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生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ (2回目感想前編) 【国立新美術館】

最近、六本木の記事が続いているので、上野の記事は今度まとめてご紹介することにして、先に国立新美術館で「生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」を再度観にいった感想をご紹介します。
今回も前編・後編に分割してご紹介しようかと思います。前回の記事で紹介しなかった作品を補足的にご紹介しますので、前回の記事をご覧になっていない方は先に読んでいただけると嬉しいです。(今回はコーナーごとの趣旨とかは省いています )

 前回の記事へのリンク
   ラリック展 感想前編
   ラリック展 感想後編

 その他参考記事
   箱根ラリック美術館 館内の案内
   ラリック家の女神たち (箱根ラリック美術館)
   東京都庭園美術館の写真その1

DSC_2855.jpg DSC_2852.jpg


【展覧名】
 生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ
 Rene Lalique A Retrospective

【公式サイト】
 http://www.tokyo-np.co.jp/event/lalique/index.html
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/lalique.html
 http://pr.enjoytokyo.jp/090529lalique/

【会場】国立新美術館
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2009年6月24日(水) ~ 9月7日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間20分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日14時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この日はお盆休み(8月14日)だったので、混み具合はあまりあてにならないかもしれませんが、この前行った時と同じくらい混んでました。最初の方は壁沿いなどに細かい作品が多く展示されているせいか、鑑賞するのに列を作る感じで混んでいます。(Ⅱ部はちょっと離れて鑑賞できる作品が多いので、相対的にそこまで混んでる感じはしませんでした。)

前回ご紹介した作品以外で気になった作品をコーナーごとにご紹介。

【第Ⅰ部 華やぎのジュエリー】
<1.目覚め>
扇《二羽の雀とバラ》
ラリック25歳の作品。今回の展示の中でも最初期の作品です。扇には仲睦まじい二羽の雀が描かれ、バラ色の中で幸せそうな雰囲気が漂っていました。象牙の部分にはバラのとげのような突起がありました。すでにラリックの特徴を感じる作品です。

デザイン画-コサージュ・オーナメント《冬景色》
湖に映る紅葉した木の絵をデザインに組み込んでいます。松ぼっくりがふちにつくデザインをしていました。これを作るのは大変そう…。

マグカップの原型《サテュロスとブドウのつる》
黒い重そうなカップで、カップに抱きついたサテュロスの体が取っ手になっています。その顔は恍惚の表情に見えました。既に斬新なデザインが芽生えているのがわかる作品でした。

<2.美の女神アリス>
バックル《ケシ》
立体感のある大きなケシの花の形をしたバックルで、銀が黒ずんでいました。ちょっとごつい感じもしますがしっとりした美しさがありました。

<3.花開くジュエリー:モティーフの展開>
[自然‐花]
ブローチ《桑の木と甲虫》
三角△の頂点に、下向きの三角▽の形に3つに分かれたオパルセントガラスのような肉厚のガラス?がはめ込まれていました。そこがカブトムシの甲みたいです。大きな三角△は桑の木なのかな。△を組み合わせた単純なデザインのようで奥が深いです。

ティアラ《ヤブイチゲ》
ヤブイチゲ(藪一華)っていう花を知らないのですがw 黄色い茎、透ける黒っぽい花、花弁はダイヤかな? 結構大きいですが可憐でアールヌーボーっぽい作品でした。

ブローチ《パンジー》
これも立体感があって本物の花のような作品で、白い花と葉っぱが透ける省胎七宝の技法で作られていました。この省胎七宝を使った作品は透明感があって可憐さを増します。さらに細かいダイヤも花についていてキラキラと輝いていました。素晴らしい作品です。

[自然‐草木]
ドッグカラー《松の枝》
大きな水晶が△を組み合わせた形にカットされていました。周りは松ぼっくりがあしらわれ優雅な雰囲気でした。

[自然‐動物]
バックル《コウモリ》
ひょうきんな顔をしたコウモリのデザインです。両脇にはハート型を横にしたような部分があって、羽は省胎七宝で出来ていました。可愛いです。

ペンダント/ブローチ《二羽の孔雀》
首が組み合った二羽の孔雀がキスをしているデザインで、足元にはハートがありました。ラブラブな感じですね。 二羽の羽が交じり合っていて、これも省胎七宝でできていました。この技術は頻出しますが相当難しいらしいです。

[象徴‐女性と花]
ペンダント《女の横顔とプラタナス》
かえで?をあしらった和風な感じの作品。女の顔ってどこかわからなかったw 隣にはケースもありました。

[象徴‐風]
ネックレス《羽のある虫の女》
背に光背みたいな円があり、手の先が長い蝶の羽みたいになっている女性が2体います。羽は緑や青、体は金色をしていました。2体はネックレスから鎖でぶら下がっているのですが、その鎖の長さが違っているのが気になりました。豪華な感じの作品です。

[象徴‐水]
ペンダント《レダと白鳥》
水浴びをしているレダの足元で、ゼウスの化身である白鳥が見上げているデザインです。水面が省胎七宝で透ける水色になっていて、その透明感が美しいです。優美な作品でした。

[象徴‐ダンス/音楽]
ペンダント《踊る二人の女》
乳白のなめらかな象牙で出来た2人の女性が踊っているデザインです。透ける白いドレスの裾がひるがえっていて、清楚さと動きを感じました。

[象徴‐神話/宗教/物語]
指輪《スカラベとハスの花》
指輪の上にコバルトブルーのスカラベがちょこんと乗っていました。結構リアルに糞ころがしですw 可愛いけどこれをつけてたら本物と思いそう。

 [デザイン画]
デザイン画-オペラグラス《パンジー》
オペラグラスのデザイン画なのですが、ふちからパンジーの花飾りが伸びています。こういう思いもつかないような取り合わせがラリックの独創的なイメージを強めているように思いました。

デザイン画-ペンダント《コウモリ》とチェーンのモティーフ
大小さまざまなコウモリが描かれているデザイン画です。コウモリには☆がついていて夜を感じるデザインでした。☆とか可愛らしいモチーフもあって自由な発想ですね。

<4.グルベンキアンの愛したラリック>
原型《根にからまる五人の裸婦》
若干怖い作品w 鉄で出来た型で、木の根にしなやかな体の女性たちが抱きついたりして一体となっていました。根の曲線と女性の曲線が、力強いような優美なような不思議な感覚でした。

ペンダント《デイアネイラの略奪》
上半身は人、下半身は馬の人馬が脇に女性を抱えているデザインです。周りには緑の植物が流れるように配されていて、左から右へ走っていくスピード感がありました。略奪って感じもよく出ています。

<5.透明の世界へ>
ブローチ《ニンフ》
透明感がある作品。中央が人の形に盛り上がっていて、広げた手から徐々にグラデーションになっていました。ニンフとか妖精も頻出ですが、どれも美しいですね。

こんな感じで、本当に質・量ともに充実していて、どれを見てもすげ~~と感嘆の声があがりました。私は後半の展示の方が好きなのですが、前半だけでもかなりの内容です。

次回は【第Ⅱ部 煌きのガラス】をご紹介します。

   ⇒ こちらに書きました。引き続きよろしくお願いします。

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