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【大田区立郷土博物館】の常設(2012年12月)

前回ご紹介した展示を観た後、同じ大田区立郷土博物館の2階・3階にある常設展も観てきました。

【公式サイト】
 http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/jyosetuten24.html

【会場】大田区立郷土博物館
【最寄】西馬込駅、馬込駅、大森駅など


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらは空いていてほぼ貸切状態で観ることが出来ました。

さて、この博物館はその名の通り、大田区の歴史や文化を伝える為の施設のようで、常設展は多岐にわたる品々が並んでいました。簡単にですがメモを取ってきましたので、観た順にご紹介しておこうと思います。


<馬込文士村>
まず3階から観て行きました。最初は馬込文士村というコーナーで、この博物館のある馬込には大正末期から昭和初め頃にかけて多くの芸術家が集まっていたようです。尾崎士郎(作家)、宇野千代(作家)、萩原朔太郎(詩人)、室生犀星(作家)、川端康成(作家)、北原白秋(作家)、小林古径(画家)、川端龍子(画家)、川瀬巴水(画家)など錚々たる面々の名前が挙がっていて、尾崎士郎が会う人ごとに馬込は良いぞと吹聴して誘ったのが文士村となったきっかけとなったようです。

ここには文士村の立体地図模型があり、ボタンを押すと電球が光ってどこに住んでいるのか分かるようになっていました。小林古径と川瀬巴水は結構ご近所で高台に住んでいるなど、ボタンを連打して調べてきましたw

その先は各芸術家についての資料が並ぶコーナーです。

尾崎士郎のコーナーには「人生劇場」という本や書、尾崎の書簡、雑誌などがありました。 その隣の宇野千代のコーナーには「スタイル」という婦人雑誌があり、尾崎との関係についても解説されていました。尾崎とは相思相愛の仲だったそうですが、やがて別居して宇野千代は東郷青児(画家)と暮らすようになり馬込を離れていったそうです。まさかここで東郷青児の名前まで出てくるとは…w 日本の芸術家も結構繋がりがあったんですねえ。

その後は吉田甲子太郎(よしだきねたろう 翻訳家)や室生犀星の本や生活用品、川瀬巴水と伊東深水の作品もあり、前回ご紹介した「東京二十景 馬込の月」も展示されていました。

少し先には川端龍子の書簡と双六がありました。何故 双六なんだろう…w 画風もあまり川端龍子っぽくない感じです。 その先には真野紀太郎(画家)の十和田湖の絵葉書、北原白秋の本や書簡、北原白秋邸の窓枠なんてものもありました。たまにチョイスが謎なものがありますw

少し折り返して部屋の逆側には佐多稲子(作家)や村岡花子(翻訳家)の本や原稿がありました。何故か大田区に赤毛のアンの記念館があるのは、この村岡花子が翻訳したからだと知ってちょっと納得。赤毛のアンの翻訳原稿などもありました。

その近くには佐藤惣之助(詩人)のコーナーがありました。佐藤惣之助はある意味この文士村で一番今でも親しまれている作品を残していて、大阪タイガースの歌(現:阪神タイガースの歌。六甲颪)の歌詞を作った人です。ここには書簡や本などが並んでいました。

次の部屋に進むと、小林古径のコーナーで、ここには画集と古径の家の模型がありました。母屋と同じくらい大きな画室がある結構大きな邸宅で、画室は25畳くらいあるかな?? これは参考になりました。


<昔の道具 大田の職人 海苔養殖>
その後は大田区についてのコーナーで、昭和頃のちゃぶだいと食事を展示したものや、馬込の職人について紹介されていました。馬込には鍛冶屋、紺屋などの職人がいたようです。 そして次の部屋は海苔づくりに関するコーナーで、小舟や海苔づくりの模型、東京湾の魚などが展示されていました。この辺はそんなに興味が有るわけではないですが、海苔づくりの方法は知らなかったので参考になりました。


<大田区のモノ作り>
続いては大田区の町工場や大森麦藁細工というものについてのコーナーでした。工場の方は特に面白くもなかったのですが、麦藁細工のほうは中々の見所で、大森では江戸時代から盛んに行われ、編細工と張り細工の2種類があるようです。動物を象ったものや押絵貼りのようなものをあわせて作った箱、木の箱かと思うような(寄木細工みたいな)もの、雛道具の箪笥など、これを藁で作っているのか!?と驚く品々が並んでいました。


<羽田空港>
麦藁細工と同じ部屋には羽田空港に関するコーナーもあり、飛行機の模型や解説などがありました。ここは展示物も少ないので割愛。

<戦争と暮らし>
3階の廊下には戦時中の品々が並ぶガラス棚があり、出征の際のお祝いの旗や、防空頭巾、配給切符、学童疎開に関する品などが並んでいました。

続いて2階に向かいました。階段には安西啓明・山下忠平という2名の画家の作品があり、昭和頃の馬込の風景が描かれていました。

<水をめぐる>
最後は大田区の水に関するコーナーです。六郷用水という用水路に関する資料が並び、床には用水の流路図があります。また、部屋の奥には大森厳正寺水止舞という獅子舞の衣装があり、最後は農業や電気・ガス・水道・多摩川について説明していました。この辺はちょっと詰め込みすぎで中途半端な気もしますが、地元の人の生活資源について知ることができるようでした。


ということで、そんなに規模は大きくないのですが、文士村に関してなど参考になる展示もありました。もしこちらに行く機会があったら、常設も覗いてみると良いかと思います。

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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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