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MOMASコレクションⅣ 2013 【埼玉県立近代美術館】

先週の日曜日に埼玉県立近代美術館で特別展を観てきたのですが、その際に常設も観てきました。今日も忙しくて記事を書く時間があまりなかったので、先に常設の方からご紹介しておこうと思います。

P1080380_20130209032714.jpg P1080385_20130209032713.jpg

【展覧名】
 MOMASコレクションⅣ 2013

【公式サイト】
 http://momas.jp/exhibitionguide/momascollection/2012-momas%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E7%AC%AC4%E6%9C%9F/

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅


【会期】2013年1月26日(土)~3月31日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④ _5_満足

【感想】
いつも通り空いていて、ゆっくり観ることができました。

さて、この美術館の常設については何度か紹介していますが、今回も期間とテーマを設けて4つの章に分けて展示されていました。詳しくはいつもどおり、気に入った作品を通してご紹介しようと思います。(今までご紹介した作品については省略します。)

 参考記事:
  MOMASコレクションⅢ 2012 (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションⅡ 2012 (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションI 2012 (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションⅣ 2012 (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションIII 2011(埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションIII (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションⅡ (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)

 参考リンク:
  出品リスト


<旅への誘い-魅惑の絵画から>
まずは西洋絵画のコーナー。旅をテーマにしているようでした。

五月女幸雄 「Vision Fugitive」
砂浜に打ち寄せる波を写実的に描いた作品で、奥の方には大きな波が立っています。手前の水面は光を強く反射していて、画面の中にない月を感じさせ神秘的な印象を受けます。また、画面の周囲を枠のように一段暗い色にしているのがどこかシュールに感じました。

渡邊武夫 「カマレー」
桟橋と停泊する船を描いた作品で、奥にはヨーロッパ風の町並みが描かれています。印象派のような色合いで、色ムラのように見えるタッチが独特の味わいです。海と空の水色が爽やかに感じられました。

森田恒友 「イル・ブレア」
赤茶けた岩のある海辺に小舟が4艘浮かんでいる様子が描かれた作品です。細長い筆を重ねるタッチでゴツゴツした岩などを表現しているのですが、色や形はセザンヌを彷彿とさせました。色の色が強いためか、全体的にも力強い印象を受けます。

この辺にはコローのエッチングなど他にも初めて観る作品もありました。


<色彩・ゆらぎ・気配>
続いては現代アートのコーナーで、抽象画などが並びます。今回は新たに寄贈された作品も展示されていました。

安原竹夫 「ほどける風景シリーズ 『みんないっしょ-前兆』」
水色を背景に長方形の立方体の枠組みが無数に描かれ、その中にはそれぞれ人らしき姿が描かれています。それらの立方体は3箇所から吹き出すように飛び散っていて、勢いを感じます。また、意味はわかりませんが銀色の記号のような渦巻くものも一緒に飛び散っていました。中に描かれた人はちょっと苦しそうな表情に見えるかな。具象っぽいところもある抽象的な作品でした。

加納光於 「色身-未だ視ぬ波頭よ1」
壁一面に並んだ5つ?の面から成る壁画のような作品です。中央にシマシマの菱型があり、その両脇に深い青を背景にオレンジの絵の具が滴り落ちるような感じです。こちらも意味は分かりませんが、海の底を思わせる深い青色のせいか、色の取り合わせが強い割に落ち着いた印象を受けました。

狗巻賢二 「青い形質」
一見すると画面が1色だけの作品ですが、よく観ると正方形が組み合うような線が浮き上がっているのがわかります。色は青というよりは緑がかっているかな。大きな作品で幾何学的なリズムを感じました。

この辺は現代アートの作品が並んでいました。意図は見ただけではよく分かりません^^;


<自我のかけら-美術家たちのセルフ・イメージ>
続いては自画像など作家自身のイメージを表現した作品のコーナーです。

郭徳俊 「オバマと郭」
モノクロの写真作品で、TIME誌の表紙に写ったオバマ大統領の目から上の部分を切り取り、目から下の自分の顔と重ねて撮ったセルフ・ポートレートです。作家自身はサングラスをかけているのですが、それがちょうどサングラスがズレて目がのぞいている感じに写っています。この辺にはそうした作品が並んでいて、ブッシュ、クリントン、パパブッシュ、レーガンなど歴代の大統領のTIME表紙を使った作品もありました。モノクロなので違和感があまりなく、上半分が別の人になるとだいぶ印象が変わるのも見比べられて面白かったです。

佐藤時啓 「Breaht-graph1」
これは白黒の大きな写真で、地下のポンプ室に白く細い線が無数に浮かんでいる様子が写っています。まるで幽霊のような感じですが、これは長時間露光のカメラの前で作者がペンライトを持って移動したものらしく、光の軌跡が写っているようです(長時間露光なので作者は写らない) 光しか無いものの、作者の動きが写っているという発想が面白かったです。

この近くにはヘンリー・ムーアの自分の手を描いた作品などもありました。


<闇を刻む-日和崎尊夫>
最後は日和崎尊夫という超細密かつ独特な作風を持つ版画作家のコーナーです。日和崎尊夫は衰退していく木口木版の技法に着目して独自の芸術表現として高めた作家だそうで、精神を病んだ際に読んだ法華経からインスピレーションを得て、カルパというシリーズを作ったそうです。カルパとは「劫」のことで年数に換算すると43億2000万年が1カルパとなるようです(蛇足ですが、じゅげむの話の五劫の擦り切れというのはその5倍のことですね…w いずれにせよ途方も無い時間のことを指すようです。)

日和崎尊夫 「KALPA-68-B」
ミリ以下の超絶に細かい線で彫られた木版画です。花かインディアンの飾りを思わせるような有機的な模様が描かれ、曲線が優美に感じられます。何を表しているのか分かりませんが、曼荼羅のような雰囲気もあるかな? これだけ無茶苦茶細かい作品を作っていたら確かに気疲れしそうです。


ということで、今回も幅広いコレクションを観ることができました。もちろん今回紹介しなかった作品(特に近代絵画)も充実していますので、一度は観ておいて損はないと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事


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