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水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟 【出光美術館】

週末にネタを補給したので最近の展示の記事に戻ります。この展示は最終日間近の7/16に観てきました。既にこの展示は終了しています。

20170715 133712

【展覧名】
 水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟 

【公式サイト】
 http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/schedule/

【会場】出光美術館
【最寄】有楽町駅

【会期】2017年6月10日(土)~7月17日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日が近かったこともあって、結構混んでいて列を組んで観るような盛況ぶりでした。

さて、今回は長谷川等伯と雪舟という日本画でも屈指の絵師2人の名前を冠した展覧会となっています。しかし美術好きの方ならピンと来ると思いますが、そんなビッグネームの2人の作品だけで展覧会が成立する機会は滅多にありませんw 大半は他の絵師の作品です。 今回はテーマが「風」ということで、風をテーマにした作品というだけでなく雪舟風だったり等伯風といった水墨の歴史の流れを観るような趣旨で、どちらかと言うとこの2大絵師の作風を知っている人向けの内容だったと思います。既に終了しているし、ごく簡単な章ごとの展示内容だけ振り返ろうと思います。

<第1章 雪舟を創りあげたもの-「破墨山水図」への道>
この章は雪舟の「破墨山水図」を中心に、雪舟が留学し影響を受けた中国の玉澗や浙派(せっぱ)、牧谿(牧谿は長谷川等伯が特に影響を受けた)、後の時代に雪舟から影響を受けた雪村や谷文晁などもありました。雪舟は大胆さと繊細さが同居していると思いますが「破墨山水図」は大胆さが強めに出ていて、近代西洋の印象派よりもずっと前に単純化され筆跡を残す手法で描かれているのが面白いです。玉澗の作品は確かにそれに似た感じがあり、雪舟のルーツが伺えました。

<第2章 等伯誕生-水墨表現の展開>
ここは等伯を中心に、牧谿1点と狩野探幽などがありました。叭々鳥(ははちょう)を主題にした作品がいくつかあったかな。等伯は自身を五代雪舟と名乗っていましたが、空気感などは牧谿からの影響のほうが強いように思います。後期展示で竹鶴図屏風は観られませんでしたが、「松に鴉・柳に白鷺図屏風」など叙情的な作品を観ることができました。

<第3章 室町水墨の広がり>
ここから先は雪舟も等伯も出てきませんw この章は室町時代に描かれた様々な水墨画が並んでいました。この辺は軽く着色もあったりしたかな。強い輪郭と繊細な濃淡の表現をしている作品などは雪舟と共通するものを感じました。

<第4章 近世水墨-狩野派、そして文人画へ>
ここは桃山以降の近世の作品がならんでいました。日本の漢画は狩野派が主流となって行きましたが、狩野派はそれだけではなく大和絵との融合など独自の展開を見せていくのでやはりどこか雅な雰囲気があるように思います。一方、文人画とか南画はあまり好みではないのでサラッとw 描き込む割に緩いのでゴチャゴチャしている印象があるのでいまいち好きになれない。


ということで、雪舟と等伯の作品はそれほどありませんでしたが、水墨の歴史を中国から江戸時代まで観ることができました。全部 出光美術館の自前のコレクションなので、これだけの展示が出来るのは凄いことだと思う一方で、展覧会のタイトルはちょっと大袈裟だったんじゃないかなとw それさえ気にしなければ参考になる展示でした。

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