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日本の工芸ー自然を愛でるー 【東京国立近代美術館 工芸館】

今回は写真多めです。前回ご紹介した東京国立近代美術館を観た後、工芸館まで足を伸ばして「日本の工芸ー自然を愛でるー」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介しようと思います。なお、この展示は熊谷守一展の半券で観てきたのですが、本館の営業時間は土曜日は長めとなっているものの工芸館は17時までなので常設より先に観てきました。

DSC03693.jpg

【展覧名】
 日本の工芸ー自然を愛でるー 

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/shizen_2017/

【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】竹橋駅

【会期】2017年12月01日~2018年02月18日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは空いていて快適に観ることができました。

さて、今回の展示は工芸館が誇るコレクションから120点もの名品が並ぶ内容となっています。陶芸、漆芸、彫金、染織などなど様々な工芸品が並ぶ様子は正に豪華絢爛で、予想以上の満足度でした。冒頭に書いたように撮影可能でしたので、早速写真を使ってご紹介して参ります。
なお、一部は会期中に入れ替えがあるようなので、お目当ての品がある方は事前に公式サイトで確認することをお勧めします。

杉浦康益 「陶の博物誌―ボタンの花」
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こちらは今年できたばかりの作品で、陶器で出来ているボタンの花です。こんな複雑な花の重なりをよく陶器で作れるものだと驚かされます。

黒澤千春 「彩漆裂罅箔屏風 華の舞」/面屋庄甫 「祈りの舞」
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現代風の屏風と舞う人形が並んで展示されていました。抽象画のようですが花と枝のように見えるかな。色の取り合わせが美しいです。

三代 宮永東山 「山中暦日なし」
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用途が分からない不思議な陶器。色合いの美しさと現代的な形が目を引きました。

展示風景はこんな感じ。
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ここは部屋に合わせた作品が並んでいました。

南祥輝 「乾漆盛器 おぼろ月」
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こちらも色が美しい作品。凛とした雰囲気が漂っています。

熊谷守一 「一行書 流水不争先」/十二代三輪休雪(龍作)「白嶺蓋物」
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こちらは前回ご紹介した熊谷守一による書と、萩焼の名門陶家である三輪休雪による山の形の蓋物。熊谷守一の字は緩めで和みますw 一方の蓋物は小さくても風格漂う山のように見えました。
 参考記事:
  没後40年 熊谷守一 生きるよろこび (東京国立近代美術館)
  三輪壽雪・休雪 ― 破格の創造 展 (智美術館)

富本憲吉 「色絵金銀彩羊歯文飾壺」
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金銀を使った豪華な壺ですが、形の美しさと緻密なシダの文様のためか落ち着いた印象を受けました。
 参考記事:増田三男 清爽の彫金 - そして、富本憲吉 (東京国立近代美術館 工芸館)

浜田庄司 「柿釉丸紋大平鉢」
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益子焼やバーナード・リーチと深い関係のあった浜田庄司だけに民藝の流れを感じさせる素朴さもありつつ、丸紋が洒落た印象でした。

北大路魯山人 「色絵牡丹文鉢」
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美食家としても知られる魯山人の作品もありました。正直、魯山人の作品はいつも大して面白いと思わないのですが、こちらは対比的な色合いが目を引きました。

高橋誠 「色絵木蓮に四十雀図六角筥」
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てっきり藤本能道の作品かと思ったら、その弟子の高橋誠の作品でした。六角形の形や鳥をモチーフにしているなど、本当によく作風が似ています。
 参考記事:藤本能道 命の残照のなかで (智美術館)

桂盛行 「喜久華文香合」
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こちらの香合はかなり小さめで、恐ろしく精巧にできていました。銅に金銀を象嵌して作っているようです。

藤田喬平 「飾筥 紅白梅」
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こちらはガラスで出来た飾り箱。藤田喬平 氏の作品は海外でもドリームボックスと呼ばれて人気らしいですが、この豪華でモダンな雰囲気は誰もが目を引かれると思います。ガラスとは思えません。
 参考記事:「近代工芸の名品 花」 (東京国立近代美術館工芸館)

中野孝一 「蒔絵箱 秋野」
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こちらは蒔絵の箱。あちこちに兎が飛び跳ねていて躍動感があります。秋草も優美で軽やかな雰囲気。

髙橋節郎 「森響」(左)/並木恒延 「深閑」(右)
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いずれも漆を使って描かれた絵。左の絵は螺鈿や沈金を使い、右の絵では卵の殻が使われているのだとか。絵としても面白い上に、艶があって神秘的な雰囲気が出ています。

こちらは「深閑」のアップ。
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近くで観てもかなり細かくて驚かされます。是非これは近くでじっくり観ていただきたい作品です。

田辺一竹斎 「花籃 飛雲」
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こちらは竹でできた花かご。確かに飛ぶ雲のような動きを感じます。ダイナミックで好みでした。

竹中浩 「白磁面取鉢」
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こちらはシンプルながら螺旋状のねじりが美しく思えました。白磁の白も吸い込まれそうになるほど綺麗です。

番浦省吾 「海どり」
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こちらは金属製かと思いましたが漆で出来ているようです。現代的なセンスを感じる絵も素晴らしいですが、技術も凄い。

藤田喬平 「追う風」
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再び藤田喬平の作品。これと対になるように左右逆転した同名の作品もありました。軽やかな風を感じさせて好み。

三輪壽雪(十一代休雪) 「萩茶碗 峰紅葉」
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こちらは人間国宝だった三輪壽雪の作品。温かみを感じさせる色合いと質感が親しみを持てました。

黒田辰秋 「金鎌倉五稜茶器」
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今回特に気に入ったのはこちらの作品。この色と形! こんなに洗練された作品が観られて眼福でした。


これ以外にも素晴らしい作品が沢山あって、写真を選ぶものかなり迷いましたw 熊谷守一展の半券で観られるというのもお得なので、熊谷守一展に行かれる方はこちらの展示にも足を伸ばすことをお勧めします。

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