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美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 【サントリー美術館】

旧乃木邸FUJIFILM SQUAREを観てきた後、この日のお目当てのサントリー美術館で「美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展」を観てきました。思ったより空いていて快適にみることができました。

※今回の記事は↓このポスターを別画面で開いて読むと便利です。
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【展覧名】
 美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol04/index.html

【会場】サントリー美術館(ミッドタウン3F)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2009年7月25日(土)~9月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
今回も会員証で入館。この展覧はアジア美術コレクションが豊富なシアトル美術館の選りすぐりの作品を観られるという魅力ある内容でした。構成は大きく分けて3つで、アジアのといってもほぼ日本と中国の作品で、その他のアジア諸国は1コーナーにかためてあった感じかな。とりあえず気に入った作品を挙げながらご紹介。

<日本美術>
「行道面 八部衆 龍面」 (上記ポスターの1段目 左から2番目)
八部衆の1人の面です。彫りが深い顔をしていて、ちょっと怖い感じです。頭に龍が乗っかっているので、沙羯羅(さから)でしょうか? 春頃の阿修羅展で観た沙羯羅は子供の顔だったので、別なのかな?と思いながら観ていました。
(参考記事:国宝 阿修羅展 東京国立博物館

「北野天神縁起絵巻断簡 船出配流」
菅原道真が左遷されて大宰府に赴任する際を描いた作品。全体的にどんよりした雰囲気で、道真の失意や不安を感じる作品でした。

「源誓上人絵伝」
これは同じタイトルのシアトル美術館の作品と東京藝術大学の作品が2枚並んでいました。元は3枚だった可能性もあるようです。2枚を比べると右の芸大のほうが鮮やかな感じで、左のシアトルのは細かい筆遣いが感じられました。剃髪や舞を踊っている姿など、当時の様子が垣間見えるようでした。

「地獄草紙断簡 声地獄」
名前からしておどろおどろしい感じです。紅白の馬の鬼が悪さをした僧侶達を追いかけている絵で、地獄の炎?が燃え盛っています。ちょっと怖いですが地獄絵は印象に残りますね。

「駿牛図」 (上記ポスターの1段目左から1番目)
似絵と呼ばれる写実的な絵です。黒い筋肉質な牛が描かれていて、そのしっぽの毛先まで細かく描かれていました。しかし、どことなくデフォルメされた感じがするかな。写実に関しては西洋人の方が得意なのかな?と思いましたが、独特味わいがありました。

「浦島蒔絵手箱」
 ★こちらで観られます (上記ポスターの2段目 左から3番目)
蒔絵の蓋の内側に浦島太郎が描かれていて、いままさに玉手箱を開けようとしています。他にも亀に乗った蓬莱島や8羽の鶴なども描かれていて、長寿のシンボルが並んでいます。今回の展覧会の名前はこの作品からきたのかな? 誰しもが、あけちゃだめー!って突っ込みたくなるような物語のクライマックスで面白いです。

狩野興以 「竹虎図」
ふわっとした毛並みの猫っぽい顔の虎の絵です。虎なのにちょっと可愛いw 周りに生えている竹が侘びた感じで良いです。この作品は展覧期間の前期しか観られないようですが、また観たいなあ。

「長谷寺縁起絵巻」
ついこのあいだ、出光美術館でも長谷寺の縁起の作品を観ましたが、これも同じ題材の作品。ご存じない方も多いと思いますので、ざっくりストーリーをご紹介すると、
  (1)洪水かなんかの原因でご神木が川から流れてきます
  (2)周辺の男がご神木だとは知らずに斧で切ります(流木の処理だから当然の行動かな)
  (3)ご神木の祟りで疫病や火災が発生!!
  (4)怒りを鎮めるために、十一面観音を本尊に長谷寺建立
細部は間違ってるかもしれませんが、こんな感じだったかと思います。理不尽な気がしてなりませんw この作品はその一連のストーリーが巻物になっていて、ご神木の周りではじーっと見守る眷族の姿や、ご神木を切る瞬間、火事で逃げ惑う姿などもありました。っていうか、切る前に制止しろよ!と突っ込みたくなりますw ストーリーを知るとこういう作品は面白いです。

「竹に月図」
六曲一双の屏風作品。全体的に金色の大和絵です。右にはすずめや竹林が描かれていて夏を表していています。左は春を表しているらしいのですが、水面に映った月が描かれています。実はこの月は元々なかったらしく、その後、湖面に太陽が描かれ、最終的には月に修正されたのだとか。結構良い絵なのに加筆とかされちゃうのかーと思いましたが、それぞれの時代の美意識の移り変わりを示しているようで歴史の重みを感じます。

狩野重信 「竹に芥子図」
 ★こちらで観られます  (上記ポスターの1段目 右から1番目)
結構写実的に描かれている絵なのですが、咲きみだれる芥子の花からは装飾的な美を感じます。白・赤・朱色などの芥子と、繊細さを感じる竹から気品を感じました。この展覧会の見所の1つだと思います。

「蜻蛉・蝶図 市河米庵・狩野晴川院ほか 70 名の詩と画」
他70名って響きで分かると思いますが、とんぼ23首42図、蝶26種40図を様々な人が書いたり描いています。昆虫図鑑に詩がついてるみたいなw みんなで作るという趣向が面白いです。

与謝蕪村 「寒林野行図」
見上げる視線で山、目の高さで岩、見下ろす視線で馬に乗った人が描かれています。これは3つの視点からかく三遠法というものらしいです。と、そんな高度な解説もありましたが、普通に観てものんびりした感じの作品でよかったです。

葛飾北斎 「五美人図」 (上記ポスターの3段目 左から1番目)
どっかで観たような気もしますが、これはかなり気に入った作品。数字の3の字を描くような配置で、5人の美女達が連なっています。5人は様々な服を着ていて、解説によるとこの衣装から察するに身分の違う5人が並んでいるとのことでした。実際には階級の違いからこの5人が揃うことはありえないそうです。それにしても優美で流麗な絵です。これの為だけでもまた観にいきたいくらいですw

「染付波兎文皿」
お皿に因幡の白兎が描かれていました。海の上をとんでる姿が可愛いです(><)

伝 狩野孝信 「琴棋書画図」
四面からなる結構大きな中国風の作品です。椰子の木みたいなのが生えていたりします。左から絵画・囲碁・書道をやっている人が描かれていて、これはたしなみなのだとか。特に囲碁の周りで3人くらいの人が盤上に見入っているのが面白かったです。今も昔も変わりないですねw

「烏図」
  ★こちらで観られます  (上記ポスターの2段目 右から2番目)
これも今回の見所かな。金地に真っ黒なカラスが沢山描かれています。飛ぶ・鳴く・食べる・休むの4種類の行動が多くて、中にはお互いで喧嘩しているカラスもいます。観ているとカラスがギャアギャアわめくのが聞こえてきそうw このカラスは遠くで見ると真っ黒ですが、近くに寄って観ると結構細かく描かれていて、羽の様子とかまで分かりました。是非近くで見て欲しい作品です。


ここら辺で4Fから3Fに移動します。3Fには初っ端から目玉作品がありました。


本阿弥光悦 書、俵屋宗達 画 「鹿下絵和歌巻」
 ★こちらで観られます  (上記ポスターの1段目 左から3番目)
これは今年観た美術品の中でもかなり感動した作品です。2人の流れるような筆遣いが感じられて、音楽のような流麗さに溢れています。単純化された鹿の丸みが柔らかく、気品を漂わせていました。最高級の作品だと思います。
去年の大琳派展でもこの2人の合作は観られましたが、あの時は押し出されるように観て不本意な鑑賞となりました…。しかし、この展覧会ではじーーっくりと独占状態で観られるのも素晴らしいです。
なお、この作品は元々は22mにもおよぶ大作だったのが、1935年に2巻に分割され、さらに前半部分は細かく(12枚くらい?)分裂してしまったそうです。その後半部がシアトル美術館から日本に里帰りし、日本の前半部分も展示されています。展示時期によって前半は作品が入れ替えられ、全部揃うことはないようです。どうせなら全部並べれば良いのになあ…。

「織部片輪車星文四方鉢」
おー、織部もあるんかーと思って観てみたら、凄く斬新な模様の織部でした。作品名のとおり、中央付近から左上あたりに☆のマーク(五芒星のマーク)があり、右上には流水、左下には碁盤の紋様がありました。これはそれぞれ、水・天・地(←碁盤が地)を表しているらしいです。観たこともない遊び心溢れる作品で非常に面白かったです。


ここまでが日本美術です。6~7割くらいを占めていたかな。見所満載でした。


<中国美術>
中国美術はよくわからないのでさっくりとご紹介。

「玉」
中国には綺麗な石を「玉」といって尊ぶ風習があるようで、これはその入れ物です。何が凄いってこれは紀元前2800年(今から4800年前)の作品です! 熱で加工して作った作品らしく、すでにその頃に高い技術があったことに驚きました。中国すげえわw

「花鳥堆黒盆」
厚い漆を塗り固めた盆で、彫が深かったです。鳥が描かれていました。漆の技術も元々は中国から来たのかな。これも技術の高さをうかがわせました。

楊 「墨梅図」
 ★こちらで観られます  (上記ポスターの2段目 左から2番目)
友達の科挙試験一位合格を祈って描かれた作品。横長に伸びた枝と幹に生命感があります。枝には可憐な花を咲かせ、優雅さがあります。これを観ていると、日本の水墨画はいかに中国に影響を受けたかがよく分かりますね。。。

文徴明 「金焦落照図寄詩」
力強い書です。文字が太く厳格な感じがしますが、流れるような筆遣いでした。これは作者が科挙の試験に8回落ちた時に書かれた作品らしいですが、決して屈しない力強さが表れているかのようでした。

「白磁壺」
その名の通り白い磁器の壷です。その白さは少し乳白色で滑らかさを感じます。形も左右対称で優美さを増しているようでした。中国の美意識がよくわかる美品でした。

「紅釉瓶」
こちらは真っ赤な瓶で、結構大きなものでした。牛血紅と呼ばれる真紅に染まっていて、力強さがあります。上から下へと色が濃くなっているのがわかります。この牛血紅は当時流行ったそうです。ちょっと色がキツイ気もしますが、鮮やかでした。

<韓国 その他のアジア美術>
このコーナーはほとんどオマケ的な感じのスペースでしたが、良い品がありました。

李公愚 「梅図」
これは薄く淡い色合いで、柔らかい曲線を使って梅の枝を描いた作品でした。韓国の美術はよく知りませんが、こういう繊細なニュアンスの作品があるのかーと参考になりました。

韓国以外は仏が多かったです。

「仏頭」(インドネシア ジャワ・ボロブドゥール 中部ジャワ期 800 年頃)
穏やかな表情の仏の頭。この仏様はどことなく日本とは違って見えました。

「仏立像」(タイ ドヴァーラヴァティー王国 7-8世紀)
 ★こちらで観られます  (上記ポスターの2段目 左から1番目)
こちらの仏様はタイの仏様らしいですが、端正な顔立ちでイケメンでしたw 国が変われば仏も変わるんですね。

「インドラ坐像」(ネパール マッラ王朝 13 世紀頃)
 ★こちらで観られます   (上記ポスターの3段目 右から2番目)
あぐらをくずしたポーズで座るインドラ(帝釈天)の坐像です。すらっとした若々しい体つきで、物腰に品があります。今年の3月頃にこの美術館で観た三井寺展の「如意輪観音坐像」を思い出すものがあります。艶かしさと神聖な落ち着きの両面を感じて、かなり気に入りました。


ということで、かなり良い展示だと思うのですが、何故か空いていました。すごく勿体無い気がする…。タイトルとポスターが地味なせいでしょうか?? せっかくなら鹿下絵和歌巻が全部揃ったところを観たかったですがこれだけの内容なので満足できました。会員証があれば何回でも入れるのでまた展示時期が変わったら行こうと思います。
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