1週間ほど続いた山梨北杜編も今回で最終回です。前回ご紹介した清春芸術村の中にある清春白樺美術館で「白樺派の世界展」を観てきました。この展示は既に終了していますが、恐らく常設に近い内容だと思いますのでご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
白樺派の世界展 志賀直哉コレクションを中心として
【公式サイト】
http://www.kiyoharu-art.com/museum/index.htm【会場】清春白樺美術館
【最寄】長坂駅
【会期】2017年7月11日(火)~9月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
前々回でもご紹介しましたが、美術館の外観はこんな感じ。

清春芸術村と同じチケットで入れます。
さて、この美術館はその名前からしても分かるように武者小路実篤や志賀直哉などが発行していた雑誌『白樺』のメンバーが創設を夢見ていたものの、幻となっていた美術館を、親交のあった吉井長三 氏が実現したものです。白樺派は文人だけでなく多くの芸術家が参加していて、梅原龍三郎や岸田劉生といった画家や、バーナード・リーチ、柳宗悦といった民藝運動にも深く関わったメンバーもいました。そして、白樺ではゴッホ、セザンヌ、ロダン等、まだ日本では知られていなかった美術を紹介するなど、日本の美術界の発展にも寄与していたようです。 その為、この美術館にはそうしたゆかりの芸術家の作品が集められ展示されていました。
参考記事:
柳宗悦展-暮らしへの眼差し (そごう美術館)美術館の中はそれほど広くないので30分くらいで観終わりますが、大きく分けて2つに分けることができます。まずは第一展示室で、こちらは今回の企画展が開催されていました。ごく簡単にご紹介すると(出品リストを失くしてメモも取ってなかったので1ヶ月前の記憶頼りですが)企画展には梅原龍三郎(油彩数点、書簡や筆・パレットなども)、岸田劉生、椿貞雄、児島喜久雄、有島生馬といった画家メンバーの作品や、高村光太郎などの陶芸・彫刻作品などが1~2点程度ずつありました。それ以外に志賀直哉旧蔵の品々の中に尾形乾山とかもあったかな。もちろんそれらの作品も素晴らしいのですが、ちょっと驚いたのが志賀直哉や武者小路実篤、高村智恵子による絵画で、これが中々モダンな絵でよく出来た作品でした。他には「白樺」の各号が並んでいたりします。 ゴッホも小品があったように思いますが公式サイトを観ると、他にも少数ながらセザンヌやピカソといった画家やロダン、ブールデルといった彫刻家の作品もコレクションにあるようです(忘れただけでこの部屋にもあったかもw)ので、時期によってはそうした作品も観られると思います。
そしてもう1つが第二展示室のルオーコレクションです。こちらは常設展示らしく、油彩が数点と版画15点程度ありました。大半はキリストの「ミセレーレ」のモノクロ版画となっていますが、版画となっても重厚かつ厳かな雰囲気は失われておらず、画面は平坦なのにルオー独自の厚塗りの力強さと同様のものが感じられます。
参考記事:
ジョルジュ・ルオー 名画の謎 展 (パナソニック 汐留ミュージアム)また、ここにはルオーが使っていた絵筆や絵の具なんかもありました。その他、日本人彫刻家によるルオー像やロダンの作品が数点あったと記憶しています。
ということで、それほど大きくない美術館でしたが、白樺派に関する芸術家が一堂に会するという白樺派の夢が叶えられた美術館でした。清春芸術村は色々な建物があって面白いですが、この美術館は特に見どころと言えそうです。行く前に白樺派のメンバーと紹介されていた芸術家について知っておくと、より楽しめると思います。
これで北杜編は終了です。
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