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国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング-【三井記念美術館】

以前ご紹介した日本橋三越での展示を観た際、すぐ近くの三井記念美術館の「国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング-」も一緒に観てきました。この展示も会期末が近くなってきているので、先にご紹介しておこうと思います。

DSC08420.jpg

【展覧名】
 国宝 雪松図と花鳥  

【公式サイト】
 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】三井記念美術館
【最寄】三越前駅

【会期】2017年12月9日(土)~2018年2月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
割と多くの人で賑わっていて盛況でした。しかし気になるほどでもなく比較的快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は三井記念美術館のコレクションの中から、タイトルにもなっている円山応挙の「雪松図」と共に鳥をテーマにした作品を集めたものです。三井家は鳥を描いた作品を好んだようで絵画だけでなく様々な品が部屋ごとにジャンル分けされて展示されていました。軽くメモしてきたので各章ごとに簡単に内容を振り返ってみようと思います。


<展示室 1 | 茶道具Ⅰ |>
まず展示室1の前に三井家の人々が作った鳥を題材にした立体的な絵画作品が展示されていました。かなり巧みな技で作られていて画家としての才能も持っていたのが分かります。これは結構驚きの完成度でした。
そして展示室1は茶道具が並んでいます。ここでの見どころは仁清の「色絵鶏香合」だと思います。鶏の形をしている彩色された香合で、小ぶりながら優美で可愛さもあります。 また、十一代 中村宗哲「鳳凰桐蒔絵大棗」は側面に隙間なく金色の蒔絵が施され、鳳凰と桐が描かれていて格式高い印象でした。他にも鶴や孔雀の卵を香合にした作品などもあり、内側を赤漆や金で装飾していました。これは発想が面白いと思います。


<展示室 2 | 茶道具Ⅱ |>
ここは1点だけで、「玳皮盞 鸞天目」となっています。名前の通りの天目茶碗で、内側に鸞天が2羽飛んでいる様子が描かれ側面は黒地に茶色い斑点があります。渋くて気品のある逸品で、鸞天が伸びやかな印象でした。


<展示室 3 | 茶室「如庵」展示ケース |>
ここは茶室になっている部屋。国宝の「志野茶碗 銘卯花墻」が展示されています。ややピンクがかった色で温かみを感じる志野らしい品です。ここはいつも通りかな。


<展示室 4 | 花鳥画Ⅰ |>
続いては特に充実の花鳥画のコーナーです。まず最初に牧谿の作と伝わる「蓮燕図」があり、蓮に止まるツバメの姿が簡略化されて描かれています。さらっと描いてあるように見えますが叙情的な作品です。その後には沈南蘋による花鳥動物図が6幅並んでいるのが目を引きます(本来は11幅) 密度の高い筆致でリアルな鳥たち 特に鶏を観ると伊藤若冲が如何に沈南蘋から影響を受けているのか分かるのではないかと思います。軽やかに舞う様子なども描かれ、いずれも生き生きとしていました。今回の展示の中でも特に見どころとなる作品だと思います。

そしてこの部屋に円山応挙の「雪松図屏風」があります。円山応挙の最高傑作とも呼ばれる作品で、左右一対で雪の積もった松が描かれています。松の葉1本1本まで勢いよく描かれ、薄めの金地を背景に力強い存在感です。背景には濃淡があり奥行きを感じるのも応挙っぽさがあるように思いました。何度観ても飽きない傑作です。

この部屋にはもう1点、驚きの作品があります。渡辺始興による「鳥類真写図巻」で、63種の鳥を17mにも渡る巻物に描いた作品です。ここでは写真と比較しながら観られる趣向となっていて、色形が本物そのものであることが分かり卓越した観察眼と写実性が伺えます。羽根や尾のクローズアップなども描かれ、図鑑のような博物学的要素もあるように思えました。


<展示室 5 | 花鳥画Ⅱと工芸品 |>
ここには花鳥画の続きと工芸品が並んでいました。螺鈿の蒔絵や印籠、牙彫などが並びます。
まず目を引いたのは永樂妙全による「仁清写色絵雉子香炉(雄・雌)」で、大きなキジの姿の香合です。これは背中あたりが開きそうに見えるかな。仁清の写しだけあって気品に溢れています。 この辺には他にも銀製の鶏の置物も面白い作品があり、T字の止まり木にとまり長い尾を垂らし鋭い目つきで威厳すら感じられました

小さめの作品では「牙彫鶏親子置物」という牙彫が好みでした。象牙とは思えないほど羽根が柔らかく観え、鶏冠や羽根まで緻密かつ写実的に作られています。今ではもうこうした作品も作られないので貴重な品だと思います。

そしてこの部屋で最も大きい「月宮殿蒔絵水晶台」という蒔絵の台も目を引きました。これは水晶を置くための台で、水晶を月に見立てて表面には緑やピンクの石も象嵌されています。2段目は石が絵の中の岩のように見える意匠となっていて面白かったです。


<展示室 6 | 花鳥画Ⅲ |>
ここは4点のみですが、2点ほど気に入りました。まず源琦の「東都手遊図」は玩具のフクロウを描いているのですが、周りには犬の玩具や鼓なども描かれています。フクロウには福々しい模様が描かれ、おめでたい雰囲気がありました。ちょっととぼけた顔も良いw
そしてもう1点は小林古径の「木兎図」で、これは枝にとまるミミズクが描かれたものです。黄色い目とふっくらした体が可愛くて、濃淡で描かれた羽根がふわふわした質感となっていました。


<展示室 7 | 花鳥図Ⅳと新寄贈作品 |>
最後の部屋も花鳥画です。ここは狩野派と応挙という豪華な部屋となっています。まず狩野探幽の「芦鷺図」は雪の積もる葦とサギの群れが描かかれています。薄い墨で外側をぼかす外隈の技法を使っていることもあり柔らかい印象を受け、幽玄の世界が広がっていました。
応挙は今回のポスターにもなっている「蓬莱山・竹鶏図」など3点がありました。蓬莱山・竹鶏図は三幅対で真ん中に蓬莱山、右に雄鶏、左に雌鶏という珍しい画題です。左右を見比べると雄は凛々しく、雌は優美な印象となっていて、背景にある竹も雄は真っ直ぐで雌は緩やかなカーブとイメージに合った表現となっていました。
また、この近くにあった双鶴図も遠近感など応挙らしい特徴と正月に相応しいおめでたい画題となっていて目を引きました。他に小さな襖絵の「梅花双鶴図小襖」や、三井高福による応挙風の「海辺群鶴図屏風」なども見どころと言えそうです。

最後に三井家の人が描いた作品や最近寄贈された作品などが数点展示されていました。



ということで、充実のコレクションを楽しむことができました。特に「雪松図」は流石の存在感です。もう会期も残り少なくなっていますので、気になっている方はお早めにどうぞ。

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