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三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」 【三菱一号館美術館】

丸の内ブリックスクエア(MARUNOUCHI BRICK SQUARE)の施設内を散策してお昼を食べた後、お披露目となった三菱一号館美術館で「一丁倫敦と丸の内スタイル展」を観てきました。これは美術展ではなく、この美術館の原型となった三菱一号館とその復元の過程を詳細に紹介する内容でした。

DSC_3622.jpg DSC_3700.jpg


【展覧名】
 三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」

【公式サイト】
 http://mitsubishi-ichigokan.jp/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2009年9月3日(木)~2010年1月11日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
今回の展覧は建物そのものが展示物のようなものだし、まだオープン間もない美術館なので建物も含めてご紹介します。この美術館の展覧内は撮影禁止なのですが、展覧スペース外の廊下と階段だけは撮影して大丈夫と聞いたので、撮影してみました。(※問題があったら掲載を外しますので、ご連絡ください。)

まずは有楽町方面の出入口。近くにロッカーもあります。ロッカーはそんなに多くないかも。(ここ以外にもロッカーはあります)
DSC_3684.jpg P1070198.jpg

1Fの廊下。廊下はどこもこんな雰囲気です。庭園美術館に雰囲気が似てるかな。 ちょっと狭い気がするのですが、マネ展なんて人気が出そうな展覧会をやって大丈夫なのかな?と疑問に思います。
P1070199.jpg

展覧会はエレベーターで3Fに上がって、3F→2F→1Fというように下っていく流れでした。
まずは3Fの展覧。1~4章が展示されています。
(各コーナーの様子は公式サイトでちらっと観ることが出来ます)

<Ⅰ 丸の内の黎明期 建築家ジョサイア・コンドルと丸の内>
展覧最初のこのコーナーは4つの部屋に分かれていて、三菱一号館は明治時代にジョサイヤ・コンドルによって設計されたという説明と、映像で丸の内の歴史を見ることができました。ジョサイヤ・コンドルの建築の写真やスケッチなどが展示され、大きな箱?のような中に三菱一号館の精巧な模型なども展示されていました。 このジョサイア・コンドルは、以前このブログでも紹介した、上野の旧岩崎邸なども手がけた人です。どことなく似た感じもある気がしました。
 参考記事:
    旧岩崎邸の写真 その1
    旧岩崎邸の写真 その2

彼は優秀な弟子も多くいたようで、1939年くらいまで丸の内付近に一号館とよく似た雰囲気の建物が彼の弟子たちによって数多く作られたようです。映像で時系列で丸の内の何処にビルが建っていったかわかるようになっていました。
また、丸の内が原っぱだった頃の絵などもあり、丸の内の歴史もわかった気になれるコーナーでした。


<写真展 一号館アルバム ホンマタカシ>
ここには煉瓦工場の写真などがありました。中国の工場でせっせと作る様子が撮られていて、さらに2章では映像でそれを見ることが出来ました。この建物に使ったレンガの数は何と230万個! 採寸しながら手作りで作ってる様子でしたが、マジで全部手作りなんでしょうかねw レンガ積みの最初の一個の写真なんかもありました。

また、この部屋の天井はガラス張りになっていて天井の梁の様子が見える部屋でした。この天井は小屋組と呼ばれるもので、工場で一回組み立てた後分解してここまで運び、プラモデルのように組み立てたようでした。その辺の成り行きは次の2章で映像で観られました。

<Ⅱ 三菱一号館 一世紀の記録と復元の意義>
ここは大部屋で、復元に使われた設計図や道具などが展示されていました。この復元は相当大変だったらしく、設計図の無いところは当時の写真をもとに作られたり、現在の建築基準に基づいて作る必要もあるので、苦労が伝わってくるようでした。
クイーン・アン・スタイルという英国ビクトリア時代の建築様式であるということや、ドーマー窓と呼ばれる窓を写真だけを頼りに復元した話、避雷針を作る様子などまでわかるようになっていました。避雷針の作成を映像で見たのですが、全部ハンマーで打って作っていました…。恐るべし職人技です。

これがドーマー窓です。上から読んでもドーマー窓。下から読んでもドーマー窓。と覚えてくださいw
自然に錆びていくと味が出るみたいです。
P1070226.jpg P1070228.jpg

避雷針。これを一個一個、ハンマーで叩いて作っていました。
P1070236.jpg DSC_3708.jpg

この他にも柱とか精巧な小屋組の模型、作業者のヘルメットまで色々あって、多分ここが一番広い部屋でした。

<Ⅲ 丸の内の赤煉瓦街「一丁倫敦」の誕生>
このコーナーはバルコニーを挟む2つの部屋で構成されていて、曾禰達蔵(そねたつぞう)らジョサイヤ・コンドルの弟子達が丸の内を一丁倫敦と呼ばれる地域に作り上げたというのが分かる資料などがありました。また、当時の建築の書物や家具なども展示されていました。結構、カッコいい椅子とかあってそっちのほうが気になったかもw

<Ⅳ 日本の近代都市空間とビジネスマン>
このコーナーは1部屋だったのですが、よく覚えてないです。すみませんw 昔の自転車とかあったような気がします。この辺は自然光が入ってきてるので美術館にしては珍しいなーと考えていました。

とりあえず、ここで3Fは終了。一旦展示スペースを出て、階段を下って2Fに行きます。
上からみた階段と、下から見た階段。
P1070203.jpg P1070208.jpg

2Fは5章と6章だったのですが、ここから一気にカオスな展覧内容になっていきますw

<Ⅴ ビジネスマンの暮らしに見る都市文化>
このコーナーは中部屋と小部屋の2部屋です。タイトルの通り明治・大正のビジネスマンの暮らしぶりがわかる内容で、生活道具などが中心でした。扇風機、蓄音機、時計、装飾品などなど様々なものがありました。

<Ⅵ 丸の内スタイルの誕生>
ここは2部屋で、前の章と似た感じのテーマです。当時は帝劇で芝居を見るのが贅沢だったというような風習がわかる内容でした。ここで謎なのが最後の部屋で、何故かポール・スミスの展示がありました。部屋の床まで埋め尽くされるような空間で異彩を放っていました。戸惑いますw

6章の後、また一旦展覧スペースを出て、渡り廊下を進みます。廊下からはこんな感じで丸の内ブリックスクエアの中庭が見渡せます。
P1070214.jpg

廊下を渡ったところには写真展のコーナーがあります。
<写真展 一号館アルバム 神谷俊美>
このコーナーは2部屋で、丸の内ブリックスクエアが作られていく様子を写真で見ることが出来ました。同じ視点からビルがニョキニョキと伸びていく様子などがわかって面白いです。 というか、モノクロで芸術作品っぽさが出ていました。

この写真展を観終わったら先ほどの廊下を通って階段で1Fに行きます。ここで人の流れが対面になるのですが、混んでも大丈夫なのかなあ…。

1Fに戻ってきました。奥のほうにあるこの階段は使わないみたいです。
P1070217.jpg

<写真展 一号館アルバム 梅佳代>
このコーナーは2部屋で、最もカオスさ漂うコーナーですw この建物の建設に従事した人達の仕事風景や内覧会の時の様子を撮った写真で埋め尽くされていて、普通のスナップショットみたいなw 家族の写真みたいな感じでした。 おまけみたいなもんでしょうかね。

ということで、これで展示は終わりです。解説が細かくて映像などもあったのでよく理解できたと思います。
それにしても、この美術館は数多くの部屋に分かれていて、庭園美術館みたいな展示スタイルになるのかな? 全部あわせると結構広いです。地図を見ると、2Fなどは入っていない部屋もあるみたいなので、まだスペースはあるのかもしれません。とりあえず、来年の4月上旬からのマネ展が楽しみです。



展示の後にはショップがありました。また、1Fのチケット売り場の隣にあるカフェは凄く良い感じです。元は銀行営業室として利用されていたらしいです。
P1070222.jpg

外に出て外観を撮りました。これは南側から撮った写真。
DSC_3697.jpg

こちらは東側から撮りました。
DSC_3706.jpg

こんな感じで、建物も作品の一部となっている魅力的な美術館でした。先々が楽しみです。
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Re: シカン展「1日ブログ記者」大募集!
面白そうなので応募させて頂きました。審査通るかな。
これは美術館だったんですね☆
前に、ここを通った時、
綺麗な建物だな~と思ったのですが、
美術館だったのですね☆
今度、また近くを行くことがあったら、行ってみたいと思いました(^ ^) ふらっと散歩にいい感じ♪
ありがとうございます☆
Re: これは美術館だったんですね☆
出来立ての美術館ですよ^^
記事に書くのをすっかり忘れていましたが、水~金は20時までやっててくれるのも嬉しいところです。
今は美術展か微妙な展示ですが、来年春からの本格稼動が楽しみです。
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