白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ (感想前編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】
前回ご紹介したカフェでお茶した後、Bunkamuraザ・ミュージアムで「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」を観てきました。充実した内容でメモも多めに取ってきましたので、前編・後編にわけてご紹介しようと思います。なお、この展示は前期・後期で展示替えがあるようで、私が観たのは前期の内容(既に終了)でした。

【展覧名】
白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin/index.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】
前期:2012年12月22日~2013年01月21日
後期:2013年01月22日~2013年02月24日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
お客さんは多かったですが、混んでいるというほどでもなく快適に観ることができました。
さて、今回の展示は江戸時代の僧である白隠慧鶴(はくいんえかく)の個展となっています。白隠は臨済宗の中興の祖でもあり、500年に1人の英傑と讃えられ、現在の臨済宗の僧侶たちの系譜を遡ればすべて白隠に行き着くほどの重要な存在だそうです。白隠は沼津で生まれ、幼い頃にお寺で聞いた地獄の話におののいたのがきっかけで、15歳の時(1685年)に出家したそうで、青年期は全国を行脚し厳しい修行をしていたそうです。そして42歳で悟りを開き、それ以降は民衆を救うために全国を行脚し、説法をしたり仏の教えを説くために書画を描いたそうです。その作品の多くは各地の寺院や個人のコレクションとして散在し、一般の観客の目に触れる機会は少なかったのですが、今回は大作を中心に100点あまりが展示されて史上最高の白隠展となっているようでした。構成はテーマごとに分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<出山釈迦>
まずは苦行をやめて山を出る釈迦を描いた作品のコーナーです。白隠が描く釈迦のほとんどは山中で修行する姿か出山の釈迦らしく、白隠自身も苦しい修行を経験していたために自らの姿と重ねたのではないかとのことです。ここにはそうした釈迦を描いた作品などがありました。
1 白隠慧鶴 「隻履達磨」
こちらは冒頭にあった作品で、後の方に達磨のコーナーもあるので、ハイライト的な作品として冒頭にあったのかもしれません。
これは右手で靴を持ち、ぬっと現れたかのように描かれた達磨の肖像です。頭が大きく目がギョロっとしていて、これは達磨が亡くなって3年後に西域を旅する人の前に現れたとされる達磨のようです。その時、旅人が尋ねると、達磨はインドに帰る所だと告げたそうで、後に旅人が中国の墓を調べた所、中にはもう片方の靴だけ残っていた… という話です。非常に太い輪郭の服を着ていて、顔は色が薄めですが靴とピアスの色は濃くなっていました。解説によると、これは幽霊なので身体を薄くしているそうです。また、よく観ると下書きの細い線も残っていて、それはわざと残しているとのことでした。異様な迫力があり、さっそく白隠の世界に引きずり込まれましたw
このテーマの達磨は以前に他の作品を観た記憶がありました。
参考記事:細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~ (永青文庫)
2 白隠慧鶴 「出山釈迦」
ガリガリで肋骨が浮き出ているほど痩せた釈迦の姿を描いた作品で、髪やヒゲも伸び放題といった感じです。しかし背景には光輪があり、眼は穏やかそうな印象を受けます。細かく淡い顔の表現に対して、衣は非常に大胆な太い輪郭線が使われていて、それがますます対比的で釈迦の顔がか細く観えました。解説によると、こうした白隠の釈迦図では賛が短いのが特徴で、仏祖への屈折した思いの反映ではないかとのことでした。
この隣にも出山釈迦図が並んでいて、鱗のような毛が描かれているのが特徴的でした。
<観音>
続いては白隠の描く題材の中でも特別な存在である観音についてのコーナーです。白隠の描く観音はほとんどが瞑目しているか極端に伏目がちになっているそうです。また、その顔はやや下膨れで中年女性のような容貌で、いつも決まった表情をしているそうです。白隠にとって、観音は母の面影ではないかとのことで、ここにはそれを感じさせる作品も並んでいました。
6 白隠慧鶴 「蓮池観音」 ★こちらで観られます
蓮の花が咲く池の畔で、肘をついてそれを眺めている?観音が描かれた作品です。非常に繊細に描かれていて、一見して他の作品との作風の違いを感じます。優美な雰囲気があり、こちらの作品には下書きも残っていないそうです。こうしたことからも観音は特別な画題だったと考えられ、観音は絹に描かれることもしばしばあったそうです。また、右にある賛には、「民衆を救うはずの菩薩が別世界で骨休めしているとは!」と叱責するような内容が書かれているとのことでした。
この辺には頬杖をついた同じポーズの観音を描いた作品もありました。また、近くには13「地獄極楽変相図」という地獄と極楽を描いた作品もありました。
14 白隠慧鶴 「南無地獄大菩薩」
これは非常に太く強い黒で書かれた書です。南無地獄大菩薩と書かれているのですが、最後の薩の字はスペースが足りなくなったのか、結構窮屈な感じがしますw この言葉は地獄こそ菩薩だという考えを示しているそうで、これは白隠の対極主義の現れと考えられているそうです。白隠は晩年に地獄も極楽も表裏一体という局地に達したのだとか。
書(墨蹟)に関しては展覧会の最後のコーナーにもあるのですが、最後の文字が窮屈になるのは白隠の癖なのかも…w また次回に詳しくご紹介しようと思います。
<達磨>
続いては白隠が最も大量に描いた画題である達磨のコーナーです。達磨は禅宗の開祖であるためか、現存で300点以上の作品を残しているそうで、ここにも様々な作風の達磨像が並んでいました。
18 白隠慧鶴 「半身達磨」
これは35歳ころに描いた最初期の作品です。腕を組む達磨の像で、白隠にしては繊細な感じをうけます。チラッと横を見る視線などが神経質そうに見えるかなw 解説によると、悩める白隠の様子が伝わってくるそうで、衣の線などは一見豪快に観えて臆病に描かれているとのことでした。また、賛の書風も上手く見せようとしているとのことです。まだ悟りの前の作品だけに俗っぽいのかな?w
この隣にも30代の作品がありました。こちらも繊細かつ神経質そうな印象を受けます。また、近くにあった40代の時の達磨も貧相な感じかな…。白隠は遅咲きで60代ころから本格的に絵を描くようになったそうで、豪放な晩年のイメージとのギャップのせいか、若いころの作風は弱々しい感じすら受けました。
15 白隠慧鶴 「半身達磨」 ★こちらで観られます
これは最も有名な作品で、真っ黒を背景に 縦長の頭の達磨が朱色の衣を着た姿で描かれ、その朱と黒のコントラストが鮮やかに感じられます。大きな目、広いおでこ、大胆で流れるような衣のひだなど、豪放かつ闊達で まさに傑作と言える作品です。解説によると、左上にある白字の賛「直指人心、見性成仏」はロウを塗って墨を弾いているのではないかとのことで、その意味は「まっすぐに自分の心をみつめて、仏になろうとするのではなく、本来自分に備わっている仏性に目覚めなさい」というものだそうです。また、この作品には落款が無いのも特徴とのことでした。
この隣にはこれとよく似たモノクロの達磨像がありました。そちらの落款により、83歳の作であるとわかり、先ほどの作品も同様に83歳の作と考えられるようです。84歳で亡くなっているので、最後までこうした傑作を描いたエネルギッシュな人だったのかな。
25 白隠慧鶴 「眼一つ達磨」
これはやや薄めの墨で描かれた、目が一つ目小僧のようになった達磨?の肖像です。その周りは賛で埋め尽くされているのですが、研究者でもまだ解読できていないそうです。…というか、簡素化しすぎて読めない字ばかりですw 愛嬌のある作品ですが、何でこんな変わった達磨を描いたのだろうか…w
<大燈国師>
続いては大徳寺の開祖の大燈国師を描いた作品のコーナーで、白隠は禅宗の祖師の中でも大燈国師に対してとりわけ愛着を持っていたそうです。大燈国師は悟りを開いた後も京の五條の橋の下で 物乞いに混じって20年も暮らしていた人物で、ここにはその様子を思わせる作品が並んでいました。
31 白隠慧鶴 「大燈国師」
ボロボロの服を着て左手で袋を持ち、右手は印を組むような手つき(親指と人差し指・中指を合わせるような手つき)で手を差し出しています。髪はボサボサで目は鬼気迫るものがありました。解説によると、これは天皇が大燈国師を召抱えようとした際、役人が大燈国師を探すために好物の瓜を並べたところ、禅問答をしてくる物乞いがいて、それで大燈国師だと分かったそうです。これはそのシーンを描いているらしく、その手つきも何らかの意味が考えられるようですが、不明のようでした。なお、この手つきは他の作品でも見られるので、ちょっと気になります。
この辺には白隠の使った団扇やキセル、筆なども展示されていました。
35 白隠慧鶴 「自画像」
これは袈裟をまとった姿の自画像で、頭は坊主で目が怖いw 何処となく不動明王を連想する姿に観えました。解説によると、白隠の没後に弟子が書いた賛があり、2幅描かれたうち1幅は弟子に与え、残ったもう1幅がこの作品で、没後に見つかったとのことでした。
ということで、今日はここまでにしようと思います。予想以上に楽しめる展示で、後半もますますユーモア溢れる作品がありました。次回は後半の展示についてご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin/index.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】
前期:2012年12月22日~2013年01月21日
後期:2013年01月22日~2013年02月24日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
お客さんは多かったですが、混んでいるというほどでもなく快適に観ることができました。
さて、今回の展示は江戸時代の僧である白隠慧鶴(はくいんえかく)の個展となっています。白隠は臨済宗の中興の祖でもあり、500年に1人の英傑と讃えられ、現在の臨済宗の僧侶たちの系譜を遡ればすべて白隠に行き着くほどの重要な存在だそうです。白隠は沼津で生まれ、幼い頃にお寺で聞いた地獄の話におののいたのがきっかけで、15歳の時(1685年)に出家したそうで、青年期は全国を行脚し厳しい修行をしていたそうです。そして42歳で悟りを開き、それ以降は民衆を救うために全国を行脚し、説法をしたり仏の教えを説くために書画を描いたそうです。その作品の多くは各地の寺院や個人のコレクションとして散在し、一般の観客の目に触れる機会は少なかったのですが、今回は大作を中心に100点あまりが展示されて史上最高の白隠展となっているようでした。構成はテーマごとに分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<出山釈迦>
まずは苦行をやめて山を出る釈迦を描いた作品のコーナーです。白隠が描く釈迦のほとんどは山中で修行する姿か出山の釈迦らしく、白隠自身も苦しい修行を経験していたために自らの姿と重ねたのではないかとのことです。ここにはそうした釈迦を描いた作品などがありました。
1 白隠慧鶴 「隻履達磨」
こちらは冒頭にあった作品で、後の方に達磨のコーナーもあるので、ハイライト的な作品として冒頭にあったのかもしれません。
これは右手で靴を持ち、ぬっと現れたかのように描かれた達磨の肖像です。頭が大きく目がギョロっとしていて、これは達磨が亡くなって3年後に西域を旅する人の前に現れたとされる達磨のようです。その時、旅人が尋ねると、達磨はインドに帰る所だと告げたそうで、後に旅人が中国の墓を調べた所、中にはもう片方の靴だけ残っていた… という話です。非常に太い輪郭の服を着ていて、顔は色が薄めですが靴とピアスの色は濃くなっていました。解説によると、これは幽霊なので身体を薄くしているそうです。また、よく観ると下書きの細い線も残っていて、それはわざと残しているとのことでした。異様な迫力があり、さっそく白隠の世界に引きずり込まれましたw
このテーマの達磨は以前に他の作品を観た記憶がありました。
参考記事:細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~ (永青文庫)
2 白隠慧鶴 「出山釈迦」
ガリガリで肋骨が浮き出ているほど痩せた釈迦の姿を描いた作品で、髪やヒゲも伸び放題といった感じです。しかし背景には光輪があり、眼は穏やかそうな印象を受けます。細かく淡い顔の表現に対して、衣は非常に大胆な太い輪郭線が使われていて、それがますます対比的で釈迦の顔がか細く観えました。解説によると、こうした白隠の釈迦図では賛が短いのが特徴で、仏祖への屈折した思いの反映ではないかとのことでした。
この隣にも出山釈迦図が並んでいて、鱗のような毛が描かれているのが特徴的でした。
<観音>
続いては白隠の描く題材の中でも特別な存在である観音についてのコーナーです。白隠の描く観音はほとんどが瞑目しているか極端に伏目がちになっているそうです。また、その顔はやや下膨れで中年女性のような容貌で、いつも決まった表情をしているそうです。白隠にとって、観音は母の面影ではないかとのことで、ここにはそれを感じさせる作品も並んでいました。
6 白隠慧鶴 「蓮池観音」 ★こちらで観られます
蓮の花が咲く池の畔で、肘をついてそれを眺めている?観音が描かれた作品です。非常に繊細に描かれていて、一見して他の作品との作風の違いを感じます。優美な雰囲気があり、こちらの作品には下書きも残っていないそうです。こうしたことからも観音は特別な画題だったと考えられ、観音は絹に描かれることもしばしばあったそうです。また、右にある賛には、「民衆を救うはずの菩薩が別世界で骨休めしているとは!」と叱責するような内容が書かれているとのことでした。
この辺には頬杖をついた同じポーズの観音を描いた作品もありました。また、近くには13「地獄極楽変相図」という地獄と極楽を描いた作品もありました。
14 白隠慧鶴 「南無地獄大菩薩」
これは非常に太く強い黒で書かれた書です。南無地獄大菩薩と書かれているのですが、最後の薩の字はスペースが足りなくなったのか、結構窮屈な感じがしますw この言葉は地獄こそ菩薩だという考えを示しているそうで、これは白隠の対極主義の現れと考えられているそうです。白隠は晩年に地獄も極楽も表裏一体という局地に達したのだとか。
書(墨蹟)に関しては展覧会の最後のコーナーにもあるのですが、最後の文字が窮屈になるのは白隠の癖なのかも…w また次回に詳しくご紹介しようと思います。
<達磨>
続いては白隠が最も大量に描いた画題である達磨のコーナーです。達磨は禅宗の開祖であるためか、現存で300点以上の作品を残しているそうで、ここにも様々な作風の達磨像が並んでいました。
18 白隠慧鶴 「半身達磨」
これは35歳ころに描いた最初期の作品です。腕を組む達磨の像で、白隠にしては繊細な感じをうけます。チラッと横を見る視線などが神経質そうに見えるかなw 解説によると、悩める白隠の様子が伝わってくるそうで、衣の線などは一見豪快に観えて臆病に描かれているとのことでした。また、賛の書風も上手く見せようとしているとのことです。まだ悟りの前の作品だけに俗っぽいのかな?w
この隣にも30代の作品がありました。こちらも繊細かつ神経質そうな印象を受けます。また、近くにあった40代の時の達磨も貧相な感じかな…。白隠は遅咲きで60代ころから本格的に絵を描くようになったそうで、豪放な晩年のイメージとのギャップのせいか、若いころの作風は弱々しい感じすら受けました。
15 白隠慧鶴 「半身達磨」 ★こちらで観られます
これは最も有名な作品で、真っ黒を背景に 縦長の頭の達磨が朱色の衣を着た姿で描かれ、その朱と黒のコントラストが鮮やかに感じられます。大きな目、広いおでこ、大胆で流れるような衣のひだなど、豪放かつ闊達で まさに傑作と言える作品です。解説によると、左上にある白字の賛「直指人心、見性成仏」はロウを塗って墨を弾いているのではないかとのことで、その意味は「まっすぐに自分の心をみつめて、仏になろうとするのではなく、本来自分に備わっている仏性に目覚めなさい」というものだそうです。また、この作品には落款が無いのも特徴とのことでした。
この隣にはこれとよく似たモノクロの達磨像がありました。そちらの落款により、83歳の作であるとわかり、先ほどの作品も同様に83歳の作と考えられるようです。84歳で亡くなっているので、最後までこうした傑作を描いたエネルギッシュな人だったのかな。
25 白隠慧鶴 「眼一つ達磨」
これはやや薄めの墨で描かれた、目が一つ目小僧のようになった達磨?の肖像です。その周りは賛で埋め尽くされているのですが、研究者でもまだ解読できていないそうです。…というか、簡素化しすぎて読めない字ばかりですw 愛嬌のある作品ですが、何でこんな変わった達磨を描いたのだろうか…w
<大燈国師>
続いては大徳寺の開祖の大燈国師を描いた作品のコーナーで、白隠は禅宗の祖師の中でも大燈国師に対してとりわけ愛着を持っていたそうです。大燈国師は悟りを開いた後も京の五條の橋の下で 物乞いに混じって20年も暮らしていた人物で、ここにはその様子を思わせる作品が並んでいました。
31 白隠慧鶴 「大燈国師」
ボロボロの服を着て左手で袋を持ち、右手は印を組むような手つき(親指と人差し指・中指を合わせるような手つき)で手を差し出しています。髪はボサボサで目は鬼気迫るものがありました。解説によると、これは天皇が大燈国師を召抱えようとした際、役人が大燈国師を探すために好物の瓜を並べたところ、禅問答をしてくる物乞いがいて、それで大燈国師だと分かったそうです。これはそのシーンを描いているらしく、その手つきも何らかの意味が考えられるようですが、不明のようでした。なお、この手つきは他の作品でも見られるので、ちょっと気になります。
この辺には白隠の使った団扇やキセル、筆なども展示されていました。
35 白隠慧鶴 「自画像」
これは袈裟をまとった姿の自画像で、頭は坊主で目が怖いw 何処となく不動明王を連想する姿に観えました。解説によると、白隠の没後に弟子が書いた賛があり、2幅描かれたうち1幅は弟子に与え、残ったもう1幅がこの作品で、没後に見つかったとのことでした。
ということで、今日はここまでにしようと思います。予想以上に楽しめる展示で、後半もますますユーモア溢れる作品がありました。次回は後半の展示についてご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事
- 関連記事
-
-
アーティスト・ファイル2013―現代の作家たち 【国立新美術館】 2013/02/11
-
ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅 【埼玉県立近代美術館】 2013/02/10
-
MOMASコレクションⅣ 2013 【埼玉県立近代美術館】 2013/02/09
-
二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年 【パナソニック 汐留ミュージアム】 2013/02/08
-
成田へ-江戸の旅・近代の旅- 【旧新橋停車場 鉄道歴史展示室】 2013/02/06
-
エル・グレコ展 El Greco's Visual Poetics (感想後編)【東京都美術館】 2013/02/04
-
エル・グレコ展 El Greco's Visual Poetics (感想前編)【東京都美術館】 2013/02/02
-
筆あとの魅力─点・線・面 【ブリヂストン美術館】 2013/01/31
-
東洋館リニューアルオープン 【東京国立博物館 東洋館】 2013/01/29
-
飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡― 【東京国立博物館 本館特別5室】 2013/01/27
-
白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ (感想後編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】 2013/01/26
-
白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ (感想前編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】 2013/01/24
-
尾張徳川家の至宝 【江戸東京博物館】 2013/01/20
-
博物館に初もうで(2013年) 【東京国立博物館 本館】 2013/01/15
-
チョコレート展 (感想前編)【国立科学博物館】 2012/11/10
-
記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。


更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter
プロフィール
Author:21世紀のxxx者
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。
【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。
【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)
更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter
展覧スケジュール
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する
日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。
<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション
<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス
<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。
<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション
<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス
<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
-
最近観た展示 (202303) (05/26)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2023年04月号】 (04/01)
-
最近観た展示 (202302) (03/10)
-
最近観た展示 (202301) (02/10)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2023年01月号】 (01/01)
-
2022年の振り返り (12/31)
-
最近観た展示 (202212) (12/30)
-
最近観た展示 (202211) (12/29)
-
最近観た展示 (202210) (11/11)
-
最近観た展示 (202209) (10/07)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年10月号】 (10/02)
-
最近観た展示 (202208) (08/30)
-
最近観た展示 (202206~07) (07/28)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年07月号】 (07/07)
-
映画「トップガン マーヴェリック」4DX SCREEN吹替版 (ややネタバレあり) (06/21)
-
映画「シン・ウルトラマン」(ややネタバレあり) (06/20)
-
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年 (感想後編)【国立新美術館】 (06/12)
-
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年 (感想前編)【国立新美術館】 (06/06)
-
ダミアン・ハースト 桜 【国立新美術館】 (05/23)
-
最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展 【SOMPO美術館】 (05/16)
-
最近観た展示 (05/09)
-
ミロ展-日本を夢みて (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】 (04/25)
-
ミロ展-日本を夢みて (感想前編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】 (04/20)
-
奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム 【東京都庭園美術館】 (04/11)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年04月号】 (04/01)
-
【密蔵院】の安行寒桜の写真 (03/27)
-
グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生【世田谷美術館】 (03/22)
-
大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!【うらわ美術館】 (03/14)
-
大・タイガー立石展 世界を描きつくせ! 【埼玉県立近代美術館】 (03/07)
-
もうすぐ再開予定 (02/28)
-
2021 MOMASコレクション 第3期 【埼玉県立近代美術館】 (01/21)
-
鎌倉の写真 (2021年11月) (01/18)
-
没後70年 吉田博展 【川越市立美術館】 (01/16)
-
今後の更新について (01/14)
-
【山崎美術館】の案内 (2021年11月) (01/11)
-
保岡勝也 「旧山崎家別邸」 (01/09)
-
映画「劇場版 呪術廻戦 0」(ややネタバレあり) (01/07)
-
TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展 【京橋エドグランタウンミュージアム】 (01/05)
-
展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年01月号】 (01/01)
-
2021年の振り返り (12/31)
-
ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
-
映画「キングスマン:ファースト・エージェント」(ややネタバレあり) (12/27)
-
横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】 (12/26)
-
第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
-
映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
-
ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
-
鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
-
【根津美術館】の紅葉 2021年11月 (12/14)
-
カフェラヴォワ 【新宿界隈のお店】 (12/12)
-
川瀬巴水 旅と郷愁の風景 【SOMPO美術館】 (12/10)
最新コメント
- 21世紀のxxx者:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- ゆーき:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- 21世紀のxxx者:奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】 (01/03)
- うさぴょん:キヨノサチコ絵本原画の世界 みんな大好き!ノンタン展 【松屋銀座】 (03/21)
- 21世紀のxxx者:川豊 【成田界隈のお店】 (03/04)
- 21世紀のxxx者:劇団四季 「MAMMA MIA!(マンマ・ミーア!)」 (03/04)
- 萌音:川豊 【成田界隈のお店】 (03/03)
最新トラックバック
月別アーカイブ
- 2023/05 (1)
- 2023/04 (1)
- 2023/03 (1)
- 2023/02 (1)
- 2023/01 (1)
- 2022/12 (3)
- 2022/11 (1)
- 2022/10 (2)
- 2022/08 (1)
- 2022/07 (2)
- 2022/06 (4)
- 2022/05 (3)
- 2022/04 (4)
- 2022/03 (4)
- 2022/02 (1)
- 2022/01 (9)
- 2021/12 (12)
- 2021/11 (14)
- 2021/10 (10)
- 2021/09 (6)
- 2021/08 (9)
- 2021/07 (10)
- 2021/06 (9)
- 2021/05 (11)
- 2021/04 (12)
- 2021/03 (12)
- 2021/02 (13)
- 2021/01 (13)
- 2020/12 (13)
- 2020/11 (14)
- 2020/10 (14)
- 2020/09 (14)
- 2020/08 (15)
- 2020/07 (14)
- 2020/06 (15)
- 2020/05 (15)
- 2020/04 (16)
- 2020/03 (24)
- 2020/02 (26)
- 2020/01 (28)
- 2019/12 (28)
- 2019/11 (26)
- 2019/10 (28)
- 2019/09 (28)
- 2019/08 (28)
- 2019/07 (28)
- 2019/06 (28)
- 2019/05 (28)
- 2019/04 (28)
- 2019/03 (28)
- 2019/02 (26)
- 2019/01 (29)
- 2018/12 (29)
- 2018/11 (28)
- 2018/10 (29)
- 2018/09 (27)
- 2018/08 (29)
- 2018/07 (29)
- 2018/06 (28)
- 2018/05 (29)
- 2018/04 (28)
- 2018/03 (29)
- 2018/02 (26)
- 2018/01 (28)
- 2017/12 (30)
- 2017/11 (28)
- 2017/10 (30)
- 2017/09 (27)
- 2017/08 (26)
- 2017/07 (25)
- 2017/06 (9)
- 2017/05 (18)
- 2015/04 (1)
- 2014/12 (1)
- 2014/10 (1)
- 2014/09 (1)
- 2014/08 (1)
- 2014/07 (1)
- 2014/06 (1)
- 2014/05 (1)
- 2014/04 (6)
- 2014/03 (12)
- 2014/02 (11)
- 2014/01 (16)
- 2013/12 (15)
- 2013/11 (17)
- 2013/10 (22)
- 2013/09 (23)
- 2013/08 (22)
- 2013/07 (24)
- 2013/06 (20)
- 2013/05 (25)
- 2013/04 (23)
- 2013/03 (24)
- 2013/02 (23)
- 2013/01 (27)
- 2012/12 (24)
- 2012/11 (27)
- 2012/10 (28)
- 2012/09 (27)
- 2012/08 (28)
- 2012/07 (28)
- 2012/06 (27)
- 2012/05 (22)
- 2012/04 (18)
- 2012/03 (28)
- 2012/02 (26)
- 2012/01 (28)
- 2011/12 (28)
- 2011/11 (27)
- 2011/10 (28)
- 2011/09 (27)
- 2011/08 (27)
- 2011/07 (28)
- 2011/06 (27)
- 2011/05 (28)
- 2011/04 (27)
- 2011/03 (23)
- 2011/02 (26)
- 2011/01 (28)
- 2010/12 (28)
- 2010/11 (28)
- 2010/10 (29)
- 2010/09 (27)
- 2010/08 (29)
- 2010/07 (28)
- 2010/06 (28)
- 2010/05 (27)
- 2010/04 (27)
- 2010/03 (31)
- 2010/02 (27)
- 2010/01 (29)
- 2009/12 (29)
- 2009/11 (28)
- 2009/10 (24)
- 2009/09 (25)
- 2009/08 (27)
- 2009/07 (23)
- 2009/06 (20)
- 2009/05 (29)
- 2009/04 (30)
- 2009/03 (14)
- 2009/02 (5)
- 2009/01 (2)
- 2008/11 (1)
メディア掲載
記事の共有
この記事をツイートする
ツイート
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード

アクセスランキング
twitter
メールフォーム
※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。