HOME   »  過去の美術展 (2017年)  »  超絶記録!西山夘三のすまい採集帖 【LIXILギャラリー】

超絶記録!西山夘三のすまい採集帖 【LIXILギャラリー】

今回は画像多めです。先日、銀座で無料で観られるギャラリー巡りをしてきました。まずは京橋方面にあるLIXILギャラリーで「超絶記録!西山夘三のすまい採集帖」を観てきました。

DSC00926.jpg

【展覧名】
 超絶記録!西山夘三のすまい採集帖 

【公式サイト】
 http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_003793.html

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)

【会期】2017年9月7日(木)~11月25日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示は西山夘三(にしやまうぞう)という建築家の展示となっています。私はこの方を知らなかったのですが、「ダイニング・キッチン」という今では誰でも知っている住宅の間取りを考案した人物だそうで、大阪万博では丹下健三と共に会場計画のチーフプランナーを務め、京大で建築学科のの教授として教鞭を執っていたようです。
 参考リンク:西山夘三のwikipedia
そんな大発明をした西島氏ですが、その根底には膨大な研究があったようで、各地の建築を記録し「日本のすまい」という著作なども残しています。また、私生活においても相当な収集癖があったそうで、今回の展示でそうした様子が示されていました。この展示は撮影可能でしたので、詳しくは写真と共に章立てに沿ってご紹介していこうと思います。


<漫画家志望>
まずは学生の頃に漫画家を目指していたことについてのコーナーです。この後のコーナーで沢山のスケッチが出て来るのですが、漫画家志望だったのが遺憾なく発揮されているので、そのルーツを最初に観るような感じの内容となっています。その正確な描写と鋭い観察眼は漫画で養われたのではないかと思える作品が並んでいました。

まずこちらは壮年自体の自画像。
DSC00932.jpg
戯画的にざっくり描いていますが、写真と見比べるとかなり特徴を捉えています。

ちなみに、今回の展示では画用紙をめくって観るというちょっと変わった展示方法をしているところがありました。めくると次の紙が出てきます。恐らくプリントじゃないかな。

こちらは17歳頃の漫画。
DSC00936.jpg
流石に現代の若者と比べると素朴な感じがしますが、猫らしい動きに観察眼があるように思えます。

こちらは高校時代の絵日記。
DSC01036.jpg
これも簡素ながら生活の様子がよく伝わります。日々の様子をつぶさに観察して収集するというのはこの後もずっと続いていくことになります。


<体系的すまい採集帖>
続いては京大退官後にライフワークだった日本住宅研究の集大成として刊行された『日本のすまい』についてのコーナーです。全3巻で1200ページもある本らしく、そこには庶民の住宅がスケッチで描かれています。写真で撮ったものもわざわざスケッチにしたというこだわりぶりで、入念に描き込まれていました。

こちらは青山にあった同潤会アパートの内部の設計。
DSC00954.jpg
1941年に住宅営団に職を得て、同潤会の代官山アパートで暮らしていた頃に描いていたそうです。

同潤会アパートの間取りのスケッチも展示されていました。
DSC00955_20171109232127ced.jpg
実際には俯瞰することができないのに非常にリアルに描かれていて、立体把握が流石です。ちょっと漫画チックなところに温かみも感じます。

この辺には京都や名古屋の町家、農家などのスケッチもありました。

こちらは戦後に建設された大阪市営の応急バス住宅。バスを改造して家にしたものです。
DSC00958.jpg
部屋は4畳分くらいしかないので土間を建て増ししているようです。こんな家があったというのも驚きですが、戦後間もない頃にこれを描いて記録してたというのも凄い。鉄板なので夏暑く冬寒いという最悪の住宅だったそうで、すぐ壊されたのだとかw

こちらは1954年に建設された鉄道住宅! 市電を10台並べていて、各家は2畳と4畳の部屋があるそうです。。
DSC00962.jpg
意外にもこちらはバス住宅よりは恵まれていたそうで、ダイニング・キッチンと言える部屋もあったようです。ちょっと鉄道マニアとしては心惹かれるものがありますw 内部のスケッチも展示されていましたが割と機能的に見えるし、14年住んでた人もいたらしいのでミニマリストみたいな人なら行けるかも??

こちらは京都の南禅寺付近にあった豪華なラブホテル!!w 
DSC00967.jpg
冷蔵庫の中身や皿の枚数まで数えてますw 図面や写真が残っていたとしても、こんなものまでスケッチしようと考える人は他にいなそうw 今となっては貴重ですね。(しかもいくつか他のラブホテルもスケッチがありました。)

こちらは世界遺産にもなった軍艦島!
DSC00977.jpg
鳥瞰図のようになっているのは何かを参考にしたのかわかりませんが、かなり詳細です。勿論、内部の様子や部屋の間取りを描いたスケッチもありました。

他にもドヤや炭鉱住宅、学生寮などをスケッチしたものもありました。住宅があれば何処にでも行って幅広く「採集」しているのがよく分かります。

これは低質な建売住宅のスケッチ。
DSC00992.jpg
縦長で横は1.8mしかないビックリハウスw こんな酷い家も採集しているのが面白い。

住まい採集の際に撮った写真。
DSC01015.jpg
いわゆる長屋かな。住みづらそうですが、割と絵になる風景です。

こちらが『日本のすまい』
DSC01017.jpg
ちょっと読んでみたいけど、読むだけでも相当エネルギーが必要かも。


<自伝的住み方記録>
ここまででも執念とも言えるべき住まい採集の様子が分かると思いますが、その対象は自らの家も例外ではありませんw 

こちらは1940年の結婚直後に住んだ京都下鴨の借家。
DSC00996.jpg
家がみすぼらしいのは困ると妻の実家に押し切られてこんな大邸宅に住むことになったそうです。

その後、東京に引っ越した際には先程の同潤会アパートに住んだりもしています。

こちらは1944年に再び京都に戻って住んだ大学官舎
DSC01000.jpg
8室44畳という豪邸! しかし疎開でここには1年くらいしか住んでいなかったようです。

これは借家を買い取った「生け垣の家」 (1949年に引っ越して1956年に買い取り)
DSC01013.jpg
この図面は1966~72年頃の子どもたちが独立して出ていった頃の自分の部屋。どんどん家の様子が変わっていくのも観ることができて面白いです。

これは1947年発行の『これからのすまい』で提案された住宅模型。西山氏自らが手作りした模型です。(両側から同じものを撮っています)
DSC01055.jpg DSC00984.jpg
子供3~5人の7人家族向けらしく、その後の公共住宅のモデルになったそうです。

こちらは自分の子どもたちの為に西山氏が設計し注文制作した机や椅子
DSC00972.jpg
椅子の下にも引き出しがあるなど、収納力たっぷりです。このギミックの椅子はそそりますw


<おそるべし、記録魔>
ここまでも十分すぎるほどに記録魔ぶりが伝わってきましたが、記録するのは建物だけではありません! 病気の時だって記録します!

食べたものもスケッチ。
DSC01026.jpg
食べた感想もちゃんと残しています。お店の名前と電話番号も書いてあるしw

これは胃潰瘍で入院した部屋を描いたもの。
DSC01027.jpg
ベッドの周り以外も描いてあるから観に行ったのかなw 何の検査をしたかもきっちり記録しています。

学者は収集癖があるといいますが、記録魔もここまで来ると基礎研究そのものですね。


<実証的すまい調査>
西山氏の原点は「住み方の調査」であり、それはスケッチだけではなく暮らしの実態を把握するために様々な調査を行っていたようです。

これは「中部3都市住み方調査」という論文のための調査票。
DSC01044.jpg
手作業で住んでいる人の職業ごとの人数を調べています。それ以前に出した調査例の母数が100では足りないとダメ出しされて、このような大規模調査を行ったそうですが、それが西山住宅論の原点となったようです。

こちらは住宅に対するアンケート。
DSC01048.jpg
私も仕事でアンケートの作成から分析までやりますが、どの作業も絶対に手作業でやりたくはないですw この時代よくやったものだと感心させられます。


ということで、建物のスケッチ自体も面白かったですが、その執念とも言える記憶魔ぶりが可笑しくて予想以上に楽しい展示でした。私もブログで観た展示をコレクションしているようなものなので、ちょっと親近感が沸きましたw ここは無料で観られますので、住宅に興味がある方はチェックしてみてください。



おまけ:
ギャラリー2では、クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 「鈴木基真展 MOD」 という展示をやっていました。

【展覧名】
 クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 「鈴木基真展 MOD」

【公式サイト】
 http://www1.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_003863.html

【会期】
 2017年10月12日(木)~12月24日(日)

こちらは点数が少なかったので詳細は割愛しますが、展示風景はこんな感じ。
DSC00924.jpg
壁に建っている家みたいなのが興味を引きました。

私が観た時はこういう展示風景でしたが、公式サイトではちょっと違う写真もあるので、変わるのかな?
DSC00923.jpg
ちょっと各作品の解説を要約するのが難しいので、ご興味ある方は公式サイトをご覧ください。

私が行った時、ギャラリー3は展示替えの準備中でした。この記事を書いている時点で新しい展示が始まっているようです。

関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
29位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
4位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。