関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

江戸の琳派芸術 【出光美術館】

2週間ほど前の金曜日に有給ついでに出光美術館(東京)に行って「江戸の琳派芸術」を観てきました。

DSC08519.jpg

【展覧名】
 江戸の琳派芸術

【公式サイト】
 http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/

【会場】出光美術館
【最寄】有楽町駅

【会期】2017年9月16日(土)~11月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
金曜の16時頃に行ったにも関わらず、結構多くのお客さんで賑わっていました。場所によっては列を組んだり人だかりができる感じでした。

さて、この展示は尾形光琳を中心とした「琳派」と呼ばれる傾向の中でも、江戸琳派という酒井抱一とその弟子である鈴木其一を取り上げた内容となっています。酒井抱一は大名の息子でありながら俳諧や書画に親しみ、若い頃は浮世絵や狩野派なども学んだ(師弟関係が不明な画風もあり)のですが、30代の頃から尾形光琳の様式に目覚め、私淑(直接教えを受けることなく学ぶこと)します。既に出家していた55歳の頃には光琳百周忌を大々的に執り行い、自他共に光琳の後継者と認知されました。光琳と比べると、単純に真似するだけではなく風流な洒脱さが趣味人であった抱一の特徴と言えるかな。今回は光琳からの直接的な模写やカタログ的な本からオリジナリティを感じる作品まで幅広く出品されています。特にメモなどは取っていませんが、展覧会の章立てに従って各章ごとに簡単にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想前編(千葉市美術館)
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想後編(千葉市美術館)


<第1章 光琳へのまなざし ─〈江戸琳派〉が〈琳派〉であること>
まず冒頭からいきなり酒井抱一による「風神雷神図屏風」が待ち受けています。これは俵屋宗達の作品を尾形光琳が模写したものをさらに酒井抱一が模写したもので、琳派では何人も模写しています。今回は3者を見比べられるような写真等は無かったですが、完全コピーというわけではなく抱一独自の表現も観られるのが面白い所です。ざっくり言うと抱一の風神雷神はあまり怖くなく親しみやすい感じ。
 参考記事:琳派芸術II (出光美術館)

また、尾形光琳の風神雷神図屏風の裏側に描いた「夏秋草図屏風」の草稿もありました。絵柄は完成作とほぼ同じに思えます。草の配置や雨が風神雷神図と呼応するようになっている点も確認できますので、中々興味深い展示方法でした。
 参考記事:東京国立博物館 平成25年度 秋の特別公開 【東京国立博物館】

さらに進むと「八ツ橋図屏風」と「紅白梅図屏風」もあります。もうこの章だけで元が取れるくらい見ごたえがある感じw 琳派芸術の傑作の一番美味しいところを楽しめました。


<第2章 〈江戸琳派〉の自我 ─光琳へのあこがれ、光琳風からの脱却>
こちらは光琳への厚い敬意を払いつつ、抱一が独自の様式を開拓していった様子が分かるコーナーです。特に抱一が得意とした植物を描いた作品が多く、秋草図や花がC字状に並んだ燕子花図屏風などが展示されています。冒頭にも書いたように抱一には華やかさだけではなく風流な感性があり、光琳とはまた違った色彩感覚と遊び心ある構図で楽しませてくれます。
また、ここには弟子の鈴木其一の作品もありました。其一も師匠同様に光琳に学んだところが大きいのですが、後に中国絵画からの影響が強くなりグネグネした感じの作風が特徴となっていきます。色も強烈だったり花を不穏なほどびっしり描いたりするのでそれほど好きになれませんw しかし今回の展示ではそうした作品は少なめで、むしろ師匠以上に光琳礼賛といった作品が多いようでした。


<第3章 曲輪の絵画 ─〈江戸琳派〉の原点>
こちらは酒井抱一の若い頃の画風についてのコーナーで、抱一1点を含む4点のみとなっています。若い頃は遊郭に入り浸り、歌川豊春にそっくりな画風で美人画を残しています。このコーナーには歌川豊春の作品もあり、お互いの師弟関係は明らかになっていないようですが似ているのが分かると思います。 他には酒井抱一と同様に武家の名門から浮世絵師となった鳥文斎栄之の作品などもありました。


<第4章 〈琳派〉を結ぶ花 ─立葵図にみる流派の系譜>
こちらも5点だけのミニコーナーですが、全て立葵を描いた作品が並んでいました。この花は琳派の象徴と言えるもので、尾形光琳の弟の尾形乾山が好んで取り上げていました。江戸琳派は光琳だけでなく乾山もよく研究していて、立葵も定番のモチーフとなっていきました。 また、尾形兄妹の命月が6月であることからその時期に咲く立葵は特別な意味を持ったようです。
色彩が印象的で可憐な立葵はいずれも見事で、たらし込みを使った葉っぱの表現などは琳派らしさを感じます。


<第5章 師弟の対話  ─抱一と其一の芸術>
最後は抱一の「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」と其一の「四季花木図屏風」が競うように展示されていました。前述の通り今回の展示の其一は割と光琳っぽい作風のを出品しているのが嬉しいw しかし、やはり抱一のほうが何枚も上手で、「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」は今回の展示でも特に見どころです。日本の季節の美しさを改めて教えてくれると共に、絵として完成度が素晴らしく空間とモチーフの流れるよう配置、目を引く色彩など本当に傑作といえる作品です。


ということで、観たことがある作品が大半でしたが一気に観られて非常に満足度の高い展示でした。私は日本美術で最も好きなのが尾形光琳で、負けず劣らず酒井抱一も好きなので抱一が沢山あるだけで満足度は5点にする傾向があります^^; 一方で其一はそれほど好きではないのですが、今回の展示の作品は好みのものが多かったです。琳派は華やかさや洒脱さが分かりやすく美術初心者にも楽しめると思いますので、今期お勧めの展示の1つです。

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