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たばこと塩の博物館の案内 (2018年1月 塩の世界)

今日は写真多めです。たばこと塩の博物館で前回ご紹介した展示を観た後、常設も観てきました。この博物館の名前の通り、常設にはタバコのコーナーと塩のコーナーがあるのですが、まずは塩のコーナーから観ました。ここの常設は撮影することができましたので、写真を使ってご紹介しようと思います。

DSC07525.jpg

【公式サイト】
 https://www.jti.co.jp/Culture/museum/collection/salt/index.html

【施設名】
 たばこと塩の博物館

常設は空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この「たばこと塩の博物館」は日本専売公社(現在のJT)が専売していたタバコと塩の歴史や文化を紹介する博物館で、以前は渋谷の公園通りにありましたが2015年4月に東京スカイツリーの近くに移転してきました。渋谷時代にも常設をご紹介したことがありますが、当ブログは2015年頃は休止中で移転後はまだ記事にしていなかったので、今回改めてご紹介しようと思います。確か以前は撮影できなかったので、写真でお見せするのは初めてとなります。
 参考記事:たばこと塩の博物館の案内 (2010年05月)

まず最初に動物は塩が無いと生きていけないという映像とボードがあります。
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肉食動物は他の生物の血から塩を得ているのですが、草食動物は塩を含む湧き水なんかで補っているようです。象が塩を求めて穴を掘る話とかを映像で流してました。考えたこともなかったけど、動物も自然から塩を得る方法があるんですね。

続いては塩資源についてのコーナー。日本には無いですが世界には塩湖や岩塩といった様々な姿で塩が存在しています。実は海水から作られる塩は1/4~1/3程度でしかないそうです。

こちらはイスラエルの塩湖(死海)から取れた塩
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塩湖は元々は海だったところが湖となり、水の蒸発で塩分濃度が濃くなった湖です。死海は身体も浮くほど塩分濃度が高いというので有名かな。

こちらは実際に触れる塩のブロック。有名なボリビアのウユニ塩湖で取れたものです。
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ざらざらして塩というよりは岩みたいな感じです。

こちらはウユニ塩湖の写真。
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一見すると南極みたいに見えますが、この白いのが塩です。

続いては岩塩のコーナー。岩塩は塩湖が地中に埋まり長い時間で化石になったようなものです。

こちらは岩塩で出来た聖キンガの像。
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聞いたことがない聖女ですが、元々ハンガリーの王女だったそうでポーランド王との結婚が気に入らず指輪を岩塩坑に投げ捨てたそうです。しかし結局は嫁いだのですが、何故か指輪はヴィエリチカという場所で発見された為、その地下を掘るように命じたら広大な岩塩層が見つかったのだとか。この事件をきっかけに岩塩発掘でポーランドは繁栄したらしく、この岩塩坑は世界遺産にも登録されているそうです。

この辺にはその岩塩坑の映像もあったのですが、聖人像どころか聖堂そのものが全部塩で出来ている空間が広がっているようです。水で解けないように排水をしっかり行うなど、細やかな仕組みもあるようでした。

こちらは各地の岩塩がずらっと並ぶ様子。
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私は海外に行くと岩塩を買ってきますw 日本のお塩よりコクがある気がします。

こちらはポーランドで取れた岩塩の柱。
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先程触った塩に比べるとかなりツルツルした表面でした。

続いては日本の塩のコーナー。実は日本は塩に恵まれていない国で、岩塩も塩湖もないし天日で海水を干すような乾季もありません。そこで、日本では大昔から海水を煮詰めて塩を作ることが行われてきました。

これが塩を煮詰める窯。
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いきなり海水を煮詰めるのではなく、塩浜に海水をまき ある程度天日で干して塩分濃度を上げ、その砂ごと煮詰めて塩を取ります。その後、濾過して更に濃くなった海水を煮続けると結晶とにがりに分離するようです。

日本の塩作りは揚げ浜と入浜という方式があり、これは入浜式塩田の模型。
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満潮と干潮の潮位差を利用して海水を導く方式が入浜です。潮位差の大きい砂浜がこの方式に向いていたようです。

とにかく日本の塩作りは海水を煮詰める必要があるのですが、そのためのエネルギーが馬鹿にならないので入浜式などで海水の塩分濃度を上げてから煮詰めて効率化を図っています。塩分濃度を上げるのを「採かん」、煮詰めるのを「せんごう」というようで、この2つの工程は今でも同じなのだとか。

こちらは流下式塩田というより効率的な方式
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立体になってるので単なる塩田より効率良さそうですが、ポンプの力が必要そうに見えます。

そして1972年以降はイオン交換膜法という方式に全面的に変わったようです。
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これは電気の力で海水中のイオンを集める方式ですが、海水の塩分濃度を上げるという点においてはそれまでと同じと言えそうです。

続いて煮詰める「せんごう」の歴史のコーナー。

こちらは蒸気利用式塩釜
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海水を煮詰める際の煙や水蒸気の熱を利用して1つ前の工程の窯も温めることで燃料の効率化を図っています。省エネ設計です。

こちらは真空式蒸発缶
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山の頂上でお湯を沸かすと沸点が低いのと同じように、気圧が下がると沸騰しやすくなるのを利用した窯です。低い温度でも水を蒸発させることができるのでますます燃料の効率が上がりました。

と、こんな感じで塩作りのコーナーの後は塩にまつわる豆知識みたいなコーナーです。

一口に塩といっても塩にはソーダ灰(ガラスや鉄鋼の原料)や塩素、苛性ソーダなど様々なものがあります。このグラフは塩の消費量と使い途についてです。
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何と食用は13%程度で他は産業用となっているようです。これはちょっと驚き。

さらに日本の塩の自給率はこんな感じ。
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わずか11.6%! ほとんどは海外からの輸入です。やはり天然に転がってる塩には勝てないのかな? ちょっと危機感が湧きます。

他にも色々な情報があって、こうしたタッチパネルみたいな機械で調べることができました。
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塩のことなら何でも調べられそうw

こちらは人体と塩の関係についてのコーナー。
DSC07632.jpg
人体の塩は大体は血の中だろうと思ってましたが、血などの体液に含まれているのは全体43%程度で、骨にも43%程度含まれているそうです。骨は必要に応じて体液の塩の量を調整する貯蔵庫の役割になっているのだとか。

こちらは塩の結晶のコーナー。基本的には正六面体になるそうですが、成長の様子で形が変わるようです。
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非常に綺麗な結晶。人工物のように直角にできています。塩水の表面に浮かんだ結晶が重みで徐々に沈みながら成長するとこうなるようです。ピラミッドみたいw 

こちらは球体。
DSC07646.jpg
これも人工物に見えますが塩水の中で転がりながら成長するとこうなるようです。自然にこういう形ができるというのに驚きです。


ということで、塩について様々な角度から焦点を当てた展示となっています。科学的にも歴史的にも面白い内容となっていて、普段あまり意識しない塩の不思議を観ることができました。好奇心が刺激されますので、この博物館に行かれる際には是非ゆっくり観てみることをお勧めします。
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