関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

ルネ・ラリックの香水瓶 -アール・デコ、香りと装いの美- 【松濤美術館】

10日ほど前の日曜日に、渋谷の松濤美術館で「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶 -アール・デコ、香りと装いの美-」を観てきました。

20171217 150927 DSC04898.jpg

【展覧名】
 北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶 -アール・デコ、香りと装いの美- 

【公式サイト】
 http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/176lalique/

【会場】松濤美術館
【最寄】神泉駅/渋谷駅

【会期】2017年12月12日(火)~2018年1月28日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
割と空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示はアール・ヌーヴォー、アール・デコといった近代を代表するデザインの潮流の中で活躍したガラス作家ルネ・ラリックについての展示です。ルネ・ラリックの作品自体はアール・ヌーヴォー展やアール・デコ展、最近なんかはジャポニスムに関する展示等で観る機会がよくありますが、これだけまとまった展示は久々な気がします。日本でラリック展を開催すると北澤美術館からの出展が多く観られるのですが、今回はその北澤美術館のコレクションの中から特に香水瓶をテーマにしているようでした(それ以外の作品も少しあります) 展覧会は4章構成になっていましたので、簡単に各章ごとにご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想後編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想後編 (国立新美術館)
  ラリック家の女神たち (箱根ラリック美術館)
  箱根ラリック美術館 館内の案内


<第1章 ガラスの世界へ>
まずは香水商のフランソワ・コティとの出会いから香水瓶を作るようになったコーナーです。ラリックは元々はジュエリー作家として人気だったのですが、コティから香水瓶の依頼を受けて1910年頃からガラスの香水瓶を作るようになりました。その背景にはコティから大量の注文を得ることができ、ガラスの工場生産に踏み切ることが出来たので採算が取れるという判断もあったようです。

冒頭に箱に入った香水瓶があり、ラベルの蓋だけがラリックで、他はバカラという香水瓶となっていました。また、他にも様々な形のガラス製品が並び、メダル型の「ガラス展」への招待状なんてものもあります。女性像や花など優美なデザインのものが多いのがラリックの特徴ですが、翡翠のような色の透明ガラスなど素材の面でも多彩な工夫が見て取れると思います。


<第2章 挑戦的デザイン>
続いては挑戦的なデザインについてのコーナーです。ラリックの作るガラス作品は鋳型成形が特徴で、これは宝石などの金属細工で鍛え上げた腕前を活かしたものです。ここでは空洞部分がカーネーションの形をした香水瓶に驚きましたが、こうした形を実現できるのも鋳型成形ならではかもしれません。しかしこれはヒビが生じやすいらしく、実用化はされなかったようです。
また、この章には「ティアラ型」と呼ばれる扇状に広がる装飾を持つ蓋の瓶が並んでいます。(一部はランプなどもあります) ティアラ型自体も独創的な形ですが、さらにそのティアラも3羽のツバメが組み合わさってできているなど、意匠についてもジャポニスム的なものを取り入れた面白さがありました。


<第3章 アール・デコの装い>
続いては化粧道具などのコーナーです。ここには青や緑のガラスの作品があり、まるで宝石のような輝きを持つブレスレットなどが並んでいます。他には手紙の封を押すための印章や ガラスのペンダント、パフュームランプという電灯の熱で香りを発散させる作品などもあり、女性の装いだけでなく日常で使うような品までデザインされています。印章なんかはむしろハンコを持つ部分が大きくて、その部分に装飾がされているのが面白いかなw この章で目を引いたのが、色ガラスの裏面に銀引き加工をする技術を使った作品群で、銀によって反射が独特の鈍さを持って高級感が増しているのが驚きでした。

この部屋には壁にデザイン画なども並んでいました。


<第4章 モダン・デザインへ>
最後は2階で、アール・デコ時代の作品や当時の世相を表している写真や服などが展示されています。元々私はアール・デコが最高のデザインだと思っているので、この章は特に満足度が高かったですw

この章の冒頭にある写真家たちによる当時の写真は、古き良き時代といった感じで洗練された文化をしのばせます。そして、その後に今回のポスターにもなっている「真夜中」という青い球体の側面に星型の装飾が施された大きめの香水瓶があります。これは天球儀を模したデザインで、ウォルト者の香水「真夜中」の販売用に作られたそうです。中に香水が入った状態で観ると星は金に見え、入っていない状態では銀に見えるようですが、今回は銀にしか見えなかったかなw 金になっているところを観てみたいw

他にもエジプト風の瓶などが目を引きました。瓶の中に嗅ぎ棒がついている珍しいデザインで、棒の部分が人物像になっているのが面白いです。まるで人物が瓶に閉じ込められているようにも見えますw この辺はこうした凝ったデザインの作品もありますが、アール・デコ時代は総じてスッキリしたデザインと言えそうです。やはり花などが多いですが形はシンプルに思います。
その後、世界的な不況に突入すると香水の売上は大幅に落ち込んだそうで、それに伴い贅沢なデザオンは敬遠されデザインの好みも大きく変わっていったようです。ここには円を組み合わせたような、簡素に見えるものの洒落た雰囲気の香水瓶なんかもありました。
それ以外にも鳥の卵の形をした蓋物、猫の顔の蓋がついたシガレットケース、ドガの踊り子をモチーフにドレスが広がって見える蓋物など意匠の面白さが一目で分かるのもこの章に多かったように思います。

その先にはアール・デコ期のドレスが3着並んでいました。いずれも幾何学的な装飾で、非常に洗練されスッキリとしたデザインです。これは現代で着てもお洒落なドレスだと思います。服の近くにはジョルジュ・バルビエのファッションプレートなどもありました。

そして最後の部屋は1925年にパリで行われたアール・デコ博覧会についてのコーナーとなっていました。オパルセントガラス(乳白色のガラス)を使った花瓶や、ジャポニスムを感じるトンボや魚をモチーフにした作品などが並びます。また、アール・デコ博覧会の当時の写真もあり、ラリック館やラリックがデザインした噴水塔、日本館(民家みたいな)や、日本統治時代の台湾の台湾茶のカフェ(ザ・フォルモーズ)などの様子が写っていました。このアール・デコ博覧会を観た朝香宮殿下がアール・デコを非常に気に入って建てたのが現在の東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)で、当時の朝香宮邸の写真などもありました。
 参考記事:アールデコの館 旧朝香宮邸編(東京都庭園美術館)


ということで、ラリックの作品と共にアール・デコの時代のデザインなども合わせて楽しむことができました。ラリックの作品は結構観てきているつもりですが、何度観ても面白くて飽きが来ないのが素晴らしいです。東京圏から北澤美術館まで行くのは大変ですが、今回の展覧会ではその貴重な品々を観ることができますので、ガラス好きやデザイン好きの方は是非どうぞ。


おまけ:
1階のこの作品だけ撮影可能となっています。
DSC04901.jpg
シダをモチーフにしているようです。近くにはシダの香りの香水や、マリー・アントワネットとジョゼフィーヌ・ド・ボアルネをイメージした香水なんかもありました。ジョセフィーヌはナポレオンに風呂に入らないで待ってろなんて言われてたらしいから汗臭そうなイメージなんですが、ここの香水は良い香りでしたw

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