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原六郎コレクションの名品 【ハラミュージアムアーク】

10日ほど前の休日に、日帰りで群馬県の伊香保温泉に行ってきました。その際にグリーン牧場に併設されているハラミュージアムアークで、「原六郎コレクションの名品」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれているようで、私が観たのは後期の内容となっていました。

(今回はデジカメのメモリーを忘れるという痛恨のミスをしたのでスマフォで撮っています)
2013-10-12 14.55.53

2013-10-12 15.02.01 2013-10-12 15.02.18

【展覧名】
 原六郎コレクションの名品

【公式サイト】
 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

【会場】ハラミュージアムアーク
【最寄】渋川駅


【会期】
 前期 2013/09/07(土)~10/09(水)
 後期 2013/10/11(金)~11/20(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
さて、この美術館は伊香保温泉からほど近いグリーン牧場の隣にある美術館で、品川にあるハラミュージアムの別館とも言えるところです。3年ほど前に行った時には冬季休館中で入ることができなかったのですが、今回は事前にしっかり調べてから行きましたw
 参考記事:
  伊香保温泉の写真
  伊香保グリーン牧場の写真
  群馬ガラス工芸美術館の案内

展示は現代美術の常設が3部屋と、觀海庵という部屋で「原六郎コレクションの名品」が開催されていて、その他に野外の常設作品がありました。簡単にですが各部屋ごとの様子をダイジェスト的ご紹介していこうと思います。


<現代美術ギャラリーA>
この部屋は入った瞬間に非常に驚かされました。中央に巨大なバルーン人形(マックス・ストリッヒャー氏の「sleepig giants(silenus)」)があり、若干浮いているような感じで仰向けで斜め上を向いています。これは意味は分かりませんでしたが、子供のようにも見えるかな? 若干不気味な感じもしますw それ以外にも やなぎみわ氏のエスカレーターとその両脇に並ぶ赤い服の女性たちを撮った作品や、米田知子 氏の歴史上の著名人が使っていたメガネを撮った写真シリーズ、佐藤時啓 氏の長時間露光で撮った風景作品などもありました。


<現代美術ギャラリーB>
続いてのB室はミランダ・ジュライ氏の「廊下」という作品が展示されていました。これは通路状の作品で、狭い道に様々なメッセージや簡易な絵があり、それを見ながら進んで行きます。(日本語版と英語版がある) この廊下が人生そのものを表しているかのようなメッセージかと思えば、ナンセンスな感じもして独特の面白さがありました。言葉と通路というロケーションの組み合わせが絶妙です。


<現代美術ギャラリーC>
こちらは何人かの作品が並ぶコーナーで、フランチェスカ・ウッドマンやトレイシー・エミンの写真作品、加藤泉のちょっと怖い3人の人物像(宇宙人みたいな…w)などがある部屋です。奥には草間彌生のミラールームという、部屋中が黄色地に黒の水玉だらけの部屋もあり、その部屋の中央には鏡に囲まれたカボチャのオブジェ(穴から覗きこんで鑑賞する)もありました。ずっといたらおかしくなりそうなくらい水玉だらけですw ここは特にインパクトがありました。


<屋外>
ギャラリーA~Cを観た後、屋外の作品も見て回りました(オラファー・エリアソンの作品は逆側にあるので、ギャラリーより先に見てました)

オラファー・エリアソン 「Sunspase for Shibukawa」
2013-10-12 14.57.41
こちらは金属製の家みたいな作品。実際に中に入ることができ、内部の壁には太陽の光で虹が出るようです。…と、私が観たときは残念ながら曇っていて見えませんでしたが、観測所のような作品でした。

小野節子 「夢」
2013-10-12 15.25.22
何ともメルヘンチックな雰囲気の作品。金属のキラキラした感じがよく似合います。

アンディ・ウォーホル「キャンベルズ トマトスープ」
2013-10-12 15.26.56
野原に現れた巨大なトマトスープの缶! これは先日ご紹介したアンディ・ウォーホルの代表作のバリエーションかな。これは写真で観るより大きめでした。
 参考記事:アメリカン・ポップ・アート展 感想後編(国立新美術館)


<觀海庵>
続いては今回のコレクション展が行われている觀海庵です。

3~5 杉本博司 「South Pacific Ocean」「Ionian Sea」「Black Sea」
これらは白黒の写真で、いずれも水面を撮ったものです。タイトルを観ると世界の様々な場所を写しているようですが、見分けはつきませんw むしろ水平線と水面だけで抽象画のようにすら見えてくるのが面白いです。いずれも静かで神秘的な雰囲気を湛えていました。
 参考記事:メトロポリタン美術館展 大地、海、空-4000年の美への旅  感想後編(東京都美術館) 

近くの入口にはアニッシュ・カプーアの黒い半円形の作品がありました。
 参考記事:番外編 金沢21世紀美術館の常設 (2012年02月)

8 狩野探幽 「蛤蜊観音図」
水の流れの上で大きな蛤に乗った観音が描かれた作品です。背景には月のようなものが描かれていて光背かな? 蛤は蜃気楼を出すという言い伝えがあり、文宗帝が好物の蛤を食べようとしたら観音が現れたという伝説もこの絵のモチーフと考えられるようです。波や翻る衣が軽やかで、雅な雰囲気がありました。

15 円山応挙 「淀川両岸図巻」
これは淀川の両岸を描いた16mもの長い巻物です。川に浮かぶ舟や建物など写実的で超緻密に描かれていて、途中で上下逆さになっているところもあります。観たままを描く写生の姿勢が伺えるとともに、その卓越した技術が見事でした。

12 「縄暖簾図屏風」
これは2曲1隻の屏風で、すだれを上げる着物の女性と白黒の猫?、左には御簾が垂れ下がっている様子が描かれています。これは源氏物語の「若菜上」の女三宮と柏木の出会いのシーンと結びつけられると考えられるそうで、簾が絵の中心になっているように見えます。規則的な垂直の線や御簾の無数の水平線など構成も幾何学的なのも面白かったです。

この隣には抽象絵画が展示されていました。この大胆な組み合わせの妙も独特で良かったです。

14 「青磁下蕪花瓶」
これは透き通るような薄い青の陶器で、どこから見ても均整の取れた形をしています。胴が太いのですが、首の辺りが細く優美な雰囲気があります。これは国宝の指定を受けているらしく、その色合い・形 いずれも私のような素人でも分かる気品で、非常に素晴らしい作品でした。


ということで、様々な作品を楽しむことができました。特に青磁の花瓶とアンディ・ウォーホルのトマト缶は観に行った価値があったと思います。ここは冬季に休業したりするので、もし足を運ばれる場合は事前に予定を確認しておくことをお勧めします。


おまけ:
この美術館の隣には洒落たカフェもあります。
2013-10-12 14.55.27
今回はちょっと前にお昼を食べたので行きませんでしたが、いずれまた行ってみたいと思います。この後はグリーン牧場で羊に餌をあげたりして遊んできましたが、以前もご紹介したので今回は割愛致します。


 参照記事:★この記事を参照している記事

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Comment
No title
こんにちわ
群馬へようこそ~^^

群馬在住◯十年ですが、行ったことが無いです。
オハズカシイ・・・

ぜひ今度行ってみます。
いいなぁ
ポップアート、
福島の美術館では、なかなか見られないので、
うらやましいなぁ~。
Re: No title
>ss standmanさん
コメント頂きましてありがとうございます。

群馬には久々に行ったのですが、結構見どころがありますね。
こちらも中々のコレクションだし、牧場で動物と遊べるしで半日楽しめました。
近くにはガラス工芸の美術館や竹久夢二の美術館などもあります。
是非一度足を運んでみてください^^
Re: いいなぁ
>和 さん
コメント頂きましてありがとうございます。
アンディ・ウォーホルたちアメリカン・ポップアートの作品を
常設している美術館は中々ないですよね。
ここは伝統的な日本美術の品も楽しめて良い美術館でした。
参考記事の伊香保グリーン牧場の羊、見させてもらいました!
ここの羊はかわいい子が多いですねe-265e-192
牛も馬もかわいい〜!行ってみたくなりました。
美術館、温泉、牧場が楽しめるなんて最高ですね。(^^)
Re: 羊
>めいさん
コメント頂きましてありがとうございます^^
グリーン牧場の羊は中々可愛いですよ。
おっさんみたいな声で餌に群がってくるのはちょっと怖いですがw
子羊もいました。

伊香保はまだ昭和が残っているようなノスタルジックな街なので、
街の観光も含めて1度は行ってみると楽しめると思います。
No title
こんばんは!

ハラミュージアムアーク、とっても素敵ですよねぇ。
見たかったオラファー作品、夏に行ったのでちゃんと虹が見えました^^
あとでTBさせてくださいませ♪
Re: No title
>naotomomoさん
コメント&TB頂きましてありがとうございます。
オラファーの作品はまったく虹が出ていないタイミングだったのは残念でしたが、
それ以外の作品も楽しめたので良かったです。
しかし、naotomomoさんの記事の写真を観ると、やはり晴れている時に行くべきだったかなとw

カフェも行かれたようで、羨ましい限りです^^
いずれ私も行ってみたいと思っております。
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遠征2日目。 新潟を昼前に出発して伊香保を目指します。 新潟から上越新幹線で高崎へ向かい、上越線に乗り換えて渋川駅へ。   旅のお供はいつものエチゴビール!レッドエールがお気に入りです。 渋川駅から伊香保温泉行きバスに乗って15分程。 グリーン牧場前バス停で降りて歩くこと7〜8分でしょうか。 やってきました、ハラ ミュージアム アーク。 品川にある...
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