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海藻 海の森のふしぎ 展 【LIXILギャラリー】

前回ご紹介した展示を観る前に、京橋のLIXILギャラリーで「海藻 海の森のふしぎ 展」を観てきました。

P1130617.jpg

【展覧名】
 海藻 海の森のふしぎ 展

【公式サイト】
 http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_002487.html

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町


【会期】2013年12月5日(木)~2014年2月22日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は世界の海藻をテーマにした内容で、主に日本での研究を通じて、その多様性や魅力について取り上げていました。海藻は世界に1万種類あるそうで、そのうち1500種類は日本の海に生息していて、昆布やワカメ、ノリなどは古くから食料とされてきました。しかし海藻は世界の海の1%に満たない浅い海に存在しないそうで、どのような姿で存在しているかあまり知られておらず、海藻の研究の歴史は意外と浅く20世紀入ってから研究が始まったそうです。海藻類が作る海の森は多くの海洋生物の住処や餌を提供し、豊かな生態系を支えているのですが、いつどのように進化してきたかの全容が明らかになったのはこの30年ほどで、今でも毎年数十種類の新種が報告され、時々全く新しい科の種類も発見されるなどまだまだ未知の部分も多いようです。

会場にはずらりと標本がならんでいました。入口付近にはマクロキスティス(ジャイアントケルプ)の気泡の標本があり、丸っこくて木の実のように見えましたが、これは昆布の仲間であるジャイアントケルプの浮袋だそうです。この種類は全長50mにも及ぶ海で一番大きく長い植物で、この浮袋によって水深20mを超える海底から立ち上がり50mもの体を海面に広げて光合成するようです。一言に昆布といっても色々あるようで、赤や茶色、緑など紅葉したような標本も展示されていました。ちなみにワカメやノリなどは夏と冬で全く違う形や大きさなのだとか。海藻にそんな違いがあるとは驚きです。

続いては野田三千代 氏による「海藻押し葉」が並んでいました。これは正方形のガラス容器の中に白い紙を背景に押し葉が貼り付けてあるもので、紫色の葉が多かったかな。筑波大学の実験センターで非常勤講師をされていた方らしく、研究としての用途だと思うのですがアーティスティックな雰囲気もありました。

その先には研究者や研究施設で交換される目的で制作されるエキシカータ標本が色素別に分類して並んでいました。これらは神戸大学が瀬戸内海で採取した188種のうちの39種類で、、褐毛、紅毛の色素があり 英語で海藻の名前や採取した場所、採取した日付が記載されていました。緑毛は特に綺麗で、様々な形や種類で変化に富んでいました。

展示室の奥にはオランダの植物学者スリンハーが1870年に書いた「日本の藻類」という本があり、正確なイラストが載っていました。また、モンターニュというフランスの植物学者の本もあり、海藻の研究の歴史を垣間見ることができました。その後は吉崎誠 氏の顕微鏡画が並び、顕微鏡で観察した細胞組織まで人の手によってスケッチされていました。超細密に書かれていて特徴なども添えられていて、研究の成果が伺えます。また、岡本金太郎(1837年~1935年)という日本初の海藻学者による「日本藻類図譜」という本もあり、これは半生をかけて刊行したものらしく、水彩による植物画が描かれていました。これもかなり細かく、横に書き込みがあり、顕微鏡による解剖図までもありました。


ということで、知っていそうで知らなかった海藻の世界と堪能することができました。標本にすると結構綺麗なので、難しいことを抜きにしても楽しめる内容だったと思います。

この後、同時開催の2つの展示も観てきました。




P1130618.jpg

まずは焼物の個展のスペースでは「大久保陽平 展 -陶 SOUJI- Okubo Yohei Exhibition」が開催されていました。

【展覧名】
 大久保陽平 展 -陶 SOUJI- Okubo Yohei Exhibition

【公式サイト】
 http://www1.lixil.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_002596.html

【会期】2013年12月5日(木)~12月24日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間10分程度

こちらにはご本人がいて、お客さんと会話していました。ここに並んでいるのは陶器で出来たスポンジや雑巾、掃除機、空気清浄機、モップ、デッキブラシ、コロコロローラーなどで、かなり質感が本物のように見えました。焼いた後に絵付けしているようですが、柔らかそうなものや繊維などを陶器で表現する所に面白さがありました。



続いて、現代アートのスペースで、「村山加奈恵 展 Murayama Kanae Exhibition -transmigration-」を観ました。

【展覧名】
 村山加奈恵 展 Murayama Kanae Exhibition -transmigration-

【公式サイト】
 http://www1.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_002595.html

【会期】2013年11月29日(金)~12月24日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間10分程度

こちらには大型の絵が並び、いずれも暗闇を背景に花や蝶、女性などが描かれていました。静かに妖しく神秘的な雰囲気で、蝶は人の目が模様になっているなど、ちょっと怖いくらいの不思議さがあります。花もまだら模様になっているなど若干毒気もあるかな。単に綺麗なわけではなくシュールな感じも受けました。


ということで、3本の展示を楽しんできました。ここは無料で観ることができるので、銀座に行った際には立ち寄ってみると楽しいかと思います。


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