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【箱根ラリック美術館】の常設 2018年1月(箱根編)

前回ご紹介した箱根ラリック美術館の企画展を観る前に、常設も観てきました。

DSC09486.jpg

【公式サイト】
 http://www.lalique-museum.com/museum/guide/index.html 

【会場】箱根ラリック美術館
【最寄】なし

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんはいましたが快適に鑑賞することができました。

さて、こちらの美術館はその名の通り、アール・ヌーヴォーやアール・デコの時代に活躍したルネ・ラリックが制作した作品を専門にコレクションしています。(ルネ・ラリックについては以前の記事に詳しく書いているのでご参照ください) そのコレクションは1500点にも及ぶそうですが、常設ではそのうち230点を模様替えしながら展示しているようです。以前にもこの美術館を2回訪れたことがあるのですが、今回は観たことがない作品も結構あったように思いますので、各章ごとに簡単に振り返ってみようと思います。
 参考記事:
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想後編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想後編 (国立新美術館)
  ラリック家の女神たち (箱根ラリック美術館)
  箱根ラリック美術館 館内の案内


<1 ラリックの仕事場から>
まず入口付近には装飾パネル「花束」があります。これは中々の大作でアール・ヌーヴォー的な優美さのあるパネルです。そしてその後にラリックのアトリエを再現したコーナーがあり、ラリック自身がデザインした机や椅子、装飾原案などが展示されています。ここでの見どころの1つはアトリエの扉で、重厚かつラリックらしい意匠となっています。また、ここには船の形をしたガラスの置物(センターピース?)などもあり、自らのアトリエを自らで作っていたのが伺えました。

少し先にはアール・デコ博覧会の噴水塔で使われた像のうちの1つが展示されています。これは泉の精メリトを表した像で、流線型の長い体躯が非常に優美でした。他にもバレエ・リュスの演目「火の鳥」に触発されて作った「火の鳥」というセンターピースも見どころで、これは下から赤いランプを照らして赤く燃える鳥のように見せる展示方法が良かったです。この美術館では実際にランプをつけて展示している作品がいくつかあり、輪郭に沿って光る様子など本来の姿が分かるようになっています。
 参考リンク:公式サイトの写真(アール・デコ博覧会)


<2 世紀末パリ アール・ヌーヴォーの彩り>
こちらはアール・ヌーヴォー時代の宝飾品などのコーナーです。ラリックは当時の大女優サラ・ベルナールの為に装飾品や舞台衣装を制作したり、オペラの演出家と交流して戯曲や楽譜の装飾本なども手がけたそうです。ここにはトカゲの柄のついたステッキや、ラリックの展示が賑わう様子を描いたヴァロットンの版画、香水会社のコティ社のプレートや香水瓶、サラ・ベルナールのメダルなど様々な品が並んでいました。アール・ヌーヴォー時代に既に大きな成功を収めていた華やかな印象の品々ばかりです。
 参考リンク:公式サイトの写真(ヴァロットンの版画)


<3 ガラスの革命>
こちらは香水瓶や花瓶、手鏡などが並ぶコーナーです。特に沢山の香水瓶があり、先日ご紹介したシダをモチーフにした香水瓶や側面に☆型のガラスがはめ込まれた球体の「ダン・ラ・ニュイ」の香水瓶なんかもありました。松濤美術館で見た時のよりちょっと小さめだったかな。
 参考記事:ルネ・ラリックの香水瓶 -アール・デコ、香りと装いの美- (松濤美術館)
また、この近くには浴室のパネルを一面に展示していました。棕櫚を単純化したデザインで高級感がありました。


<4 ラリックの宝飾>
続いては宝飾品のコーナーです。ここにはペンダントやコサージュ、バックル、チョーカーなどが並んでいるのですが、そのモチーフがトンボやバラといった動植物となっているのがラリックならではの面白さです。さらに戦っている男たちを表しているものなんかもあって、発想の豊かさを感じました。素材についても様々で、オリーブをグリーンオパールで表したり、省胎七宝やバロック真珠、金などをモチーフに合わせて自在に組み合わせている様子が分かります。

またここには♊みたいな形の門扉もありました。曲線が組み合った感じが美しいと共に重厚感があります。さらにこの辺にはデザイナーのジャンヌ・パキャンの家のダイニングを再現した部屋があり、ダイニングなのに中央にウエディングケーキみたいに4段くらいに重なった噴水があります。噴水の周りにはぎっしり詰まった果実を表したガラス装飾もあって、個人の邸宅にしては豪華過ぎる雰囲気でした。
 参考リンク:公式サイトの写真(噴水)


<5 ベル・エポックの部屋>
ここはベル・エポック(古きよき時代)と呼ばれた第一次世界大戦前の頃のパリにあった邸宅の一室を移築・再現コーナーとなっています。寄せ木のテーブルや椅子、ランプ、ステンドグラス、ミュシャやシェレのポスターなど華やかだった時代の余韻を感じることができます。また、ここでは睡蓮の池と呼ばれる庭も観ることができるので、ここでしばらく外を見ながらゆっくりすることができました。


<6 ラリックのデザインを紐解く>
この章から2階の展示となります。ここはユニークなデザインの作品が並ぶコーナーで、4羽の蝉が組み合った香水瓶や、蝉が細長くなったペーパーナイフ、側面に金魚が浮き出たカラフルな花瓶のシリーズ「台湾」が色違いで数点、コウモリが羽根を広げた簪、犬や鳥の形をした灰皿など、ちょっと変わった遊び心が感じられる品々となっていました。


<7 室内装飾「雀」>
こちらは1929年に発表された室内装飾「雀」が展示されていました。暖炉のある八角形の部屋の壁(のいくつかの面)に木々にとまる金色のスズメたちが表されています。かなりの大型作品で木々の部分は象嵌されているのかな? これもこの美術館でしか体験できない作品だと思います。
 参考リンク:公式サイトの写真(雀)


<8 アール・デコ デザインの精華>
こちらはラリックの花器が並ぶコーナーです。ラリックは生涯に200点ほどの花器を作ったそうで、そのうち16点がここに展示されています。まるでオパールのような乳白色のオパルセントグラスを使ったバッカスの巫女たちを表した花器では10体近く側面に浮き彫りになっていて、非常に優美な印象を受けました。また、スカラベがぎっしり表されたものや、大きな魚の花器なんかもあってちょっと花器とは思えないものもありますw ここでのお気に入りはやはり渦巻きが深く側面に刻まれた「旋風」で、シンプルながらも力強い表現が面白いです。
他にも熱帯魚?が表された作品なども面白かったです。
 参考リンク:公式サイトの写真(バッカスの巫女たち)


<9 テーブルウェア デザインを生活へ広げる>
続いてはテーブルウェアのコーナーです。ここには食卓やレストランを飾った品が並び、観音開きのバーキャビネットなどがありました。このキャビネットは内側に鏡と幾何学的なガラス装飾があり、開けると美しい空間が広がる工夫が面白いです。また、ルネ・ラリックの娘スザンヌが手がけた「ニコル」というティーセットも目を引きました。ニコルはスザンヌの娘の名前で、この辺は以前来た時にやっていた企画展で見た記憶がありました。


<10 ジャポニスムとその時代>
常設の最後は日本の芸術から着想を得た作品が並ぶコーナーです。ここで最も目を引くのはこの美術館のシンボルとも言える「蝶の女」という装飾柵で、蝶の羽根をもった女性像が表されています。その羽根は身体の何倍もの広がりがあり、華やかで流麗な印象を受ける傑作です。こうした自然をモチーフにした作風はラリック自身も得意だったので日本の影響だけではないと思いますが、根底には自然への畏敬という点で繋がっていると思います。
他にも皮と木で出来た屏風や大きな蝉の形の容器、蝶の羽根を持った女性のブローチなどもあり、優美かと思えば奇想の作品だったりと幅広いデザインが楽しめます。
 参考リンク:公式サイトの写真(蝶の女)

また、ラリックとの直接的な関わりは分かりませんが、ここには浮世絵やキセル、印籠、ジャポニスムの火付け役である「芸術の日本」なんかも展示されていました。これは参考展示なのかな?

その後にはカーマスコットのコーナーがあります。これは車のエンブレムの辺り(ボンネット上の先端部分)に取り付けるガラス装飾で、鷲の顔や鶴が飛ぶ様子などスピードや滑空を思わせる品が多いです。その中で「スピードの女」という頭に両手を組んで胸を突き出すポーズの像があるのですが、これが最も華麗な装飾で好みでした。他にもハウンド犬や、毛がなびいているような女性の頭部のエンブレムなんかもあります。

常設の最後にはブローチのコーナーもありました。「マリの女」という作品はユリの花が髪の毛のように表されている面白いデザインでした。
常設はここまでで、その先にはミュージアムショップと企画展の部屋があります。


ということで、ラリックの独創的かつ優美な作品の数々に出会うことができました。この美術館はラリックの作品だけでなくカフェやオリエント急行といった付属の施設も含めて楽しめるところですので、ガラス工芸などが好きな方は箱根にお出かけの際にでもチェックしてみてください。


おまけ:
美術館の前にはクラシックカーとカーマスコットが展示されています。
DSC09478_201802160143512b8.jpg

マスコットのアップ。
DSC09480.jpg
これはちょっとスピードを感じないかなw 行く度に違うのを付けているので定期的に入れ替えていると思います。


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