福田美蘭展 【東京都美術館】
前回ご紹介した東京都美術館の中のお店でお昼を済ませた後、東京都美術館(ギャラリーA・B・C)で「福田美蘭展」を観てきました。

【展覧名】
福田美蘭展
【公式サイト】
http://www.tobikan.jp/museum/2013/2013_fukudamiran.html
【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2013年7月23日~9月29日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、混んでいるわけではなく快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は現代の女性画家 福田美蘭 氏の個展となっています。福田美蘭 氏は母方の祖父に童話画家の林義雄 氏、父に世界的なグラフィック・デザイナーの福田繁雄を持つ画家一家の生まれで、東京藝術大学に学び卒業制作展 及び 修了制作展を経て、現代日本美術展や日本国際美術展に出品するなど、上野やこの東京都美術館を舞台にキャリアを積みました。1989年には史上最年少の安井賞(新人洋画家の登竜門)を受賞したそうで、それ以降も現在に至るまで多彩で個性的な表現で活躍し続けています。今回はその活動の中から1990年代以降の作品と、この展示の為に制作した新作を合わせて70点ほどが並び、4つの章で構成されていました。詳しくは気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<1 日本への眼差し>
まずは日本の伝統や日本の風景を題材としたコーナーです。
1-18 福田美蘭 「木花開耶姫命」
これは富士山とその前の水辺を描いた大きな絵画作品で、タイトルは「このはなのさくやびめのみこと」と読み、富士山にある浅間神社が祀っている花(桜)のように美しい女神のことです。この絵は一見すると雄大な風景画ですが、よく観ると富士山の中腹に「マツモトキヨシ」と書いてありますw さらに葉っぱの影には「すかいらーく」、森には「HMV」というように沢山のロゴが隠されているのが分かります。こうなると全部探したくなるのが人情で、私が見つけた中ではマクドナルドのM、ピザーラ、NTT、リポビタンD、ASAHI、FUJIFILM、ユニクロ、JTB、ケンタッキー、Kleenex(クリネックス)などのロゴがあり、一番面白かったのは木の枝がくっつき合って出来たカーネルサンダースの顔でしたw 一種のゲーム的な要素がありつつ、美しい風景の中にも広告だらけというのが皮肉のようにも思えました。
1-1 福田美蘭 「湖畔」
これは団扇を持った浴衣姿の美人が湖畔で涼んでいるところを描いた作品で、一見すると明治時代の画家 黒田清輝の同名の作品の模写に見えます。しかし、これはそれをカラーコピーした上で、その景色の続きを描いているというもので、意外と違和感なく湖と黄色い空が広がっています。解説によると、福田美蘭 氏はこの作品について、名画として我々の意識の中に定着している画面の縁を広げてみることで、固定されているイメージ自体も広げようとしたとのことでした。
参考記事:黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景 (東京国立博物館 本館18室)
1-19 福田美蘭 「扇面流図」
これは単純化された琳派風の波の上に、団扇が貼り付けられている作品です。背景は伝統的な感じなのに対して貼られている団扇はそこら辺で配っているケバケバしい広告だらけで、漫画喫茶やキャバクラ、商品紹介などの団扇となっていますw 安っぽいことこの上ない団扇ですが、これは大量の情報が限られた期間の中に流されて消えていくのを表現しているようです。このミスマッチが面白く、啓発されているようにも思えました。
この辺には葛飾北斎の冨嶽三十六景が左右逆転している作品もありました。伝統をモチーフにした作品は福田美蘭 氏の1つのジャンルと言えるかも。
1-5 福田美蘭 「落書き(渋谷駅南口)(渋谷駅東口)(渋谷駅西口)」
これは街で見かける文字のようなマークのような落書きをモチーフにした掛け軸で、墨跡の達筆ように書かれています。その下には市販されている漫画の背景のためのイラストがそのまま使われていて、そのマークがあった場所を選んでいるようでした。これも現代のものを伝統的な表現する感じで面白かったです。
1-12 福田美蘭 「象牙(スプーン)(マドラー)(ストロー)」
これは象牙で出来たスプーンやマドラー、ストローなどで、見た目はマクドナルドのそれそのものですw 象牙と同じように滑らかな肌触りであるプラスティックの製品をモチーフにして肌触りをイメージして貰いたいとのことですが、見た目と素材のギャップが大きすぎて驚きました。これも発想が独特で面白かったです。
この近くには黒人版の市松人形や、水墨画の中にディズニー風の白雪姫が描かれている掛け軸、旭日がハート型になっている掛け軸などもありました。
<2 現実への眼差し>
続いては日常や時事問題をモチーフにしたコーナーでした。
2-5 福田美蘭 「道頓堀」
これは以前にもご紹介しましたが、夜の道頓堀(グリコの看板辺り)の様子を描いた大型絵画で、電飾看板の光が川に反射している様子などが描かれています。絵の中央辺りに蝶番があり、上下で中折りできるようになっているそうで、風景を描いて乾かない内に折り重ねて転写し、水面に光が反射している感じを出しているようです。その反射具合が絶妙で、その技法と発想に驚かされました。
参考記事:群馬県立近代美術館の常設 (2010年02月)
2-6 福田美蘭 「ニューヨークの星」
これはブルックリン橋付近のにニューヨークの夜景を描いた作品で、空には星が輝いています。背景には今はなき貿易センタービルのツインタワーが描かれ、タワーは無数の丸い穴でくり抜かれています。実はそのくり抜いたものを星として散りばめているようで、その表現からはやはり911の事件を思い起こします。解説によると、これにはメッセージ性はないとのことでしたが、象徴的な作品に思えました。
この隣にはイラクへの報復戦争に向かうブッシュと対話するキリストを描いた作品や、貿易センタービルからの眺め(の写真)を絵画化したものなどもありました。
2-11 福田美蘭 「噴火後の富士山」
これは噴火して火口が崩れてしまった富士山をイメージして描いた作品で、手前には桜の花が咲いています。富士山は日本のアイデンティティに深く根ざしているため、こうした崩壊は精神的にも深刻な影響を与えるため、タブーとなっていると作者は考えているようです。確かにこのショッキングな画面を観ると残念な気分になるかな。逆説的に考えればそれほど深く日本人の心に根ざしているというのを感じさせました。こうなって欲しくないですね。。。
このコーナーには他にも歌舞伎町で配ったポケットティッシュの作品や、ゴミ袋をモチーフにした作品など東京での生活に基づいた変わった作品もありました。
<3 西洋への眼差し>
続いての3章は下の階の展示室です。ここは西洋画をモチーフにした作品などが展示されていました。
3-14 福田美蘭 「ポーズの途中に休憩するモデル」 ★こちらで観られます
これはレオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザのモデルの女性が石のベンチの上でうつ伏せになってもたれかかって休んでいる様子が描かれた作品です。当時のモデルは必ず休憩していたらしく、その場面を想像して描いているようです。その発想も面白いですが、画風までレオナルド・ダ・ヴィンチっぽいのが驚きでした。
この近くには床の上に描かれた絵を踏みながら鑑賞するという作品もありました。やってはいけない感が半端じゃないw
3-22 福田美蘭 「レンブラント-パレットを持つ自画像」
これはレンブラントの晩年の自画像を元にした作品で、オリジナルには背景に2つの大きな円があり、それが意味するものに関しては様々な解釈を生んでいるそうです。しかしこの作品ではその円は巨大なドラえもんの手として表現されていて、全体的に観るとドラえもんのお腹の辺りにレンブラントの自画像が描かれているというシュールな作品となっています。こうした名画のパロディ的な作品は流石かなw
この辺にはキリストが双子だったらという聖家族の像や、名画を視点を変えて描くシリーズの作品などもありました。どれもオリジナルの画家っぽさが出ているのも面白いです。
3-18 福田美蘭 「リンゴとオレンジ」
これはセザンヌの「リンゴとオレンジ」の静物画をコピーして、その上から美大受験のために通信教育で行われる添削を模した評価が描かれたものです。「この空間が分からない」とか「中心軸」がズレていますとか、「台の設定が不安定です」などのアドバイスがあり、総評価は「視点がバラバラです」としてB+となっていました。その添削がある意味鋭くもあり とぼけているようでもありで、笑えました。
この近くにはミレーの「種まく人」が種を撒いた後の様子を描いたものや、冷蔵庫の中に描かれた作品、壁の隅に折りたたまれたような作品、開閉して鑑賞する絵画(★こちらで観られます(pdf))などもありました。
<4 今日を生きる眼差し>
最後は西洋画をモチーフにした作品の他、様々な品が展示されていました。ここは写真撮影が可能でしたので、写真を使ってご紹介しようと思います(撮れると思っていなかったのでスマフォで撮ってます)
福田美蘭 「受胎告知」

こちらは一見すると古い宗教画のように見えます。オリジナルがあるのか分かりませんが、動きのある劇的な雰囲気となっていました。
福田美蘭 「山水図」

これは伝統的な山水のような表現ですが、上空にジャンボジェット機が飛んでいますw 機体には787とあり、最近世間を騒がせているボーイング787のようです。 解説によると、奇怪さと不気味さの魅力を持って描かれる北宋系山水画に飛行させることで、身近に存在する不安と狂気を描いているとのことでした。つい最近の話題も作品になっていて驚きw
この辺には今回のポスターなっている作品もありました。
福田美蘭 「バルコニーに立つ前川國男」

これはギャラリーA(地下)にある明かり取りのバルコニーに設計者の前川國男氏のパネルを置いた作品です。意外と違和感がないかなw この場所ならではの作品で、前川國男氏が設計した建物への敬意が感じられました。
参考記事:「東京都美術館ものがたり」展 (東京都美術館)
福田美蘭 「眠れる森の美女・オーロラ姫」

これは詳しい解説を読むのを忘れましたが、部屋の一角にありました。よく観るとクッションに犬のような顔が…w 残念ながら座ることはできません。
ということで、ユーモアと芸術への深い愛を感じる作品が並んでいて予想以上に楽しめました。その表現方法によって可笑しさや皮肉、敬意、哀悼など様々な意味が感じられるところが特に面白かったです。もうすぐ終わってしまいますが、お勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
福田美蘭展
【公式サイト】
http://www.tobikan.jp/museum/2013/2013_fukudamiran.html
【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2013年7月23日~9月29日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、混んでいるわけではなく快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は現代の女性画家 福田美蘭 氏の個展となっています。福田美蘭 氏は母方の祖父に童話画家の林義雄 氏、父に世界的なグラフィック・デザイナーの福田繁雄を持つ画家一家の生まれで、東京藝術大学に学び卒業制作展 及び 修了制作展を経て、現代日本美術展や日本国際美術展に出品するなど、上野やこの東京都美術館を舞台にキャリアを積みました。1989年には史上最年少の安井賞(新人洋画家の登竜門)を受賞したそうで、それ以降も現在に至るまで多彩で個性的な表現で活躍し続けています。今回はその活動の中から1990年代以降の作品と、この展示の為に制作した新作を合わせて70点ほどが並び、4つの章で構成されていました。詳しくは気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<1 日本への眼差し>
まずは日本の伝統や日本の風景を題材としたコーナーです。
1-18 福田美蘭 「木花開耶姫命」
これは富士山とその前の水辺を描いた大きな絵画作品で、タイトルは「このはなのさくやびめのみこと」と読み、富士山にある浅間神社が祀っている花(桜)のように美しい女神のことです。この絵は一見すると雄大な風景画ですが、よく観ると富士山の中腹に「マツモトキヨシ」と書いてありますw さらに葉っぱの影には「すかいらーく」、森には「HMV」というように沢山のロゴが隠されているのが分かります。こうなると全部探したくなるのが人情で、私が見つけた中ではマクドナルドのM、ピザーラ、NTT、リポビタンD、ASAHI、FUJIFILM、ユニクロ、JTB、ケンタッキー、Kleenex(クリネックス)などのロゴがあり、一番面白かったのは木の枝がくっつき合って出来たカーネルサンダースの顔でしたw 一種のゲーム的な要素がありつつ、美しい風景の中にも広告だらけというのが皮肉のようにも思えました。
1-1 福田美蘭 「湖畔」
これは団扇を持った浴衣姿の美人が湖畔で涼んでいるところを描いた作品で、一見すると明治時代の画家 黒田清輝の同名の作品の模写に見えます。しかし、これはそれをカラーコピーした上で、その景色の続きを描いているというもので、意外と違和感なく湖と黄色い空が広がっています。解説によると、福田美蘭 氏はこの作品について、名画として我々の意識の中に定着している画面の縁を広げてみることで、固定されているイメージ自体も広げようとしたとのことでした。
参考記事:黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景 (東京国立博物館 本館18室)
1-19 福田美蘭 「扇面流図」
これは単純化された琳派風の波の上に、団扇が貼り付けられている作品です。背景は伝統的な感じなのに対して貼られている団扇はそこら辺で配っているケバケバしい広告だらけで、漫画喫茶やキャバクラ、商品紹介などの団扇となっていますw 安っぽいことこの上ない団扇ですが、これは大量の情報が限られた期間の中に流されて消えていくのを表現しているようです。このミスマッチが面白く、啓発されているようにも思えました。
この辺には葛飾北斎の冨嶽三十六景が左右逆転している作品もありました。伝統をモチーフにした作品は福田美蘭 氏の1つのジャンルと言えるかも。
1-5 福田美蘭 「落書き(渋谷駅南口)(渋谷駅東口)(渋谷駅西口)」
これは街で見かける文字のようなマークのような落書きをモチーフにした掛け軸で、墨跡の達筆ように書かれています。その下には市販されている漫画の背景のためのイラストがそのまま使われていて、そのマークがあった場所を選んでいるようでした。これも現代のものを伝統的な表現する感じで面白かったです。
1-12 福田美蘭 「象牙(スプーン)(マドラー)(ストロー)」
これは象牙で出来たスプーンやマドラー、ストローなどで、見た目はマクドナルドのそれそのものですw 象牙と同じように滑らかな肌触りであるプラスティックの製品をモチーフにして肌触りをイメージして貰いたいとのことですが、見た目と素材のギャップが大きすぎて驚きました。これも発想が独特で面白かったです。
この近くには黒人版の市松人形や、水墨画の中にディズニー風の白雪姫が描かれている掛け軸、旭日がハート型になっている掛け軸などもありました。
<2 現実への眼差し>
続いては日常や時事問題をモチーフにしたコーナーでした。
2-5 福田美蘭 「道頓堀」
これは以前にもご紹介しましたが、夜の道頓堀(グリコの看板辺り)の様子を描いた大型絵画で、電飾看板の光が川に反射している様子などが描かれています。絵の中央辺りに蝶番があり、上下で中折りできるようになっているそうで、風景を描いて乾かない内に折り重ねて転写し、水面に光が反射している感じを出しているようです。その反射具合が絶妙で、その技法と発想に驚かされました。
参考記事:群馬県立近代美術館の常設 (2010年02月)
2-6 福田美蘭 「ニューヨークの星」
これはブルックリン橋付近のにニューヨークの夜景を描いた作品で、空には星が輝いています。背景には今はなき貿易センタービルのツインタワーが描かれ、タワーは無数の丸い穴でくり抜かれています。実はそのくり抜いたものを星として散りばめているようで、その表現からはやはり911の事件を思い起こします。解説によると、これにはメッセージ性はないとのことでしたが、象徴的な作品に思えました。
この隣にはイラクへの報復戦争に向かうブッシュと対話するキリストを描いた作品や、貿易センタービルからの眺め(の写真)を絵画化したものなどもありました。
2-11 福田美蘭 「噴火後の富士山」
これは噴火して火口が崩れてしまった富士山をイメージして描いた作品で、手前には桜の花が咲いています。富士山は日本のアイデンティティに深く根ざしているため、こうした崩壊は精神的にも深刻な影響を与えるため、タブーとなっていると作者は考えているようです。確かにこのショッキングな画面を観ると残念な気分になるかな。逆説的に考えればそれほど深く日本人の心に根ざしているというのを感じさせました。こうなって欲しくないですね。。。
このコーナーには他にも歌舞伎町で配ったポケットティッシュの作品や、ゴミ袋をモチーフにした作品など東京での生活に基づいた変わった作品もありました。
<3 西洋への眼差し>
続いての3章は下の階の展示室です。ここは西洋画をモチーフにした作品などが展示されていました。
3-14 福田美蘭 「ポーズの途中に休憩するモデル」 ★こちらで観られます
これはレオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザのモデルの女性が石のベンチの上でうつ伏せになってもたれかかって休んでいる様子が描かれた作品です。当時のモデルは必ず休憩していたらしく、その場面を想像して描いているようです。その発想も面白いですが、画風までレオナルド・ダ・ヴィンチっぽいのが驚きでした。
この近くには床の上に描かれた絵を踏みながら鑑賞するという作品もありました。やってはいけない感が半端じゃないw
3-22 福田美蘭 「レンブラント-パレットを持つ自画像」
これはレンブラントの晩年の自画像を元にした作品で、オリジナルには背景に2つの大きな円があり、それが意味するものに関しては様々な解釈を生んでいるそうです。しかしこの作品ではその円は巨大なドラえもんの手として表現されていて、全体的に観るとドラえもんのお腹の辺りにレンブラントの自画像が描かれているというシュールな作品となっています。こうした名画のパロディ的な作品は流石かなw
この辺にはキリストが双子だったらという聖家族の像や、名画を視点を変えて描くシリーズの作品などもありました。どれもオリジナルの画家っぽさが出ているのも面白いです。
3-18 福田美蘭 「リンゴとオレンジ」
これはセザンヌの「リンゴとオレンジ」の静物画をコピーして、その上から美大受験のために通信教育で行われる添削を模した評価が描かれたものです。「この空間が分からない」とか「中心軸」がズレていますとか、「台の設定が不安定です」などのアドバイスがあり、総評価は「視点がバラバラです」としてB+となっていました。その添削がある意味鋭くもあり とぼけているようでもありで、笑えました。
この近くにはミレーの「種まく人」が種を撒いた後の様子を描いたものや、冷蔵庫の中に描かれた作品、壁の隅に折りたたまれたような作品、開閉して鑑賞する絵画(★こちらで観られます(pdf))などもありました。
<4 今日を生きる眼差し>
最後は西洋画をモチーフにした作品の他、様々な品が展示されていました。ここは写真撮影が可能でしたので、写真を使ってご紹介しようと思います(撮れると思っていなかったのでスマフォで撮ってます)
福田美蘭 「受胎告知」

こちらは一見すると古い宗教画のように見えます。オリジナルがあるのか分かりませんが、動きのある劇的な雰囲気となっていました。
福田美蘭 「山水図」

これは伝統的な山水のような表現ですが、上空にジャンボジェット機が飛んでいますw 機体には787とあり、最近世間を騒がせているボーイング787のようです。 解説によると、奇怪さと不気味さの魅力を持って描かれる北宋系山水画に飛行させることで、身近に存在する不安と狂気を描いているとのことでした。つい最近の話題も作品になっていて驚きw
この辺には今回のポスターなっている作品もありました。
福田美蘭 「バルコニーに立つ前川國男」

これはギャラリーA(地下)にある明かり取りのバルコニーに設計者の前川國男氏のパネルを置いた作品です。意外と違和感がないかなw この場所ならではの作品で、前川國男氏が設計した建物への敬意が感じられました。
参考記事:「東京都美術館ものがたり」展 (東京都美術館)
福田美蘭 「眠れる森の美女・オーロラ姫」

これは詳しい解説を読むのを忘れましたが、部屋の一角にありました。よく観るとクッションに犬のような顔が…w 残念ながら座ることはできません。
ということで、ユーモアと芸術への深い愛を感じる作品が並んでいて予想以上に楽しめました。その表現方法によって可笑しさや皮肉、敬意、哀悼など様々な意味が感じられるところが特に面白かったです。もうすぐ終わってしまいますが、お勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事
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