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井の頭公園100年写真展+いきもの写真展 【三鷹コラル】

前回ご紹介した三鷹市美術ギャラリーの展示を観た後、同じ建物の1つ下の階でたまたま「井の頭公園100年写真展+いきもの写真展」という展示をやっていたので観てきました。既に終了している展示ですが、中々興味深かったのでご紹介しておこうと思います。

DSC08563.jpg

【展覧名】
 井の頭公園100年写真展+いきもの写真展 

【公式サイト】
 http://mitaka-musashino.mypl.net/event/00000270495/ 

【会場】三鷹コラル4階
【最寄】三鷹駅

【会期】2017/9/15(金)~10/6(金
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_①_2_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
この展示は三鷹市美術ギャラリーのあるデパートの廊下で開催されていた写真展で、「井の頭公園100年写真集」と「井の頭公園いきもの図鑑」の出版を記念して井の頭公園の100年の歴史と現在の生態系を紹介する内容となっていました。点数は少なく写真をコピーしたパネルでの展示なので、作品充実度は1点にしましたが、解説がついていて分かりやすく面白かったです。いくつか撮影してきたのでそれを使ってご紹介しようと思います。
 参考記事:井の頭恩賜公園の写真 

井の頭公園の公園としての歴史は100年ですが、旧石器時代の遺跡が発見されるなど相当昔からこの辺に人が住んでいたようです。江戸時代には神田上水の水源として信仰や観光の対象となっていたようで、明治の終わり頃に公園設立の構想が立ち上がり、大正時代に渋沢栄一を中心とした東京市の関係者らの尽力で1917年5月1日に日本で初めての郊外公園「井の頭恩賜公園」として誕生しました。

まずこちらは開園直後の井の頭公園。
DSC08566.jpg
開園直後は遠足地として人気だったそうですが、玉川上水に落ちて溺れた生徒を助けようとした教諭が亡くなるという事故もあったそうです。当時は全国的に取り上げられて慰霊碑も作られたのだとか。今と比べるとかなり自然そのものって感じです。

こちらは池をプールとして使っている様子。
DSC08574.jpg
1921年に来場者増加を図るために天然のプールとしてオープンしたそうです。91mもあったそうですが 大らか過ぎて割と衝撃w その後1933年にコンクリ製の2代目プールもオープンしますが、水がメチャクチャ冷たいので有名だったのだとかw(2代目も1983年に廃止。今は日本庭園になってます)

今でも残っている橋(七井橋)は1922年に出来ました。
DSC08577.jpg
沢山の人で賑わっているのは今も昔も同じかなw

1924年には弁財天が焼失するという災難があったようです。
DSC08582.jpg
元々は源頼朝がお堂を立てたのが新田義貞との合戦で焼失し、江戸時代に徳川家光によって再建されたものだったようです。更に燃えたので現存は3代目かな??

1929年にはボート場や新設プールなども開設されました。ちなみに1939年には何とモーターボートも走っていたようです。この写真はかなり貴重なものらしいのであえて出し惜しみしておきます…。あの小さい池にしっかりモーターボートが浮いているのが中々シュールですw

こちらは1939~1943年頃にあった茶屋。風情があって残っていて欲しかった。
DSC08609.jpg
これも今では伝説的な存在となっていたのがこの写真で確認できたそうですw 投下されてた爆弾(不発弾)を避ける為、橋のたもとに移転されたそうです。

1934年には「井の頭恩賜公園動物園」がオープンします。当時は上野動物園に次ぐ規模だったらしく開園日には2万人も来たのだとか。元々の構想では檻や柵の無い「無柵放養式動物園」を採用し動物の種類も上野を凌ぐものになる予定だったそうで、2年後には水生物館もオープンしました。(さらに植物園も構想があったようです。)

こちらは1942年の頃の動物園。日米開戦の翌年です。
DSC08606.jpg
建材自体も不足して予算も1/10に減るなどかなり苦境だったようです。しかし、それ以上の悲劇がこの後に起きます…。

こちらは終戦前年の1944年の写真。
DSC08611.jpg
明治時代に植えられた杉並木の景観で有名だったそうですが、木材供出の対象となり15000本が伐採されました。また、空襲時に危険な存在となるホッキョクグマなどは毒殺されています…。(井の頭公園の北西2km先に軍用機のエンジン工場があったそうで、井の頭公園周辺は真っ先に空襲のターゲットになったようです。)

この辺は戦争が井の頭公園にまで暗い影を落としていたのがよく分かる写真です。しかし1945年に戦争が終わり平和が訪れると再び活気が戻ってきます。来場者は1946年には22万人まで回復し、1950年に40万人、1955年には69万人とどんどん増えていきました。

1954年には象の はな子 が井の頭公園にやってきました。
DSC08617.jpg
象を見たいという子どもたちの熱意がインドとタイに伝わり贈られたそうで、熱狂的に迎えられ全国に移動動物園として開催されました。その後、井の頭公園への定着の要望に答えて はな子がやってきたようです。2016年5月に62歳で亡くなった際は大きなニュースになっていました。
ちなみにこの頃の象への熱狂ぶりは川端龍子の「百子図」にも描かれています。
 参考記事:Kawaii(かわいい) 日本美術 -若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで- (山種美術館)

その後、ミスコンや花火大会が行われるなどさらに賑わいを見せるようになり、現在の大人気ぶりにつながっていきます。

続いては井の頭公園の生態系の写真でした。つい最近に水を抜いて掻い掘りしたこともあって一時は水が澄んだのですが、既にアメリカザリガニやブルーギルなどの外来種が現れているようです。

こちらはゴイサギ。
DSC08631.jpg
平家物語で醍醐天皇から正五位の位階を賜ったのが名前の由来なのだとか。非常に美しい姿をしているので醍醐天皇もそれが気に入ったのかな。

こちらはカイツブリ。
DSC08642.jpg
何に乗っかってるんだろ?と思ったら、これは落ち葉や水草で作った浮き巣なのだとか。面白い生態です。


ということで、たまたま開催されていたので観ただけだったのですが、井の頭公園の意外な歴史や生態系を知ることができて面白かったです。もう終わってしまいましたが、幸いなことに本で見ることも出来るようなので、井の頭公園が好きな方は本でチェックしてみるのも良いかもしれません。

参考リンク:amazonの書籍紹介ページ(画像からリンクしていて、紹介ページでも数点の写真が観られます。レビューも高評価のようです)
 
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