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ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展 【Bunkamura ザ・ミュージアム】

この展示は5/6に観ました。それほど混んでいるわけでもなく、快適に鑑賞することができました。

DSC00781.jpg DSC00784.jpg

【展覧名】
 ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_saulleiter/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2017/4/29(土・祝)~6/25(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この展示はニューヨークで活動したソール・ライターという写真家の個展で、私はこの人のことを知りませんでしたがポスターがカッコよかったので楽しみにしていました。そして観終わった後の充実感は現在開催中の展覧会の中でも随一だったと思います。

まずソール・ライターについてですが、ソール・ライターはユダヤ教の聖職者ラビの息子として生まれ、子供の頃からカメラを買ってもらって写真を撮っていたそうです。一時は神学校に入ったものの中退し、画家を志してニューヨークに出て、表現主義の画家リチャード・プセット・ダートと出会って写真への関心が深まったようです。その後、ライフ誌に掲載されたりニューヨーク近代美術館の展覧会に出品したりと中々順調なスタートとなり「ハーパーズ・バザー」をはじめ「ELLE」や「ヴォーグ」といったファション誌の商業写真を手がけました。しかし、ファッション誌の仕事は本人にとっては単なる生活の糧のように捉えていたようです。「ハーパース・バザーでの1年よりボナールの1枚のデッサンのほうが私にとっては意味がある」なんて言って編集者に軽蔑の眼差しで観られたというエピソードもありましたw また、売れることに全く興味がなかったのか、1980年代に商業写真から退くとしばらく世間から忘れ去られていたようです。しかし2006年にドイツで作品集が出されるとセンセーションを呼び、多くの人に知られるようになりました。それでもまだまだ現像していない写真が山のようにあるらしく、今後の傑作の発見も期待される写真家です。

展覧会は初期の作品から並び、ハーパース・バザーでの写真などもあります。写真家の展覧会は白黒中心になりがちですが、ソール・ライターはカラーの作品が多く、消費期限切れの安いフィルムを使っていたのが逆に良い味になっています。普段の生活の中で撮られた写真は色々な視点からのものとなっているのが面白いのですが、ざっくりと特徴を挙げていくと
 街角と人が好き
 傘が好き(アシスタントに呆れられるくらい好き)
 雪が好き
 反射が好き
 窓越しが好き
 水滴が好き
 見下ろすのが好き
こんな感じかなw これはこの展示で1番良い写真に違いない!と思ったそばから更に好みの写真が次々と出てきて本当に素晴らしい写真家です。
後半には知人女性のヌード写真や、絵画作品(人物画、抽象画)などもありました。研究者はソール・ライターを「ニューヨークのナビ派」と呼んでいるようで、ソール・ライターはナビ派のボナールやヴュイヤールの他、マティスやピカソ、フェルメールなど幅広い画家が好きだったそうです。大胆な構図などは確かにナビ派や日本の浮世絵に通じるものがあるかも。とは言え、それだけでは説明できない都会的なセンスが非常に洒落ていました。


ということで、私にとって非常に刺さる展示でした。これだけ素晴らしい写真を大量に観られて感動もひとしおだったので、もちろん図録も買ったしポスターも買いました。今季イチオシの展示です。

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