関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

【岡田美術館】の常設 2018年1月(箱根編)

前回ご紹介した岡田美術館の特別展を観る前に、常設も観てきました。周辺の様子なども含めてご紹介しておこうと思います。

DSC08810.jpg

【公式サイト】
 http://www.okada-museum.com/collection/
 
【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
常設も空いていました。まあ観る分には概ね快適なのですが、この美術館には良い点と良くない点があっていくつか挙げるとこんな感じです。

[良い点]
 ・幅広い豊富なコレクション
 ・静かで広い鑑賞スペース

[良くない点]
 ・入館料2,800円
 ・カメラどころか携帯も館内持ち込み禁止(全てロッカーに預ける)
 ・館内に漂う硫化水素の香りw 作品はガラスケースの中だけど大丈夫??
 ・5階から庭に出られるものの一回出ると自動的に締め出され、戻る為には正面入り口まで坂を下って大回りする必要がある

まず入口で空港のようなセキュリティチェックを受けます。これは海外の美術館ではよくあるので別に気になりませんが、特に携帯持ち込みが駄目というのは本当に不便です。連れとはぐれると連絡手段がないので、旅行先で一番困るやつです。海外の人も多いのでルールが分からない人もいるのかもしれないですが、矮小なルールを守らせるのが一番大事みたいで、美術で社会貢献をするというよりは 少ない人数で商売してやろうという魂胆にしか見えません。(そもそも観光地にしてもこの入館料は異常です) 豪華なコレクションや立派な施設があれど根本的な部分が抜けていて、ちょっと運営方針には賛同できません。この辺はパチンコ・パチスロで財を成した会社だけに性悪説で考えているのでしょうか? 多くの人に美術を楽しんで貰おうとしているポーラ美術館とは対照的な美術館です。

と、運営方針に対してかなり不満があるので、運営に対しての満足度だけなら①くらいなんですが、コレクションは本当に豪華なのでそれに関しては満足度⑤くらいですw この愛憎入り乱れた所で間を取っての③としています。1階から5階まで(4階は特別展)広いフロアに数多くの品が並んでいましたので、各階ごとに振り返ってみようと思います。


<1階>
1~2階展示リスト

まず1階です。最初の辺りには埴輪や縄文土器が並んでいました。点数は多くないですが、そんなものまであるの?とちょっと驚きます。そしてその後には殷王朝時代の青銅器などが並んでいました。イメージとしては根津美術館の常設と似たような品々で、大きめの作品群が並んでいます。

その後は中国の陶磁器・青銅器、朝鮮の磁器などが並びます。大皿や大亀、唐三彩、俑陶、白磁、青磁などがズラッと展示されている光景は圧巻です。天目茶碗なんかもあって目を引きました。他にも元・明時代の色彩豊かな陶器や、越州窯青磁の特集なんかもあってダイジェスト的に中国の陶器の歴史を辿れるような感じです。清時代のコーナーでは景徳鎮が多かったかな。青花や五彩など様々な色の陶器があるのですが、気に入ったのは桃花紅の深いピンクの陶器や紅釉や藍釉といった落ち着いた濃い色合いの作品でした。「爐鈞釉双耳壺」という壺では側面に青い水滴が垂れているような模様もあったりして、色合いも模様も楽しめました。
さらに朝鮮の青花なんかもあって、1階だけでもかなりのコレクションです


<2階>
続いての2階は日本の陶器や横山大観の大作が並んでいました。まずは有田や古九谷、柿右衛門様式などがあり、小型から大型まで様々な陶器が並んでいます。古九谷はドギツイので私は好みではないのですが、柿右衛門なんかは中々良い品があるように思います。さらにガラスこコーナーでは珍しい薩摩切子なんかもあって、やや茶色がかった力強い色が輝くようでした。連れに魚子紋(ストロベリー・ダイアモンドカット)の説明をしてたらオバちゃんたちが横で聞いててちょっと恥ずかしかったw その他にも色ガラスなんかもあって、華やかです。

その後には揃いの陶器セットのコーナーや、2段のガラスケースにぎっしり入った染め付けなんかもあります。魚の形をしたお皿とか、緩い雰囲気の絵も含まれていてちょっと和みましたw また近くには金襴手様式のゴテゴテした壺なんかもありますが、この辺は好みではないのでさらっとw

そしてこの部屋には縦1m、横9mにも及ぶ横山大観の「霊峰不二」が展示されています。これは59歳の頃の作で、文楽座の座頭が病気から全快した時にその祝いとして制作されました。黒い雲間に白い頭の富士が描かれているのですが、余白が大部分でそれが雲と空に見えるような表現となっていました。これは雄大かつ神秘的で、とにかく作品の大きさが持つオーラがあるのでこの美術館に訪れたら是非見ておきたい作品の1つだと思います。

そしてその後には私の大好きな鍋島のコーナーがありました。鍋島は藩窯のため優れたデザインが多く、特に幾何学的なセンスが抜群です。色合いも上品だし本当に素晴らしい陶器です。ここもかなり満足できる内容でした。(割とこの2階はサントリー美術館の特別展で観たことがあるような品が多かった気がします。似たものかもしれませんが…。)

 
<3階>
3・5階展示リスト

既に1階2階とヤバイ品揃えでしたが、この3階も相当ヤバイですw まずは左右に金屏風がズラリと並ぶ部屋があります。その中には尾形光琳の「雪松郡禽図屏風」も含まれていて、この美術館はこの作品がコレクションの始まりとなったようです。金地を背景に雪をかぶった松の下に沢山の鴨の姿があり、金・緑・白の取り合わせが鮮やかです。単純化された水辺にも金で波を表現するなど光琳の魅力が詰まっている作品でした。他にも鈴木其一の「月次扇面図屏風」などもあり、この一角だけでもかなりのものです。

この先には小部屋があり、大人だけの春画のコーナーがあります。いずれも男女の性愛描写がダイレクトの無修正なわけですが、葛飾北斎や鳥文斎栄之といったビッグネームによる多色の鮮やかさは流石といった感じでした。

さらに進むと水墨画のコーナーです。雪舟風の久隅守景(狩野探幽の弟子)や伊藤若冲の鶏、森狙仙が得意とした猿を描いた作品、呉春の屏風なんかもあって江戸時代のオールスターみたいな感じです。さらに下村観山の神秘的な月を描いた作品もあり、コレクションの幅の広さに驚きます。ちなみに、この近くには数年前に再発見され大きな話題となった喜多川歌麿の「深川の雪」のコピーもありました。ちょっと前まで特別展で「吉原の花」と共に展示されててこれも話題となっていたのですが、138年ぶりの再開だったのだとか。その展示も観たかった…
 参考リンク:歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」―138年ぶりの夢の再会―

その後は、戌年ということで犬を描いた作品を集めた小特集となっていました。ここには円山応挙の犬を描いた作品(5点程度)があり、コロコロした子犬たちが非常に可愛らしいです。さらに弟子の長沢芦雪の「群犬図屏風」があり、こちらには洋犬らしき犬が13匹もいました。この展示は恐らく期間限定なので観られてラッキーです。他にも鈴木其一や下村観山、加山又造まであって本当に多彩です。

近くには名所絵ということで歌川広重の東海道五十三次、谷文晁の風景画なんかもあります。浮世絵や文人画まであるとは…。そしてこの階の最後には近現代の日本画もあり、土田麦僊、上村松園、鏑木清方、前田青邨、棟方志功、奥田元宋、片岡球子という錚々たる面々の作品が並びます。1点ずつではありますが良い作品ばかりです。割と見栄えがするコレクションが多いかな。地味な絵はあまりありませんw


<5階>
4階は特別展で、5階は仏教美術のコーナーです。ここは小部屋程度なのですが、慶派と思われる金剛力士像(阿吽が揃ってる)が並び、非常に躍動感がありました。また、近くには四天王の小像も揃っていましたが、小さいのに迫力がありかなり見応えがあります。他にも飛鳥時代や白鳳時代といったかなり古い時代の品もあって、小さい部屋でも濃密な内容です。

この5階から庭園とお食事処に抜けることができますが、冒頭に書いたようにここから出ると5階には戻れなくなり、外をグルッと回って1階まで戻らないとなりません。冬はめちゃくちゃ寒いので、うっかり薄着でご飯を食べに行こうとするとえらいことになるのでご注意。


<庭園>
この日、庭園は雪で埋まっていて閉鎖されていました。その代わり、お昼で開化亭というお店でうどんを食べました。ここも非常に値段が高い為か貸切状態でしたが、雪景色の庭を観ながら食事することができました。まあ、味は普通ですw

<足湯>
こちらは風神雷神図の壁画の前にある足湯。
DSC08813.jpg
別途入湯料がかかるようですが源泉かけ流しの温泉となっています。寒すぎて外にいるのが辛かったので私は入りませんでした。タオルは現地で売っています。


ということで、コレクションは凄いけど運営方針には不満という珍しいパターンの感想を持った美術館でしたw まあそのせいかお客さんは少ないのでゆっくり観られました。(食事、特別展と合わせて3時間半くらいいました) 予めそういう美術館だと割り切って行く分には非常に見応えのある内容だと思います。

おまけ:
この岡田美術館はユネッサンの目の前にあります。以前よく使っていたホテル小涌園の目の前でもあるわけですが、ホテル小涌園は2018/1/10で閉館しました。
DSC08819.jpg
バイキングとか良かったんですけどね。

高級ホテルになるとかニュースで見たかな。
DSC08820.jpg
老朽化も原因みたいなのでこの建物も見納めでしょうね。


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