関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

第15回秘蔵の名品アートコレクション展 ~日蘭通商400周年記念 栄光のオランダ絵画展~ 【ホテルオークラ アスコットホール】

金曜に有給を取って、ファミリーセールに行った後、ホテルオークラのアスコットホールで、「第15回秘蔵の名品アートコレクション展 ~日蘭通商400周年記念 栄光のオランダ絵画展~」を観てきました。この展覧会はチャリティーの一環らしく、300円のパンフレットを買うと、寄付したことになるらしいです。(200円のバッチみたいなのも売っていました)

ちなみに去年の第14回も行ったのですが、その時は印象派やエコールド・パリ、日本画・富嶽三十六景や東海道五十三次の浮世絵でした。

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【展覧名】
 第15回秘蔵の名品アートコレクション展 ~日蘭通商400周年記念 栄光のオランダ絵画展~

【公式サイト】
 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/event/art09/
 
【会場】ホテルオークラ アスコットホール
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町
【会期】2009年8月4日~2009年8月30日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
オランダといえばフェルメールやレンブラントといった巨匠を排出した美術大国ですが、この展示でもレンブラントの工房の作やゴッホなど有名な画家から、あまり知らなかったハーグ派や魔術的写実主義(まじゅつてきリアリズム)等まで、様々なオランダ関連の作品を堪能できました。展覧作品はアムステルダム国立美術館、INGコレクション、オランダ銀行、オランダ文化財研究所、オランダ外務省からの出展がほとんどで、貴重な作品が展示されています。展覧順が若干カオスで、ゴッホ→19世紀→20~21世紀→17世紀という順でした。パンフレットで振り返りつつ気に入った作品をご紹介。意外と混んでました。

<19世紀>
フィンセント・ファン・ゴッホ 「雪原で薪を集める人びと」
この絵はつい最近、東京都美術館の「日本の美術館名品展」で観たばかりです。やはりミレーっぽいのを感じます。良い絵です。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「静物、白い壷の花<薔薇ほか>」
ゴッホといえば鮮やかで力強い作風が思い浮かびますが、これは落ち着いた色合いで印象派の影響を感じます。(しかし、解説にはモンティセリからの影響を受けたと書いてありました。) ちょっとゴッホのイメージと違った作品でした。

ヘンドリック・ウィレム・メスダッハ 「日没の穏やかな海の漁船」
このコーナーはかなり良い作品が並んでいたので、全部好みだったのですが、これも特によかった1枚。タイトルどおり、穏やかさを感じる海と夕陽が描かれています。夕暮れ時の黄昏色に染まっていて郷愁を誘います。 このメスダッハはハーグ派の創始者の1人で、ハーグ派というのはバルビゾン派から影響を受けて出来たオランダ版みたいな感じです。身近な主題をリアルな視点で描写した画風の一派らしいです。

チャールズ・レイケルト 「氷上での楽しみ」
これもハーグ派だったかな。かなり写実的に冬の様子が描かれています。一面が凍り付いていて、船なども見えるので川なのかな? 何人かの人たちがそりっぽいものを持っていて、どこか楽しげな雰囲気がありました。空が高く、はるか向こうに見える町並みから広々とした奥行きを感じ、開放感もありました。

ヨハネス・ヘイスベルト・フォーヘル 「山々を背にした森の風景」
まるで写真のように緻密な絵で、はるか向こうに見える銀嶺は神秘的な風格が漂っていました。手前には針葉樹と川が流れていて、大自然の美しさに溢れていました。

ヘオルフ・ヘンドリック・ブレイトネル 「ローキンの展望」
これもハーグ派の作品らしいですが、だいぶ雰囲気が違い、印象派のような簡略化された筆遣いを感じる作品でした。(作者のブレイトネルはゴッホとの交流もあったそうです。)川沿いの町並みを描いていて、手前には馬車がいくつかいます。その道は濡れていて、馬や馬車の姿が反射しています。簡略化された筆遣いの割りに意外とそういうリアルさを感じるなと思ったら、この人は写真家でもあったようで、写真を元にこの絵を描いたのではないかと説明されていました。

イサーク・イスラエルス 「浜辺の風景 - スヘーフェニンゲン」
この人はオランダを代表する印象派です。今回の展示作品も、黄土色の浜辺が明るい印象を与えてくれます。海辺の絵というと、海を描いた絵が多いですが、これは画面のかなり高いところに水平線があって、本当に浜辺が主体となっていました。そして、そこでのんびりしている人達が生き生きと描かれていて、楽しげな様子が伝わりました。 ところで、絵とは関係ないですが、「スヘーフェニンゲン」って「すけべにんげん」という空耳で有名なあの海岸でしょうかねw

<20世紀~21世紀>
ここはリアリズムから現代美術まであるコーナーで、かなりカオスだったかなw 今回の展覧の半分を占めるのがこのコーナーなので、ここが楽しめるかどうかでこの美術展の評価は分かれそうです。パンフレットはこのコーナーの扱いが小さいのが気になるw

ラオル・ハインケス 「静物」
これは魔術的リアリズムと呼ばれる一派の作品で、森を背景にレンガ塀の上に置かれた果実や本を描いた静物画です。ぱっと観では、まるで17世紀の絵のようですが、ちょっと違う雰囲気です。この魔術的リアリズムはどこか現実離れした雰囲気があり、少し質感が柔らかそうな感じがしました。その名の通り「魔術的」という言葉が最も適切な表現かもしれないです。

ディック・ケット 「ヴァイオリン、新聞、スフーマッハーとハインケスの自画像のある静物画」
これも魔術的リアリズムの作品。タイトル通り、色々なものが所狭しと並んでいるのですが、リアルなのに絵画的で、不思議な感覚を感じました。 うーん、なんて表現すりゃいいんだろうw デフォルメされてる感じかなあ

作者名・作品名を忘れましたが、北野武の肖像画
先ほどの魔術的リアリズムとうって変わって現代美術のコーナーです。作品名は忘れましたが、北野武(ビートたけし)のでっかい肖像画がありました。かなり緻密に描かれていて、割と最近のたけしの顔でした。インパクトはあるんだけど、何故たけし?w 
なお、この辺のコーナーには着物をきた女性の絵(これもでかいのが3枚あってかなり目立つ)など、日本に関係がある作品が多いのが特徴でした。日本とオランダのつながりがテーマなのかもしれません。

バーバラ・フィッセル 「オランダでの一日/一日のオランダ」シリーズ
これは写真の作品で、長崎のオランダ村で撮ってきた写真が4枚ありました。オランダ人もオランダ村に来るんだ!とか妙なところで驚きましたが、この作品の意図はよくわかりませんでした。オランダ人が見ると見慣れたはずの建物のはずなのに何だこれ?って思うのかなあ。

ジャクリーン・ハシンク「トヨタガール東京」
これも写真で、モーターショーのお姉さんを撮った写真。 …普通にカメラ小僧じゃねーか!w と突っ込みを入れたくなりますが、こういうマスコット的な女性には各文化の特徴や価値観が色濃く出るのだとか。日本人に見せても私と同じ感想が出ると思うんだけど、向こうの人にはアジア的なものを感じるんでしょうか。

<17世紀>
ここはこの展覧会のメインディッシュと言える充実したコーナーでした。オランダ絵画の全盛期は見応えがあります。

レンブラント工房 「聖家族」 ★こちらで観られます
この展覧会の目玉作品です。この作品は元々はレンブラントの作と思われていたそうですが、レンブラント・リサーチ・プロジェクトの鑑定の結果、工房の作とされたようです。
さて、絵の内容ですが、読書するマリアと眠りかけているアンナ、そしてゆりかごで眠るキリストが描かれています。マリアの向こう側に明かりが置かれ、その光でできたアンナの影が画面中央に描かれています。レンブラントは光と影の魔術師と呼ばれることもありますが、この明かりの温もりや柔らかさ、影から伝わる静寂は流石です。(たとえ工房の作だとしても素晴らしいです) キリストの寝顔も安らかで、全体的に心温まる家族の安らぎを感じました。

レンブラント・ファン・レイン 「窓辺で素描する自画像」 ★こちらで観られます
エッチングの自画像です。レンブラントは経済的に苦しい時期があったらしく、この作品はその時期のものらしいです。なんか神経質そうであまり気が合わなそうな顔してるw 右手は書き物をしているところのようで、うっかり仕事中に部屋に入って迷惑そうな顔されたような気分になりました。 実際のところ何をしているところかはわかりません(><) 

サロモン・ファン・ライスダール 「エマオへの路」
夕暮れの田園風景の中に大きな木があり、その下には3人の人がいます。実はこのうち2人は使徒で、もう1人は生き返ったキリストです。しかし、使徒の2人はキリストとは気づかずに旅を共にしているシーンなのだとか。薄い黄色に染まった雲や青い空が爽やかさと抒情的な雰囲気を出していて、その物語に相応しい理想の風景のようでした。

イサーク・ファン・ニッケレン 「ハールレムのシント・バーフ教会の内部」
教会の内部を描いた作品。このテーマは人気が高かったようで、私も大好きな題材の1つです。 大きなアーチを描く柱や高い天井が描かれていて荘厳な感じがします。白い柱や壁が明るい感じを出していました。また、遠近法のバランスが正確が見事でした。

ヤン・ファン・ケッセル 「ダム広場と市庁舎」
間に港を挟んで、市庁舎を描いた作品。画面中央あたりに光が当たったかのように鮮やかな市庁舎が描かれているのですが、その前に黒っぽい建物があり、その明暗が印象的でした。船を漕いでいる人や市場っぽいものもあり面白いです。若干、理想的な感じになってますが、この時代のリアルな風景画というのも興味深いところでした。


ということで、様々な作品のある展覧会でした。流石に方向性がバラバラな感じもしますが、良質な作品が多くて特に19世紀以前の作品は楽しめました。

この後、同じホテルオークラ内にある大倉集古館で、「館蔵品展 花・華 - 日本・東洋美術に咲いた花 -」も観てきました。(オランダ絵画展と同じチケットで入れるのでお得です) 次回はそれをご紹介いたします。

 ⇒ こちらに書きました。引き続きよろしくお願いします。

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