生誕250周年 谷文晁 (感想前編)【サントリー美術館】
前々回、前回とご紹介した写真展を見た後、同じミッドタウンの中にあるサントリー美術館で、最終日が迫っていた「生誕250周年 谷文晁 (感想前編)」を観てきました。この展示は既に終了していますが、参考になる内容でしたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【展覧名】
生誕250周年 谷文晁
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_3/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2013年7月3日(水)~8月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日1日前だったこともあり、思った以上に混んでいて場所によっては人だかりができるくらいでした。とは言え、ほんの少し待てば自分のペースで観ることができたのでじっくりと観てきました。
さて、今回の展示は江戸時代後期の関東の画壇で中心的な役割を担っていた谷文晁に関する展示です。谷文晁は関東南画の大成者として知られていますが、狩野派、円山四条派、土佐派、洋風画なども学んでいたそうで、各画風の折衷に努めて一家を成した巨匠の一人と言えるようです。(私の中でもあまり好きではない南画のイメージがあったので中々観に行く気が起きなかったw)
また、谷文晁は松平定信や木村蒹葭堂(きむらけんかどう)など当代一流の文化人たちと親しく交わり、指導者としても渡辺崋山をはじめとする多くの門弟を育て、人脈の広さは当時の画壇でも際立っていたようです。 この展示ではそうした谷文晁の人々の交流と共に画業を俯瞰するような内容となっていました。構成は5つの章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<序章 様式のカオス>
まずは谷文晁の様々な画風を比べてみるコーナーです。簡単にいくつか説明すると、
南蘋派:精密で色鮮やか。有名な絵師では伊藤若冲などにも影響を与えている
北宗画:力強い描線が特徴
南宗画:柔らかい描線やぼかしが特徴
といった流派などの特徴が観られるようです。
128 谷文晁 「孔雀図」
これは晩年に作られた金地の衝立です。金を背景に2羽の孔雀が描かれ、1羽は後ろを振り返るようなポーズで非常に立派な雰囲気があります。もう1羽は屈んで舌を観ているような感じで、周りには優美な牡丹の花などもありました。孔雀はかなり緻密で写実的に描かれ、堂々たる威厳さえ感じるのですが、一方で岩などの描写は太い輪郭で大胆に描かれていて、力強さを感じました。解説によると、この衝立の裏には息子の谷文二の雁図が描かれているとのことでしたが、それは観ることはできませんでした。
2 谷文晁 「青緑山水図」 ★こちらで観られます
切り立った崖と その下に流れる渓流を描いた作品で、橋の上には馬と人の姿も見えています。谷間は霞がかり、奥にも薄っすらと崖の様子が見えていて遠近感を感じます。解説によると、これは北宋の画家によるリアリズムの山水のイメージが投影されている一方、全体としては藍瑛(らんえい)からの影響が顕著だそうです。さらに岩などには中国から日本にきた沈南蘋による南蘋派の影響もあるとのことで、八宗兼学と呼ばれた多様な絵画表現の折衷が観られるとのことでした。確かに南蘋派の影響は多少感じるかな。
この辺には章タイトルに相応しく画風がだいぶ異なる作品が並んでいました。同じ人が描いたとは思えませんw
10 谷文晁 「駱駝図」
2頭のラクダが描かれた掛け軸で、これは江戸に見世物としてやってきた際に描いたようです。陰影がつけられた精密な画風は西洋画的な雰囲気があり、日本画の中で一際異彩を放っていました。毛並みまで表現されるほど細かく、これは中々意外な作品です。
この近くには大和絵風の作品や漢画の折衷のような作品もありました。
<第1章 画業のはじまり>
続いてのコーナーからはだいたい時系列的に並んでいました。谷文晁は10歳の頃に加藤文麗(ぶんれい)に入門したそうで、加藤文麗は木挽町狩野家三代周信の門人で正当な狩野派の流れをくんでいたそうです。加藤文麗の画風は荒々しい運筆を特徴としていたらしく、谷文晁の初期作品にもその影響が出ているようです。やがて谷文晁が17~18歳頃になると、中山高陽門下の渡辺玄対(げんたい)に師事するようになったそうで、渡辺玄対は南蘋派や南宗画・北宗画の折衷様式も学んでいたらしく、谷文晁の南蘋派の花鳥画や南北折衷的な山水画の基礎は玄対によって築かれたと言えるそうです。ここにはそうした初期の作品が並んでいました。
20 谷文晁 「文晁夫妻影像」
これは2幅対の掛け軸で、それぞれにお互いに向き合うような男女の影絵が描かれています。影絵と言っても眉やまつ毛などまで精密に感じられる描写で、はっきりした黒のため中々にインパクトがあります。解説によると、これは顔の輪郭をとってから黒く塗っているとのことで、ちょっと納得。また、この作品は直系の子孫に代々伝わっているようですが、人気のためいくつか作られているようでした。
37 谷文晁 写 「花鳥 文晁画稿」
これは木の枝にとまる鳥を描いた作品で、その鋭い眼光の先にも2羽の鳥の姿が描かれています。解説によると、これは22歳頃の作品らしく南蘋派の作品(版本?)を模写したものと推定されるそうです。谷文晁の若いころの修行の様子が伝わってくるような作品でした。
この近くには雪舟?の模写などもありました。まずは模写から始めるのは狩野派っぽい感じです。
47 谷文晁 「亀臺金母・湖山冬晴・夏山飛瀑図」
これは3幅対の掛け軸で、中央は不老長寿の仙女である西王母と侍女が描かれ、両脇は山水画となっています。少し前に観てきた作品と比べると全体的に輪郭が薄くなって柔らかい印象を受けるかな。安定した構図も調和を生んでいるようでした。なお、これは34歳頃の作品らしく、27~39歳の時期は寛政期にあたり、後に高く評価された時代のために寛政文晁と呼ばれているそうです。
この少し先には師匠の加藤文麗や渡辺玄対の作品もありました。
60 谷文晁 「画学斎過眼図藁」
これは文晁のスケッチ帳で、画学斎というのは文晁の画号です。42年間にわたってスケッチが描かれているそうで、展示されていた2冊のうち1冊は旅人と子供の顔が描かれ、もう1冊は仁王像のスケッチとなっていました。それほど写実的な感じではなかったですが、特徴を掴んで簡潔に描いているようでした。
この描くにも、谷文晁が観てきた作品を写したものなどがありました。驚くことに1冊180丁もある冊子を半年の間に使いきっているそうです。1日に1枚くらいか…。恐るべき画力です。
<第2章 松平定信と『集古十種』――旅と写生>
続いての2章は松平定信と『集古十種』についてのコーナーです。1788年に谷文晁は田安徳川家の奥詰見習いとして五人扶持(給料の単位)を受けて出仕し、1792年には老中の松平定信に認められて近習(側近みたいな役職)となったようです。定信は8代将軍徳川吉宗の孫(父は吉宗の次男の田安宗武)で老中首座を務めたほどの人物で、この後 谷文晁にも重要なミッションが出されていきます。1793年には定信の江戸湾岸巡視に同行し、各地の風景の写生を担当したらしく、この時の写生を元にした風景画には正確な遠近表現や立体感を表す彩色が用いられていたようで、西洋画の学習の成果が伺えるそうです。また、1796年には定信の命をうけて古社寺や旧家に伝わる古文化財を調査するようになり、この時の調査は85巻の刊本『集古十種』として刊行されたそうです。ここにはそうした「集古十種」にまつわる品などが並んでいました。
69 松平定信 編 「集古十種」
これは松平定信から命じられて谷文晁が調べた、鐘の銘や墓碑銘など10種類の文化財を描いた冊子です。展示されていたのは鳥の絵と果実の絵で、そのとなりには寸法やどこにある品かなどが書いてあります。こうして模写したことはその後の文晁に大きな影響を与えているようで、これも文晁のルーツの1つとして非常に参考になりました。
75 谷文晁 「涅槃図」 ★こちらで観られます
これは42歳頃の作品で、横たわる釈迦とその右手を取って具合を見る耆婆大臣(名医と言われた人物)、周りで嘆き悲しむ十大弟子などが描かれています。普通、涅槃図といえば動物なども周りに集まっていますが、ここでは十大弟子のみとなっているのがちょっと変わっているように思いました。また、嘆き悲しむ顔も歪んでいるほどに感情を顕にしているのも興味深い点です。解説によると、谷文晁は集古十種の編纂で法隆寺の涅槃像をみているらしく、それを念頭にしつつもオリジナルの要素を出しているようでした。
73 白雲 「公余探勝図(模写)」
これは谷文晁の弟子で僧侶の白雲が谷文晁 作「公余探勝図」を模写したものです。海に浮かぶ岩山が描かれているのですが、色付で遠近感があって写実的な感じが西洋画っぽく思えました。
近くには東北地方の写生や松島の風景を描いた作品などもありました。
この辺りで上階は終了なので今日はここまでにしておきます。私も谷文晁についてある程度知っているつもりでしたが、思った以上に様々な作風があることを知って驚きました。後半はさらに別の顔があることが伺える内容となっていましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
おまけ:
仕事とお盆で忙しかったため、終わりそうな展覧会を慌てて見に行くという悪循環に陥っています。そう言えば子供の頃から夏休みの宿題は貯めこむタイプだった…w しばらくの間、終わってしまった展示の記事も出てくると思いますがご容赦のほどよろしくお願い致します。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
生誕250周年 谷文晁
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_3/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2013年7月3日(水)~8月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日1日前だったこともあり、思った以上に混んでいて場所によっては人だかりができるくらいでした。とは言え、ほんの少し待てば自分のペースで観ることができたのでじっくりと観てきました。
さて、今回の展示は江戸時代後期の関東の画壇で中心的な役割を担っていた谷文晁に関する展示です。谷文晁は関東南画の大成者として知られていますが、狩野派、円山四条派、土佐派、洋風画なども学んでいたそうで、各画風の折衷に努めて一家を成した巨匠の一人と言えるようです。(私の中でもあまり好きではない南画のイメージがあったので中々観に行く気が起きなかったw)
また、谷文晁は松平定信や木村蒹葭堂(きむらけんかどう)など当代一流の文化人たちと親しく交わり、指導者としても渡辺崋山をはじめとする多くの門弟を育て、人脈の広さは当時の画壇でも際立っていたようです。 この展示ではそうした谷文晁の人々の交流と共に画業を俯瞰するような内容となっていました。構成は5つの章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<序章 様式のカオス>
まずは谷文晁の様々な画風を比べてみるコーナーです。簡単にいくつか説明すると、
南蘋派:精密で色鮮やか。有名な絵師では伊藤若冲などにも影響を与えている
北宗画:力強い描線が特徴
南宗画:柔らかい描線やぼかしが特徴
といった流派などの特徴が観られるようです。
128 谷文晁 「孔雀図」
これは晩年に作られた金地の衝立です。金を背景に2羽の孔雀が描かれ、1羽は後ろを振り返るようなポーズで非常に立派な雰囲気があります。もう1羽は屈んで舌を観ているような感じで、周りには優美な牡丹の花などもありました。孔雀はかなり緻密で写実的に描かれ、堂々たる威厳さえ感じるのですが、一方で岩などの描写は太い輪郭で大胆に描かれていて、力強さを感じました。解説によると、この衝立の裏には息子の谷文二の雁図が描かれているとのことでしたが、それは観ることはできませんでした。
2 谷文晁 「青緑山水図」 ★こちらで観られます
切り立った崖と その下に流れる渓流を描いた作品で、橋の上には馬と人の姿も見えています。谷間は霞がかり、奥にも薄っすらと崖の様子が見えていて遠近感を感じます。解説によると、これは北宋の画家によるリアリズムの山水のイメージが投影されている一方、全体としては藍瑛(らんえい)からの影響が顕著だそうです。さらに岩などには中国から日本にきた沈南蘋による南蘋派の影響もあるとのことで、八宗兼学と呼ばれた多様な絵画表現の折衷が観られるとのことでした。確かに南蘋派の影響は多少感じるかな。
この辺には章タイトルに相応しく画風がだいぶ異なる作品が並んでいました。同じ人が描いたとは思えませんw
10 谷文晁 「駱駝図」
2頭のラクダが描かれた掛け軸で、これは江戸に見世物としてやってきた際に描いたようです。陰影がつけられた精密な画風は西洋画的な雰囲気があり、日本画の中で一際異彩を放っていました。毛並みまで表現されるほど細かく、これは中々意外な作品です。
この近くには大和絵風の作品や漢画の折衷のような作品もありました。
<第1章 画業のはじまり>
続いてのコーナーからはだいたい時系列的に並んでいました。谷文晁は10歳の頃に加藤文麗(ぶんれい)に入門したそうで、加藤文麗は木挽町狩野家三代周信の門人で正当な狩野派の流れをくんでいたそうです。加藤文麗の画風は荒々しい運筆を特徴としていたらしく、谷文晁の初期作品にもその影響が出ているようです。やがて谷文晁が17~18歳頃になると、中山高陽門下の渡辺玄対(げんたい)に師事するようになったそうで、渡辺玄対は南蘋派や南宗画・北宗画の折衷様式も学んでいたらしく、谷文晁の南蘋派の花鳥画や南北折衷的な山水画の基礎は玄対によって築かれたと言えるそうです。ここにはそうした初期の作品が並んでいました。
20 谷文晁 「文晁夫妻影像」
これは2幅対の掛け軸で、それぞれにお互いに向き合うような男女の影絵が描かれています。影絵と言っても眉やまつ毛などまで精密に感じられる描写で、はっきりした黒のため中々にインパクトがあります。解説によると、これは顔の輪郭をとってから黒く塗っているとのことで、ちょっと納得。また、この作品は直系の子孫に代々伝わっているようですが、人気のためいくつか作られているようでした。
37 谷文晁 写 「花鳥 文晁画稿」
これは木の枝にとまる鳥を描いた作品で、その鋭い眼光の先にも2羽の鳥の姿が描かれています。解説によると、これは22歳頃の作品らしく南蘋派の作品(版本?)を模写したものと推定されるそうです。谷文晁の若いころの修行の様子が伝わってくるような作品でした。
この近くには雪舟?の模写などもありました。まずは模写から始めるのは狩野派っぽい感じです。
47 谷文晁 「亀臺金母・湖山冬晴・夏山飛瀑図」
これは3幅対の掛け軸で、中央は不老長寿の仙女である西王母と侍女が描かれ、両脇は山水画となっています。少し前に観てきた作品と比べると全体的に輪郭が薄くなって柔らかい印象を受けるかな。安定した構図も調和を生んでいるようでした。なお、これは34歳頃の作品らしく、27~39歳の時期は寛政期にあたり、後に高く評価された時代のために寛政文晁と呼ばれているそうです。
この少し先には師匠の加藤文麗や渡辺玄対の作品もありました。
60 谷文晁 「画学斎過眼図藁」
これは文晁のスケッチ帳で、画学斎というのは文晁の画号です。42年間にわたってスケッチが描かれているそうで、展示されていた2冊のうち1冊は旅人と子供の顔が描かれ、もう1冊は仁王像のスケッチとなっていました。それほど写実的な感じではなかったですが、特徴を掴んで簡潔に描いているようでした。
この描くにも、谷文晁が観てきた作品を写したものなどがありました。驚くことに1冊180丁もある冊子を半年の間に使いきっているそうです。1日に1枚くらいか…。恐るべき画力です。
<第2章 松平定信と『集古十種』――旅と写生>
続いての2章は松平定信と『集古十種』についてのコーナーです。1788年に谷文晁は田安徳川家の奥詰見習いとして五人扶持(給料の単位)を受けて出仕し、1792年には老中の松平定信に認められて近習(側近みたいな役職)となったようです。定信は8代将軍徳川吉宗の孫(父は吉宗の次男の田安宗武)で老中首座を務めたほどの人物で、この後 谷文晁にも重要なミッションが出されていきます。1793年には定信の江戸湾岸巡視に同行し、各地の風景の写生を担当したらしく、この時の写生を元にした風景画には正確な遠近表現や立体感を表す彩色が用いられていたようで、西洋画の学習の成果が伺えるそうです。また、1796年には定信の命をうけて古社寺や旧家に伝わる古文化財を調査するようになり、この時の調査は85巻の刊本『集古十種』として刊行されたそうです。ここにはそうした「集古十種」にまつわる品などが並んでいました。
69 松平定信 編 「集古十種」
これは松平定信から命じられて谷文晁が調べた、鐘の銘や墓碑銘など10種類の文化財を描いた冊子です。展示されていたのは鳥の絵と果実の絵で、そのとなりには寸法やどこにある品かなどが書いてあります。こうして模写したことはその後の文晁に大きな影響を与えているようで、これも文晁のルーツの1つとして非常に参考になりました。
75 谷文晁 「涅槃図」 ★こちらで観られます
これは42歳頃の作品で、横たわる釈迦とその右手を取って具合を見る耆婆大臣(名医と言われた人物)、周りで嘆き悲しむ十大弟子などが描かれています。普通、涅槃図といえば動物なども周りに集まっていますが、ここでは十大弟子のみとなっているのがちょっと変わっているように思いました。また、嘆き悲しむ顔も歪んでいるほどに感情を顕にしているのも興味深い点です。解説によると、谷文晁は集古十種の編纂で法隆寺の涅槃像をみているらしく、それを念頭にしつつもオリジナルの要素を出しているようでした。
73 白雲 「公余探勝図(模写)」
これは谷文晁の弟子で僧侶の白雲が谷文晁 作「公余探勝図」を模写したものです。海に浮かぶ岩山が描かれているのですが、色付で遠近感があって写実的な感じが西洋画っぽく思えました。
近くには東北地方の写生や松島の風景を描いた作品などもありました。
この辺りで上階は終了なので今日はここまでにしておきます。私も谷文晁についてある程度知っているつもりでしたが、思った以上に様々な作風があることを知って驚きました。後半はさらに別の顔があることが伺える内容となっていましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
おまけ:
仕事とお盆で忙しかったため、終わりそうな展覧会を慌てて見に行くという悪循環に陥っています。そう言えば子供の頃から夏休みの宿題は貯めこむタイプだった…w しばらくの間、終わってしまった展示の記事も出てくると思いますがご容赦のほどよろしくお願い致します。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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