近代への眼差し 印象派と世紀末美術 (感想前編)【三菱一号館美術館】
前回ご紹介した展示を観た後、ちょっと移動して三菱一号館美術館で始まったばかりの「近代への眼差し 印象派と世紀末美術」を観てきました。

【展覧名】
近代への眼差し 印象派と世紀末美術
【公式サイト】
http://mimt.jp/meihin/
【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2013年10月5日(土)~2014年1月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
初日で雨が降っていたのですが、それでも結構多くのお客さんで賑わっていました。元々会場が狭いので、場所によっては混雑してる感じもしました。
さて、今回の展示は三菱一号館美術館のコレクションをテーマごとに見ていくという内容です。三菱一号館美術館は3年前にオープンしたばかりで、いくつか今までもコレクションを観た覚えがありますが、そんなに点数があるのだろうか?と疑問に思っていました。しかし、この展示には149点もの作品が集まりコレクションが充実してきたことが伺えます。(版画が多め) 展覧会は時代や画家によって章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品とともにご紹介していこうと思います。
参考記事:
三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」 (三菱一号館美術館)
マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
<1章 ミレーと印象派>
まずはバルビゾン派のミレーと、印象派の画家たちの作品のコーナーです。ここは目新しい解説は無かったので省略致します。
003 カミーユ・ピサロ 「窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木」
手前に赤い実のなった木が大きく描かれ、その奥に道と立ち並ぶ家々が描かれた作品です。全体的に点々で描かれた点描画となっていて、これはスーラたち新印象主義の技法に倣って作品を描いていた時代の作品のようです。また、手前の木はかなりの存在感があり、これは浮世絵からの影響のようです。明るめの色彩となっていて穏やかな雰囲気があり、その人柄や後進からも学んだ姿勢が伺える作品でした。
007 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「麦藁帽子の女性」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品で、黄色い帽子を被った長い赤毛の女性が描かれています。指で髪を摘み、夢見るような表情に見えるかな。解説によると、この頃のルノワールはラファエロやアングルに回帰していたそうで、輪郭線が明確になっているという特徴があります。その為か色合いはルノワールらしいですが、シャープな印象を受けました。右薬指の指輪や耳飾りなども含めて可憐な印象を受ける作品でした。
参考記事:
ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)
ルノワール-伝統と革新 感想後編(国立新美術館)
この近くにはりんごを描いたセザンヌの作品もありました。
009 クロード・モネ 「草原の夕暮れ、ジヴェルニー」 ★こちらで観られます
樹の下で地面に座って休んでいる男女を描いた作品で、背景には広々とした草原が広がり遠くには背の高い木も見えています。夕暮れ時らしく空はピンクに染まり、全体的に穏やかな雰囲気でのんびりした風景でした。
<2章 ルドンの「黒」>
続いてはオディロン・ルドンの版画作品が並ぶコーナーです。ここには版画集「夢の中で」と「ゴヤ頌」のシリーズが並んでいました。
参考記事:
オディロン・ルドン ―夢の起源― 感想前編(損保ジャパン東郷青児美術館)
オディロン・ルドン ―夢の起源― 感想後編(損保ジャパン東郷青児美術館)
017 オディロン・ルドン 「夢の中で Ⅶ.猫かぶり」
目がつり上がり後頭部が小さい異形の小人と、同じような顔立ちの女性?が向き合っている様子が描かれた作品です。確かにタイトルのように猫みたいな顔にも見えるかな。2人の間が最も暗い闇となっている表現が面白く、静かで妖しい雰囲気がありました。
026 オディロン・ルドン 「ゴヤ頌 Ⅵ.めざめた時、私はきびしく無情な横顔の叡智の女神を見た」
これは横向きの女性の頭部を書いたもので、無表情でどこを見ているのかも分からない目つきをしています。花の髪飾りがついているのですが、可憐さはあまりなく幻想的な感じすらしました。緻密な線で陰影が付けられるのも面白いです。
<3章 トゥールーズ=ロートレックと仲間たち>
3章はロートレックのポスターなどが並び、後半はレスタンプ・オリジナルに関するコーナーとなっています(レスタンプ・オリジナルは4章にも続きます)
参考記事:トゥールーズ=ロートレック展 (三菱一号館美術館)
027 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ベルフォール」 ★こちらで観られます
これは大きなリボンのボンネットを被り赤いドレスを着た黒髪の女性(歌手)が、右向きに立って黒猫を抱いている様子が描かれた作品です。黒・赤・白の色の対比が強く、顔はあどけない感じに見えます。 また、この隣には恋人の女性を描いた「メイ・ミルトン」(★こちらで観られます)も展示されていました。こちらは左向きで白いドレスの裾を広げるポーズをした金髪女性で、まるで浮世絵の歌舞伎役者のように誇張された感じの顔つきをしています。解説によると、2人は対として描かれたのではないかとのことで、赤と白、向き合うようなポーズなど、確かに頷ける対照的な2枚でした。
この近くにはロートレックの有名な「悦楽の女王」や「ムーラン・ルージュ・ラ・グーリュ」などもありました。また、ロートレックが手がけたラ・ルヴュ・ブランシュ誌の付録やポスターなども展示されています。
[レスタンプ・オリジナル]
続いてはアンドレ・マルティという出版者が発行した「レスタンプ・オリジナル」という版画集についての小コーナーで、これにはロートレックも関わっています。アンドレ・マルティは独創的で斬新な作品を手がけた敏腕出版者だそうで、「レスタンプ・オリジナル」にはロートレックをはじめルノワールやヴュイヤール、ジュール・シェレなどかなり豪華な面々が参加しているらしく、ここではまずロートレックの「レスタンプ・オリジナル」の作品が紹介されていました。
050 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「第1年次のための表紙」 ★こちらで観られます
これはピンクの服を着た女性(踊り子)が手に持った紙を読んでいる姿が描かれた版画で、その後ろには出版の作業をしている男性の姿も描かれています。解説によると、これは刷り上がった版画を観てチェックしているらしく、かなり真剣な面持ちに見えます。全体的に色合いは少ないですが、ロートレックらしい色遣いと鋭い観察眼が楽しめました。
この近くにはロートレックがカフェ・ゴヤールの客を描いたシリーズ版画も展示されていました。
<4章 レスタンプ・オリジナル>
続いても「レスタンプ・オリジナル」のコーナーで、こちらは画家を問わず展示されていました。「レスタンプ・オリジナル」は1893年~1895年に出版された創作(オリジナル)版画集で、毎号10点の版画を収め 限定100部で頌布されたそうです。アンドレ・マルティが企画し、著名な画家や版画家から新人に至るまで幅広い人々を起用したそうで、シャバンヌ、ルノワール、ピサロ、ルドン、ゴーギャン、ブラックモン、シュレなどが起用されました。また、こうした既に評価されていた芸術家だけではなく、ナビ派の画家などにも門戸を開いていたようで、ここには意外な作家の作品なども展示されていました。
059 オーギュスト・ロダン 「アンリ・ベックの肖像」
これは口ひげを生やした劇作家のアンリ・ベックという人物を描いた肖像です。彫刻家で有名なロダンですが、生涯に13点の版画を残して、これは以前作った彫刻を元に版画化したようです。前、横、斜めの向きから描かれていて、立体的な考察は流石かな。緻密に描かれているものの、ロダンの彫刻に通じる力強い印象を受けました。
061 ウジェーヌ・カリエール 「ネリー・カリエール」
これは女性の横向きの顔が闇に浮かぶように描かれた作品です。髪と背景の境がなく、目は描かれていないのが不気味な感じです。細い線を重ねて表現しているためか全体的にぼんやりしていて、まるで幽霊のような儚い印象を受けました。これは中々インパクトがあります。
この近くにはシャバンヌやピサロ、ゴーギャン、ルドンの版画作品もありました。
066 アンリ・ファンタン=ラトゥール 「聖アントニウスの誘惑」
こちらは膝をついて髑髏を手に持つフードを被った聖アントニウスと、その後ろにいる2人の裸婦が描かれた作品です。これは聖アントニウスの幻視で、裸婦たちは親しげに寄り添い、官能的な雰囲気で聖アントニウスを誘惑しているようです。しかし聖アントニウスはその誘惑を髑髏を持って退けているらしく、じっと考えているようでした。黒っぽい色合いで地味な聖アントニウスに比べ、白く華やかに表現された裸婦たちが対照的に見えました。 ちなみにルドンに版画を教えたのはラトゥールなのだとか。
この近くは結構知らない画家の作品もあり楽しめました。みんな主義や画風はバラバラで、才能のみでレスタンプ・オリジナルの仕事に抜擢されているようです。
072 アンリ・ブテ 「パリの女」
これは縦長の作品で、街中を歩く黒いドレスを着た女性の後ろ姿が描かれています。背景には夜の街?が描かれ、若干の哀愁を感じさせます。女性はスラっとしていてシルエットは美しいものの、ややぼんやりしていて幻想的な雰囲気もありました。
この近くにはアメリカのホイッスラーなどの作品までありました。
ということで、今日はこの辺までにしておこうと思います。正直、最初の方はビッグネームが揃っているものの目新しい感じがせず、コレクションの方向性もよく分かりませんでしたが、レスタンプ・オリジナルの辺りから徐々に面白くなってきました。後半には今回の展示で最も気に入ったヴァロットンの版画なども展示されていましたので、次回はそれについてご紹介して参ります。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
近代への眼差し 印象派と世紀末美術
【公式サイト】
http://mimt.jp/meihin/
【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2013年10月5日(土)~2014年1月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
初日で雨が降っていたのですが、それでも結構多くのお客さんで賑わっていました。元々会場が狭いので、場所によっては混雑してる感じもしました。
さて、今回の展示は三菱一号館美術館のコレクションをテーマごとに見ていくという内容です。三菱一号館美術館は3年前にオープンしたばかりで、いくつか今までもコレクションを観た覚えがありますが、そんなに点数があるのだろうか?と疑問に思っていました。しかし、この展示には149点もの作品が集まりコレクションが充実してきたことが伺えます。(版画が多め) 展覧会は時代や画家によって章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品とともにご紹介していこうと思います。
参考記事:
三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」 (三菱一号館美術館)
マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
<1章 ミレーと印象派>
まずはバルビゾン派のミレーと、印象派の画家たちの作品のコーナーです。ここは目新しい解説は無かったので省略致します。
003 カミーユ・ピサロ 「窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木」
手前に赤い実のなった木が大きく描かれ、その奥に道と立ち並ぶ家々が描かれた作品です。全体的に点々で描かれた点描画となっていて、これはスーラたち新印象主義の技法に倣って作品を描いていた時代の作品のようです。また、手前の木はかなりの存在感があり、これは浮世絵からの影響のようです。明るめの色彩となっていて穏やかな雰囲気があり、その人柄や後進からも学んだ姿勢が伺える作品でした。
007 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「麦藁帽子の女性」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品で、黄色い帽子を被った長い赤毛の女性が描かれています。指で髪を摘み、夢見るような表情に見えるかな。解説によると、この頃のルノワールはラファエロやアングルに回帰していたそうで、輪郭線が明確になっているという特徴があります。その為か色合いはルノワールらしいですが、シャープな印象を受けました。右薬指の指輪や耳飾りなども含めて可憐な印象を受ける作品でした。
参考記事:
ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)
ルノワール-伝統と革新 感想後編(国立新美術館)
この近くにはりんごを描いたセザンヌの作品もありました。
009 クロード・モネ 「草原の夕暮れ、ジヴェルニー」 ★こちらで観られます
樹の下で地面に座って休んでいる男女を描いた作品で、背景には広々とした草原が広がり遠くには背の高い木も見えています。夕暮れ時らしく空はピンクに染まり、全体的に穏やかな雰囲気でのんびりした風景でした。
<2章 ルドンの「黒」>
続いてはオディロン・ルドンの版画作品が並ぶコーナーです。ここには版画集「夢の中で」と「ゴヤ頌」のシリーズが並んでいました。
参考記事:
オディロン・ルドン ―夢の起源― 感想前編(損保ジャパン東郷青児美術館)
オディロン・ルドン ―夢の起源― 感想後編(損保ジャパン東郷青児美術館)
017 オディロン・ルドン 「夢の中で Ⅶ.猫かぶり」
目がつり上がり後頭部が小さい異形の小人と、同じような顔立ちの女性?が向き合っている様子が描かれた作品です。確かにタイトルのように猫みたいな顔にも見えるかな。2人の間が最も暗い闇となっている表現が面白く、静かで妖しい雰囲気がありました。
026 オディロン・ルドン 「ゴヤ頌 Ⅵ.めざめた時、私はきびしく無情な横顔の叡智の女神を見た」
これは横向きの女性の頭部を書いたもので、無表情でどこを見ているのかも分からない目つきをしています。花の髪飾りがついているのですが、可憐さはあまりなく幻想的な感じすらしました。緻密な線で陰影が付けられるのも面白いです。
<3章 トゥールーズ=ロートレックと仲間たち>
3章はロートレックのポスターなどが並び、後半はレスタンプ・オリジナルに関するコーナーとなっています(レスタンプ・オリジナルは4章にも続きます)
参考記事:トゥールーズ=ロートレック展 (三菱一号館美術館)
027 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ベルフォール」 ★こちらで観られます
これは大きなリボンのボンネットを被り赤いドレスを着た黒髪の女性(歌手)が、右向きに立って黒猫を抱いている様子が描かれた作品です。黒・赤・白の色の対比が強く、顔はあどけない感じに見えます。 また、この隣には恋人の女性を描いた「メイ・ミルトン」(★こちらで観られます)も展示されていました。こちらは左向きで白いドレスの裾を広げるポーズをした金髪女性で、まるで浮世絵の歌舞伎役者のように誇張された感じの顔つきをしています。解説によると、2人は対として描かれたのではないかとのことで、赤と白、向き合うようなポーズなど、確かに頷ける対照的な2枚でした。
この近くにはロートレックの有名な「悦楽の女王」や「ムーラン・ルージュ・ラ・グーリュ」などもありました。また、ロートレックが手がけたラ・ルヴュ・ブランシュ誌の付録やポスターなども展示されています。
[レスタンプ・オリジナル]
続いてはアンドレ・マルティという出版者が発行した「レスタンプ・オリジナル」という版画集についての小コーナーで、これにはロートレックも関わっています。アンドレ・マルティは独創的で斬新な作品を手がけた敏腕出版者だそうで、「レスタンプ・オリジナル」にはロートレックをはじめルノワールやヴュイヤール、ジュール・シェレなどかなり豪華な面々が参加しているらしく、ここではまずロートレックの「レスタンプ・オリジナル」の作品が紹介されていました。
050 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「第1年次のための表紙」 ★こちらで観られます
これはピンクの服を着た女性(踊り子)が手に持った紙を読んでいる姿が描かれた版画で、その後ろには出版の作業をしている男性の姿も描かれています。解説によると、これは刷り上がった版画を観てチェックしているらしく、かなり真剣な面持ちに見えます。全体的に色合いは少ないですが、ロートレックらしい色遣いと鋭い観察眼が楽しめました。
この近くにはロートレックがカフェ・ゴヤールの客を描いたシリーズ版画も展示されていました。
<4章 レスタンプ・オリジナル>
続いても「レスタンプ・オリジナル」のコーナーで、こちらは画家を問わず展示されていました。「レスタンプ・オリジナル」は1893年~1895年に出版された創作(オリジナル)版画集で、毎号10点の版画を収め 限定100部で頌布されたそうです。アンドレ・マルティが企画し、著名な画家や版画家から新人に至るまで幅広い人々を起用したそうで、シャバンヌ、ルノワール、ピサロ、ルドン、ゴーギャン、ブラックモン、シュレなどが起用されました。また、こうした既に評価されていた芸術家だけではなく、ナビ派の画家などにも門戸を開いていたようで、ここには意外な作家の作品なども展示されていました。
059 オーギュスト・ロダン 「アンリ・ベックの肖像」
これは口ひげを生やした劇作家のアンリ・ベックという人物を描いた肖像です。彫刻家で有名なロダンですが、生涯に13点の版画を残して、これは以前作った彫刻を元に版画化したようです。前、横、斜めの向きから描かれていて、立体的な考察は流石かな。緻密に描かれているものの、ロダンの彫刻に通じる力強い印象を受けました。
061 ウジェーヌ・カリエール 「ネリー・カリエール」
これは女性の横向きの顔が闇に浮かぶように描かれた作品です。髪と背景の境がなく、目は描かれていないのが不気味な感じです。細い線を重ねて表現しているためか全体的にぼんやりしていて、まるで幽霊のような儚い印象を受けました。これは中々インパクトがあります。
この近くにはシャバンヌやピサロ、ゴーギャン、ルドンの版画作品もありました。
066 アンリ・ファンタン=ラトゥール 「聖アントニウスの誘惑」
こちらは膝をついて髑髏を手に持つフードを被った聖アントニウスと、その後ろにいる2人の裸婦が描かれた作品です。これは聖アントニウスの幻視で、裸婦たちは親しげに寄り添い、官能的な雰囲気で聖アントニウスを誘惑しているようです。しかし聖アントニウスはその誘惑を髑髏を持って退けているらしく、じっと考えているようでした。黒っぽい色合いで地味な聖アントニウスに比べ、白く華やかに表現された裸婦たちが対照的に見えました。 ちなみにルドンに版画を教えたのはラトゥールなのだとか。
この近くは結構知らない画家の作品もあり楽しめました。みんな主義や画風はバラバラで、才能のみでレスタンプ・オリジナルの仕事に抜擢されているようです。
072 アンリ・ブテ 「パリの女」
これは縦長の作品で、街中を歩く黒いドレスを着た女性の後ろ姿が描かれています。背景には夜の街?が描かれ、若干の哀愁を感じさせます。女性はスラっとしていてシルエットは美しいものの、ややぼんやりしていて幻想的な雰囲気もありました。
この近くにはアメリカのホイッスラーなどの作品までありました。
ということで、今日はこの辺までにしておこうと思います。正直、最初の方はビッグネームが揃っているものの目新しい感じがせず、コレクションの方向性もよく分かりませんでしたが、レスタンプ・オリジナルの辺りから徐々に面白くなってきました。後半には今回の展示で最も気に入ったヴァロットンの版画なども展示されていましたので、次回はそれについてご紹介して参ります。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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