関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

伊勢神宮と神々の美術 【東京国立博物館】

だいぶ紹介が遅くなりましたが、半月ほど前に東京国立博物館で「伊勢神宮と神々の美術」を観てきました。元々あんまり興味も知識も無かったのですが、だからこそ新しい発見があるかも?と思って行っていました。いつも平成館は2Fの全フロアを使った展覧ですが、今回は「染付-藍が彩るアジアの器」と半分ずつでした。(染付展よりも常設の特別展に興味があったので染付展はスルーしました)

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【展覧名】
 第62回式年遷宮記念 特別展「伊勢神宮と神々の美術」
(伊勢神宮と神々の美術 ~上野でぶらり、伊勢詣で~)

【公式サイト】
 http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=6503
 http://www.iseten2009.jp/

【会場】東京国立博物館 平成館特別展示室第3・4室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年7月14日(火)~9月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_②_3_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
昔、伊勢神宮に行ったことがあるのですが全く覚えていないし、神話もうろ覚えなので、今回は解説機に頼りっぱなしでした。しかし、この解説機がイケてなかった。というか、モゴモゴしゃべる美輪明宏の解説が酷い。何言ってるのか全然わからんですw 結構混んでいて周りもうるさいし、久々に集中できない環境でした。そのため、私にとっては満足とは言えない展示となりました…。それでも、展示物は重文・国宝が目白押しで非常に貴重なものですので、興味がある方には面白いかもしれません。

とりあえず、気になった作品をいくつか紹介。

<1章 神宮の歴史と信仰>
このコーナーはその名の通り、神宮の歴史にまつわるものがありました。当時の信仰のありかたがわかる品も多くあって驚くものもありました。

2 日本書紀 巻第六(垂仁天皇記)
日本書紀の写本です。高校の頃の漢文を思い出すような一とか二とかレ点がついてて何となく読めました。伊勢神宮の起源を書いているそうで、字は上手いです。新しそうな感じがしますがそれでも1520年頃のもののようです。

20 伊勢参詣曼荼羅(両宮曼荼羅) ★こちらで観られます
伊勢神宮の中の様子を描いたもので、中央に縦一直線の山々があって画面が2分されているように思えます。この両宮というのは内宮(ないくう)と外宮(げくう)の2つのことで、内宮には天照大御神、外宮は豊受大御神(食を司る神)を祭っています。元々は内宮だけだったそうですが、天照大御神が夢枕にたって、身の回りの世話をするお供が欲しいと伝えたことで外宮が作られたとのことです。(その辺の縁起については展示の中盤くらいでわかるのですがこの時点ではわかりませんでした。) 右上に銀色の玉、左上に金色の玉が雲に乗ってきているのが神なのかな?と思って観ていました。

21 伊勢参詣曼荼羅 ★こちらで観られます
先ほどの作品を2つに分割したような感じです。左側に内宮、右に外宮が描かれています。背景には富士山が見えるのですが、この方向に見えるのかな??と、本題と関係ないことを考えていましたw 結構流れが激しい川や宮の様子が簡略化された地図のようでした。曼荼羅といっても観光マップみたいな気がします。

28 雨宝童子立像 ★こちらで観られます
天照大御神の託宣で空海が彫ったとされる仏立像。何故仏像?何故空海??と驚きますが、神仏習合の賜物でしょうか。(本地垂迹説については後述)。 仏教との密接なつながりがよくわかりました。五輪塔を頭に載せているのは特異らしいです。杖をついて穏やかな表情をしていました。

25 薬師如来坐像
奈良の大仏のような如来坐像です。穏やかで静かに坐していました。神宮八ヶ寺の1つである定泉寺に伝承されたとのことです。八ヶ寺…、やっぱ仏教とくっついてますね。

31 金銅火焔宝珠形舎利塔(伊勢舎利塔)
この日、常設でも仏舎利のケースを観ましたがこれも似た雰囲気を持ったものです。ガラス玉のような中に白い破片が入っていて、これが仏舎利のようです。 仏舎利まであるとは、まるで仏教展に来たような勢いになってきましたw 

30 大神宮御正体
曼荼羅と大小の鏡がありました。曼荼羅は凡字が書かれ、大きい鏡の裏は銀色で、鶴と亀が森の中にいる様子が描かれています。小さいほうの鏡は花とか蜘蛛の巣が描かれていました。大小あるのは内宮・外宮の象徴らしいです。 この作品の解説には「本地垂迹説(ほんちすいじゃくせつ)」の説明がありました。これは天照大御神=大日如来という考え方のようです。 これ、高校の頃に日本史で覚えたなーw さらにこれは私の考えですが、この前ご紹介した道教展では鶴と亀は道教的な要素を含んでいたと記憶していますので、様々な渡来信仰と日本古来の信仰が混じった結果がこの作品なのかもしれません。

<2章 遷宮と古神宝>
この章を観るには「遷宮」とは何かを知っておく必要があります。遷宮とは、一言で言えば、「ご神体のお引越し」のことで、20年に一度の「式年」に社殿ごと建て直して引っ越します。今年は62回目というので計算すると1300年ちかくも続いているようです。毎回、内宮・外宮と14の別宮も一斉に遷宮するらしく、古式のままの奉納品(神宝など)も作られます。この章では、その使い終わった神宝を中心に展示していました。

41 遷宮奉飾御金物図説
江戸時代の宮の設計図です。定規を使ったように見えます。正確に描かれた図面には細かい字で寸法や注釈が添えられていました。こういう設計図があってこそ1300年も続いているんだろうなーと、時代の架け橋的なものを観た気がしました。

43 太刀 銘 吉信
江戸時代に4代将軍 徳川家綱が奉納した太刀です。すらっとした刀で美しく、波紋が真っ直ぐで整った感じがしました。

47 古神宝 玉纏横刀
これは現存最古の古神宝らしいです。ボロボロに錆びて原型をとどめていない感じもします。昔は、遷宮したら古い神宝は土に埋めていたそうで、これもそうした経緯で錆びました。何故埋めるかというと、神様が使ったものを人間が使うのは恐れ多いというのが理由らしいです。考古学的な感じの貴重さを感じる作品でした。(今は古神宝も埋めずに保管しているようで、これと同じ剣で新品のような展示物もありました)

59 土師器甕/須恵器器台
これも高校の日本史で覚えたなあw 土師器(はじき)のかめが須恵器(すえき)の台の上に乗っていました。だいぶ昔の記憶ですが、確か土師器は弥生式土器の流れの国産で、須恵器は渡来人の技術で作ったものだったかな(間違ってたらすみませんw) 土師器は茶褐色で須恵器は灰色をしています。 なにかと高校の頃を思い出す展示ですね…。当時にこの展示を観ていたらもう少し勉強が好きになれたかもしれませんw 須恵器に描いてあったのは人かな??

68 桐蒔絵手箱及び内容品(古神宝類のうち)
大小さまざまな蒔絵で、化粧道具はほぼ完全に残っている貴重なものです。豪華で気品があって私の好みの展示物がようやくきた感じがしましたw

<3章 今に伝える神宝>
前章で書きましたが、最近は神宝を埋めないで保管しているようです。ここにはそういったものが展示されておました。

70 玉纏御太刀 附 平緒、鮒形、太刀袋
これは先ほどのボロボロに錆びた剣の昭和版です。ちゃんと綺麗に残っていて、金や琥珀、瑪瑙、水晶、瑠璃、ガラス玉などの450もの玉が散りばめられていました。非常に煌びやかで好みです。柄の部分には鈴みたいなのがいくつも付いていたのが気になりましたが、それについてはわかりませんでした。

80 御鏡 附 轆轤筥、入帷
鏡の裏につがいの鳥と草花が描かれています。光沢があって、ふちは花びらの形になっています。この花びら型は外宮用の鏡らしいです。日本らしさを感じる作品でした。

94 御鉾 附 比礼
3mくらいあるでっかい矛です。矛には鮮やかなオレンジ色をした、花菱紋の旗みたいなのが付いています。その大きさからも結構なインパクトを感じます。周りには弓とかもおかれていました。神様はでかいというのがよくわかりましたw

97 鶴斑毛御彫馬
馬の像です。今は絶滅してしまった鶴斑毛(鶴みたいに頭と胸だけ黒くて背中は白い)をしています。馬には豪華な装飾品が装着され、鞍の下(競馬の馬で言うとゼッケンのあたり)には左右対称の孔雀が描かれていたのが印象的でした。さすが、馬までも神々しいです。

99 赤紫綾御蓋
遷宮の際には行列を組んで色々持っていくのですが、これは5mくらいの高さの傘です。大名行列とかで持ってそうな感じの傘ですが、とにかくでかくて重そうでしたw 赤紫色をしていてこれは高貴な色らしいです。

<4章 神々の姿>
このコーナーは神像のコーナーです。元々は神像というのはなかったのですが、奈良時代くらいから仏像の影響を受けて作られるようになったらしいです。

104 八幡三神坐像 ★こちらで観られます
結構、破損してました。仏像と同じような雰囲気を持っていて、両手を袖の中に隠しています。(昔の中国人のポーズみたいな) 穏やかな顔をしていて仏像からの影響を感じます。

108 男神立像 ★こちらで観られます
2m以上あるでっかい神です。神はでかいと考えられていたようです。唇が厚く、額・目の下・口元には皺があり、目や眉の尻がたれているのが特徴です。 私が観た感じ、結構人間ぽいように観えましたが、これだけ大きいと偉大さを感じるオーラが出てますね。

107 熊野速玉大神坐像・夫須美大神坐像
二体の神像です。左側に置かれた神像(どっちの神か忘れしました)は見開いた目をして、先が2つにわかれた長いひげを生やしています。頭には冠をかぶり、威厳を感じる像でした。
神像は9世紀から仏像の影響を離れ、独自の進化を遂げたらしく、衣のひだがシンプルで、足の奥行きが少ないのが特徴らしいです。横からみたら平坦な感じがしたのもそういう特徴の表れかな?と思いながら観ていました。


ということで、美術展というよりは博物展といって良いかもしれないです。情報量は結構多いのですが、神話や神の名前などをある程度知っていないと分からない部分もあったと思います。(というか私がそうでした) その辺が大好きという人なら楽しめると思います。

この後、本館で常設展を写真を撮りながら楽しみました。 <聖母像の「到来」><日本美術のつくり方>など特設も面白かったです。染付展も面白いらしいので、もっと早い時間に行くべきだったかなと反省。

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