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映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」(ややネタバレあり)

先週の金曜の会社帰りに渋谷のbunkamuraル・シネマで映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」を観てきました。この記事はややネタバレを含んでいますので、事前知識なしで観たいという方はご注意ください。

DSC00145.jpg DSC00149.jpg

【作品名】
 ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

【公式サイト】
 http://gauguin-film.com/
 http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/18_gauguin.html

【時間】
 1時間40分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
結構お客さんはいましたが、混んでいるほどでもなくチケットもあっさり買えました。東京だと2箇所くらいしかやっていない映画なので混雑を覚悟していたのでちょっと意外。

さて、この映画はポスト印象派の巨匠として名高いポール・ゴーギャンについてです。ゴーギャンと言えばとんでもない性格で、そのクズっぷりは絵画ファンにはよく知られているところですが、この映画を観るとちょっとゴーギャンに対して悪い印象を持ちすぎていたのかも?と思える内容になっています。ここからは早速ネタバレになりますが、この映画では1回目のタヒチ移住の直前あたりから物語が始まります。ゴッホが南仏に理想郷を求めたようにゴーギャンは未開のタヒチに原始世界の夢をみますが、ちょっと覇気がありません(既にゴッホとのアルルの共同生活も破綻した後です) 周りの賛同も得られず単身で乗り込むことになり、その上 心臓と糖尿の病を抱えて常に咳き込んでいるような感じです。そんな状態でもより未開の地を目指して旅する途中に現地で妻となる少女と出会い、幸せな時を過ごします。 …と、この辺で話が終われば良い話になりそうですがそういう訳でもありません。これ以上先のストーリーに関するのネタバレはやめておきますが、ゴーギャンは妻を養うための生計、人間関係、タヒチの近代化 など様々な現実に直面していくことになります。辛くても芸術に対してのストイックな所が随所に出てきて、良くも悪くも純粋な人だったのかも?と思う一方で 頑固さが状況を困難にしている感もあり、観ていてもどかしいところが多いように思います。そんなゴーギャンが絵も描かずに額に汗して働く様子は私が知らなかったタヒチのゴーギャンの側面だったので、ちょっと気の毒に思えました。 割と葛藤があっても怒鳴り散らすような感じではなく内省的な感じなのも意外だったかな。

映像面については、役者さんがゴーギャンもテフラ(現地の妻)も割と絵画で観る顔に似ていたように思います。奥さんが13~14歳ということには言及していないしそうも見えませんがw ハリウッド映画のように明確に伏線を張るのではなく、演技や仕草でそれとなくその後を予見させる演出もさりげなくて良かったです。たまに有名な名画を描いているシーンなんかもあるので、ゴーギャン好きの人は一層楽しめるのは間違いないです。特にノアノアの版画なんかを観たことがあると、絵の中のタヒチのイメージと映画でのイメージを照らし合わせることもできて楽しいと思います。原始の楽園だと思っていたら予想以上に西欧化した光景なので、ゴーギャンが奥地を目指した気持ちも理解できる気がしました。

ということで、これを観ると今まで見聞きしたゴーギャンの駄目な逸話の印象がちょっと薄まって、不器用で孤独な人間に思えてきました。何処まで史実通りかは私には判別できませんが、極貧でも貫いたゴーギャンの芸術への真摯さについては間違いなかったのだろうと思います。これを観ると今後のゴーギャン作品を観る上でも参考になると思いますので、西洋絵画が好きな方はチェックしてみてください。
 参考記事:
  ゴーギャン展2009 (東京国立近代美術館)
  ゴッホゆかりの地めぐり (南仏編 サン・レミ/アルル)
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