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山下保博×アトリエ・天工人展 Tomorrow-建築の冒険- 【TOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)】

前回まで六本木・乃木坂の記事が続きましたが、先週の土曜日も六本木で美術館巡りをしてきました。まずは乃木坂駅の前にあるTOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)で、「山下保博×アトリエ・天工人展 Tomorrow-建築の冒険-」を観てきました。

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【展覧名】
 山下保博×アトリエ・天工人展 Tomorrow-建築の冒険-

【公式サイト】
 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex121013/index.htm

【会場】TOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅など


【会期】2012年10月13日(土)~2012年12月22日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
初日に行ったのですが、結構若いお客さんが入っていました。と言っても混んでいるわけではなく、快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示は 山下保博 氏とその事務所のアトリエ・天工人(テクト)による個展です。私はこの方を知らなかった(というより現代の建築家をほとんど知らないw)のですが、2004年ar+d award(国際新人賞)2004年最優秀賞など数多くの建築の賞を受けていているそうで、国内外で活躍されている方のようです。 この展覧会では冒険をテーマにその仕事を7つのコーナーに分けて展示していましたので、詳しくは各章ごとにご紹介していこうと思います。なお、今回も写真を撮ることができましたので、写真を使ってご紹介していきます。


<構造からの冒険>
まずは建物の自由な構造についてのコーナーです。

「セル・ブリック」
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これは土地のコストの高い東京で、最大限の内部空間とたくさんの収納を確保する為に考えた構造らしく鉄板で収納ボックスを270個も作って組み合わせているそうです。ちょっと近未来的なデザインがカッコいい! 夏の光を遮って冬の光を取り入れる効果もあるそうで、よくそんな発想が生まれるものだと感心させられました。

「ペンギン・ハウス」
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これは敷地面積50平方メートルという狭いスペースに建てられた建物。名前の通りペンギンみたいな姿がちょっと可愛らしいw 3階からの眺めが良さそうです。
骨組みも見ることが出来ました。


<環境からの冒険>
続いては建築と環境についてのコーナーです。

「A-ring」
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こちらは環境共生型の建築。屋根に太陽光パネルがあるのは分かりやすいですが、その他にも地熱利用やアルミ・雨水・ミストによる打ち水機能をもつ塀、オールLED化など様々な工夫がされているようです。ランニングコストゼロを目指したそうで、ちょっと住んでみたい。

この先には国際コンペで2等となったオペラハウスの構想などもありました。


<化学からの冒険>
こちらは数学や物理ではなく無限の可能性を秘める化学によって建築を構築するというコーナーです。

この辺りの展示風景。重厚な壁に十字架の穴が空いているものが建物の内外に続いています。これには驚き。この壁は上の階にも続いています。
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「土の礼拝堂」
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先ほどの壁はこの建物の壁を模したものかな。堅牢な印象を受けます。

「土の礼拝堂」を上から見た様子。
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「熱の美術館」
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こちらは未完の建築だそうで、現在もブラッシュアップしているそうです。熱による現象を体感する施設らしく、蜃気楼や水の状態変化など様々な現象が起きるのを想定しているようです。

「熱の美術館」を横から見た様子。
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この幾何学的でちょっと遺跡みたいな感じが好みです。

上の階に行く階段付近。こちらにも壁が続いています。
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この裏側には「土ブロック」と「Earth Bricks」の作り方が説明されたボードとブロック作りの道具も展示されていました。


<五感からの冒険>
ここから上階で、こちらは精神的に五感を刺激させて、空間を豊かに認識させるという方法に関するコーナーです。特に空間を認識するために重要な要素は視覚で、6割以上を担っているそうです。

「Lucky Drops」
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「Lucky Drops」というのはワインの最後の一滴のことで、日本の諺の「残り物には福がある」と同じ意味だそうです。これは細長い台形の地に建てたそうで、地下がメインの場所になっているので外光を取り入れて視覚的な広がりを確保しているのだとか。実際に建てられた写真を観るとびっくりするほど横幅がありませんw


<街づくりを冒険>
こちらは自分たちが本当に住みたいと思うような「美と健康の街づくり」についてのコーナーです。

「ケーススタディ1 神奈川県藤沢市遠藤」
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このプロジェクトは自産自消、自然エネルギー、農の活用 を要素に含んでいるそうで、日の向きなどを計算しているようです。他にも綿密な計算があるようで、これは一種の理想郷のようでした。こういう街で暮らしてみたい…。

この他にも福岡県のケーススタディなども展示されていました。


<重力からの冒険>
続いては重力や不動産としての建築から解放されたいという思いを表現したコーナーです
「モバイル・すまいる」
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これは見た通り移動できる家です! 東日本大震災の支援プロジェクトだそうで、実際に使っている映像などもありました。昔からキャンピングカーとか好きな私としてはこれはワクワクさせられました。

「Magritte's」
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これはルネ・マグリットの「ピレネーの城」(岩が空を飛んでいる絵)をモチーフに重力からの解放をテーマにしているそうです。土台の辺りが浮いてるみたいな感じに見えますが、そこから採光しているようでした。


<再編集からの冒険>
最後はそれぞれの地域の伝統的・文化的なものや時間を見直して新しい視点から編集するというコーナーです。

「アンバー・ブリック」
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これはオーストリアの村にリスト生誕200周年を記念して日本の建築家約10組が音楽練習場つきのコテージを作るプロジェクトだそうです。この村は琥珀の流通地点だったそうで、その地域の歴史や住民の思いを封印するという考えのようです。この日観た中でも最も斬新な印象を受けます。

横から観るとこんな感じ。
P10603251.jpg
宝石が並んでいるようで非常に面白いです。


ということで、観ているだけでワクワクするような建物の模型が並んでいました。クライアントの要望や建物に要求される条件などをクリアしつつ、より機能的で斬新な発想で設計された作品の数々に唸らされました。勿論デザインの美しさも楽しめたので満足な展覧会でした。ここはミッドタウンや国立新美術館に近いし無料なので、セットで行ってみるのもお勧めです。


おまけ:
帰る時にチラッとポスターの人物と似た人がギャラリーの人と話しているのを見たのですが、もしかして本人?? 


 参照記事:★この記事を参照している記事


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