HOME   »  過去の美術展 (2017年)  »  よみがえる画家-板倉鼎・須美子展 【目黒区美術館】

よみがえる画家-板倉鼎・須美子展 【目黒区美術館】

こちらは5/5に観に行きました。GWでしたが空いていて快適にみることができました。

DSC00662.jpg

【展覧名】
 よみがえる画家-板倉鼎・須美子展

【公式サイト】
 http://mmat.jp/exhibition/archives/ex170408

【会場】目黒区美術館
【最寄】目黒駅

【会期】2017年4月8日(土)~6月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この展示は板倉鼎(かなえ)という若くして亡くなった1920~30年代の洋画家の作品と、板倉鼎から手ほどきを受けて絵を描いていた妻の板倉須美子の作品を集めたものとなっています。不幸なことに2人とも27~28歳という若さで亡くなったこともあり、今まであまり知られなかった(私も聞いたこともなかったです)のですが、この展示では多くの作品に接することができました。

まず板倉鼎の作品が並んでいて、板倉鼎は中学の頃から洋画家・堀江正章に学び、東京美術学校西洋画科に入学。そこで岡田三郎助や田辺至に指導を受けたそうです。初期の作品は印象派風の風景作品が多いように思えますが、輪郭のくっきりした静物などもあり幅広い画風のようです。時折、人物画などは岡田三郎助の影響を感じるものもあったかな。その後、1924(大正13)年に大学を卒業すると須美子と結婚し、翌年の冬には2人でハワイ、アメリカ経由でパリに留学に出ました。この頃の作品はかなり画風が変わっていて、どことなくキスリングや藤田嗣治といったエコール・ド・パリを感じさせるように思えました。しかしここでも色々な画風にチャレンジしていたのか、定まっている訳ではなくキュビスム風の作品や、パリで仲良くしていた岡鹿之助に共通するような画風の作品なんかもあります。特に花や金魚をモチーフにするのが好きだったようで、愛らしい雰囲気の作品が多く並んでいました。その先には人物像もあり、勿論奥さんを描いた作品が多く、赤い服を着て振り返る構図が好みだったのかも。おかっぱ頭に洋装でモガって感じです。仲睦まじい様子が伝わります。
しかしそんな幸せそうな時、歯の治療で敗血症になったらしく27歳の若さで急死してしまったそうです。2人いた子供のうち1人は生後間もなく亡くなり、もう1人も鼎が逝去してすぐに亡くなりました(さらにその1年後には奥さんも亡くなってしまうので、何かの呪いかという勢いで一家全滅してしまった…)
ということで、板倉鼎は研究熱心だったんだろうなと思わせる画風の変遷ぶりで、いよいよこれからという所で夭折したのがひしひしと伝わってきました。

次に板倉須美子の作品が並んでいたのですがこちらは点数は少なめで、素朴派のような自由な画風でハワイの思い出を中心とした画題となっていました。
いずれも風景を背景にした人物像ですが、アンリ・ルソーやアンドレ・ボーシャンのような独特の大らかさがあって、素朴派に傾倒した岡鹿之助からの影響なのでは??とも勘ぐったりしながら観てました。私としては美術の主流を行く旦那さんより個性の強いの奥さん画風が好きですw 描かれてる人たちが皆幸せそうだし。

ということで、2人とも非常に才能がある画家だったというのが伝わる展示でした。本当に嵐のように一気に失われてしまったのが惜しいばかりです。ミニ図録のアウトレット?が安かったので、購入して大事に取っておくことにしました。
世間的には有名な画家ではないですが、光るものを感じる展覧会でした。

関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
60位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
7位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。