関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

アントニン・レーモンド 「旧イタリア大使館別荘」 【日光編】

前回ご紹介した旧英国大使館別荘を観た後、歩いて5分くらいの所にある旧イタリア大使館別荘を観てきました。今回の記事はちょっと写真多めです。

 公式サイト:https://www.nikko-nsm.co.jp/italy.html

まずは外観。
DSC_0467_enc.jpg
イタリアっぽさが全くない和洋折衷の木造建築で、設計者はチェコ出身の建築家アントニン・レーモンドです。1997年にイタリアから栃木県が譲り受け2年かけて修復されました。

まず、設計者のアントニン・レーモンドについてですが、初めて日本に来たのはフランク・ロイド・ライトと共に帝国ホテルを建てるためでした。フランク・ロイド・ライトに強い憧れを持つと同時に、帝国ホテルは日本人に西洋の建築を押し付けているのではないか?という疑問を持っていたようで、その後ライトの元を離れて独自の道を模作し始めます。しかしライトから受けた影響は強く、しばらくはライト風の建物を作っていたようです。そしてこの旧イタリア大使館別荘は来日から9年後に建てたもので、ライトの様式からの脱却を印象づける設計となっているようです。ちなみに、前川國男や吉村順三といった日本のモダニズム建築の巨人もアントニン・レーモンドの元で学んでいましたので、アントニン・レーモンドは日本の建築において非常に大きな存在と言えると思います。
 参考記事 :【番外編】博物館明治村の写真 後編(2013年12月)
 参考リンク:アントニン・レーモンドのwikipedia


中で撮影も出来ますので、ここからは写真を使ってご紹介していきます。

こちらが入口。
DSC_0513_enc.jpg
ちょっと小さな崖の裏といった感じの所です。ここでチケットを買います。冬季は休業しているようなので要注意。

ここは玄関入ってすぐの客間と、その奥の書斎を撮ったもの。
DSC_0364_enc.jpg
奥の壁にあるのは暖炉で、その周りに杉皮で作ったモザイク模様があります。

逆方向は食堂となっています。
DSC_0380_enc.jpg
書斎と対になるようにこちらにも暖炉が奥にあります。縁側の部分も含めて広いワンルームとなっているのが特徴です。

書斎のアップ。ここで注目したいのは天井と壁の模様です。
DSC_0371_enc.jpg
この天井は数寄屋建築にも観られる「網代」という手法で、茶室に倣ったものとなります。この部屋は「石畳」という模様になっていました。

こちらは客間の天井のアップ。亀甲模様になっています。
DSC_0378_enc.jpg
これら網代は杉皮で出来ていて、他にも市松模様などもあります。この網代は何のために作られたかというと、大使館別荘という特殊な環境が関係するようで、網代によって仕切りの無い部屋でありながら公的な空間(客間と書斎)と私的な空間(食堂)を区切ったようです。その為、格調高い吉祥の亀甲は客間、シンプルなひし形は食堂というように模様にも理由があります。また、この網代によって外の風景と一体化するという狙いもあるようです。

こちらは広縁。
DSC_0440_enc.jpg
ソファが並んでいて、目の前には中禅寺湖があります。この日は霧だったので景色を観ることはできませんでしたが、眺めが良いところらしいです。

景色とセットだとこんな感じ。
DSC_0443_enc.jpg
見事に真っ白な霧ですw

反対方向から観た広縁。
DSC_0452_enc.jpg
これだけ落ち着いた感じがするのは木造の為だと思うのですが、アントニン・レーモンドはこの建物を建てる際に日光の大工達に素材についての提案を求めたそうで、その結果 地元の日光杉を使うアイディアが出たそうです。アントニン・レーモンドは日本から計り知れない影響を受けたと語っていたらしく日光の大工達も信頼して彼らの技術も吸収していたようです。

こちらは食堂のアップ。
DSC_0397_enc.jpg
天井がひし形になっているのが分かります。

食堂の脇の扉の向こうはカフェスペースになっていました。
DSC_0344_enc.jpg
勿論、中禅寺湖を観ながらお茶することができます。

この部屋にも壁に装飾が施されています。
DSC_0350_enc.jpg
市松模様がシンプルな美しさです。よく見るとどの部屋も竹や杉皮の組み方が違うのも見どころです。

カフェスペースの奥に簡単なショップ兼カフェの注文場所があります。
DSC_0391_enc.jpg

カフェメニューはこんな感じ。簡単なお菓子もいくつか売っていました。
DSC_0393_enc.jpg

私もコーヒーとマドレーヌを食べました。
DSC_0394_enc.jpg
紙コップのコーヒーなのがちょっと残念ですが、一息つきながら建物と景色を楽しめるのは嬉しい。

続いて2階に行きました。
DSC_0434_enc.jpg
階段部分はこんな感じ。1階に比べるとシンプルですが、やはり幾何学的な美しさがあります。

こちらはスリーピングポーチ
DSC_0405_enc.jpg
実際にソファにかけてちょっと寝てみました。

ソファから反対方向。
DSC_0410_enc.jpg
崖で下がっている分、2階だけど1階のような景色です。

こちらは展望室1(大使の間)
DSC_0417_enc.jpg
元々は大使の寝室だったようです。

こちらは展望室2
DSC_0428_enc.jpg
壁の写真は大使たちだったかな。

展望室2は展望室1と繋がる扉と階段への扉がありました。
DSC_0431_enc.jpg

こちらは展望室3
DSC_0411_enc.jpg
ここも元々は寝室だったようです。シンプルで心地よさそう。

展望室3で逆方向を観るとこんな感じ。
DSC_0415_enc.jpg
簡単な鏡面がありました。図面を観ると、2階にはもう2部屋あるはずですが、入れるのは3部屋でした。

建物の中は以上で、外に出て外観を改めて観てきました。

正面から観るとこんな感じ。2階の右端は入れなかった部屋だと思います。
DSC_0475_enc.jpg
手前に見えているのは桟橋です。屋敷の前に桟橋があります。

先程のカフェスペースの辺りを撮ったもの。
DSC_0485_enc.jpg

こちらもカフェスペース辺り。建物の真横から撮ったものです。
DSC_0489_enc.jpg
外壁も市松模様になっているのがよく分かります。

裏手はこんな感じ。
DSC_0493_enc.jpg
勝手口があるのは多分ショップの裏あたりかな。この辺は元々あるデザインなのかは分かりません。

別荘の隣には国際避暑地歴史館(副邸)もあります。
DSC_0496_enc.jpg
こちらは撮影不可でしたので中の写真は撮っていませんが、中は各種資料や映像による紹介がありました。元々は居間兼食堂、広縁、寝室、台所という構成だったようです。それほど広くはないですが本館と似た感じです。


ということで、非常に美しくて観ているだけでテンションの上がる建物でした。日光観光は東照宮や華厳の滝が有名ですが、私は断然この旧イタリア大使館別荘を推したいと思います。冬季は開いていませんが、これから秋の紅葉を迎えたら益々美しい光景になると思いますので、日光に行く機会があったら是非立ち寄ってみてください。

これで日光編は終了となります。日帰りだったため時間の都合で華厳の滝とかは観ませんでしたw
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