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山梨県立美術館の常設 【山梨旅行】

山梨旅行の2日目は、また甲府に向かい、今回の旅行の本命である山梨県立美術館に行ってきました。甲府駅から結構離れていて、行きはタクシーで行きました。1200円くらいだったかな。
私の行った時期は特別展が無かったのですが、この美術館には「ミレー館」というバルビゾン派が中心のコレクションがあるので、それを目当てにやってきました。(時期によって内容が多少変わるようですので、お目当ての作品があるかたは公式ページで確認されると良いかと思います。)
常設ですが一応、評価テンプレートを使ってご紹介します。

DSC_3542.jpg

DSC_3552.jpg


【展覧名】(私が見た2009/08/30の情報です)
 ミレー館「秋」(常設展Ⅰ)2009.8.25-11.29
 常設展示室「夏」(常設Ⅱ) ※今は「秋」で2009.9.1-12.13です。
 萩原英雄記念室2009.8.25-11.29

【公式サイト】
 http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/contents/

【会場】山梨県立美術館
【最寄】甲府駅
【会期】上記参照
 ※営業時間・休館日・地図などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日12時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
いつものように作品ごとにご紹介するのですが、ここの作品は、公式サイトで説明つきで観ることができる作品が多いものの、直接リンクは貼れません…。そこで、「★美術館の検索で観られます」と書いてある作品は作品名か作者名で↓の検索窓で検索すると観られますので、興味を持ったら検索してみてください。
 公式サイトの検索フォーム:http://image.art-museum.pref.yamanashi.jp/artSearch/
ここの常設は大きく3つに分かれていて、まずはお目当てのミレー館です。日曜だったせいか意外と混んでいました、団体できているお客さんなどもいて、ちょっと騒がしい人もいました…。


【ミレー館(常設展Ⅰ)】
<ミレー>
ジャン=フランソワ・ミレー 「ポーリーヌ・V・オノの肖像」
 ★こちらで観られます ★美術館の検索で観られます
これは今年の春くらいに上野の都美でやっていた「日本の美術館名品展」に出品されていた作品です。
 参考記事:日本の美術館名品展
何度観ても良い絵です。髪が黒いせいか日本人みたい…。静かな佇まいでこちらを観る眼に少し憂いを感じます。

ジャン=フランソワ・ミレー 「眠れるお針子」 ★こちらで観られます
椅子の上で安らかに眠り込んでいる女性の絵です。タイトル通り繕い物をやっているようで、左手には白い糸っぽいものも見えます。寝息が聞こえそうなほど静けさと安心感を感じる作品でした。針仕事は女性の美徳だったんでしょうね。

ジャン=フランソワ・ミレー 「ダフニスとクロエ」 ★美術館の検索で観られます
ダフニスとクロエは色々な画家が題材にしていますが、写実が多いイメージがあるミレーも描いています。ダフニスは笛を吹いていて、クロエは釣りをしています。2人でくっつきあって微笑ましいです。幻想的な雰囲気の中、平和な感じがしました。

ジャン=フランソワ・ミレー 「落ち穂拾い、夏」 ★美術館の検索で観られます
ミレーと言えば、「落ち穂拾い」を真っ先に思い浮かべる人も多いのでは? これは「夏」の連作の1枚らしいです。落穂を拾う3人の女性と、背景には積み藁を積んでいる人たちが描かれています。農村の収穫のワンシーンを撮ったかのような場面で、当時の農村が伝わってきました。こういう働く姿の素朴な美しさはミレーのお得意のジャンルですね。他の展覧会で読んだうろ覚えですが、落穂拾いは農民の当然の権利として行われていたようですが、これを描こうとするのは結構な革新だったようです。

ジャン=フランソワ・ミレー 「無原罪の聖母」 ★美術館の検索で観られます
これはローマ法王が乗る列車の礼拝室のために作られた作品です。しかし、ローマ法王の御意には沿わなかったと説明されていました。というのも、この作品のマリアはどことなく田舎の少女を思わせる風貌で、人間っぽさを感じます。(法王が求めたのは崇高で美しいマリア像だったようです) 凄く良い作品なのに勿体無いw

ジャン=フランソワ・ミレー 「冬(凍えるキューピッド)」 ★美術館の検索で観られます
裸のキューピッドを女性と老人が家に招き入れるシーンを描いています。キューピッドは肌が青くなって凍傷してるんじゃないかってくらい凍えています。外も雪が積もって寒そう・・・。そこまで寒いなら服着ろよ!wと突っ込み入れたくなりますが、家の温かみを感じる作品でした。

ジャン=フランソワ・ミレー 「鶏に餌をやる女」 ★美術館の検索で観られます
エプロンから餌をとりだし鶏にやる女が描かれています。何匹かいる鶏のうち、手前にいる連中は一心不乱に食べていますが、向こうにいる鶏はボケーっと気づかなかったり、こっちに向かってダッシュしている鶏なんかもいて面白かったです。農村の何気ない日常の中に美を見出すミレーのセンスは素晴らしいです。

ジャン=フランソワ・ミレー 「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」 ★美術館の検索で観られます
タイトルどおりのシーンを描いた作品です。この羊飼いがまるで賢者のように見えてくるほど崇高な感じがしました。夕暮れの神秘さ溢れる中で羊を引き連れて杖を持っているからかな?w 甲府駅の壁画にこの絵の模写がありました。
P1070126.jpg


ジャン=フランソワ・ミレー 「種をまく人」
 ★こちらで観られます  ★美術館の検索で観られます
これも超有名作かな。手で畑に種をばら撒く作業を描いた作品で、非常に躍動感と力強さを感じます。ミレーの魅力ここに極まりって感じです(><) この「種をまく人」は、サロンに出す前に1枚、サロンの為に1枚という感じで合計2枚描かれたようですが、これはそのどちらか分からないとようです。また、我々が見ても分からない所ですが、この農民は当時の農民の姿で描かれたものではないため、非難され政治的意味合いを疑われたという説明がありました。(本人にはその自覚は無かったようです)

<風景画の系譜 (クロード・ロラン バルビゾン派)>
ミレー館の隣にはバルビゾン派のコーナーがあります。冒頭にバルビゾン村の地図があって、ミレーの隣にドービニー、逆の隣にはテオドール・ルソーの家、お向かいにはディアズの家というように皆近所に住んでいるのがわかります。すぐ近くにはコローも描いたフォンテーヌ・ブローの森もありました。ここにはそういった画家たちの作品が並んでいました。

ジュール・デュプレ「森の中 夏の朝」
夏の強い日差しを感じる風景画です。明暗がくっきりしていて縦に長い針葉樹と木陰で休む牛がのどかでした。

コンスタン・トロワイヨン 「近づく嵐」 ★美術館の検索で観られます
左上に真っ黒な雲、画面中央には2頭の牛と老女と幼子が描かれている田舎の道の絵です。牛には右から日が当たって、鮮やかな茶色い毛並みを見せています。そしてその影の表現も見事で、リアルで力強い印象がありました。毛のもふもふした感じまで出てたのも良かったです。

ピエール=エティエンヌ・テオドール・ルソー 「フォンテーヌブローの森のはずれ」
画中の中央に森に囲まれた原っぱがあり、そこに強い光があたり、右下に釣りをしている人が描かれています。これも明暗がくっきりしていて神々しいくらいの美しい風景画でした。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「大農園」 ★美術館の検索で観られます
この絵は去年、上野の西洋美術館で行われたコロー展で観た覚えがあります。(多分間違いないと思います^^;) 湖の見える穏やかな風景で、中央に牛がいてのどかです。少し薄い色彩で透明感がありました。やっぱりコローは大好きです。

シャルル=フランソワ・ドービニー 「オワーズ河の夏の朝」 ★美術館の検索で観られます
夕陽かと思いましたが朝日でした。朝日で赤オレンジに染まる雲の所々の濃淡が、描かれていない太陽が登ってくるのを感じさせて美しかったです。右下で洗濯している2人の女性や川の向こう岸の農村、川に浮かぶ蒸気船など生活感も伝わってきました。当時は蒸気船は珍しかったかもしれませんね。

アドルフ・モンティセリ 「婦人の肖像」
豪華なドレスを着た女性。キリっとしていて立派な感じです。ちょっと迫力を感じるくらい威厳のようなものがありました。貴族の女性かな??

ジュリアン・デュプレ 「牧草の取り入れ」 ★美術館の検索で観られます
馬車と山盛りの乾草が描かれています。まだ緑がかった乾草が非常に鮮やかなのですが、その一方で柔らかさを感じる色彩でした。毛並みのように描かれた乾草に流れのようなものも感じました。

ジュール・ブルトン 「朝」
ちょっとコローっぽい感じを受けました。野の中に立つ女性像で、貧しい身なりでスコップや瓶?を持っています。しかし、遠くを見つめる眼や明るい背景が英雄のような輝きを与えていました。これから朝の作業なのかな? 尊さが表現されているように思えました。


<日本の美術 (常設Ⅱ)>
山梨県立美術館はバルビゾン派のコレクションだけでなく、県立美術館らしく郷土の画家を中心とした日本画のコレクションも充実していました。

近藤乾年 「簗(やな)」
簗漁を描いた作品です。(川の流れにすのこのような仕掛けをつくって、そこに流れてくる魚を待つ漁法です) 白くしぶきをあげて簗に飛び込んでくる魚が描かれています。無をくねらせて飛び跳ねる様子に力強い動きを感じます。しぶきが涼しげな感じでした。

三枝雲岱 「松竹梅図屏風」
緻密に描かれているのに力強さを感じる屏風です。松の幹がダイナミックな感じでした。

伊東深水 「蛍狩(現代美人集第一輯の内)」
伊東深水の美人画は大好きなんです(><) 青い着物の女性が蛍を見上げている構図で、瑞々しくて爽やかな雰囲気が漂っていました。夏に観たので丁度季節に似つかわしい題材でした。

山本日子士良(やまもとひこしろう) 「青年像」
ちょっとセザンヌ風の作品かも。膝で本を広げパイプを持った青年がこちらを見ています。お洒落な感じの青年で、ちょっとカッコいいかもw

石井精一 「畳の記憶(B)」 ★美術館の検索で観られます
騙し絵的な絵です。右半分は畳の上に、巨大な原稿用紙(小学校の感想文とかで使ったやつ)が描かれているのですが、中央にはそこから飛び出てきたような着物な幼女が描かれています。幼女の足は原稿用紙のます目が描かれ、この原稿用紙から幼女が生まれた感じでです。また、飛行機ごっこのように手を広げて片足を上げているところからピョンと飛び出す瞬間のようでした。とにかく面白い絵で、この美術館でも人気の作品みたいです。

河内成幸 「78ハイウェー2」
真っ暗な背景で、どこかに向かう道が描かれ、その道には赤と黄色の歩道橋がかけられています。そして、木の椅子が道の真ん中を疾走しているようです。 この説明でわかるかもしれませんが、非常にシュールな感じで暗い背景から不安を感じます。ちょっと怖いけれども印象に残る作品でした。

<萩原英雄・深沢幸雄コレクション (萩原英雄記念室)>
萩原英雄は甲府生まれ、深沢幸雄も山梨県内の生まれの画家で、ちょっと個展のようなコーナーになっていました。

深沢幸雄 (宮沢賢治 "春と修羅"より)
この作品はエッチングやメゾチント(版画の一種)の連作で、宮沢賢治の"春と修羅"の挿絵らしいです。"春と修羅"という話も知りませんので、よく分からなかったw

深沢幸雄 (ポール・ゴーギャン「ノアノア」より)
これはこの前、東近美で行われていたゴーギャン展にもあった「ノアノア」をコラージュのようにしたエッチングやメゾチントでした。最近見たばかりなので、「あ、これは!?」と思うのもありましたが何を表現したかったのかはわかりませんでした(><)

萩原英雄 「石の花」
木版の連作です。すみません、何が何だかよくわかりませんw この美術館には萩原英雄の特設コーナーがあるのですが、そちらは色々な画風の作品がありました。(あんまり好みではなかったので、てきとーな感想ですみません…。)

ということで、バルビゾン派好きの私としては常設だけで十分に満足できる内容でした、これだけ良い常設があればいつ行っても楽しめるかもしれないです。絵画好きが甲府に行く機会があったら、是非お勧めしたい観光スポットです。
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