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荒木経惟 写狂老人A 【東京オペラシティアートギャラリー】

先週の山の日に、初台の東京オペラシティアートギャラリーで「荒木経惟 写狂老人A」を観てきました。この展示および当記事には過激なヌード写真も含まれていますのでご注意ください。

DSC05272.jpg

【展覧名】
 荒木経惟 写狂老人A

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh199/

【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2017年7月8日(土)~ 9月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むこともなく、快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はアラーキーこと荒木経惟 氏の個展で、1000点を超える新作が並ぶ内容となっています。タイトルの「写狂老人A」は70代半ばの葛飾北斎が「画狂老人卍」を号したことに擬えていて、同様に旺盛な創作を続ける荒木経惟 氏に合ったものと言えそうです。先日、写美でも荒木経惟 氏の展示を観てきましたが、写美は奥さんとの関係を深掘りしていたのに対して、こちらは最近の多彩な作品があり、中でも「人妻ヌード」などアラーキーが得意とるすエロスがやや多めとなっているように思います。この展示は撮影可能となっていましたので、各章ごとに写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017- (東京都写真美術館)

<1. 大光画> ★この章の紹介
まずは大型作品が並ぶコーナー。初っ端から人妻たちのヌード写真(白黒)がずらりと並んでいます。恐らく40代以上の女性たちのヌード写真で、お腹が出ていたり肉が垂れてるなどあまり見たいものではないですw 割と挑発的なポーズの写真もあったりしてちょっと私にはキツいものがありましたが、笑顔で撮られている女性が多く楽しんで撮られている感じがありました。老いても太っても自信を持ってさらけ出す姿を女性から引き出すアラーキーは凄い…。この性と生への眼差しはロートレックやシーレに通じるものがあるように思いました。解説では「美とは何か?」というアンチテーゼと言えるとのことで、確かにそうかも。

この章には何故か楳図かずお氏とのツーショットもありましたw
DSC05280.jpg


<2. 空百景> ★この章の紹介
こちらは空を撮った写真のコーナー。こちらも新作です。

隣の花百景と共に壁面を埋めるように並んでいます。
DSC05283.jpg

この空は自宅から撮ったものらしく、富嶽百景にちなんだタイトルになっているようです。
DSC05287.jpg
写美の展示でも空の作品を見ましたが、こちらはより多彩な空の様子が並んでいるように思えます。


<3. 花百景> ★この章の紹介
続いては花を撮った写真のコーナー。こちらも新作で、伊藤若冲の百花図に触発されて撮ったそうです。

沢山の花が並んでいます。
DSC05288.jpg
白黒ならではの強いコントラストと立体感があるように思えますが、ちょっとグロテスクなくらいの「生」も感じました。花と聞いて思い浮かぶ可憐なイメージではなく、懸命に生きている感があるような。


<4. 写狂老人A日記 2017.7.7> ★この章の紹介
こちらは2017年7月7日に撮った白黒写真がずら~~~っと並んでいます。この日は奥さんの命日らしく、淡々と進む日常と死の両面を想起させる一日の様子といった感じの作品でした。

時系列順に並んでいるようで、最初の方には草間彌生 氏を撮った写真なんかもありました。
DSC05292.jpg
その他にも、渋谷や新宿界隈の風景や広告、様々な食物、空、人形や花を使った静物など様々なものが写されています。1日でどれだけ活動しているんだ??という疑問が真っ先に来るくらい大量の写真があって驚きました。特に何でもない日常が視線が独特で切り取られていて面白い。


<5. 八百屋のおじさん> ★この章の紹介
この章は小部屋になっていて、スライドで初期作品(電通に勤務していた頃)の「八百屋のおじさん」を流していました。この作品は制作から半世紀経って初公開となるそうです。

おじさんのナイス笑顔w 
DSC05299.jpg
気さくな人柄が伝わってくるようで、素晴らしいシリーズです。


<6. ポラノグラフィー> ★この章の紹介
こちらは2002年から制作し続けているポラロイドによる作品を映像で紹介していました。ちょっと写真は撮り忘れましたが、エロティックな人形を使った静物などは2017.7.7の章でも観られた作風と同様に思えました。

こちらはこの章の前にあった卓に置かれた作品。この後出てくる「切実」と同様の技法のように思えます。
DSC05304.jpg
この卓には過去の写真集もあったので、しばらくそれらを観てきました。


<7. 非日記> ★この章の紹介
こちらも小部屋でのスライドショーで、2014年のカルティエ現代美術財団でのプロジェクトから発生したデジカメのシリーズを流していました。

3画面同時に写っているので観るのが結構大変w
DSC05302.jpg
日記であって日記に非ず という意味のようですが、日常の風景が撮られていたように思えます。ちょっとタイトルの真意は分かりませんでした。


<8. 遊園の女> ★この章の紹介
こちらは遊女をモチーフにしたコーナーで、ヌード多めの妖艶な内容となっていました。

縄で縛られていたりエロティックな感じの作品もあります(念のため小さめの写真にしておきます)
DSC05309.jpg
笹紅つけて江戸時代の遊女っぽいけど一般女性とのこと。熟女の人妻って感じかな。


<9. 切実> ★この章の紹介
こちらは切り取った2枚の写真をくっつけるコラージュ作品のコーナー。「写真は真実」であり、それを切り取るから「切実」という意味や「切ない真実」という意味を重ねているそうです。

無数の作品が並んでいます。
DSC05311.jpg
この組み合わせを考えるのも大変そう。

特に気に入ったのがこちら。
DSC05316.jpg
お互い違うものを1つの円にしているのが面白かったです。


最後に今まで出版された荒木氏の写真集がいくつか並んでいました。
DSC05318.jpg
センチメンタルな旅の1000部限定の私家版なんてのもありました。


ということで、ヌード多めでしたが多彩な作品を観ることができました。性や生を主題にしているようにも思えましたが、どことなく死も連想させるところもあったように思えます。ちょっと大人向きの展示だと思いますが、アラーキー好きな方は是非どうぞ。
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