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レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル 【森美術館】

今回は写真多めです。2週間ほど前の金曜日の会社帰りに森美術館で「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介しようと思います。なお、この展示はトリックアート的な側面があり一種のネタバレ要素がありますので、事前知識無しで観たいという方は観た後にでも読んでください。(この記事でガッツリとネタバレしています)

DSC03319.jpg

【展覧名】
 レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル

【公式サイト】
 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/LeandroErlich2017/index.html

【会場】森美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2017/11/18(土)~ 2018/04/01(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
金曜の夜8時過ぎくらいに行ったのでそれほどお客さんもいなくて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示はアルゼンチン出身の現代アーティスト レアンドロ・エルリッヒ氏の個展です。その名前を聞いただけでは誰だろう?という人でも、美術好きの方なら金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」の作者と言えばピンと来るのではないでしょうか。今回はそんな人気アーティストがこの展示の為に作った作品も含め、大型の体験型インスタレーションが多数並ぶ内容となっていました。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:【番外編】金沢21世紀美術館の常設 (2012年02月)

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「反射する港」
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まず最初にあったのがこちら。こんな所に池を作ったのか!?と驚きましたが、実はここには水なんてありません。よ~く観ると、水面に反射しているようにみえるところも布のようなもので出来ていました。部屋を暗くしているのもそれに気づかせない為かも。気づいた所で水面にしか観えないレベルのリアルさでした。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「雲」
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こちらは幾層ものガラスを重ねてセラミックインクで雲のように見えるようにした作品。日本の形をしています。これは数十万年単位では雲のように変化する地形に勝手に線を引いているのが国家であるという意味が込められているのだとか

こちらも「雲」の1つ。フランスの形をしているものを横から観たもの。
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これが重なって、正面から観るとさっきの日本のように地図に見えます。他にはドイツなども展示されていました。

この先には電車の連結部のドアを模した作品や、ドアの覗き穴を使った作品、廃校になった教室を模した作品がありました。教室は反射を計算して自分が幽霊になったような写真を撮ることもできます。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「エレベーター」
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唐突に現れたエレベーター。黒い部分から中を覗くことができ、中の様子が右の写真です。…無限に続いているようで怖いw ヨコハマトリエンナーレでも別の作家の似たような作品がありましたがこの手の作品は好みです。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「試着室」
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こちらは試着室をモチーフにした作品。入口から中に入ることができます。

こちらは試着室の内部。
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ミラーハウスのようになっていますw レアンドロ・エルリッヒはこうした鏡を使った作品が得意なようで、これも鏡なのか奥に観えている空間なのか中々判別しづらかったです。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「失われた庭」
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こちらも鏡を使った作品。右の窓を覗くと左側に姿が映り、左の窓を覗くと右側に姿が映ります。単純なようで実際にここに部屋があるような現実感がありました。

こちらはタイトルを失念。
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自分が窓辺に立って向かいのマンションを観ているような感覚になる作品。これもまるで建物がそこにあるかのような錯覚を覚えます。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「夜間の黒い飛行」
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これは飛行機から夜景を撮ってきたみたいな光景になっていますが、窓型のモニタに映った映像ですw 他にも電車の車窓のような作品もあって、そちらも面白い作品でした。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「黄金の額」
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これはリアルで観ると手前のランプは本物で額の中は写真であることが分かるのですが、写真で撮ると現実との境目がかなり曖昧になるかも。若干奥のほうがカーブして見えるのがちょっと怖いw

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「美容院」
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会場内にできた美容院。この鏡台の前に立つと、何故か自分の姿が映らないことに驚きます。 しかし実はこの窓の部分は単なる穴で、奥にまったく同じような部屋が用意されています。 さっきミラーハウスを観たばかりなのに、気づくのに少し時間がかかりましたw

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「建物」
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これは今回のポスターにもなっている作品。地面に建物があり、そこで横になった人が鏡で映されると忍者のように建物の上で飛んだりしているように見えます。これは特に人気の作品で、みんなあり得ないポーズで建物にしがみついたりしている写真を撮っていました。非常に楽しい写真が撮れます。

こちらは「建物」の模型。これを観ると仕組みがよく分かるかも。右側は斜面の裏側部分です。
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流石にこういう模型をちゃんと作ってから実物を作るんですねw

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「階段」
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こちらは模型と写真で紹介されていた作品。階段を90度倒したような作品で、右の写真は上から覗き込んでるように見えますが、そうではなく横から撮っています。何が上で横なのかよく分からなくなる感覚が面白い。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「ファーニチャー・リフト」
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建物のいち部分だけ取り残されたような作品で、フランスのナントで実際に作られた時の写真と模型がありました。現実なのにシュルレアリスムみたいな光景です。

作家名/作品名:レアンドロ・エルリッヒ 「スイミング・プール」
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金沢21世紀美術館のスイミングプールの模型もありました。まるで人がプールに入って立っているように見えます。

これはスイミングプールの写真。
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実際には水面の部分だけが水で、水面下は空間となっています。この発想の面白さが多くの美術ファンを金沢21世紀美術館へと誘いますw


ということで、トリックアート的な要素もありつつ、体験型の作品もあって非常に楽しめる内容でした。これだけ楽しい現代アートは滅多にないし面白い写真も沢山撮れるので、気になる方はカメラを持って是非どうぞ。今期お勧めの展示です。


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