田中一光とデザインの前後左右 【21_21 DESIGN SIGHT】
まだ会期が長いのでご紹介するのが後回しになっていましたが、2週間くらい前の土曜日に六本木のミッドタウンの裏手にある21_21 DESIGN SIGHTで「田中一光とデザインの前後左右」を観てきました。

【展覧名】
田中一光とデザインの前後左右
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2012年9月21日(金)~2013年1月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示は日本を代表するグラフィックデザイナーの田中一光の個展となっています。田中一光は京都市立美術専門学校(現 京都市立芸術大学)を卒業後、鐘淵紡績(カネボウ)や産経新聞に務め、1951年に上京しライトパブリシティ社に入社しました。1960年には日本デザインセンターの創立に参加、1963年には田中一光デザイン室を主宰し、大阪万博を経て空間デザインなど仕事の幅を広げました。
1975年に西武流通グループのクリエイティブディレクターに就任し、その後店舗空間やグラフィック、無印良品のアートディレクションなどを手がけ、その他にもTOTOギャラリー間やギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)などの企業の文化推進にも功績を残しているようです。また、裏千家と懇意になり茶美会の企画・監修・アートディレクションを手がけるなど、茶人「宗一」としての茶の湯の現在の在り方を模索したようです。
様々な仕事を手がけた人だけに展示品も多岐にわたっていましたので、詳しくは観てきた順に各コーナーごとにご紹介しようと思います。
<プロローグ>
まず最初に「紫のあやめ」と「赤と白のつばき」という成田空港の陶板壁画の写真と「色彩流氷-A」「色彩流氷-B」という作品が展示されていました(★こちらで観られます) この色彩流氷は屏風を現代アートにしたような作品で、白地に黒の流水と、そこに黄色・青・赤・紫の棒やギザギザした図形が描かれていました。何処と無くカンディンスキーのような感じがしつつ音楽的なリズム感を感じます。
<ギャラリー1 田中一光 本の世界>
続いては沢山の本のコーナーです。まずは自宅の本棚にあった本が並び、中でも具体美術に関する本が充実しているようです。ここには尊敬していた吉原治良の「具体美術」や吉原治良監修の機関誌「具体」などが並んでいました。吉原治良にポスターを見初められて助手になった頃のエピソードも紹介されていて、その時は背筋が震えるほど怖く、神の引き合わせのような衝撃であったと語っていたそうです。結構難しそうな本で、具体と書いてあるけど載っているものは抽象的で、アンフォルメル等も取り上げているようでした。
他にも手がけた雑誌のグラフィックデザインが並び、「太陽」「流行通信」「話の特集」「たて組ヨコ組」「approach」など、現代的な雑誌が多いですが、「別冊太陽」の「琳派百図」(琳派=尾形光琳を中心とする江戸時代の画派)では構成執筆も担当し専門家の域だったそうです。そう聞くどことなく田中一光の意匠の面白さは琳派に通じるものがあるかも??
田中一光は装幀だけでなくアートディレクションも手がけると心からウキウキしたと言っていたそうで、本が好きだったようです。ここには手がけた様々な本があり、焼き物を撮ったものはかなりクローズアップした構図が使われたり、「日本の伝統」という本では絵付けや彫りを行う職人の手元を写し、写真から所作を感じさせるなど独特の感性が伝わってきます。
この近くには「江戸時代図誌」や「近江 木と石と水の国」(牧直視, 白洲正子)などもありました。
田中一光の周囲にはあらゆるジャンルの才能が集まって実りある交流が盛んに行われていたそうで、そうした中には美大時代の同級生の粟辻博への親愛や、八木一夫への前衛の心意気、三宅一生とアーヴィング・ペンへの感嘆と敬意などが込められているそうです。
参考記事:アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue (21_21 DESIGN SIGHT)
また、田中一光の仕事からは亀倉雄策や原弘らグラフィックデザイン界の先達への崇敬も伝わるそうで、中でも学生時代から私淑した早川良雄の作品集には深い思いで挑んだそうです。当時は深夜の駅で早川の手がけたポスターを盗んだこともあったほどの心酔ぶりだったのだとか。この辺にはそうした影響を受けた人に関する仕事が並び、1964年の東京オリンピックのポスターが載っている亀倉雄策の作品集や、三宅一生の服をアーヴィング・ペンが撮った写真の本など並んでいました。
この部屋の中央には歌舞伎や文楽、能など日本の伝統文化をテーマにした本が並んでいました。「日本の蔵」という渋い本もあり、格子状の壁が装幀され重厚な感じが非常に面白く感じました。 他にも日本画の画集の豪華本があり、速水御舟、福田平八郎、小林古径などビッグネームが並びます。金色で絵のモチーフを表紙に描いていて、落ち着きある感じでした。
<ギャラリー2 田中一光:グラフィック表現の多様性>
続いては様々な仕事に関してのコーナーです。まずは廊下にはズラッとポスターが並んでいて、草月会館や歌舞伎の催し、世界商業デザイン展、産経観世能など多岐に渡ります。モリサワのポスターは漢字を使って瀬戸内海を表現したり、英語と取り合わせた色とりどりな感じだったりするのが面白かったです。また、写楽200年のポスターでは9つの円形によって見事に写楽風のポスターとなっていて驚きました。
他にも無印良品やフロシキ展、第三回国際北斎会議といったポスターも面白かったです。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 1. 文字、タイポグラフィーの追求ーフォントの誕生へ]
ここからは1つの台ごとにテーマが分かれていました。まずここは田中一光の文字へのこだわりについてで、手書き風だったりちょっと滲んでいたりと様々な試みを見て取れます。「明石」や「リュウミン」など新しい書体をテーマにしているものもあり、特に田中一光の粋を示すような書体が「光明」で、これは縦線が肉厚で力強く、横線は細めで生き生きとしたハネが特徴のようです。この字体を観た時に田中一光のポスターの特徴はこれだ!と直感的に伝わってきましたw 力強さと繊細さを兼ね揃えた心地いい字体です。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 2. 立ち上がる文様ー古典に親しみ、つくる楽しみ]
田中一光は「絵画」と「デザイン」という枠を取り払うことで日本の美術の本質は明瞭に成るのではないかと言っていたそうで、ここには俵屋宗達の鹿の絵をさらに単純化した作品などが展示されていました。色紙を切ってあやめを表現したもの、NHKや石丸電気など様々な紋やシンボルマークなどもあり、その単純化などが楽しめます。
近くの壁には今はなき西武美術館の展示のポスターやパルコ西武劇場、銀座セゾン劇場のポスターなども展示されていました。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 3, 4. 日本の仕込み人ー海外への、日本からの発信]
こちらは海外に日本を紹介する雑誌などが展示されていて、「The rice cycle」という本などはipadで読めるようになっていました。日本の伝統美を凝縮したような静謐な美しさを感じる本が並んでいます。
[「アートとともに」 5. パフォーミング・アーツとー演劇、ダンスの表現のために]
田中一光は学生時代は劇団に入って演劇漬けだったそうで、芝居への並外れた情熱は修正収まるどころか燃え盛るばかりだったそうです。ここには観世能、西武劇場の雑誌、芝居のポスター、モディリアーニ風の椿姫のポスター(横尾忠則の作?)などが並んでいました。
[「ライフスタイルの基盤」 6. アートディレクションと社会ー市民、企業の活動とともに]
続いては企業での活動についてのコーナーで、沢山の紙袋が並んでいました。石丸電気、HANAE MORI、SEIYU、無印良品、モリサワ、TOTOなどなど、結構身近な企業の紙袋などもあります。こうして見ると親しみ深いデザインです。
[「アートとともに」 7. ミュージアム、グラフィックアートー芸術の表現を支える]
その次は西武美術館でのアートディレクションに関するコーナーで、紐のようなものが空に浮かぶ作品やポスターなどがありました。西武美術館のポスターは最近、70年代展で観た覚えのあるものもあったかな。
参考記事:日本の70年代 1968-1982 感想後編(埼玉県立近代美術館)
[「ライフスタイルの基盤」 8. 場づくりー人の出逢いがクリエーションにつながる]
こちらは場を作ることに関するコーナーで、田中一光はプロジェクトの最善のためには自分以外の才能を進んで起用したそうです。そして交流スペースを設けることにもエネルギーを注いだそうで、デザイナー同士の交流もあったようです。また、ギャラリー間やギンザ・グラフィック・ギャラリーの写真、展覧会のカタログ、裏千家の茶美会に関する本なども展示されていました。
[「アートとともに」 9. 墨戯ー筆と墨の自由に任せながら、つくる行為の展開]
続いては記号と墨の遊びについてのコーナーで、これを墨戯と呼んで1996年に個展を開催したそうです。ここには廊下で観た北斎のポスターの作品などもあり、自由奔放で生き生きとした雰囲気の作風でした。
[「ライフスタイルの基盤」 10. 生活美学:無印良品ー生活者の視点でものづくり]
この章の最後は無印良品の品々が並ぶコーナーでした。カップ、フォーク、ガラスの器、ハンガー、しゃもじ等など、見覚えのある品もありました。無印良品って田中一光のデザインだったんですね…。
<エピローグにかえておくる作品とメッセージ>
ここは少数ですが田中一光のデザイン思想の流れを汲んでインスピレーションを受けたデザイナーたちによる新作を展示しているようでした。三宅一生+Reality Lab.による幾何学的で斬新な服や、映像にドット絵で歌舞伎役者の顔を描いたような作品がありました。どれも先進的な感じがします。
出口には廣村正彰「His Colors」という作品もありました。こちらの作品だけは撮影可能です。

ということで、興味深いデザインの数々に出会えました。先進的な印象がありましたが、思っていた以上に伝統への造形が深く、それがデザインのインスピレーションになっているように見えたのも面白かったです。デザイン好きの方は是非どうぞ。
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
田中一光とデザインの前後左右
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2012年9月21日(金)~2013年1月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示は日本を代表するグラフィックデザイナーの田中一光の個展となっています。田中一光は京都市立美術専門学校(現 京都市立芸術大学)を卒業後、鐘淵紡績(カネボウ)や産経新聞に務め、1951年に上京しライトパブリシティ社に入社しました。1960年には日本デザインセンターの創立に参加、1963年には田中一光デザイン室を主宰し、大阪万博を経て空間デザインなど仕事の幅を広げました。
1975年に西武流通グループのクリエイティブディレクターに就任し、その後店舗空間やグラフィック、無印良品のアートディレクションなどを手がけ、その他にもTOTOギャラリー間やギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)などの企業の文化推進にも功績を残しているようです。また、裏千家と懇意になり茶美会の企画・監修・アートディレクションを手がけるなど、茶人「宗一」としての茶の湯の現在の在り方を模索したようです。
様々な仕事を手がけた人だけに展示品も多岐にわたっていましたので、詳しくは観てきた順に各コーナーごとにご紹介しようと思います。
<プロローグ>
まず最初に「紫のあやめ」と「赤と白のつばき」という成田空港の陶板壁画の写真と「色彩流氷-A」「色彩流氷-B」という作品が展示されていました(★こちらで観られます) この色彩流氷は屏風を現代アートにしたような作品で、白地に黒の流水と、そこに黄色・青・赤・紫の棒やギザギザした図形が描かれていました。何処と無くカンディンスキーのような感じがしつつ音楽的なリズム感を感じます。
<ギャラリー1 田中一光 本の世界>
続いては沢山の本のコーナーです。まずは自宅の本棚にあった本が並び、中でも具体美術に関する本が充実しているようです。ここには尊敬していた吉原治良の「具体美術」や吉原治良監修の機関誌「具体」などが並んでいました。吉原治良にポスターを見初められて助手になった頃のエピソードも紹介されていて、その時は背筋が震えるほど怖く、神の引き合わせのような衝撃であったと語っていたそうです。結構難しそうな本で、具体と書いてあるけど載っているものは抽象的で、アンフォルメル等も取り上げているようでした。
他にも手がけた雑誌のグラフィックデザインが並び、「太陽」「流行通信」「話の特集」「たて組ヨコ組」「approach」など、現代的な雑誌が多いですが、「別冊太陽」の「琳派百図」(琳派=尾形光琳を中心とする江戸時代の画派)では構成執筆も担当し専門家の域だったそうです。そう聞くどことなく田中一光の意匠の面白さは琳派に通じるものがあるかも??
田中一光は装幀だけでなくアートディレクションも手がけると心からウキウキしたと言っていたそうで、本が好きだったようです。ここには手がけた様々な本があり、焼き物を撮ったものはかなりクローズアップした構図が使われたり、「日本の伝統」という本では絵付けや彫りを行う職人の手元を写し、写真から所作を感じさせるなど独特の感性が伝わってきます。
この近くには「江戸時代図誌」や「近江 木と石と水の国」(牧直視, 白洲正子)などもありました。
田中一光の周囲にはあらゆるジャンルの才能が集まって実りある交流が盛んに行われていたそうで、そうした中には美大時代の同級生の粟辻博への親愛や、八木一夫への前衛の心意気、三宅一生とアーヴィング・ペンへの感嘆と敬意などが込められているそうです。
参考記事:アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue (21_21 DESIGN SIGHT)
また、田中一光の仕事からは亀倉雄策や原弘らグラフィックデザイン界の先達への崇敬も伝わるそうで、中でも学生時代から私淑した早川良雄の作品集には深い思いで挑んだそうです。当時は深夜の駅で早川の手がけたポスターを盗んだこともあったほどの心酔ぶりだったのだとか。この辺にはそうした影響を受けた人に関する仕事が並び、1964年の東京オリンピックのポスターが載っている亀倉雄策の作品集や、三宅一生の服をアーヴィング・ペンが撮った写真の本など並んでいました。
この部屋の中央には歌舞伎や文楽、能など日本の伝統文化をテーマにした本が並んでいました。「日本の蔵」という渋い本もあり、格子状の壁が装幀され重厚な感じが非常に面白く感じました。 他にも日本画の画集の豪華本があり、速水御舟、福田平八郎、小林古径などビッグネームが並びます。金色で絵のモチーフを表紙に描いていて、落ち着きある感じでした。
<ギャラリー2 田中一光:グラフィック表現の多様性>
続いては様々な仕事に関してのコーナーです。まずは廊下にはズラッとポスターが並んでいて、草月会館や歌舞伎の催し、世界商業デザイン展、産経観世能など多岐に渡ります。モリサワのポスターは漢字を使って瀬戸内海を表現したり、英語と取り合わせた色とりどりな感じだったりするのが面白かったです。また、写楽200年のポスターでは9つの円形によって見事に写楽風のポスターとなっていて驚きました。
他にも無印良品やフロシキ展、第三回国際北斎会議といったポスターも面白かったです。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 1. 文字、タイポグラフィーの追求ーフォントの誕生へ]
ここからは1つの台ごとにテーマが分かれていました。まずここは田中一光の文字へのこだわりについてで、手書き風だったりちょっと滲んでいたりと様々な試みを見て取れます。「明石」や「リュウミン」など新しい書体をテーマにしているものもあり、特に田中一光の粋を示すような書体が「光明」で、これは縦線が肉厚で力強く、横線は細めで生き生きとしたハネが特徴のようです。この字体を観た時に田中一光のポスターの特徴はこれだ!と直感的に伝わってきましたw 力強さと繊細さを兼ね揃えた心地いい字体です。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 2. 立ち上がる文様ー古典に親しみ、つくる楽しみ]
田中一光は「絵画」と「デザイン」という枠を取り払うことで日本の美術の本質は明瞭に成るのではないかと言っていたそうで、ここには俵屋宗達の鹿の絵をさらに単純化した作品などが展示されていました。色紙を切ってあやめを表現したもの、NHKや石丸電気など様々な紋やシンボルマークなどもあり、その単純化などが楽しめます。
近くの壁には今はなき西武美術館の展示のポスターやパルコ西武劇場、銀座セゾン劇場のポスターなども展示されていました。
[「ヴィジュアル表現の発想と表現」 3, 4. 日本の仕込み人ー海外への、日本からの発信]
こちらは海外に日本を紹介する雑誌などが展示されていて、「The rice cycle」という本などはipadで読めるようになっていました。日本の伝統美を凝縮したような静謐な美しさを感じる本が並んでいます。
[「アートとともに」 5. パフォーミング・アーツとー演劇、ダンスの表現のために]
田中一光は学生時代は劇団に入って演劇漬けだったそうで、芝居への並外れた情熱は修正収まるどころか燃え盛るばかりだったそうです。ここには観世能、西武劇場の雑誌、芝居のポスター、モディリアーニ風の椿姫のポスター(横尾忠則の作?)などが並んでいました。
[「ライフスタイルの基盤」 6. アートディレクションと社会ー市民、企業の活動とともに]
続いては企業での活動についてのコーナーで、沢山の紙袋が並んでいました。石丸電気、HANAE MORI、SEIYU、無印良品、モリサワ、TOTOなどなど、結構身近な企業の紙袋などもあります。こうして見ると親しみ深いデザインです。
[「アートとともに」 7. ミュージアム、グラフィックアートー芸術の表現を支える]
その次は西武美術館でのアートディレクションに関するコーナーで、紐のようなものが空に浮かぶ作品やポスターなどがありました。西武美術館のポスターは最近、70年代展で観た覚えのあるものもあったかな。
参考記事:日本の70年代 1968-1982 感想後編(埼玉県立近代美術館)
[「ライフスタイルの基盤」 8. 場づくりー人の出逢いがクリエーションにつながる]
こちらは場を作ることに関するコーナーで、田中一光はプロジェクトの最善のためには自分以外の才能を進んで起用したそうです。そして交流スペースを設けることにもエネルギーを注いだそうで、デザイナー同士の交流もあったようです。また、ギャラリー間やギンザ・グラフィック・ギャラリーの写真、展覧会のカタログ、裏千家の茶美会に関する本なども展示されていました。
[「アートとともに」 9. 墨戯ー筆と墨の自由に任せながら、つくる行為の展開]
続いては記号と墨の遊びについてのコーナーで、これを墨戯と呼んで1996年に個展を開催したそうです。ここには廊下で観た北斎のポスターの作品などもあり、自由奔放で生き生きとした雰囲気の作風でした。
[「ライフスタイルの基盤」 10. 生活美学:無印良品ー生活者の視点でものづくり]
この章の最後は無印良品の品々が並ぶコーナーでした。カップ、フォーク、ガラスの器、ハンガー、しゃもじ等など、見覚えのある品もありました。無印良品って田中一光のデザインだったんですね…。
<エピローグにかえておくる作品とメッセージ>
ここは少数ですが田中一光のデザイン思想の流れを汲んでインスピレーションを受けたデザイナーたちによる新作を展示しているようでした。三宅一生+Reality Lab.による幾何学的で斬新な服や、映像にドット絵で歌舞伎役者の顔を描いたような作品がありました。どれも先進的な感じがします。
出口には廣村正彰「His Colors」という作品もありました。こちらの作品だけは撮影可能です。

ということで、興味深いデザインの数々に出会えました。先進的な印象がありましたが、思っていた以上に伝統への造形が深く、それがデザインのインスピレーションになっているように見えたのも面白かったです。デザイン好きの方は是非どうぞ。
参照記事:★この記事を参照している記事
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