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バーニー・フュークス展 20世紀アメリカが生んだ伝説のイラストレーター 【代官山ヒルサイドフォーラム】

日付が変わりましたが、今日の夕方に代官山の代官山ヒルサイドフォーラムで「アメリカの感性  バーニー・フュークス 展 20世紀アメリカが生んだ伝説のイラストレーター」を観てきました。まだご紹介していない展示のストックが沢山ありますが、この展示は会期が非常に短いので先にご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 アメリカの感性  バーニー・フュークス 展 20世紀アメリカが生んだ伝説のイラストレーター

【公式サイト】
 http://www.art-obsession.co.jp/c-current/2051

【会場】代官山ヒルサイドフォーラム
【最寄】代官山駅

【会期】2017年12月10日(日)~12月20日(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんはいましたが快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は先日「美の巨人」で原辰徳 氏が所蔵するバーニー・フュークスの「スプリングトレーニングマウンテンズ」が紹介されたのに合わせて開催された展示で、私もそれを観て気に入ったので観に行ってきました。
 参考リンク:美の巨人バックナンバー

展示は原画と共に一部はジクレ(高画質印刷)となっていますが、ジクレでも構図が面白いので楽しめます。まず、バーニー・フュークスについてですが、元々は広告などイラストレーションで成功した人物で29歳の若さでアーティストオブザイヤーとなりホワイトハウスの依頼でケネディを描き、一躍有名画家となりました。(ちょうどキューバ危機の頃に描いた) そして29歳の時に「スポーツ・イラストレイテッド」で絵を描くようになり、スポーツ選手を数多く描いていくことになります。現場に赴いて写真を撮り、それを使って描く手法をとっていたようですが、アメフト等では近づき過ぎて殺されるぞと怒られたこともあったそうですw

展示の最初にはゴルフ、野球、アメフト、テニス、オリンピックのマラソンなど沢山のスポーツの絵が並んでいます。野球の絵なんかは1981年にトゥーソンで描かれた阪神タイガースのトレーニング風景なんかもありますw しかし選手達はあまり目立たず、選手の後ろ姿や観客席が描かれていて、むしろ観客席のほうが占有面積大きい作品ばかりですw ゴルフプレーヤーの絵はちゃんとプレーヤーが主役になっているのもあるのですが、やはり誰もいない夕暮れのグリーンなど、ゴルフそのものよりも余韻のようなものを描いた作品があるように思います。 また、フュークスの作品の特徴としては赤や黄などが色の基盤となっていて全体的に夕暮れのように見える作品が多いように思います。そして何と言っても構図が独特で、その場に訪れた時に広がっている光景を描いたような構図です。美の巨人でも選手ではなく詩的な情景を描いていると言っていましたが、まさにそういった感じかな。消し取り技法という下絵の絵の具を拭き取って明暗をつける技法を使っているようで、それが叙情的な光景を強めているようです。

少し先の中二階は絵本の挿し絵コーナーで、フュークスは9冊の絵本を作っていたようです。絵本と言っても子供向けという感じはそれほどなく、西部劇のような作品やアメリカの人々の生活が感じられる作品などが並びます。この辺はイマジネーションなのか何かを参考にしているのか分かりませんが、どこか郷愁を誘う雰囲気がありました。

その先には肖像画のコーナーがあり、今回のポスターにもなっているケネディとエリザベス女王の絵もありました。特にケネディは苦悩の表情を浮かべ深い精神性を感じさせます。このケネディは特に見どころと言えそうです。

その先の二階では風景画が2点あり、コロラドの秋の紅葉とアリゾナの炭鉱の町の冬景色が描かれていました。両方とも叙情的で、特に冬景色は所々の灯りが郷愁を誘います。これも中々の傑作でした。

そしてその後には1950~60年代の広告が並びます。しかしそこでも既にスポーツの絵と同様にその場の雰囲気を捉えた絵が多く、劇場の絵ではショータイムを待つ観客が主役で男女の微妙な関係まで想像させましたw パーティーのレセプションの絵でも一人別のことを考えていそうな女性が描かれていて、奥にある物語を考えさせます。これが広告だったの?と、ちょっと違う意味でも驚きですがw

ぐるっと周って再び1階に戻ってくると今まで観てきた作品のジクレ版画が並んでいて、20~30万円程度で販売されていました。結構、買われていて流石は代官山!

1階の入口付近にはもう1部屋あり、イタリアの情景を描いた作品が並んでいます。1962年に初めてイタリアを訪れたフュークスですが、その景色に感銘を受けたようです。さらに娘がイタリア人と結婚すると毎年のように訪れて絵を描いていたのだとか。 展示されていたのはヴェネツィアやローマの街角を描いたものが中心で、誰もいない光景が多いかな。2匹の猫が門の前で寝ている光景など、旅の思い出を観ているような懐かしさを感じさせます。また、構図もやはり面白くてコロッセオの内部を描いた作品では大胆なトリミングをしたような構図となっていました。 


ということで、あまり日本で観る機会の無い画家の作品を観ることができました。色使いや構図など斬新さがありつつ、ホッパー等のアメリカ画家に共通する感性もあったように思います。原画ではない作品もありましたが、素晴らしい画家に出会えて嬉しい限りです。今回のこの展示のきっかけになった今年発刊の画集も売っていましたが7000円くらいして手が出ないので、絵葉書12枚入り1200円を買いましたw

なお、この展示は期間が短いのが難点ですがこの会場の後は巡回展をするようで、次は渋谷のbunkamuraのギャラリーでの開催となっています。
 会場:渋谷Bunkamura Gallery
 期間:2017年12月27日(水)~2018年1月8日(月) 
 公式サイト:http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/171227bernie.html

他にも各地に巡回するようですので、気になる方は主催者の公式サイトをチェックしてみてください
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