとんどを失っても水彩画の制作を続けていたのですが、最愛の妻タムの死を境に筆を置いたようです。ここにはそうした作風の作品が数点並んでいました。
ポール・デルヴォー 「カリュプソー」
カリュプソーは古代ギリシアのオデュッセイアの海の女神で、手前の右に大きく裸婦が描かれています。遠くを見るような表情をしていて、背景には海?と山らしきものがぼんやりと描かれています。たしかにざらついた画面で、淡い色合いが幻想的な雰囲気に見えました。ここまで観てきたどの作品ともだいぶ違う印象を受けます。解説によると、この作品が油彩の最後となったようです。
ここには他に水彩も2点並んでいました。
<出口>
出口にはデルヴォーゆかりの品が並んでいました。オイルランプ、汽車の模型、大きなパレットと沢山の筆、手鏡などで、これは作品の中に出てきたモチーフかも? 資料として中々興味深いです。
ということで、デルヴォーの画風の変遷や主な画題について知ることもでき、非常に満足できる展覧会でした。大型作品が予想以上に良かったので、それだけでも感激できました。今回は図録も購入したので、しばらくデルヴォーに浸っていようと思いますw 今季お勧めの展覧会です。
おまけ:
図録には埼玉県立近代美術館の「森」も載っているので、埼玉への巡回の際には一緒に展示されるかも?
参考記事:MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
参照記事:★この記事を参照している記事
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No title
夢にデルヴォー、っていきなり笑わせますね(笑
デルヴォーは私も妻も好きな画家です。(嫁に来た時、画集持ってきました)
行ってみようかな・・・ってちょっと思っています。
21世紀さんの充実と満足のポイントも高いみたいだし・・・
デルヴォーは私も妻も好きな画家です。(嫁に来た時、画集持ってきました)
行ってみようかな・・・ってちょっと思っています。
21世紀さんの充実と満足のポイントも高いみたいだし・・・
Re: No title
>晴薫(はるく)さん
コメント頂きましてありがとうございます。
デルヴォーは心惹かれるものがありますよね。
こちらの展示は習作や下絵も多めなのですが、大型作品・有名作品があって、
普段ならベルギーに行かないと観られないようなものもありました。
画風の変遷も分かりますので、お好きなようでしたら楽しめると思いますよ^^
コメント頂きましてありがとうございます。
デルヴォーは心惹かれるものがありますよね。
こちらの展示は習作や下絵も多めなのですが、大型作品・有名作品があって、
普段ならベルギーに行かないと観られないようなものもありました。
画風の変遷も分かりますので、お好きなようでしたら楽しめると思いますよ^^
No title
デルヴォー、私もあの静けさが好きです。
府中市美術館のHPを見たのですがわからなかったのですが、関西への巡回はありそうですか?
申し訳ありませんが、もしご存知でしたら教えてください。
府中市美術館のHPを見たのですがわからなかったのですが、関西への巡回はありそうですか?
申し訳ありませんが、もしご存知でしたら教えてください。
Re: No title
>Ms.れでぃさん
コメント頂きましてありがとうございます^^
残念ながら関西での開催は無さそうです。何故か関東では2回やるんですけどね。
関西で一番近そうなのは岡崎かな。これはちょっと惜しいですね…。
http://www.museum.or.jp/modules/jyunkai/index.php?page=article&storyid=80
コメント頂きましてありがとうございます^^
残念ながら関西での開催は無さそうです。何故か関東では2回やるんですけどね。
関西で一番近そうなのは岡崎かな。これはちょっと惜しいですね…。
http://www.museum.or.jp/modules/jyunkai/index.php?page=article&storyid=80
No title
調べてくださってありがとうございます。
関西へは巡回しませんか・・・。
岡崎もちょっと遠いですね。
この頃、あまり観たい展覧会が関西に周ってこないです。
関西へは巡回しませんか・・・。
岡崎もちょっと遠いですね。
この頃、あまり観たい展覧会が関西に周ってこないです。
Re: No title
>Ms.れでぃさん
コメント頂きましてありがとうございます。
関西はマウリッツハイスやエル・グレコ展も今季じゃなかったかな?
東京ほどではないかもしれませんが、結構面白そうなのがありそうですよ^^
コメント頂きましてありがとうございます。
関西はマウリッツハイスやエル・グレコ展も今季じゃなかったかな?
東京ほどではないかもしれませんが、結構面白そうなのがありそうですよ^^
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