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映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)

先週の平日の会社帰りにBunkamuraル・シネマで「セザンヌと過ごした時間」を観てきました。今回はネタバレを含んでいますが、セザンヌについて調べれば分かる程度のネタバレにしておきます。

DSC08511.jpg DSC08497.jpg

【作品名】
 セザンヌと過ごした時間

【公式サイト】
 http://www.cetera.co.jp/cezanne/

【時間】
 1時間55分程度


【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
上映している映画館が少ない為か、割とお客さんがいましたが快適に鑑賞することができました。

この映画は近代画家の父と呼ばれ現在でも絶大な影響力を持つポール・セザンヌを主人公にしたもので、史実を下敷きに最近の研究結果なども考察して作られた物語となっています。幼少の頃に地元のエクス・アン・プロヴァンスで友達になったエミール・ゾラ(後の有名小説家)との友情を主軸に、苦労した若い頃と、仲違い後に久々に再会した頃の2つの時間軸を行ったり来たりするような構成となっていました。セザンヌは裕福な家庭の息子で、ゾラは幼少時に父を亡くし母親だけで育てられたのですが、ゾラは割と若いうちから有名になり、セザンヌは晩年まで世間あまり評価されませんでした。その葛藤もあってかセザンヌはプライドが異常に高く皮肉や罵詈雑言を言ってばかりという とんでもない性格ですw 今でこそ美術界の巨匠ですが、実際にこんな人が周りにいたら大変そう…。一方のエミール・ゾラはそんなセザンヌに子供の頃にイジメから救って貰ったこともあり、いつもセザンヌの味方になってくれる聖人のように思えます。(ゾラも何だかんだで若い家政婦と不倫したりと褒められた性格ではないですがw)
しかし、そんな2人もゾラの書いた「制作」という本を巡って仲違いするようになり、しばらく会わずにいました。そして久々の再会というところが、今回の映画の舞台となります。2人の友情がどうなってしまうのか、結果を知っている人にはストーリーが読めてしまうと思いますが、それよりも心情表現が深くてそこに面白味があると思います。強がって周りを罵倒していてもナイーブなセザンヌの不器用さが何とももどかしいです。父親に認められたいというコンプレックスをゾラに見抜かれ指摘されるなど、お互いの歯に衣着せぬ応酬が観ているこっちまで心苦しくなってくる感じです。

また、ストーリー以外でも楽しめる点としてこの映画の登場人物にはマネや画材屋のタンギー爺さん、画商ヴォラールなど近代絵画史で有名な人物も沢山出てきます。しかしそれらを知らなくても十分にストーリーは分かるので、知っていたらより楽しめる要素と言った感じかな。また、セザンヌがモデルに対してじっとしていることを強要するシーンなどはセザンヌのエピソードとしてよく紹介されているので面白かったです。

映像や役者については当時の街や本人のようにしか見えないw つい3ヶ月前くらいにエクスに行ったので、現地の光景を思い出しながら観ていましたが本当によく出来ていると思います。フランスの役者には疎いですが、セザンヌ役のギヨーム・ガリエンヌもゾラ役のギヨーム・カネも実力派と呼ばれるのが納得できるなりきりぶりでした。
 参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり (南仏編 エクス)


ということで、セザンヌ好きとしては非常に楽しめる映画でした。予想以上の畜生ぶりを見せてくれて笑ってしまうところもありましたが、概ね今までの情報でイメージしていた通りかなw 2人とも強烈な個性を持っていました。 これを観ておけば、今後セザンヌの絵を観る時により感慨深いものとなると思いますので、美術好きの方にお勧めです。

なお、bunkamura以外にもいくつか(関東以外でも)やっている映画館はあるようですが、公開日がまちまちとなっていますので、気になる方はお近くの劇場があるか公式で探して確認してみるのをお勧めします。
 参考サイト:上映している映画館
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