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仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ― (感想後編)【東京国立博物館 平成館】

今日は前回に引き続き東京国立博物館平成館の「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」についてです。後半は撮影可能なコーナーがあったので、一部は写真を使ってご紹介しようと思います。まずは概要のおさらいです。
 前編はこちら

20180121 151022

【展覧名】
 特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」 

【公式サイト】
 http://ninnaji2018.com/
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1868 

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2018年1月16日(火) ~3月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
第一会場の前編は主に仁和寺の歴史についてでしたが、後半は主に仏像が並ぶ内容となっていました。


<第4章 仁和寺の江戸再興と観音堂>
1464年に応仁の乱が起きるとその4年後の1468年に仁和寺はことごとく焼失の憂き目にあったようですが、南の双ヶ丘の真光院で法脈は受け継がれていたようです(古い品も生き残った) しかしその後なかなか伽藍が再興されることなく、江戸時代初期にようやく再興の動きが出て覚深法親王の頃に徳川家光に働きかけ、江戸幕府の援助の元に再建されました。この再建の際にはかつての御所の内裏の建物が下賜されたようで、現在の金堂はかつての紫宸殿を移築したものだそうです。この章ではそうした江戸時代の再興にまつわる品々が並んでいました。なお、この章の最初の部屋だけ撮影可能です。
 参考記事:番外編 京都旅行 金閣寺エリアその3

こちらが撮影可能なエリアで、仁和寺でも普段は修行の場のため非公開となっている観音堂を再現しています。33体もの仏がずらりと並んで壮観な光景となっていました。
20180121 150907
この写真は左半分くらい。色つきで迫力ある仏様ばかりです。

中央には千手観音が立ち、28の武将と風神雷神、降三世明王、不動明王が並んでいます。
20180121 151211 20180121 150957
どれが誰だかちゃんと分かるようにキャプションもありますので、これを機会に持ち物やポーズの特徴を見比べることもできます。

こちらは風神雷神
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どちらも踏み出すポーズで雲に乗っています。表情も目を見開いて険しいです。

ちょっと目立たないですが阿修羅とかもいます。
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右には婆藪仙人とかもいて、1人だけちょっと他と違った雰囲気。

こちらは降三世明王と不動明王。
20180121 151601 20180121 151522
降三世明王はこのお馴染みのポーズがカッコイイ。不動明王も剣と羂索を手に持つ典型的な姿です。

仏像たちの背景も高精細画像で再現されています。オリジナルは木村徳応という京都で活躍した画家によるものです。正面の絵は仏像の裏にあるのでちょっと分かりづらいですがw

気付かない人もいたのかもしれませんが、仏像たちの裏にも通路があり、壁画が再現されていました。(ほんの一瞬だけ誰もいなかったw )
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通路の左右に壁画が並んでいます。

こちらは壁画の一部。
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極彩色の目に鮮やかな仏画となっています。

こちらも壁画。
20180121 151333
こちらは打って変わってモノクロームな印象。輪郭線が強めで存在感がありました。

この観音堂の再現は非常に見応えがあるし撮影できるので、これから行く予定の人はスマフォやカメラを持っていくことをお勧めします。めちゃ混みになったら撮影どころじゃなくなりそうですが…w

この章には観音堂のコーナーの他にも江戸時代の名品があります。2/12まで公開の狩野孝信「賢聖障子絵」も見どころの1つで、獅子と狛犬が向き合い松林と聖人・賢人4人が対になっているような障子絵となっていました。格式高い仁和寺らしい画題じゃないかな。


<第5章 御室派のみほとけ>
最後は沢山の秘仏が並ぶコーナーで、この章だけでも今回の展示は非常に充実していると言えそうです。仁和寺が率いる御室派は、790もの寺院があるそうでここにはそうした御室派の仏像(秘仏も含む)が並んでいます。ここは見どころの仏像をいくつかピックアップしてみようと思います。

「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」(仁和寺 平安時代・12世紀)
こちらは仁和寺創建当時から伝わるヒノキの一木造りの阿弥陀如来坐像で、左に観音菩薩 右に勢至菩薩を従えています。
中国から来た図像を元にしているようで、水瓶を持っていないのは珍しいのだとか。優美な姿で気品のある仏様でした。

「菩薩坐像」(神奈川・龍華寺 奈良時代・8世紀)
こちらは奈良時代に隆盛した脱活乾漆像(漆を塗り固めた仏像)で、関東に伝わっている珍しい品です。胸元に金の装飾が残っていたり、漆による表現によって髪の毛まで分かるような緻密さで高い技量が伺えます。澄んだ表情をしているのも印象的でこの時代ならではの微妙な感性が感じられました。

「降三世明王立像」(福井・明通寺 平安時代・11世紀)
こちらは2.5mもある大型の立像で、3面の顔と8本の腕を持ち、足ではヒンドゥー教の神 シヴァとその妻のパールヴァティを踏みつけています。口を開けて胸前で印を結ぶ姿は守護者としての威厳に満ちていて、周りを圧倒するような雰囲気がありました。これは遠目で観ても とてつもない仏さんがおるぞ!?と驚くと思います

「深沙大将立像」(福井・明通寺 平安時代・11世紀)
こちらは先述の口を開けた「阿」の降三世明王と対になるように口を結んだ「吽」の表情をした深沙大将です。頭に髑髏を乗せて髪を逆立てている様子は恐ろしく、こちらも降三世明王に負けない迫力があります。この深沙大将(深沙大王)は西遊記の沙悟浄のモデルになった仏様で、玄奘三蔵法師を砂漠で助けたとされています。この像と降三世明王は薬師如来を中心に三尊像形式となっているそうで、この三尊は聞いたことが無いので珍しい組み合わせと言えそうです。2体セットで迫りくる感じが非常に見応えありました。

この先には神像のような仏像もありました。神仏習合が進んでいた時代を感じさせます。

千手観音菩薩坐像(香川・屋島寺 平安時代・10世紀)
こちらは42本の腕を持つ千手観音菩薩坐像です。それぞれの手には法輪や斧など様々な持ち物があり、頭には10の小さな仏たちの頭もあります。千手観音らしい見栄えのする姿で、細部まで細かく作られているのでじっくり観てきました。この仏様は横から観ることができたのですが、腕の生え方とかを横から観てみると面白いと思います。

「十一面観音菩薩立像」(大阪・道明寺 平安時代・8~9世紀)
こちらは道明寺創建当時の秘仏で、今回は前だけでなくグルっと回って観ることができます。カヤの一木造りで、水瓶を持ち右手には数珠らしきものを持っています。遠くを見渡すような澄んだ目をしていて、格式高い雰囲気がある仏様でした。

この少し先にまだ展示されていなかった葛井寺の「千手観音菩薩坐像」の展示予定地がありましたw 2018/2/14から展示の予定となっています。

「馬頭観音菩薩坐像」(福井・中山寺 鎌倉時代・13世紀)
最後にトドメの一撃と言わんばかりに凄い作品がありました。これは慶派による馬頭観音像で、3つの面と8本の腕があり座った姿で表されています。その顔は険しく、口を開けて睨みつけるような強い目をしていました。歯まで見える緻密さだし、火焔のような髪の逆立ちや筋肉の力強さなど慶派らしい躍動感がありました。


ということで、後半は特に面白い内容となっていました。仁和寺だけでなく御室派の秘仏まで観られるとは本当に貴重な機会です。2/14以降に今回の展示の目玉である葛井寺の「千手観音菩薩坐像」が出て来るので、本格的に混むのはそれ以降ではないかと思いますが、十分に楽しめる内容ですのでまだ空いているうちにという方はお早めにどうぞ。
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