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阿修羅 天平乾漆群像展 【興福寺仮講堂】(奈良編)

前回まで京都編をご紹介してきましたが、今回の旅では奈良にも足を運び興福寺で「阿修羅 天平乾漆群像展」を観てきました。

DSC09777.jpg

【展覧名】
 興福寺国宝特別公開2017/興福寺中金堂再建記念特別展
 阿修羅 天平乾漆群像展

【公式サイト】
 http://www.kohfukuji.com/

【会場】興福寺仮講堂
【最寄】近鉄奈良駅

【会期】
 前期:2017/03/15~06/18
 後期:2017/09/15~11/19
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
空いていて快適に観ることが出来ました。東金堂とのセット券を買って両方観たので合わせて1時間くらいかけてじっくり観てきました。

さて、この展示は興福寺が誇る「阿修羅像」を始めとする脱活乾漆像の傑作が揃う展示となっています。現在、上野では興福寺の中金堂再建を記念した「運慶展」が大盛況ですが、この展示も中金堂再建記念で開催されているようです。 2009年に行われた「阿修羅展」では何時間も待つ大行列ができたのを記憶している方も多いと思いますが、今回はそんな阿修羅像が特に並ばずに目の前でじ~~~っくり観られる機会となっていてました。(台風の翌日の朝一番だったから空いていたのかもしれません。) 特にメモなど取っていませんが、簡単にその様子をご紹介しておこうと思います。
なお、興福寺については以前に興福寺仏頭展の記事に詳しく書いているので、そちらをご参照ください。また、各像についても以前の阿修羅展で書いていますので、今回は各像の詳細は割愛します。

 参考記事:
  国宝 阿修羅展 (東京国立博物館)
  国宝 阿修羅展 2回目(東京国立博物館)
  興福寺創建1300年記念 国宝 興福寺仏頭展 (東京藝術大学大学美術館)
  運慶 (東京国立博物館 平成館)


<仮講堂>
まずは早速、仮講堂で阿修羅を始めとした仏像を観てきました。この展示は前期・後期に分かれているので恐らく入れ替えがあったのかな。合わせて20体の仏像が展示されていました。

こちらが仮講堂。この建物も仮金堂の役目をしていたようで、割と立派です。
DSC09778.jpg
この中で仏像がずらっと正面を向いて並ぶ感じで展示されています。横や後ろから観られなかったり、奥にある仏像は前の方の仏像で隠れていたりと、美術館のように自由に観られる訳ではありませんが、この本場で観るというのが雰囲気があります。 並び方も各役目にある程度応じたものとなっていて、中央奥に阿弥陀如来、それを守るように右脇に梵天、左脇に帝釈天、中央前方に華原馨(銅鐸みたいなやつ)、その両脇に4柱ずつ八部衆(右翼の右から乾闥婆、畢婆迦羅、鳩槃荼、沙羯羅、 左翼の右から緊那羅、阿修羅、迦楼羅、五部浄)、その左右に十大弟子のうちの3人ずつ(右翼の右から羅睺羅、富楼那、舎利佛、左翼の右から目犍連、須菩提、迦旃延)、一番右に阿形、一番左に吽行 という配置です。
 参考リンク:
  興福寺公式サイトの各仏像の画像
  興福寺の国宝一覧
  興福寺の重要文化財一覧

やはり一番人が集まっていたのは阿修羅で、何とも言えない顔が魅力です。後ろにいる帝釈天との戦いにどうしても勝てなかった為か仏に帰依しても何処と無く寂しげな感じもしつつ一心に拝む表情が見事。ちょっと中心からズレたところで手を合わせていたりするのはかつての補修の結果だったり、今でも指が欠けていたりするのが長い歴史でこの像が生き残ったのが奇跡的であったことが伺えます。(乾漆像は木造と違って漆を塗り固めて作ったものなので持って逃げやすいという特徴があるため、焼け落ちずに残ったというのがその理由です) やはりこの像を観るために奈良まで行った甲斐があったと思わせるだけの大傑作でした。
また、他の個性的な像も勿論素晴らしいのでじっくり観てきました。鳥の顔をした迦楼羅が阿修羅に隠れてしまったのがちょっと残念でしたが、あどけない表情をした沙羯羅や、風格のある畢婆迦羅などは前面にあったのでよく観ることが出来ました。 十大弟子は全員揃いませんでしたが、優しい顔をした須菩提や、ちょっと嫌そうな顔に見える富楼那などそれぞれ個性豊かで実在感がありました。一番偉い阿弥陀如来も定朝の様式で作られ、穏やかな雰囲気と大きな身体でこのスター軍団のセンターを見事に務めていました。

<東金堂>
仮講堂に満足した後、東金堂の中の仏像も観てきました。
DSC09773.jpg

こちらも国宝の仏像がズラリと並んでいて、木造文殊菩薩坐像、木造維摩居士坐像、木造十二神将立像、そして有名な仏頭などがありました。こちらもちょっと離れて見づらい仏様もいましたが、じっくりと観てきました。ここの仏様も時期で入れ替えがあるのか分かりませんが、興福寺は慶派が復興で腕をふるった所なので、運慶を始めとして沢山の国宝の仏像があります。この建物自体も国宝だし、ここに訪れれば何かしら素晴らしいものを観られるのは確実です。

仏像に満足した後、他のお堂も見て回りました。こちらは再建している中金堂。
DSC09766.jpg
2018年10月に落慶予定です。めっちゃ立派な建物になりそう。

こちらは五重の塔。何と1300年も前の730年からある塔です。
DSC09769.jpg
元々は光明皇后が建てたものですが、5回の被災・再建を経て今あるのは1426年に再建したものです。それでも国宝となっていて、50mもあるのに台風や地震にも負けずに立派な姿で現在も興福寺のシンボルとなっています。

こちらは南円堂。
DSC09792.jpg
ここは閉まっていて、毎年10/17だけ特別公開されます。私が行ったのは10/23で1週間差で惜しかったw 中には運慶の父である康慶とその一門による不空羂索観音像が本尊として祀られています。

南円堂の近くには三重塔(国宝)と北円堂(国宝)もあります。北円堂も普段は閉まっていますが、春季と秋季は門が開くそうです。運慶展に来ている無著・世親立像は北円堂の仏像です。

国宝館もリニューアルに向けて工事中でした。
DSC09784.jpg
2018年の1月にオープンするようなので、また豪華な国宝が観られる日も近いようです。


ということで、本場で久々に阿修羅たちに会うことができました。今後も国宝館がリニューアルされれば会える機会もあると思いますが、仮講堂での展示も独特の雰囲気があって良かったです。東金堂の仏像と合わせて大満足の内容でした。


おまけ:
興福寺から東大寺に向かう途中に奈良国立博物館があります。
DSC09799.jpg
私が行った日は月曜日だったのでお休みでした。

今は毎年恒例の正倉院展をやっているので、賑わっていると思います。
DSC09801.jpg
 期間:2017/10/28(土)~11/13(月)
 公式サイト:http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2017toku/shosoin/2017shosoin_index.html
たった17日で終わってしまいますが、今回ご紹介した阿修羅展と期間が被っているので、合わせて観に行くと効率的かもしれません。

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