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クローズアップ工芸 【東京国立近代美術館 工芸館】

前回ご紹介した東京国立近代美術館の常設展示を観た後、少し離れたところにある工芸館に移動して、「クローズアップ工芸」という展示を観てきました。

P1130019.jpg

【展覧名】
 クローズアップ工芸

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/CG/closeupcrafts2013/index.html

【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅


【会期】2013年9月14日(土)~12月8日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展示は近現代を代表する5人の工芸作家を取り上げたもので、その細部にフォーカスするというオムニバス形式の展覧会となっています。詳細な情報は少なめでしたので、簡単に気に入った作品をいくつかご紹介していこうと思います。

まずは友禅染の森口華弘 氏のコーナーです。

4-12 森口華弘 「縮緬地友禅訪問着 菊」
これは背中に菊の花が花畑のように広がっている模様の友禅染の着物です。肩・首辺りは特に花が密集し、下のほうは茎が多めに見えるかな。放射状になり遠近感があるのも面白かったです。かなり斬新な印象を受けました。

4-17 森口華弘 「友禅訪問着 双華」
これは背中の方の下部を中心に、短い線が無数に放射されているような意匠の着物です。ピンク、金、白、青など色も多彩で、渦巻いているような感じがします。これも観たこともないような斬新な模様で、華やかな印象を受けました。
少し先にはこの作品のための下絵などもありました。

続いては彫金の鈴木長吉 氏の作品のコーナーです。

1-2 鈴木長吉 「十二の鷹」 ★こちらで観られます
これは様々な金属製の鷹が12羽並んでいる壮観な作品で、身を低くしていたり、下を向いていたり、羽を広げていたり、緊張感漂う鷹たちが1本の止まり木に並んでいます。それぞれ細部までリアルに作られていて、羽毛の質感などは1本1本の毛まで表すほどです。どれも威厳があり、生き生きとしていました。解説によると、作者は実際に鷹を飼って観察し、古い資料や名画に基づいて研究していたとのことです。これは一見の価値があると思います。

この近くには二代橋本長兵衛の助けを借りて徳川家光が描いたとされる「架鷹図屏風」などもありました。
続いては富本憲吉 氏による独特の文様で彩色された陶磁器が並ぶコーナーです。

2-13 富本憲吉 「色絵金彩羊歯模様大飾壺」 ★こちらで観られます
これは金銀を背景に、風車のようにねじれた白い花が描かれた飾壺です。この花は定家葛という花で実際にこうしてねじれて咲くそうで、それが様式化されパターンとなって表されています。金銀と相まって非常に絢爛かつ優美な印象を受け、気品が感じられました。

2-14 富本憲吉 「色絵金銀彩羊歯文六角小箱」
これは6角形の底の浅い陶器の小箱で、表面は赤と金の菱型文様が並ぶ柄となっています。ひし形には小さなシダの葉っぱが表されていて、何とも洒落た感じです。この近くには同様にシダ模様の箱や壺があり、いずれも幾何学的美しさと有機的美しさの両面を感じさせました。

2-8 富本憲吉 「色絵金銀彩羊歯文八角飾箱」
これは8角形の飾り箱で、白い枠に金と銀のシダの模様が描かれ、下地は青となっています。その色合いが美しく、形と意匠の面白さもあり非常に気に入りました。

続いては松田権六 氏による蒔絵の箱のコーナーです。

3-7 松田権六 「蒔絵玉すだれ文盤」
これは四角い形の蒔絵の文盤で、白い花(玉すだれ)が表されています。花は皿のふちを沿うように表されているのが面白く、リズミカルな雰囲気でした。非常に鮮やかな色合となっているのも好みです。

3-10 松田権六 「蒔絵竹林文箱」
これは黒漆の蒔絵の箱で、上面には金で竹林の葉っぱが表され、横には3羽の雀の姿があります。周りには大小 不揃いの金粉が用いられていて、それが雪のように見えて雅な印象を受けました。 仲良く並ぶ雀たちも可愛いかったです。

最後は小名木陽一 氏による繊維を使った現代アート作品のコーナーです。

5-2 小名木陽一 「赤い手ぶくろ」 ★こちらで観られます
これは人の背丈よりも大きな真っ赤な手袋で、壁から伸びてきているような感じで展示されていました。作者は素材と技法を工夫して作品の形を立体的に保つ試みを続け「繊維の自立」を目指しているそうで、これもそうした作品のようです。色と形に非常に驚きました。

この部屋にはもう1点立体的作品がありました。


ということで、伝統的なジャンルでありながら斬新な作品が多く観られて中々楽しめる内容でした。 この工芸館はあまり知られていないようですが、日本の工芸の素晴らしさがよく分かる作品がよく出てきますので、東京近代美術館に行く機会があったら、足を伸ばしてみることをお勧めします。

 参照記事:★この記事を参照している記事

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