関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

国宝 【京都国立博物館】(京都編)

2017/10/22(日)に、京都まで遠征して京都国立博物館で「開館120周年記念 特別展覧会 国宝」を観てきました。ついでに色々と京都・奈良の展示やイベントも観てきたので今日からしばらく京都編をご紹介していこうと思いますが、まずはこの豪華な国宝展についてご紹介していきます。この展示は主に4期に分かれていて、私が観たのは2期でした。

DSC09658.jpg

【展覧名】
 開館120周年記念 特別展覧会 国宝 

【公式サイト】
 http://kyoto-kokuhou2017.jp/
 http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/tenrankai/kyoto-kokuhou2017.html

【会場】京都国立博物館
【最寄】京都駅

【会期】
 2017年10月3日(火)~11月26日(日)
  Ⅰ期 10月03日(火)~10月15日(日)
  Ⅱ期 10月17日(火)~10月29日(日)
  Ⅲ期 10月31日(火)~11月12日(日)
  Ⅳ期 11月14日(火)~11月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
私が行った日は台風が接近している時で、非常に雨の強い日でした。この台風のせいで楽しみにしていた時代祭が20年ぶりに中止になってしまったのですが、そのおかげで国宝展に来る人も減ったようで待ち時間5分程度という奇跡的なタイミングで観ることができました。しかし京都のタクシーの運転手さんが言うには台風の日でも朝は1時間待ちだったようで、恐らく開館直後は逆に混むのかもしれません。公式ツイッターでは待ち時間もちょくちょく呟いているので、お出かけの際は確認して計画的に行くことをお勧めします。 なお、中もかなりの混みようであちこちで並びました。私は観たことがある作品が多かったので2列目以降で観てきた所が大半でしたが、最前列で観たい方はは3時間くらいはかかるのではないかと思います。待ち時間と合わせてお時間に余裕を持ってどうぞ。

さて、この展示の内容についてですが、今年は「国宝」の語が初めて使用された「古社寺保存法」制定から120年で、この京都国立博物館の開館からも120年だそうで(同い年)、それを記念して文字通り国宝ばかりを集めた別格な品揃えとなっています。 以前にもこうした国宝展を開催したことがあるようですが、実に41年ぶりということで非常に貴重な機会となっています(前回の国宝展は私は生まれてもいないw) 日本には現在885点程度の国宝があるそうですが、今回はたった8週間の間に200点を超える国宝が展示されるということで、一気に1/4もの国宝を観ることができます。とは言え、200点というのは全期間合わせてで、会期によって展示物は変化していきます。お目当ての品がある方は作品リストのチェックをお勧めします。
私が観たのは2期の内容ですが、どのような構成となっていたか展覧会の構成に合わせて各章ごとに簡単に振り返ってみようと思います。

 参考リンク:
  公式ツイッター
  作品リスト

<書跡>
まずは3階から観て行く感じです。最初は古い書跡のコーナーで、特に弘法大師(空海)の書いた文書が多く並んでいました。中国から持ち帰った品のリストや、灌頂を受けた人の名前を書いたものなど歴史的にも重要な文書があります。達筆で名高い弘法大師だけあって、厳格な文字からは気品が漂っていますが、よくよく観ていると割と色んなところで書き直しのあったりして正に「弘法も筆の誤り」と言えそうw さらに面白いのが文章の草案までも国宝になっている点で、平時の空海の字も観ることができます。これは書き直しもあるし草書体みたいなやや崩した感じの字で、正式な文書と一緒に展示されていたおかげで見比べることができました。また、最澄の書も数点あって、やっぱり書においては空海が圧倒的であるのが分かりましたw
なお、3期の11/7以降には王羲之の「孔侍中帖」(前田育徳会蔵)なども観られるようです。
 参考記事:書聖 王羲之 感想前編(東京国立博物館 平成館)

<考古>
ここは割と入れ替えが少ないコーナー。土器や土偶や銅鐸、その他様々な遺跡からの出土品が並びます。ここで一番面白いのは土偶で、「縄文のビーナス」や「仮面の女神」と呼ばれる個性的な形の土偶を観ることができます。割とこの辺は東京国立博物館でよく観るものもある気がしますが、やはり多くの人が目を止めて見入っているようでした。また、教科書でもお馴染みの火焔式土器も人気があるようでした。
なお、3期には志賀島から出土した「漢委奴国王印」(金印)が出品されるようです。これは一度観てみたかった…。
 参考記事:国宝 土偶展 (東京国立博物館 本館特別5室)

<仏画>
ここから2階で、このコーナーは5~6点くらいだったと思いますが、平安から鎌倉にかけての仏画が並んでいました。特に見どころは絵画の国宝第1号に指定された「普賢菩薩像」で、これは1~2期しか観られません(以前に東京国立博物館で観た覚えはあります)白い像に乗った普賢菩薩の優美な顔立ちは見事で、落ち着いた色合いは当時の中国の最新の美術からの影響とのことでした。 他にも「釈迦金棺出現図」という大きめの作品も面白く、これは釈迦の入滅後に摩耶夫人が嘆くので釈迦が蘇って説法をするという、珍しい主題です。釈迦を中心に沢山の弟子や動物などが集まるのは涅槃図の後の場面を思わせました。

<六道と地獄>
ここはその名の通り、地獄や餓鬼を描いた作品が並ぶコーナー。2期は餓鬼草紙が展示されていて、街中に餓鬼が溢れる様子が描かれていました。飢えた人のリアルな体躯は、恐らく当時こうした人が沢山いたのだろうと想像させるのでかなり怖いです。また、ここで面白かったのが「病草紙」で、性病や歯槽膿漏、目の治療など様々な病気の様子が描かれていました。歴史的な絵巻と歯槽膿漏という取り合わせが意外でしたが、考えてみれば昔からあって当然の病気かな。 目の治療のシーンとかは血がドバドバ出てた(失明するらしい)し、昔の怪しい医療への皮肉にも思えました。

他にも炎で焼かれる罪人たちを描いたこれぞ地獄絵!といった感じの絵などもありました。

<中世絵画>
こちらは今回の展示の目玉の1つとなっていて、会期全体で雪舟の国宝が全部出てくるようです。2期は雪舟の唯一の人物がである「慧可断臂図」を観られたのは嬉しいけど、「瓢鮎図」が観られなかったのはちょっと残念。(いずれもこのブログを始めるより前に観たので、結構ご無沙汰しています)

「慧可断臂図」は外の看板にもあったので、ちょっと貼っておきます。(いずれも会場の外にあった看板を写真で撮ったものです。)
DSC09662.jpg DSC09666.jpg
右の秋冬山水図はここ数年だけでも東京国立博物館で観る機会が何回かあったように思います。他にも四季山水図巻(山水長巻)や天橋立図などもありました。

 参考記事:本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)

<近世絵画>
続いての近世の絵画のコーナーにも超有名作である俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が展示されていました。尾形光琳による模写は結構観ていますが、俵屋宗達のはだいぶご無沙汰してた(多分、2008年の大琳派展以来)ので観られて嬉しい。尾形光琳のと比べると、目線を合わせていなかったり雷神の円が画面をはみ出しているなどの違いがあります。

他にもこの美術館のすぐ近くにある智積院に伝わる長谷川等伯・長谷川久蔵の親子による屏風(1~2期前半は等伯の楓図壁貼付、2期後半~3期は久蔵の桜図壁貼付)も見どころで、ダイナミックな楓の幹が見事でした。

 参考記事:
  没後400年 特別展「長谷川等伯」感想前編(東京国立博物館 平成館)
  没後400年 特別展「長谷川等伯」感想後編(東京国立博物館 平成館)

<中国絵画>
こちらは主に南宋時代の中国から伝わった絵画が並んでいました。皇帝でありながら非常に卓越した絵画を描いた徽宗皇帝(の作と伝わる)「秋景・冬景山水図」や、李唐や馬遠(と伝わる)など日本に影響を与えたのがよく分かる作品があります。ここは割と空いてたのでじっくり観ることが出来ました。
なお、ここで目玉になりそうな牧谿の「観音猿鶴図」は3期に出て来るようです。

<彫刻>
ここからは1階で、まずは仏像が並んでいます。特に目を引くのは大きな大日如来坐像ですが、これは今年に国宝指定されたものらしく初めて見ました。また、行快による不動明王坐像や平等院に伝わる飛天など、様々な仏像があります。最も古い飛鳥時代の広目天立像から鎌倉時代の仏像まで表現方法も全く違うので、見比べてみると面白いと思います。
 参考記事:天上の舞 飛天の美 感想前編(サントリー美術館)

<陶磁>
ここは2期の目玉となっていて、曜変天目茶碗(京都・龍光院)を久々に間近に観ることができました。最前列で観るためには列に5分くらい並ぶ必要がありましたが、せっかくなので並んでみました。現代でも完全再現できないと言われる輝く斑紋が神秘的で、小ぶりながらも見ていて飽きません。この曜変天目は2期のみですが、3~4期には油滴天目が見られるようです。他にも、志野の名品「志野茶碗 銘 卯花墻」などもありここもかなり満足できました。

<絵巻物>
ここは数点だったように思いますが、法然上人絵伝や信貴山縁起絵巻の尼公巻(会期で巻が異なる)など、主に仏教関連の絵巻物が展示されていました。信貴山縁起の尼公巻は、信貴山を開いた命蓮の姉である尼公が命蓮を探しに奈良に行った際、人々に聞いてもわからなかったものの、東大寺の大仏が夢のお告げで信貴山にいると教えてくれて再会できたという話を説明つきで展示していました。画面が繋がっていながらストーリーになっているのが面白く、縁起を説明するのに分かりやすい絵巻となっていました。

<染織>
ここはお坊さんの袈裟などが展示されていました。特に見どころは空海が阿闍梨から伝授された「けん陀穀糸袈裟」袈裟で、一見すると茶色く変色してよごれた感じのボロ布が貼ってある袈裟です。これは袈裟の本来の姿である糞掃衣を模したもの(袈裟はボロ布を集めて縫ったようなのが最上とされている)で、わざとそういう色にしているそうです。一種のウェザリングみたいで何だか肝心なことをスルーしてしまっているような気がしてなりませんw 実際には丹念に作っているとのことで、面白かったです。

<金工>
こちらは刀や鎧といった武具、華籠や華鬘のような仏具など様々な品が並んでいました。特に刀は細身で素人目にも美しい「銘 正恒」などが好みでした。ここは色々ありすぎてまとまりがないかも。

<漆工>
最後は見事な蒔絵が並ぶコーナーです。特に鎌倉時代の「時雨螺鈿鞍」は非常に素晴らしく、緻密かつ優美で 和歌の意も組み込まれているという傑作です。また、2歳で輿入れした徳川家光の娘の嫁入り道具「初音調度のうち蒔絵十二手箱」なども流石の豪華さでした。

このコーナーには何故か沖縄の紅型なども展示されていました。黄色が鮮やかで、中国や日本とも似ているけれども独自性のある文様が目を引きました。


ということで、非常に豪華な内容となっていました。と同時に これだけ国宝があっても観たことがあるものが多く、自分も今まで国宝を沢山観てきたんだなと思いましたw とは言え、これだけ一気に観られる機会は40年も無かったことなので、何年先までも語れる伝説級の展覧会だと思います。

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