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屏風と掛軸 大画面の魅力・多幅対の愉しみ/高雅典麗 中国陶磁コレクション 【松岡美術館】

今回は写真多めです。前々回、前回と東京都庭園美術館をご紹介しましたが、その後に徒歩10分くらいの所にある松岡美術館で「松岡コレクション 屏風と掛軸 大画面の魅力・多幅対の愉しみ」と「高雅典麗 中国陶磁コレクション」という2つの展示を観てきました。いずれも撮影可能でしたので、写真を使ってご紹介しようと思います。

DSC03014.jpg

【展覧名】
 松岡コレクション 屏風と掛軸 大画面の魅力・多幅対の愉しみ
 高雅典麗 中国陶磁コレクション

【公式サイト】
 http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/exhibition.html
 http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/201704_3.html

【会場】松岡美術館
【最寄】白金台駅

【会期】2017年10月4日(水)~2018年1月21日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

この美術館はそれほど大きくないものの、西洋画もあれば中国磁器やエジプトの品もあるといった感じで、非常に多岐に渡るコレクションで有名ですが、今回はその中から日本の屏風と掛け軸を取り上げた「松岡コレクション 屏風と掛軸 大画面の魅力・多幅対の愉しみ」と、半ば常設となっている中国磁器のコレクション展の2本立ての展示を同時開催しています。冒頭に書いたようにこの美術館は撮影が可能(ただしシャッター音も切る必要があります)ですので、いずれも撮ってきた写真でご紹介していきます。


<松岡コレクション 屏風と掛軸 大画面の魅力・多幅対の愉しみ>
まずは屏風と掛け軸のコレクションです。2部屋に渡り、大きめの作品が並んでいました。なお、前期・後期で全ての展示品を入れ替えるそうで、私が観たのは恐らく前期の内容です。

展示風景はこんな感じです。
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今回の展示は屏風がずらっと並ぶので中々豪華な印象を受けます。

狩野春笑 「養老勅使図」
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元信の次男 秀頼を祖とする狩野派による作品。全体的には大和絵だけど岩とかは狩野派らしい漢画風かな。滝や貴族風の人達が描かれ優美な雰囲気が漂っていました。

不明 「源平合戦図」
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江戸時代に描かれた源平合戦図。離れて観ると何だかちっとも分からないくらい細かいw いくつもの時系列を1つの作品に詰め込む異時同図法が使われています

源平合戦図の部分アップその1
DSC03032.jpg
有名な鵯越を描いています。ほとんど直角の坂ですw

源平合戦図の部分アップその2
DSC03031.jpg
屋島の合戦。これだけ船がごちゃついた状態なら八艘飛びも可能かも??

円山応挙 「遊鯉水禽図」
DSC03046.jpg
何と応挙もあります。奥行きを感じさせる画面は流石。

遊鯉水禽図のアップ
DSC03053.jpg
表情豊かな鴨たちが写実的な感じ

寺崎廣業 「春海雪中松図」
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帝室技芸員にもなった東京美術学校の助教授。デフォルメされた感じに近代的なものを感じるかな。四条派で学んだらしく叙情性があるように思います。

この他にも個性的な作品が並んでいました。 続いて掛け軸の部屋。

円山応挙 「猿鶴ノ図」
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珍しい組み合わせで対になっていました。背景の木も姿勢に呼応する感じで中央向きになっているのが面白いです。

狩野常信 「富士三穂図」
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狩野常信もありました。背景には書の名人によって場面に相応しい和歌が描かれています。雄大さと雅さを感じる作品でした。

狩野常信はもう1セットありました。また、この辺には橋本雅邦の作品などもあります。いずれもあえて出し惜しみしておきますw

酒井抱一 「布引の滝、旭鶏、月兎」
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江戸琳派の酒井抱一もあって驚き。洒脱な雰囲気は流石です。特に月兎は目だけ赤くて絵が引き締まって見えました。


この他にも良い作品はいくつかありました。この規模の美術館でこれだけ色々持っているのは凄いことです。


<高雅典麗 中国陶磁コレクション>
続いて中国磁器の展示です。主に明・清時代の宮廷の御用品が並んでいました。

清時代 景徳鎮窯 「豆彩 龍鳳文 大盤」
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龍と鳳凰が渦巻くように描かれた豪華なお皿。皇帝と皇后を象徴していて、色使いも華やかです。

清時代 景徳鎮窯 「粉彩 百鹿文 壺」
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沢山の鹿が野山で遊ぶ様子が描かれた壺。柔らかい濃淡も付けられていて絵画的な仕上がりが見事。

金~元時代 「澱青釉 紅斑 碗」
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天青とよばれる青と赤紫色の部分が落ち着いた雰囲気です。縁の部分は地の色なのだとか。

清時代 景徳鎮窯 「青花黄彩 雲龍文 盤」
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黄色に龍という皇帝を想起させるお皿。龍の爪も5本あって威厳があります。

清時代 景徳鎮窯 「紅釉 馬上杯」
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これは明時代の名品を模したものらしいです。深い血のような赤と内側の白さの対比が神秘的です。

清時代 景徳鎮窯 「火焔青 管耳方瓶」
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複雑な模様と、それまでの時代になかった新しい色が特徴の作品。モダンな感性の色が特に美しい。

清時代 景徳鎮窯 「青釉 鉢」
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ターコイズブルーが鮮やかな鉢。何だかポップな印象が爽やかです。

清時代 景徳鎮窯 「藍地金彩 唐草文 瓶」
DSC03143.jpg
青と金がお互いに引き立てあっている豪華な瓶。唐草文も見事です。 鉄道オタクとしてはこの色合いからブルートレインの車体が思い浮かびましたw

清時代 景徳鎮窯 「黄地琺瑯彩 牡丹文 碗」
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非常に色鮮やかで驚いた作品。特に黄色の深さが他の色を引き立てていました。

これ以外にも見事な中国磁器が多く展示されていて、正直ここまで楽しめるとは予想以上でした。


ということで、両方の展示とも楽しむことができました。特に日本画は酒井抱一、円山応挙、橋本雅邦らの作品が観られて満足しました。ここは常設の石仏や近代彫刻なども楽しめる充実のコレクションですので、是非1度は訪れてみて欲しい美術館です。


おまけ:
猫の給仕頭も出迎えてくれます。
DSC03073.jpg DSC03305.jpg

こちらは常設のエジプトのコーナーにある聖猫。
DSC03309.jpg
猫の顔って何千年も変わらないものなんですねw

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