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【MOA美術館】の常設(2013年03月)

前回ご紹介したMOA美術館の特別展を観た後、階下の常設展も観てきました。

P1090601.jpg

【公式サイト】
 http://crayon.securesites.net/moaart/ex_room.php

【会場】MOA美術館
【最寄】熱海駅


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日12時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
特別展は混んでいましたがこちらの常設展は結構空いていました。不思議。

さて、この美術館は琳派だけでなく様々な美術品(主に日本)を所蔵しているようで、部屋ごとに大まかにジャンル分けされて展示されていました。いくつか気に入った作品を挙げてご紹介していこうと思います。

<展示室5>
まず最初は西洋美術の部屋でした。と言っても、ここは少数のコレクションのようです。

クロード・モネ 「ジヴェルニーのポプラ並木」
こちらはモネのポプラ並木を描いた連作の1つかな。S字に並ぶ背の高いポプラが描かれ、背景はやや赤みがかって曇りがちな空となっています。緩やかなカーブがリズミカルで、垂直と曲線が優美な雰囲気を生んでいました。
 参考記事:
  国立西洋美術館の案内 (常設 2009年10月)
  【番外編 フランス旅行】 ジヴェルニー モネの家

クロード・モネ 「睡蓮」
こちらはモネが晩年に過ごしたジヴェルニーの自宅の池の睡蓮を描いた作品だと思います。緑、黄色など萌え立つような色合いを地に、睡蓮の葉や花が浮かんでいて柔らかい印象を受けます。やや幻想的に見えますが、まだ具象的な感じがするかな。興味深い作風でした。

レンブラント・ファン・レイン(工房作?) 「帽子を被った自画像」
黒い帽子をかぶりこちらを見ているレンブラントの自画像で、やや口を開けていて、振り返って話しかけるような表情をしているように見えます。背景が暗く、目から下には光が当たっているようで、大胆かつ緻密な陰影に思えました。解説によると、これはレンブラント・リサーチ・プロジェクトによって調査され、1982年の時はインディアナポリス美術館所蔵の品の模写として真筆とされたそうですが、2005年には工房作とされたそうです。工房の品だとすると、かなり腕が立つ弟子なのかな? 私には真筆にしか見えませんでしたw

この部屋には他にシリアやエジプトの品や茶道具なども展示されていました。


<展示室6>
続いては仏教関連の品が並んでいました。

康俊 「聖徳太子立像」 ★こちらで観られます
上半身裸で坊主頭の少年が手を合わせて祈っている彫刻です。幼い割にやや険しい表情に見えますが、肉付きがふっくらしていて量感があります。どっしりとした風格は慶派らしい雰囲気に思いました。解説によると、これは聖徳太子が2歳の時に「南無仏」(仏に帰依するという意味)と東方に向かって唱えたという伝説に基づいているとのことでした。

この近くには仏具などもありました。

「聖観音菩薩立像」 ★こちらで観られます
蓮の花を持って立つ菩薩像で、沢山の装飾品を身につけています。やや腰に捻りがあるように見えて、優美な肉体表現です。一方の装身具は堅牢な印象を受けるのが対照的で面白く感じました。どちらも同じ木なのにこうも違って見えるとは。
解説によると、これは台座まで一木で作られているそうで、中国の唐時代の作風に影響を受けているとのことでした。

近くには阿弥陀や地蔵の像などもありました。続いては仏画のコーナーです。

「不動明王二童子像」 ★こちらで観られます
燃え盛る炎を背にし、剣と羂索(縄)を持つ不動明王が描かれた掛け軸で、その両脇には制多迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)が描かれ、さらに大自在天(シヴァ神)の姿もあり、烏摩妃(パールヴァティー)は足で踏みつけられています。 こうした構図は珍しいようで、憤怒の形相は恐ろしく迫力がありました。異様なまでの存在感のある作品です、


<展示室7>
続いての展示室は墨蹟が並んでいました。

藤原定信 「石山切」
これは元は冊子本だったものが昭和4年に分割されて掛け軸になったもので、同じく分割された石山切は各地の美術館に散在します。こちらは貫之集の下の部分らしく、対角線を境に茶色っぽい色と青い色の地となっていて、そこに一気に書かれたような文字が繋がって書かれています。線は細めでリズムと流れを感じ、書に疎い私でも美しいと感じました。

<展示室8>
展示室8は展示室7と続いていて、陶磁器(特に鍋島と伊万里)が並んでいました。

「色絵桃花文皿 鍋島」 ★こちらで観られます
これは絵付けされた丸い皿で、薄い空色を背景に3つの桃の実と、桃の花と葉が描かれています。淡い呉須を使っているらしく滑らかで気品のある色合いで、桃には細かい点があり桃の表面を写実的に表しているようでした。構図も含めて素晴らしい品です。

鍋島は結構並んでいました。貴重な焼き物だけにちょっと驚き。
 参考記事:誇り高きデザイン 鍋島 (サントリー美術館)


<展示室9>
最後の部屋は岡田茂吉賞の受賞作品というのが並んでいました。(岡田茂吉はこの美術館を運営している世界救世教の教祖です。前の記事にも書きましたが、私は特定の宗教を後押しする気はありません) 着物や壺、箱などが展示されていて、いずれも伝統と革新の両面を持っているのが一目でわかる品だったと思います。


ということで、常設展も楽しむことができました。ここには今回見ることのできなかった品の中にも良い品があるようなので、いずれまた足を運んでみたいところです。また、美術品以外にもこの美術館には見どころがありましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います、

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