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雲母 Kira 平山郁夫とシルクロードのガラス 【平山郁夫シルクロード美術館】 (山梨 北杜編)

前回に引き続き、平山郁夫シルクロード美術館についてです。今回は特別展として開催されていた『雲母 Kira 平山郁夫とシルクロードのガラス』についてです。この記事を書いている時点で最終日になってしまいましたが、この展示も撮影できたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 夏期 特別企画展 『雲母 Kira 平山郁夫とシルクロードのガラス』 

【公式サイト】
 http://www.silkroad-museum.jp/exhibition#ex03

【会場】平山郁夫シルクロード美術館
【最寄】甲斐小泉駅(山梨県)

【会期】2017年7月22日(土)~9月18日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんはいましたが、快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は前々回ご紹介した小展示と共に開催されていたもので、シルクロードのガラスの起源と発展についての内容となっています。あまり調べずに行ったので、小さいものも合わせると250点もの作品がある展示だと知って驚きました。もちろん点数だけでなく優品美品の多い充実の内容となっていましたので、展覧会構成に沿って3つの章に分けてご紹介していこうと思います。

<1章 ガラスのはじまり>
まずはガラスの起源の頃のコーナーです。ガラスがいつ何処で発明されたのかが明らかになったのは割と最近のことだそうで、以前はエジプトや東地中海が起源と考えられていたようです。しかし70年ほど前にイラクでアメリカの調査隊がガラスの円筒印章やガラスの塊を発見し、最も古いガラスは4300年前のメソポタミアであることが判明しました。ここにはそうした時代からの古い技法で作られた品々が並んでいました。

前16~13世紀頃の北メソポタミアの首飾り
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青く線状の模様がついていて、既に加工技術が装飾品を作るまでになっているのがよく分かります。

前14~13世紀頃のミュケナイの鋳造ビーズ。
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ミュケナイはギリシャのミケーネのこと。細かい文様の金の飾りと共にビーズが使われています。こちらも既に中を空洞にできるだけの技術と美しさに驚き。


前4~3世紀頃の東地中海地域の「両耳付瓶と金製台」
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装身具だけでなく身の回りの品にもガラスが使われました。今はあまり透明感が無いように思えますが、装飾性が見事。

ちなみに古代のガラスはほとんどがこんな感じで風化しているようです。表面が白くなったり虹色に輝く皮膜のようになっているのを「銀化」と呼ぶそうで、長い間土の中にあると化学変化をおこしてこうした感じになるようです。しかし別の風合いが生まれるのでそれはそれで美しい。

前1世紀頃の東地中海地域の碗
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日本の茶器のような侘び寂びを感じるのは風化した為かも。こうしたガラス器は鋳型を使った製法で作られていたようです。

前1世紀頃の東地中海地域のリブ装飾碗
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この時代のガラス器が好みのツボかもw 色だけでなく周囲のひだの形も面白いのですが、この形は「熱垂下法」という特殊な成形が行われたようで、上下逆さにしたお椀状の型に、予め刻んだ模様(日章旗の太陽みたいな形)を乗せ、再び溶かして流れ落とすという方法で作ったそうです。 古代の人たちの知恵は凄い…。

前1世紀頃の東地中海地域のミルフィオリ(千華文)皿
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表面に無数に華の模様が付いた皿。こちらはミルフィオリガラスと呼ばれるもので、モザイクの切片を鋳型に敷き詰めて熔着しているようです。華やかな宴会で使われたのかな?

前1世紀頃のエジプトや東地中海の小さいガラス
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モザイクガラスやとんぼ玉、ペンダントなど。鳥の形や神々の頭など、ユーモラスな感じが面白い。


<2章 ガラスのひろがり>
前1世紀頃、東地中海地域で吹きガラスの技法が生まれ、これまでの鋳造ガラスやコアガラスと異なり格段に早く大量に生産できるようになったそうです。その為、ごく一部の人の贅沢品だったのが一般の人々の日用品へとなっていきました。また、ガラスの色の技術も発展し、徐々に透明になり紀元1世紀には窓ガラスも作られるようになったそうです。 こした技術はローマ帝国全土に広まり、やがてササン朝ペルシアやイスラーム王朝に受け継がれ、シルクロードを経て中国や日本にももたらされたそうです。ここにはそうした技術の広がりの時代の品々が並んでいました。

紀元1~2世紀頃の東地中海地域の吹きガラス。
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これまでのガラスと違って無色透明にかなり近づいています。消色剤としてアンチモンやマンガンを加え鉄分等の発色を抑え、温度を調節することでこうした透明度を実現しているのだとか。ローマの科学技術には毎度驚かされます。

日用品である水差しもこんな感じで沢山あります。
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紀元前後のローマの著述家によるとガラスの杯は銅貨1枚で買えるとのことなので、以前に比べて一気に値段が下がって日常に溶け込んでいったのが伝わります。

この他にもリュトンや首飾りなど様々な品が並んでいました。吹きガラスによって表現力も増して装飾に関してもさらに多様化したようです。

こちらは別の部屋で展示してあった大英博物館所蔵の「ゴールドサンドイッチガラス碗」の再現模型
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オリジナルは前3~2世紀頃に作られたとされているようですが、非常に高い技術で作られていて海外では再現の研究も行われてこなかったそうです。金箔の装飾は日本の敷金と同じような技術のようで、そうした点などもあって2013年に日本の研究者によって再現されました。 現代でも簡単に再現できないほどの技術が2000年前にあったというのは驚異的です。


<3章 ガラス 西へ東へ>
最後はガラスが交易などで広まっていったことを示すコーナーです。ガラスは安価な原料で出来ますが、洗練された器や装身具は交易品として好まれたそうで、ヨーロッパでは毛皮や琥珀、東南アジアではスパイス、中国では絹 など様々な品と交換されたようです。そうしてガラス製造も各地で行われるようになりましたが、同じ技法でも原材料の僅かな差や好みの違いでそれぞれの地域の特質が生まれたそうです。

こちらは7~8世紀頃のイランの「短形切子碗」
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透明度が高く薄手で、カットまで入っている碗。ここまで来ると現代にも通じるような出来栄えになっているように思えます。

こちらは7~8世紀頃のシリア~エジプトの「羽状文小壺」
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マーブルのような模様が緻密で美しい小壷。

12世紀頃のイランの三脚付浅鉢
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既に技術が育ちきっていたのか、8世紀頃とあまり変わらない気がしますが透明度が高く面白い形。

14世紀頃のシリア~エジプトの「エナメル彩装飾瓶」
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シリア~エジプトの辺りはこうした装飾が好みなのかも。

9~10世紀頃のシリアの腕輪
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イスラーム化する前は単色無文のシンプルなものが多かったようですが、9世紀頃からガラス棒をひねって様々な色を巻きつけるタイプが作られるようになったそうです。イスラームの人たちの好みに合ったのかな?


ということで様々なガラスを見ることができました。作品同様に解説も充実していたので、もっとじっくり見たかったですが日帰りで電車の時間もあったのでやや駆け足気味になってしまいましたw この展示はもう終わってしまいますが、今後も面白そうな展示のラインナップとなっているようなので、この美術館に行く際には事前に調べていくことをお勧めします。

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