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たばこと塩の博物館の案内 (2018年1月 たばこの歴史と文化)

今日も写真多めです。前回に引き続き、たばこと塩の博物館の常設についてで今回はタバコの歴史と文化についてご紹介します。ここでも撮影することができましたので、写真を使っていこうと思います。

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【公式サイト】
 https://www.jti.co.jp/Culture/museum/collection/tobacco/index.html

【施設名】
 たばこと塩の博物館

たばこのコーナーは3階にありました。私はタバコを吸わないし嫌煙なのですが、この博物館に来ると毎回タバコの常設も観ていますw ここは渋谷時代に比べて広くなっている気がして、コレクションも以前より充実しているように思いました。いくつかのコーナーに分かれていましたので、順序に沿ってご紹介していこうと思います。

まずはコレクションギャラリーから。観ました。青貝を使った煙草盆など特に貴重なコレクションが並びます。

こちらは漆が塗られた煙草盆。
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青貝によってキラキラとした模様となっています。江戸時代のものかな。灰落としまで装飾されていて豪華。

こちらは朝顔を蒔絵で表した煙草盆。
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黒地に金という豪華でありながら落ち着いた雰囲気が素晴らしい品です。朝顔も洒脱な雰囲気。

こちらは「青貝桜下遊宴図ゲーム箱」
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これは国外向けの箱だそうです。通りでゴテゴテしてるw 青貝をふんだんに使って豪華ですがセンスが日本っぽくないかな。

続いてはタバコ文化の発生と伝播に関するコーナー。

いきなり神殿みたいなものがあります。これは渋谷時代には無かったと思うけど忘れてるだけ??
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これはメキシコのマヤ文明のパレンケ遺跡にある「十字の神殿」のレリーフを模したものらしく、タバコをくゆらす神が表されています。昔は神と結びつく神聖なものだったみたいです。

こちらはタバコの葉っぱ。大航海時代にアメリカ大陸からヨーロッパに渡り、さらに世界中へと広まっていきます。
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元々ペルーの高地が産地で、アンデスの儀式で使っていたそうです。たばこはナス科で、栽培されているのは2種なのだとか。
 参考記事:古代アンデス文明展 前編(国立科学博物館)

これはマヤで見つかった壺。7~11世紀頃の品です。
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側面にタバコをすっている人がいます。この儀式が今では嗜好品となっているのがちょっと不思議w

15~16世紀頃になるとヨーロッパにタバコが広まり、嗜好品となっていきました。むしろ当時は薬として盛んに利用されたのだとか。

こちらは当時の様々なパイプ。
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粘土で出来たクレイパイプや装飾の施されたパイプなど様々な品が並んでいます。この頃はまだパイプが主役です。

こちらもヨーロッパのパイプ。
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フランスのパイプなんかナポレオンの頭の形をしていますw かなり大きいものが多くて吸うのも大変そう。

タバコはヨーロッパだけでなくイスラム圏にも伝播します。イスラム圏では水パイプによる喫煙習慣が定着し、今でもその姿が観られるそうです。
こちらはエジプトのガラス製水パイプ
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水パイプの仕組みがイマイチよく分からないのですが、デザインがイスラム風なのはよく分かりますw

パイプ以外の喫煙グッズもあり、これは猫の頭の形をしたタバコジャー。
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あんまり可愛くないw 他にも犬や人の頭の形のジャーもありました。

こちらは嗅ぎタバコのコーナー。様々な材質の豪華な小箱が並びます。
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ヨーロッパに伝わった当初は喫煙よりもタバコを鼻から吸う嗅ぎタバコのほうは主流だったそうで、特に17世紀フランス宮廷で大流行したのだとか。

こちらは一大産地となったアメリカのパイプ。なんとトマホークの形をしています。
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元々は先住民を懐柔するためのアイテムだったようですが、その後各部族の長の権力を誇示する品へとなったそうです。そのまま攻撃できそうw

こちらは狩猟図が描かれたセイウチの牙製パイプ。
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今ではこんな品も作れないと思います。牙彫も中々見事な出来栄え。

他にも中国の喫煙グッズなどもたくさんありました。

これは鼻煙壷とよばれる中国の嗅ぎタバコ
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タバコは17世紀頃にヨーロッパ諸国から中国宮廷にもたらされたようです。こうした小壷に入れて楽しむのが中国独自のスタイルのようです。

こちらはタバコのパッケージなどのコーナー。
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昔は健康被害なんて知らなかったせいか子供と一緒に描かれているなど長閑な感じがします。今じゃこんな広告は無理ですねw

こちらはシガレットケース
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シガレットが普及した頃の包装が脆かったのでこうしたケースが使われたようです。包装が丈夫になってからもステータスシンボルとなったのだとか。

こちらはシガレットのおまけで付いてきたたばこカード。
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何しろ箱が脆かったので芯紙として入れたのが始まりのようですが、色々な絵柄があるのでコレクションしたくなるのは分かりますw

続いては日本のタバコのコーナー。日本では江戸時代初期に広まり、細く刻んでキセルで吸うスタイルが根付きました。

当時の日本の産地。
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東日本だけでもこれだけあります。やはり寒冷な地に合うのかな。

こちらは当時のタバコ屋さんの再現。ちなみにこの部屋の隅に猫ちゃんがいます。
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お店の人はタバコを刻んだり巻いたりしています。産地ごとにブランド化されてたようで、特に「国分(国府)」は高級タバコとして看板に書かれることも多かったそうです。コーヒーのブルーマウンテンみたいなものかな?w  

続いてはタバコを吸っている人などを描いた浮世絵のコーナー。むしろ「有掛絵」のコーナーと言うべきかも。

こちらは歌川国盛「己酉年八月酉の日酉の刻より木性の人うけに入る」
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描かれているのは、富士山やふたご山、ふさんかいの湊、ふ老門、ふけいのうら、ふきあげの濱、ふたみが浦 という頭が「ふ」で始まるものばかりで、これは有掛絵と呼ばれるものです。

この辺にはこうした有掛絵が並びます。これは江戸時代の俗信「有掛無卦説」に基づくもので、有掛(うけ)という7年の幸運期と無掛(むけ)という5年の不運の時期があり12年で1周期となる節です。その上で生まれ年によって木性、火性、土性、金性、水性という振り分けをして有掛に入る時期がきめられたそうです。有掛に入る人への祝儀として「富」や「福」といった「ふ」の字で始まる品々が贈られたらしく、有掛絵も贈答用として多く作れたようです。この解説を読むと先程の作品名も意味が分かると思います。(何故急にそんな絵が並んでいるのかはわかりませんがw)

こちらも有掛絵。三代歌川豊国の「七ふ字有掛入絵」
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何処に「ふ」が付くものがあるんだ?と思ったら歌舞伎の登場人物が「ふ」で始まるそうです。背景の富士山も含めてふで始まるものが11点あるようですが、現代人にはサッパリわからないと思います。

続いては明治以降の喫煙のコーナー。開国以来、西洋の喫煙文化も伝わってきたらしく、葉巻やパイプ、紙巻きたばこが新たに加わりました。

こちらは紙巻きたばこに使う品々。
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シガレットケースなども純和風の造りとなっているのが面白いです。

続いては刻みたばこの技術に関するコーナー。

こちらは19世紀初頭の手押し刻み機
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1日1貫(3.75kg)ほど製造できたそうで、これで作ると質が高いことから上級品の刻みに使われたのだとか。

この後、機械式の刻み機なんかもありました。

こちらは明治以降のタバコの広告のコーナー。
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この辺は見覚えがあるものもチラホラありました。割と時代を映してる感じがするので健康被害に関しての広告もここで展示すれば良いだろうに。

渋谷時代にもあった街角のタバコ屋さんの再現もありました!
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いつの間にか業平たばこ店になっている芸の細かさw もうこういうお店は観なくなったなあ。


ということで、タバコに否定的な私でもその歴史や文化について楽しむことが出来ました。タバコの良いところだけを見せてる気がしなくもないですが、付随する歴史なども垣間見られて良かったです。

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