関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

色絵 Japan CUTE ! 【出光美術館】

3週間近く前の土曜日に有楽町の出光美術館で「色絵 Japan CUTE !」を観てきました。

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【展覧名】
 色絵 Japan CUTE ! 

【公式サイト】
 http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/

【会場】出光美術館
【最寄】有楽町駅

【会期】2018年1月12日(金)~3月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多くて賑わっていましたが、場所によっては混んでいる程度で大体自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は京焼や古伊万里、鍋島といった様々な色絵が集まった内容となっています。主に江戸時代の作品で、洒落た意匠や形を楽しむと共に、そのデザインのルーツについてや、海外への展開についても紹介していました。展覧会は5つの章に分かれていましたので、各章ごとにいくつか気に入った作品と共にその様子を振り返ってみようと思います。


<第1章 季節を祝う、慶びを贈る>
まずは五節句や季節の宴を飾った色絵が並ぶコーナーです。おめでたい吉祥のイメージを託して贈り物としても使われたようで、それに相応しい作品が並んでいます。

肥前窯 「色絵梅花鷽文富士形皿」
こちらは富士山型の白い皿に梅と鳥が描かれた作品です。この鳥は鷽(ウソ)という鳥で、幸運をもたらす鳥としてつがいで描かれています。鷽は1月の神事「鷽替え(うそがえ)」にちなみ、凶事を吉事に取り替えて悪いものを嘘にするという意味があるようです。梅も1月の花としてよく描かれるので、季節感を込めた作品のようでした。形自体も面白いです。

この辺には琳派風の屏風や蒔絵などもいくつか並び、季節感を演出していました。

鍋島藩窯 「色絵柴垣椿文皿」
こちらは鍋島で、白地に青い柴垣や赤い花、緑の葉っぱの椿などが描かれています。その色使いは優美な一方、ジグザグの柴垣はリズミカルで構図の楽しさもありました。この辺の洒脱さは藩窯だった鍋島らしい品格です。
この辺には鍋島がズラリとならび、鍋島好きとしてはかなり嬉しいラインナップ。

鍋島藩窯 「色絵石楠花文皿」
こちらはサントリー美術館所蔵の鍋島。白い花と赤い花(シャクナゲ)、青と緑の葉っぱがデフォルメされて描かれていて、葉っぱも楕円形だったりします。そのデフォルメぶりがデザイン的で、白地に映える色合いと共にモダンなセンスを感じました。

この近くにあった鍋島の「色絵野菜文皿」なんかも面白い作品で好みでした。

古九谷 「色絵葡萄栗鼠文角皿 五客」
こちらは5客セット角皿で、縁の部分が緑色と黄色の文様となっていて古九谷らしい色合いです。中央には白地に葡萄とその下にいるリスが描かれていて、これは多産を表す吉祥文様のようです。結構ゆるい雰囲気の絵で、1枚1枚よく見ると微妙に違っていますw その緊張感の無さが可愛く思えました。

古清水 「色絵楓文透彫手焙」
こちらは饅頭みたいな形の容器に六角形の蓋がついた作品で、側面には透かしがあります。これは手鉢らしく、金を地に緑や白の楓の葉っぱが表されていて葉っぱ同士の隙間にも穴がありました。穴は空気を取り込むためのものだと思いますが、実用性とデザインの面白さの両面があって優美です。こんな豪華な手鉢を使ったら煤で汚れそうで勿体無いでしょうがw


<第2章 ファッションと文学>
続いては色絵のデザインソースについてのコーナーです。色絵には小袖のデザインを取り入れたり、和歌の世界を器にしたものがあります。ここにはそうしたファッションや文学をモチーフにした作品が並んでいました。

古九谷 「色絵蔦葉文皿」
こちらは円のふちが緑色と黒で渦巻くような模様の皿です。内側は黄色に細い円の模様があり、そこにツタの葉が描かれています。これは小袖のデザインを流用したもので、当時の雛形として残っているようです。古九谷独特のくどい色合いでちょっと好きにはなれませんが、デザインソースに関してよく分かる品でした。

この辺には古九谷がズラリと並んでいて、可愛らしい鳥が描かれた「色絵花鳥文大皿」などの作品もありました。また、金屏風の「誰が袖図屏風」もあり当時の着物の華やかさが伝わってきます。

尾形乾山 「色絵百人一首和歌角皿 十客」
こちらは小さめ角皿に錆絵(やや色あり)と和歌が描かれた2枚1組 10客セットの作品です。上の句と下の句に分かれていていて、安倍仲麻呂の「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」では三笠の山に月が出ている光景が描かれているなど、その詩に合った絵となっています。薄っすらと色がついているのも洒落ていて、本当に良い作品です。他にも喜撰法師や小野小町、蝉丸といった百人一首にも出てくる有名な詠み手が並んでいました。ちなみに逢坂の関の絵では関所というよりは鳥居にしか観えませんでしたw

尾形乾山 「色絵龍田川文透彫反鉢」
こちらは深い壺に、赤、緑、黄色の楓が川に流れている様子が描かれた作品で、やはり和歌を題材にしています。流麗な波間には穴が空いていて、色も形も優美な名品です。これを観られただけでもこの章は満足でした。
 参考リンク:第2章 ファッションと文学


<第3章 Japan CUTE、世界を駆ける>
続いては海外に渡った色絵のコーナーです。古伊万里や柿右衛門、柿右衛門に習った海外の陶器などが並んでいました。

柿右衛門 「色絵梅粟鶉文皿 五客の内」
チェルシー窯 「色絵梅粟鶉文十角皿(イギリス)」
梅、ウズラ、粟の穂を描いた いかにも柿右衛門と言った様式の作品で、柴垣の上には青っぽいウズラ、地面には赤っぽいウズラが描かれ2羽とも可憐な雰囲気です。この柿右衛門の絵をそのままコピーしたイギリスの皿が隣に並んでいて、皿の形が10角形になっているものの 丸っきり同じ絵で、絵だけ見たら日本の作品に思えるかも。 この近くには他にもいくつか同じ絵柄の海外の作品が並んでいるのですが、水指やポットにしたりちょっと絵が違っていたりと模倣されながらも各地で少しずつ違いがあります。むしろ伝言ゲームのように段々とオリジナルから離れている感が面白いですw

その先は金襴手様式の大型の古伊万里が並んでいました。また、チャイニーズイマリと呼ばれた景徳鎮窯が復活した後の作品なんかもあります。いずれも金ピカで見栄えがしますがあまり好みではないので割愛。

古伊万里 「色絵ケンタウロス文大皿」
こちらは西洋の神話に出て来るケンタウロスが三人で遊んでいるような様子が描かれた色絵です。ヨーロッパの銅版などを元に作ったそうですが、どこか中国の仙人のような奇妙でユーモラスな感じを受けました。のほほんとしてるというかw 


<第4章 かたち・色 百花繚乱>
続いては様々な形の作品が並ぶコーナーです。この辺はいつもと順路が異なるので観る順番がごっちゃになってしまいましたが、構成に従ってご紹介していきます。

板谷波山 「葆光彩磁葡萄文香炉」
こちらは大正時代の作品。側面に粉がかかったような淡い色彩で葡萄が描かれています。この手法は板谷波山ならではで、柔らかくて静かな雰囲気がありしっとりとした気品も感じられました。

この辺には板谷波山の作品が所々ありました。

尾形乾山 「色絵紅葉文壺」
こちらは緑の星型の枠の中に、赤、青、黄色の星が描かれた壺です。どうやら星ではなく紅葉のようですが、その模様の斬新さの割に伸びやかで緩い雰囲気がありました。中々可愛らしい作品です。

野々村仁清 「色絵鶉香合」「色絵鶏香合」
こちらはウズラと鶏の形をした香合です。どちらもきょとんとした顔をしているのが ゆるキャラみたいなw 似た作品を最近いくつか見ていますが、これは特に可愛かったです。

野々村仁清 「色絵梅花文四方香炉」
両側面の耳の部分に象の顔、蓋の上に兎が乗っかっている作品です。どちらも愛らしい姿で、ちょこんとした感じです。側面の梅花もデフォルメぶりが可愛くて小さいながらも目を引く作品でした。
 参考リンク:第4章 かたち・色 百花繚乱

他にも羽子板の形の香合なんかもあって仁清が充実していました。 それ以外でもカラフルな狛犬や、絵付けされた美人の人形、鸚鵡や鶏の形をした作品なんかもありました。


<第5章 色彩茶会>
最後は茶の湯や茶会、酒宴にまつわる色絵が並ぶコーナーです。

野々村仁清 「色絵熨斗文茶碗」
こちらは側面に金の輪郭で赤、緑、青の細長い熨斗が描かれた茶碗です。熨斗がたなびく様子が非常に優美で、幾何学的な印象を受けます。軽やかでモダンなデザインが特に面白い作品でした。

この辺には野々村仁清の作品がいくつかありました。「色絵波兎地丸文蓋物」なんかも好みの作品でした。

小山冨士夫 「紅毛茶碗」
こちらは昭和の戦後の作品で、側面に水色と薄い黄色の縞模様がデザインされています。これはオランダのデルフト焼きに着想を得たそうですが、色のせいかそうは思えないかな。ポップで爽やかな色合いで、楽しげな印象を受けました。

この辺にはこの作品と似たものが2点ほどありました。

古伊万里 「色絵樽乗西洋人物酒器」
これは樽に乗っている西洋人を表した酒器です。酔っ払って手には酒と杯を持って、お行儀悪い感じw 色合いも西洋風ですが漢字の模様があったりして、その形と共にちょっと変わった作品でした。西洋向けだと思いますが、こんなのまで作っていたとは驚きです。

この近くには蛇口の付いた「色絵人物文六角酒器」という酒器もありました。

ということで、非常に華やかな色絵が並ぶ展示でした。これだけ素晴らしいコレクションを持っている出光美術館は流石と言ったところでしょうか。分かりやすい美しさがあるので陶器初心者にも楽しめる内容だと思います。仁清や乾山も充実していたので陶器好きにお勧めの展示です。

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